短くするつもりだったのに、なんかいつもと同じぐらいに・・・
と、とにかく、今回もよろしくお願いします
高速修復材とは、損傷した艦娘の艤装を短時間で修復する特殊な形状記憶合金の一種だ。艦娘の艤装に使われる合金を液体化している。これを満たした容器に損傷箇所を漬け、大きな電圧をかけて欠損部分を埋める。基本的な使い方はこうだ。
精製には、特別な方法が取られ、当然艦娘の艤装に関わることなので妖精の協力が必須となる。どうも、艤装のコアとなる部分に艤装形状の記憶が残されてどーのこーのということだが、詳しい仕組みについては、妖精もよくわかっていないらしい。いわゆる、“神の技術”という奴だ。こうして精製された高速修復材は、バケツ型の容器に入れて保管され、必要時に取り出されて使用する(高速修復材がバケツと呼ばれるのはこのため)。
一見すると便利なハイテクだが、欠点も多い。精製は鎮守府の工廠部でしか行えないし、一度に大量に作ることも不可。複雑な部位(特に戦艦や空母といった大型艦種の艤装)の修復には向かない。貯蔵法の関係で、艦娘支援母艦では大量に扱えない。その他諸々だ。
とはいえ、手作業で数時間から下手をすれば数時間を要する修復がわずか数分(微調整にいくらか時間はかかるが)で終わることは、短時間での反復攻撃を可能とし、最前線での戦術展開をより広くするだろうと期待される。
◇
「想定内といえば想定内だが、予想外といえば予想外、か」
支援母艦“幌筵”の作戦室で、ライゾウは海図と艦隊の被害状況を確認していた。向かいに立つユキもまた、険しい表情で海図台を見つめる。お互いに、言葉少なだ。
北方派遣艦隊の当初の作戦案では、第一次の攻勢での海域攻略を想定していない。戦力的に無理があるとして、断念していた。よって第一次攻勢では敵戦力の漸減に努め、その後は敵前衛に対する夜襲をもって対抗、増援の到着を待って第二次攻勢で一気にけりを付けるつもりだった。
かくして、第一次攻勢は実施され、敵戦力の減殺に成功した。むしろ、一個機動部隊の撃滅という、想定以上の戦果を挙げる。作戦目的は達成されたのだ。
が、払った犠牲は大きかった。二個機動部隊を相手取った四人の空母艦娘のうち、加賀と蒼龍は“幌筵”での復旧が不可能と判断され、大湊に展開している後方支援部隊へ下げられることとなった。
それにもまして被害の激しかったのが、戦艦部隊だ。機動部隊の前方に展開していた彼女たちは、長門を除いた実に三人が、現地修復不能な損害を負っていた。
機動部隊の前衛として水雷戦隊と戦艦部隊を展開し、接近する襲撃艦隊と夜戦への備えとする新戦術は、皮肉にも同じように展開していた敵戦艦部隊に真正面から砲戦を挑むという結果をもたらした。航空戦力の支援がないまま、格上の敵戦艦とがっぷり四つに組んで殴りあった戦艦部隊は、これの撃退に成功したものの多大な被害を受けることとなった。
「戦艦を前面に押し立てて来たということは、今回は侵攻中枢艦隊旗艦が戦艦でない可能性が高いですね」
「・・・どうだろうな」
ユキの発言に、ライゾウは懐疑的な受け答えをした。
それまで、敵戦力の指揮を執る侵攻中枢艦隊の旗艦は一貫して戦艦だった。南西諸島への進出を始めて以来、鎮守府はこの旗艦となる戦艦を撃沈することで、敵性戦力の排除に成功してきた。そうした前例を鑑みて、鎮守府では「大規模部隊の指揮を執るには、戦艦の指揮能力が必要」と仮説を立てている。
「ここへ来て、急に戦艦以外が指揮を執っているとは考えにくいな。今のところ、新型艦を発見したとする報告もないし」
「ですが、これは今までの深海棲艦の行動パターンからすると、かなり異常なことですよ?」
「そうなんだよなあ」
誰も見ていないのをいいことに、着崩した軍装の腕をまくる。
「もしかして、敵旗艦は指揮官先頭を実践する東郷長官タイプなのかもな」
「・・・真面目にやってください」
「冗談だ」
本当なら、どれほどいいか。
顎に手をあて、考え込む。
「・・・やはり、この辺りが気になるな」
ライゾウが指差したのは、現在戦闘の中心海域となっているキス島沖よりさらに奥の、北方海域深部だった。未だに詳細のわからない、未知の海空域である。
「鬼姫の臭いがぷんぷんする」
「提督の言っていた、陸上型、ですか?」
「おう」
場の雰囲気に似合わない、軽い答え方だ。ライゾウは続ける。
「鬼姫なら、戦艦に代わって指揮を執っていてもおかしくない。陸上型ならなおさらだ。おそらくこっちの世界でも、奴らの役割は変わらないはずだ」
「・・・ライゾウ先輩は、見たことがあるんですよね?」
少しの間があった。
「まあ、な。意識がはっきりしてたわけじゃないから確かなことは言えんが、鬼と思われる艦種をこの目で見たことはある」
「南方棲戦姫、でしたか」
「暫定名称だけどな」
ライゾウにしては珍しく言葉少なだ。ユキはクリップボードを握りしめる。彼の緊張が、移ったようだ。
「とにかく、だ」
話題を切り替えようと、ライゾウが咳払いをする。
「仮の話として、陸上型が総指揮を執っているとすると、この北方での深海棲艦の動きも意味合いが変わってくるな」
「これ以上偵察に割ける戦力がありませんし、確かめる術がないのが悔やまれます」
「しかたないさ。陸上型なら、当然航空戦力も持ってるはずだ。今の一式陸攻や二式艦偵じゃまともに偵察もできん。無駄に戦力を減らす必要はない」
「敵艦隊を抑えたのちに、偵察を行うというのは?」
「現状を鑑みれば、それができないってのはお前が一番わかってるだろ?」
自分のことをさもわかったように言う先輩に、ユキは溜息をつく。
「あくまで、可能性として述べただけです」
「知ってる」
悪戯っぽい笑み。そして手元の書類を、海図台に乗せた。
「当分は漸減戦に徹するしかない。増援が到着次第、第二次攻勢の検討を始めよう」
◇
雨の降る鎮守府。じめじめと湿気の多い廊下を、吹雪は執務室へと歩いていた。
静かなものだ。北方作戦の開始にあたって、半数近い艦娘が出撃している鎮守府に、いつもの賑やかさはない。靴音も、どこか物悲しく響くだけだ。
重くなりそうな空気を振り払うように、吹雪はまっすぐ前を向いて歩いていく。元気が取り柄の自分が下を向いていては、艦隊の士気にかかわる―――前に、明石あたりが心配して飛んできそうだからだ。
リズミカルにステップを踏んで、執務室前で立ち止まる。深呼吸を一回。ノックをしようと手を伸ばしたところで、
「開いてるよ?」
「ふぇっ!?」
後ろから、唐突に声がかかった。
我ながら変な声を上げたことに赤面しつつ、背後を振り返る。白の第二種軍装に身を包んだ司令官が、相変わらずの柔らかな表情で吹雪の顔を覗き込んでいた。
「お、脅かさないでください!!」
「はは、すまなかったな」
渾身の抗議も、軽く流されてしまう。バクバクいってる心臓を落ち着けている間に、司令官が自ら執務室のドアを開けて招き入れてくれた。
「これだけ終わらせてしまうから、そっちに座って待っててくれ」
そういって司令官は、部屋の隅にたたまれた秘書官机と椅子を指差す。吹雪は頷いて、慣れた手つきでそれらを広げると、給湯室にお湯を沸かしに向かった。
茶葉を急須に用意してから執務室に戻り、お湯が沸くまで待つ。早速執務机に腰掛けた司令官は、数枚の書類に目を通して、必要事項とサインを書き込んでいた。その作業が終わったころ、湯沸かし器がその役目を果たした。
「ぴったりか」
「お茶、淹れてきますね」
「ああ、頼む。助かるよ」
沸騰したお湯が少し温度を下げるのを待って、湯呑にお湯を入れてから急須に移し、三十秒ほど放置する。茶葉から染み出た香りが鼻孔をくすぐりだした頃合で湯呑に注いだ。透き通った緑の液面が、暖かな湯気を上げてきらきらと光っていた。
「どうぞ」
「ん、ありがとう」
司令官が律儀にお礼を言ったあと、湯呑を受け取る。お互いに一口啜って、息をついた。
「・・・静かですね」
「そうだな」
しみじみとした口調で、司令官は背後の窓を見る。その横顔は、どこか寂しげだ。
「こんなに静かなのは初めてだ」
大規模な作戦のために、艦隊の主力が鎮守府を離れるのは初めてのことだった。今思えば、最初の頃はこんなにガラガラの鎮守府で戦っていたのかと、少しばかりの肌寒さを感じる。
「・・・増援部隊の出撃は、四日後でしたね」
「そうだ。これで、北方作戦に決着がつく」
予断を許さない状況だがな。司令官の表情が厳しくなる。
二人の間には、緊張感を伴った沈黙が満ちた。
「・・・さて、と。本題に入ろうか」
「・・・はい」
吹雪は背筋を伸ばす。今日、ここに来たのは、雑談をするためではなかった。
キス島沖における、吹雪の艤装のリミッター解除。吹雪はそのことを話すために、執務室を訪れていた。
「詳しくは聞かない。吹雪の知っている範囲、話したい範囲で教えてくれ」
コクリ、と首肯する。深呼吸をして、吹雪は口を開いた。
「手紙が、届いたんです」
「手紙・・・?」
司令官の眉が、ピクリと動いた。
「沖ノ島の戦いが終わったあたりです。遠征から帰ったときに、私宛てで手紙が届けられていました」
「それは、吹雪たちの部屋にか?」
「はい」
返事と共に頷く。
「白雪ちゃん達も、手紙のことは知ってます。内容は知られてないと思いますけど」
「わかった。すまない、腰を折ってしまったな。話を続けてくれ」
「はい。えっと・・・宛先はわたしだったんですけど、差出人が書いてませんでした。不思議な手紙だなと思って、みんながいない間に開けてみたんです。中には便箋が一枚と、報告書が数枚入っていました」
―――ここに記されていることは、どうか内密に願いたい。
便箋の初めには、そう書かれていた。
―――一読した後は、この報告書を処分してほしい。
とも。
「では、報告書の方は・・・?」
「すみません、独断で処分しました」
「・・・つまり、鎮守府にとって、なにか不利益のある内容だった、ということか」
「・・・はい」
歯切れの悪い回答を、吹雪はするしかなかった。
―――そしてこのことは、くれぐれもリュウノスケ大佐には伝えないでほしい。
報告書の末に付け加えられていた文言の意味は、読んだ吹雪にはわかった。今は、司令官にこのことを伝えるべきではない。
―――いずれ、私が自ら、彼に伝えることになるだろう。
差出人は、そう言っていた。司令官の関係者である可能性が高いと、吹雪は踏んでいる。
「・・・内容については、いずれわかると書いてありました。今は、わたしに伝えてほしくないとも」
「・・・なるほど」
執務机に手をついていた司令官は、そこで背もたれに、体重を預けた。軍帽を目深にかぶる。
「リミッターの解除方法についても、そこに?」
「はい」
「その方法は、吹雪しか知らないのか?」
「はい。手紙に書いてあった範囲では、差出人以外に知る人はいない、と」
「そうか・・・」
何かを考えるように、司令官はあごに手を添えた。やがて顔を上げると、極めて真剣な顔で、吹雪を見つめる。
「吹雪」
「はい」
「俺は、今から実に身勝手なことを、君に言う。それを、命令する。それでも、聞いてくれるか」
「・・・はい、大丈夫です」
「すまない」
軽く頭を下げ、それから重々しく、司令官が口を開いた。
「その方法は、今聞かない。俺も含めて、知っている人間を一人でも減らしたい」
吹雪は目を見開く。
「その方法は、吹雪の胸の内に、仕舞い込んでほしい。誰にも、知られないために」
「・・・」
「そしてもう一つ。もう二度と、その方法を使わないでくれ。たとえ仲間を守るためだとしてもだ」
躊躇うような間があった。
「・・・吹雪には、無事でいてほしい」
「・・・っ!!」
一瞬で、頬が熱くなるのが、ありありとわかった。
もちろん、司令官が全員の無事を祈っていることなど、吹雪にはわかりきったことだ。それでもその気持ちが、自分を名指して向けられたとき、これほど破壊力のある言葉もなかった。
「わかりました」
顔の熱さを、力強く宣言することで誤魔化す。
「特型駆逐艦“吹雪”、必ず司令官のもとに帰ってきます!!」
後で、この時のセリフを思い出して悶え苦しむことになろうとは、吹雪は思いもよらなかったのである。
「司令官」
話が一段落した後、今度は吹雪が、真剣そのものの口調で司令官を呼んだ。
「わたしも、増援部隊に参加させてください」
再び、沈黙が流れる。
どこかあきらめたような様子で、司令官は溜息を吐き出し、質問を返した。
「言うと思ったよ。一応聞くけど、吹雪は病み上がりすぐだよ?」
「大丈夫です。しっかり休みましたから、すぐにでも訓練を始めないと」
「・・・相変わらず、か」
どこか諦観しているような雰囲気さえ漂う苦笑だった。
「・・・任せられるのは、吹雪しかいないと思ってた」
司令官の言葉が、胸を打つ。彼の想いを裏切るようなことをしたのに、任せると言ってくれる。わたしを、信頼してくれている。
その想いに、応えたい。
「艤装の修理は終わってる。明石が、責任をもって最高の状態に仕上げたと言っていたよ。それから、もう一つ」
そこで司令官は、意味ありげに人差し指を立てる。彼に珍しい、悪戯っぽい視線。吹雪がこの表情を見るのは、これで二度目だった。
「新しい装備を開発した。いち早く、実践投入できるレベルで扱えるようになってほしい。この短期間でそれができるのは、吹雪だけだ。吹雪に、その装備を預ける」
「新装備・・・?」
不敵に笑う。
「三連装魚雷発射管の酸素魚雷対応版だ」
「それじゃあ・・・!」
「ああ。吹雪へ装備した後、段階的に換装してく予定だ」
吹雪の言わんとしたことを察して、司令官が大きく頷く。それから用紙を一枚、取り出した。さっとサインを書いて、執務机に置かれていたクリアファイルに挟み込む。青字で印刷された用紙は、工廠部用を示すものだ。
「これを渡して、早速慣熟に入ってくれ。明石が待ってる」
両手でしっかりと受け取る。クリアファイルが折れ曲がらない程度に、手に力を込めた。
「駆逐艦“吹雪”、四日後出立の北方増援部隊への参加、及び新型艤装の着用を命ずる。ただいまをもって、慣熟作業に入れ」
「はい!」
さっと敬礼をする。答礼を返した司令官は、いつもの暖かな表情だった。
「吹雪ちゃんこっちこっち。待ってましたよ」
工廠に入るや否や、明石が二つに縛ったピンクの髪を揺らして、吹雪のもとへ駆け寄ってきた。腕を引かれ、奥へ奥へと連れていかれる。
「いい加減まだかまだかと待ちくたびれてましたよ。あ、今艤装持ってくるから、そこで待っててね」
工廠部、艤装管理室の札が掛かった一室に案内されると、そばにあった椅子を薦められた。明石本人は、そこから直通している艤装格納庫へ走っていってしまう。機械のこととなると、周りが見えなくなる性格なのだ。
吹雪は室内を見渡す。この部屋に入るのは二度目だ。主に改修を受けた―――例えば、新兵装の搭載などを行った艦娘が、軽い動作確認をするのが、この部屋だ。艤装格納庫に続くレールが天井に走り、室内中央を囲むようにして工具が配置されている。
「お待たせ!!」
通路から明石が戻ってくる。天井にぶら下がった吹雪の艤装を、ゆっくりと部屋の真ん中に配置した。
「修復と、各種小改良、それと新兵装の搭載ね」
「これが・・・」
立ち上がって、まじまじと見つめる。
一見すると、どこが変わっているのかはよくわからない。が、三連装魚雷発射管の形状がわずかに異なっており、シールドも少し大きい。酸素魚雷対応版ということで、運用に必要な機構を追加したからだろう。
「缶は全とっかえしたから、燃費が向上してるんです。それと魚雷発射管が酸素魚雷対応になったんです」
明石が得意げに説明する。こうした新兵装等の開発、改良は工廠長が明石と夕張に一任しており、独自の妖精チームを組織している彼女が、吹雪の艤装の修復と改装に大きく携わっているのは容易に予想できた。相当の自信をもって、この艤装を送り出してくれているのだろう。
「あ、そうだった、こっちも説明しないと」
そう言って明石は、艤装の横に置かれた厳重なロックの掛かった箱―――弾薬箱から、何らかのものを取り出した。明石が両の手のひらに掴んで慎重に取り出したそれは、黒光りする弾頭に細長い胴を持つ、魚雷だった。形状からして、九三式酸素魚雷だろうか。吹雪の魚雷発射管にぴったり入る大きさだ。
「魚雷ですか?」
「ふっふー、ただの魚雷じゃありませんよ?試製水雷戦隊用酸素魚雷です!」
「・・・?」
明石の説明にピンと来なかった吹雪は、愛らしく小首を傾げるしかなかった。薄い反応に、明石がカクッと肩を落とした。
「反応が薄かった・・・。やっぱり、わかりにくいんですかね?」
「あの・・・すみません?」
「なんで疑問形!?ま、いいや」
気を取り直したのか、明石は咳払いを一つすると、説明を始めた。
「吹雪ちゃん、酸素魚雷の馳走距離は知ってるでしょ?」
生徒を諭す先生のように、明石は人差し指を立てて吹雪に尋ねる。
「はい。雷速にもよりますけど、二万ぐらいですよね」
「その通り。じゃあ、実際に吹雪ちゃんが魚雷を撃つ距離は?」
「それは・・・」
明石の言わんとしていることが掴めずに、吹雪は考える。
「欲を言えば四千ですけど、実戦だと八千か、精々六千ですね」
「そう!そこなんですよ!」
「どういうことですか?」
フフン、と明石は胸を張る。
「そもそも近距離に接近して魚雷を撃つ水雷戦隊にとって、馳走距離二万は過剰なんですよ!」
「・・・あっ」
言われてみればその通りだ。水雷戦に使う分には、別に二万も魚雷が走る必要はない。一万でも十分なくらいだ。実際、吹雪が装備していた九○式は大体一万の馳走距離だったが、特にこれと言って問題があったことはなかった。
「そこでっ!この試製水雷戦隊用酸素魚雷は酸素の燃焼効率をアップ!馳走距離が短くなる代わりに、六○ノット以上の雷速を手に入れたのです!!」
「おおっ・・・!!」
大げさにポーズを決める明石に、吹雪はぱちぱちと拍手を送る。二人の付き合いは長い。鎮守府の開設した頃から共に戦い続ける二人の間には、艦種を超えた繋がりがあった。こうした突然のノリについていけるのも、二人だからだ。
「まあそういう訳だから、早速仮装着してみましょう!」
「はい!」
「こっちの新型酸素魚雷は、普通に酸素魚雷対応発射管で使えるんだけど、発射タイミングが今までと変わってくるから、気を付けてね」
そう言って明石は魚雷を仕舞い込み、艤装の前に立った吹雪の横に立つ。
「それじゃ、衣装合わせと行きますか!」
お気に入りのスパナを持った明石が、満面に笑みを浮かべていた。
あと三、四回で一段落でしょうか
結局一年近くかかって書き上げることに・・・
そして後書きで何を書けばいいかわからなくなってきた今日この頃・・・