狂人の面を被った小者   作:狂乱者

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第十四話「終末化身」

 

 アルビノがチェルシー達と出会い、貸し本屋で会話をしていた頃にまで時は戻る。

 

 

 

「それじゃあ………………………諦めましょう」

 

「ん?」

 

「おぉ?」

 

 アルビノの会話がジーダスに聞かれていると教えられたチェルシーは、使い古された手を試す事にした。

 

『アルビノが見た内容は伝わってるの?』

 

 紙に書いた文字をアルビノに見せる。

 そう。筆談である。

 

「諦めるのか……」

 

『いや。それは大丈夫だ』

 

『チェルシーちゃん。やるぅー』

 

 流石に無言のままだと怪しまれるため、会話は続けながら筆談で、重要な内容を話していく。

 

『そう。なら…………』

 

 暫し思案した後、チェルシーは驚くべき内容を書き記す。

 

「そう。諦めるよ。仕方ないもん」

 

『アルビノ。私たちはナイトレイドに所属してるの』

 

「ちょっ!?」

 

 チェルシーの暴露にラバックが驚くが、彼女は人差し指を口元に持っていき、仲間を制する。

 

「ならばどうする? 俺から聞き出す事などないが……」

 

『ナイトレイド……帝都の殺し屋か……成る程。チェルシーが纏っていた僅かな血の臭いは、それのせいか……』

 

『血の臭い……ね。アルビノの方がよっぽど酷いけどね』

 

『仕方ない。俺はジーダスの地下三階で、危険種やら殺人鬼やらと、トレーニングと称して、延々と闘わせられたからな』

 

「そうだねぇ……じゃあさ、昔話に花でも咲かせようか」

 

『ラバックが言ってた、アルビノの強さはそのせいか……で、どうする? 私たちがナイトレイドを知った今、アルビノは何をする?』

 

「昔話か……じゃあ、俺がチェルシーに惚れた話でも……」

 

 

「ハァッ!?」

 

 

 突然のアルビノの言葉に、ガタンッと椅子から立ち上がるチェルシー。

 その顔は赤に染まっている。

 

「……どうした?」

 

「い、いや……惚れてるって……」

 

 動揺するチェルシーに対し、アルビノは真面目な顔で答える。

 

「俺はチェルシーが好きだ」

 

「あぅ……」

 

 堂々と腕組をしながら、好意を露にするアルビノに、流石のチェルシーも頬を赤らめながら、俯くしかなかった。

 

 

「……え。何この空気。絶対に場違いでしょ」

 

 ラバックのツッコミが虚しく響く。

 チェルシーは気持ちを整理し、とりあえず席に着く。

 

「久々にあった友人にいきなり告白されるなんて……」

 

「言うのが遅れてすまなかった。だが、言うまでは死ねん、と思っていた程だ」

 

「いや、とりあえず、今、言うべき時じゃないでしょ」

 

 またもラバックの言葉が虚しく響く。

 もうやめて! ラバックのHPはゼロよ! と叫びたくなるシーンなので、先へと進む。

 

 

『返事か……俺はチェルシーが好きだからな。お前のためなら何でもしよう』

 

『何でも……ね。じゃあ、ジーダスを裏切ってくれる?』

 

「さて、では昔話だったな……」

 

『分かった。どうすれば良い? アイツの情報でも流すか?』

 

「そうそう。昔のアルビノは本当、何をしても死んだ魚みたいな目、してたもんね」

 

『即答……まぁ、こっちとしては嬉しいけどね。そんな感じ』

 

「仕方ない。あの時の俺には何も無かったからな。だが、チェルシーや周りの人々が、俺に生命を与えてくれた」

 

『では、ギャオス四天王とジーダスについて話そう。イリスについてもだ』

 

 

 

 こうしてジーダスから様々な情報を得たチェルシーとラバックは、帝都を後にする。

 最後にこんな会話を残して。

 

『最後に。何度も言っているが、俺はチェルシーの味方だ。奴を裏切るタイミングは、こちらに任せて貰って良いか?』

 

『えぇ。お任せするよ』

 

『感謝する。お前たちが成るべく喜ぶタイミングで裏切るとしよう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてアルビノがZを殺害したシーンに戻る。

 

 一瞬の隙を突き、ノインテーターの先端がイリスを地面に押さえつけ、スサノオの槍がジーダスの身体を押し潰す。

 周囲のナイトレイドは耳栓が不必要と判断し、耳から外す。

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!! 絶体絶命! 絶対絶望! 背水の陣ッ!! 残された選択肢は死ぬだけかぁ~ッ!? イヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!!」

 

「コイツ……」

 

 槍の先端を押し付けられ、地面に横たわる小さな医者は狂った様に笑い続ける。

 右手で何度も地面を叩きながら、あまりの可笑しさに涙が出て来ても笑う事を止めない。

 一方のジーダスは地面を伝い、自分の中に入ってくる殺意を抑えながら、次の手を考える。

 

「(奥の手は、暫くは使用不可能になっちまった……あの糞餓鬼が……帝具の解除もしちまったし……さて、そうなると……)」

 

「動くな」

 

 ジーダスを抑えているスサノオの手に力が入り、槍が背中ごと、狂人の身体を地面へと押し込める。

 激痛が走るハズだが、ジーダスは思案したままの表情を変える事はない。

 

「ジーダス・ノックバッカー。これまでだ」

 

 木々の隙間から、ナイトレイドのボス、スーツを着込み、整った顔に眼帯をし、右腕を義手としたナジェンダが現れ、ジーダスの前方に立つ。

 アカメ、レオーネはジーダスとイリスの動きに注目、いつでも動ける様にしている。

 

「これまで……これまでねぇ……そう……これまで……」

 

 呟くだけの青年に、ナジェンダは己の疑問をぶつける。

 

「死ぬ前に一つだけ聞いておきたい……何故、殺戮を求めるお前が死者蘇生薬などを作った?」

 

「……そこまで知っていたか……なら……答えようじゃあないか……」

 

 無様に地面に押し付けられながらも、ジーダスは笑顔を崩していく。

 今まで作り笑いだけであった笑顔は消え去り、残ったのは彼の本性、殺戮のためだけに生まれてきた存在が見せた、初めての表情。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺すためだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何?」

 

 

 

 

 

 

「人の数は有限だ。いずれは尽きる。新たに人が生まれるためには、女と男がセックスをし、そして命が宿り、成長し、人となる……赤ん坊を殺すのはつまらない……だから、殺した奴を蘇らせて、再び殺す。殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して!! 俺の欲望を永遠に満たすためだけに殺す! そのためにあんな薬を作ったんだよ!!」

 

 

 

 

 イリスを除く、周囲の人間は絶句する。

 人型帝具のスサノオですら、狂人の発する言葉の意味を一回では理解出来ない程であった。

 殺すために蘇らせる。

 それこそジーダスが死者蘇生薬を作らせた真意。

 底なしの欲望、本能を満たすためだけに死者を冒涜する薬を作ったのだ。

 

 

 

 

「ヒッ……ヒヒヒ……アヒャヒャ……アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」

 

 

 

 

 その笑い声は狂った幼女ではなく、真に狂っていた人間であった生物が放った物。

 どんな場面でも、殆ど感情的になる事がなかった狂人の馬鹿みたいな笑い声は、イリスすら黙らせ、周囲に響き渡る。

 

 

 

「人間はよォ! 俺に殺されるためだけに存在しているんだ! お前らも! 帝都の奴らも! イリスすら例外じゃねぇ! この世には俺と俺に殺される人間だけいれば良い!!」

 

 

 

 途端、スサノオの力すら撥ね退け、狂人は宙へと舞う。

 あまりの出来事に行動が遅れるナイトレイドのメンバー。

 生まれて初めての狂笑を浮かべ、狂人は飛んできたマインの砲撃を片腕で弾く。

 

「嘘っ!?」

 

 遠くでマインが驚くが、狂人の耳には届かない。

 駆け出し、村雨を振るうアカメの一撃を右足で受け止め、レオーネの右ストレートを左脚で受け流す。

 その隙を、同じく跳んで来たスサノオの槍が顔面を狙い、放たれる。

 避ける暇も無い攻撃であったが、ジーダスは狂った笑みのまま、顔面で攻撃を受け止めた。

 

「どうした? もっともっともっともっと殺意をぶつけろよ? おぉ?」

 

 スサノオが引く前に槍についた槌の部分を両手で掴み、力のまま粉砕する。

 だが、アカメとレオーネを戻らせる事が目的であったスサノオの企みは成功し、2人は地面に着地する。

 ならば残されたスサノオを殺そうと、ジーダスは空を蹴るという、人ではない所業を行い、彼の首筋に噛み喰らう。

 実際は足の裏のレギオンの飛行能力を利用し、跳んだだけに過ぎないのだが。

 

 だが、スサノオは人にあらず。

 帝具人間である彼の皮膚は強化されたとはいえ、狂人の顎程度の力では砕けない。

 両手を組み、振り被り、地面に叩き落すスサノオにジーダスは殺意を強め、落下する。

 

 小型のクレーターが生成され、砂埃が舞う中、中心では1匹の狂人が爛々と目を光らせながら、前傾姿勢で立ち上がる。

 

「あぁ……ようやく馴染んできた……九百年分の殺意が……我が子らが……殺意の渦を作っていく……ケケッ」

 

 獣から人間へと姿勢を正し、両手を広げる。

 それだけの動作で砂埃を取り払い、暗殺者たちが警戒する中、狂人は笑う。

 

「さぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ。殺し合いじゃあなく、一方的な虐殺。俺の俺による俺のためだけの! いつもの行事を始めようじゃあないか!」

 

 右手の先端から大量の黒い影を放出させながら、前方にいたレオーネを薙ぎ払う。

 距離にして15mは離れていたハズだが、黒い影は20m近く伸び、彼女を射程範囲内に収める。

 

「チッ!」

 

 舌打ちをし、レオーネは高々と跳ぶ事で回避を行う。

 だが、振るわれたのは、単なる光線などではない。

 要は長く伸びた腕と同等の物だ。

 故に、空中に逃げた彼女を追う事など、容易なのである。

 

「ぐあっ!」

 

 横一閃の薙ぎ払いは、波状に変化し、レオーネを黒い影が襲う。

 腹部に当たった影は、彼女を近くの木々まで吹き飛ばし、腕を振るいきると同時に消滅する。

 

「レオーネ!」

 

 すぐさまナジェンダが彼女に駆け寄る。

 ジーダスの追撃は、スサノオとアカメが彼に攻撃を仕掛ける事で防いでいた。

 

「ぐぅ……いや、悪いね。ボス……この程度ならすぐに……!?」

 

 よろめきながら、目の前に来たボスに軽く手を振って無事をアピールするレオーネ。

 百獣王化 ライオネルの奥の手「獅子は死なず(リジェネレーター)」により、驚異的な回復力を持つ彼女にとって、単なる攻撃は致命傷にならず、意味を成さない。

 だが、このジーダスから発せられた黒い影は単なる攻撃ではない。

 

「がっ……ハァッ……!?」

 

「!?」

 

 立ち上がろうとしていたレオーネは激しく吐血する。

 腹部と背中に強い衝撃を受けたが、こんな物は彼女からした日常茶飯事レベルの出来事である。

 されど、彼女の吐血は止まらず、滝の如き血流が流れ始める。

 

「何だ……私の中が……可笑しい……?」

 

「ッ! レギオンか!」

 

 

 ナジェンダの予想は当たっている。

 あの黒い影は体外へと放出された、大量のレギオンである。

 数秒間は外に出せる事を利用し、レギオンの薙ぎ払いを慣行したジーダスは、当たった対象の体内に侵入し、内部から食い殺すという戦法を確立させた。

 

「クソッ……ゲホッ!」

 

 今も、死に絶えながら、彼女の内臓を食い尽くしていくレギオンの群が波打ちながら、彼女の中で暴れている。

 だが、彼女の帝具も黙って見ている訳ではない。

 内臓にすら効力を発揮する奥の手は、すぐさま内臓を修復し、レギオンの波止場となる。

 やがて時間切れとなったレギオンは消滅し、彼女の吐血は止まる。

 しかし、内臓の3分の1も食われた彼女は、満足に動ける身体では無くなっていた。

 

「畜生……!」

 

 

「ケハッ! 帝具の効果か何か知らねぇが、まだ生きてやがんの! 面倒臭ぇーなぁ! おいおい!!」

 

 瞬時に距離を詰め、攻撃を仕掛けてくるスサノオに嫌気が刺したジーダスは、全身からレギオンを展開し、彼の体内にも大量の超級危険種を侵入させる。

 帝具生物であるスサノオは並大抵の事では死なないが、体内の何処かにある核を砕かれれば死んでしまう、という弱点を持っている。

 それを知ってか知らずか、そもそも彼を帝具人間という事さえ知らないジーダスは、本能の赴くままに、レギオンによる体内蹂躙を開始する。

 

「マズいッ……!」

 

 使い手であるナジェンダはレオーネを少し離れた所に連れて行き、戦況を見通すために、戦場に目を向ける。

 そこでは体内から手足を砕かれ、それでもジーダスには屈しない眼光と意思を示しているスサノオが、横たわる姿が目に入った。

 

「キキキキキキキキッ! お前さん人間じゃねーのかよ! 同類かぁ!? ウヒャヒャヒャヒャ!」

 

 手足の再生を開始するスサノオを見下しながら、笑うジーダスは蝿を追い払う様に、マインの砲撃を弾いていく。

 スサノオ体内のレギオンは核を見つける前に消滅し、消滅は免れた彼だが、戦況が変わった訳ではない。

 

 アカメも近寄るだけで即死の相手の隙を見付け、斬撃を繰り出すものの、その全てが皮膚表面のレギオンに防がれてしまう。

 今はスサノオの潰す事に専念している狂人は、アカメには本気で殺しに掛からず、鬱陶しそうに相手をするだけである。

 

 

 

「にひひひひひ……どーする? インクルシオのお坊ちゃん! あのままじゃ、お仲間さんは死んじゃうよ?」

 

「くそっ……!」

 

 タツミはイリスを抑えているために、ロクに動く事が出来なかった。

 あの狂人の攻撃は、このインクルシオならばある程度は防げるかもしれない、と考えたのだが、こちらの小さい狂人を無視する訳にはいかず、歯がゆい思いをしていた。

 

「…………お前。タツミだな?」

 

「え……?」

 

 彼らから少し離れた位置で、アルビノが戦況を見ながら話しかける。

 インクルシオを纏ったタツミを見た事はない彼だが、声、放つ殺気、何より仲間の事を心配する優しさを感じ取り、一目でタツミだと理解したのだ。

 

「ただZを殺しただけで裏切った……とは言わん。チェルシーのためでもあるが、お前は俺に勝った。つまり勝者。ならば俺はお前のために動こう」

 

「アルビノ……」

 

「ケヒャヒャヒャ! アルちゃん! 帝具使っちゃうの!? あのひっじょーに危険な帝具をぉー!?」

 

 ノインテーターの下で幼女が笑うが、アルビノは気にせずにしゃがみ込み、そして叫ぶ。

 禁忌と呼ばれた帝具を発動させるため。

 

 

 

「アザトォォォォォォス!!」

 

 

 

 叫び終わると同時に、彼の身体を幾つもの鎧が埋め尽くしてく。

 インクルシオに酷似した白銀の鎧は、美しさと禍々しさを兼ね備えたおぞましい覇気を纏い、一人の化け物をこの世に誕生させる。

 額に装着された血走った一つ目が、主であったジーダスを視界に納める。

 途端にジーダスの動きは止まるが、代わりに少年の脳内に、清清しいまでの意味不明かつ凶気の言葉が流れ始める。

 

 

 

 

 

呪怨混在仕様丸剤苦痛採算奇人消化消失消滅焦土開拓転変嘔吐有罪死刑処刑甘味濾過苦悶思慮配慮怨恨異端共通視界幽冥老練労組微塵九弾検算農民示唆勇気混沌悪夢絶望怨念呪怨混在仕様丸剤苦痛採算奇人消化消失消滅焦土開拓転変嘔吐有罪死刑処刑甘味濾過苦悶思慮配慮怨恨異端共通視界幽冥老練労組微塵九弾検算農民示唆勇気混沌悪夢絶望怨念呪怨混在仕様丸剤苦痛採算奇人消化消失消滅焦土開拓転変嘔吐有罪死刑処刑甘味濾過苦悶思慮配慮怨恨異端共通視界幽冥老練労組微塵九弾検算農民示唆勇気混沌悪夢絶望怨念呪怨混在仕様丸剤苦痛採算奇人消化消失消滅焦土開拓転変嘔吐有罪死刑処刑甘味濾過苦悶思慮配慮怨恨異端共通視界幽冥老練労組微塵九弾検算農民示唆勇気混沌悪夢絶望怨念呪怨混在仕様丸剤苦痛採算奇人消化消失消滅焦土開拓転変嘔吐有罪死刑処刑甘味濾過苦悶思慮配慮怨恨異端共通視界幽冥老練労組微塵九弾検算農民示唆勇気混沌悪夢絶望怨念呪怨混在仕様丸剤苦痛採算奇人消化消失消滅焦土開拓転変嘔吐有罪死刑処刑甘味濾過苦悶思慮配慮怨恨異端共通

 

 

 

 

 

 ありあらゆる文字が脳内に浮かび上がり、意味も成さない羅列となり、少年の脳味噌をたっぷりと犯していく。

 滅茶苦茶な感情は体内で跳ね回り、苦痛を延々と与え続ける。

 しかし、少年の固い意思と瞳は前方の狂人を睨み続ける事を選択する。

 

「説明しよう! 『終末化身 アザトース』とは、過去に存在していたと言われる超級危険種の龍、もしくは悪魔から切り取った脊髄、鱗、眼球をオリハルコンで構成した鎧型帝具である! 使用者は装着から30秒間、精神汚染を受け続け、更に動くだけで身体が崩れていく! 心臓の鼓動すら範囲内! だがだがだが! 30秒経過しても生きている時は、絶大な力が使用者に屈服し、自由に扱えるのだー! しかも経過前の傷は完全回復付き! おっとくー!」

 

 説明口調のイリスは嬉しそうに叫び、タツミが油断するのを誘ったが、ますます槍に込められる力は増すばかりであった。

 

「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!! 懇切丁寧に説明したんだから油断しろよー!」

 

「……いや、流石にねぇわ」

 

 動きを封じられたジーダスに対し、スサノオは手足を回復させ、距離を取り、アカメはスーさんの横に移動する。

 

 動かすだけで体が崩壊していくにも関わらず、アルビノは右手でジーダスを指差す。

 

「これで終わりだ。イカれた屑野郎」

 

「おやおやおやおやおやおやおや……おやぁ? ウヒヒ。これは困った。実に困った……ケヒッ」

 

 アザトースの眼力によって、行動を制止させられたハズのジーダスは口を動かし、軽快な言葉で返事をする。

 その顔には歪み切った笑みが浮かんでいた。

 

 

 


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