年明けに更新するとか言っておいて既に7日…面目次第もありません…
今後はできる限り予定通りに投稿できるようにしたいと思います。
ボス攻略会議になかなかたどり着かない…
sideアスナ
「ふぅ…」
この世界でも、こんな風にお湯に浸かれるなんて思わなかったな…
「キリト君とユウキ、か…」
強い。そう思った。
二人は私よりも遥かに強い。
レベルや技術的なことももちろんあるけど、なんだろう…心構え?が違う気がする。
二人…キリト君とユウキは、一体何を思ってこのゲームをプレイしてきたんだろう…。
私は…私はこの世界に来て、恐怖した。絶望したと言っていい。
それ程に、私にとって『現実に帰れない』っていう事実は重かった。
でも、こんなゲームに負けたくない。モンスターにやられて死んだとしても、この世界には負けたくないって。そう思って、私ははじまりの街を飛び出した。それからは無茶な戦闘を繰り返して、その結果が今日の昏倒。
…でも、そんな自暴自棄に近い形で戦意を保って戦っていた私とは、もっと根本的に考えてることが違う気がする。
…知りたい。二人の事を。知れば何かが分かる。そんな気がするから…。
私は、二人について行こうと思う。できる限りキリト君とユウキを近くで見るんだ。それが、二人の事を知る近道になる筈だから。
そう決意して、お風呂から上がり、騒ぎが落ち着いた頃に、私は話を切り出した。
「お願いが、あるの」
sideユウキ
アスナったら酷いなーもう。「ユウキさん」だって。ユウキでいいのに。
まあ、この世界では面識が無いのはわかってたし、呼び方くらい後からなんとでもなるし、別にいっか。
なんてとりとめのない思考をしてると、いつの間にかトールバーナの街に帰ってきていた。
「よし。ここまで来れば圏内だから安全だ。俺とユウキはこれから泊まってる宿に行くけど、アスナ……もついてくるんだったな。了解」
流石アスナ。無言の圧力はこの頃から健在だったんだね…キリトに質問すらさせずに威圧感だけで意見を通したよ…。
という訳で、ボク達は宿に向かって歩き出………そうとしたのだけど。
キリトが急に立ち止まった。
「どうかした?キリト」
「ん?ああ。アルゴからメッセージが来た」
「…ってことは、まさか!」
「そのまさか。第一層ボス攻略会議のお知らせ、だとさ。1週間後にやるらしい」
「ほんとにやるのね…攻略会議」
?アスナはやらないと思ってたのかな。
「あ、そうじゃなくて…どうして、もうすぐボスの攻略会議があるのがわかったのかなって思って。いつ、誰がボスの部屋にたどり着けるかなんてわからないのに…」
あーなるほどねー。確かにボクもあの時、言ってて信憑性ないなーとは思ってたんだよね。
「あーそれはだな…」
「ボス部屋までのマップデータを提供したのがボク達だからだよ」
「!?…貴方達、強いとは思っていたけど、そんなに凄いプレイヤーだったの…?」
「い、いや、凄くなんて無いって。今この時点ではレベル差なんて大したことないし、プレイヤースキルだってそこまで要求されないから…たまたま一番最初にボス部屋に着いたのが俺達だっただけだよ」
キリト…誤魔化す時によく喋るのは悪い癖だよ…知り合いが見たらバレバレだって。
…でも、初対面のアスナはなんとか誤魔化せた様で。
「ふーん。そうなんだ」
と納得していた。
「(あっぶなかった…ユウキ。余計なこと言うなって)」
「(事実を言っただけなのに)」
「(正直に言って、俺達のレベルは他のプレイヤーとはかけ離れてる。目立って追求されたら面倒なことになるだろ)」
んーそういうものなのかな。
「(でも、別にチートした訳でも無いのに、何を追求するっていうの?)」
「(この世界にはあるだろ。少なくとも今はまだ、プレイヤーに隔たる大きな壁が)」
あ、そっか。
「βテスターとニュービーの壁、か…」
「そういうこと」
「何を話してるの?」
「「うわっ!?」」
び、びっくりしたー。アスナか…
「二人ともこそこそして…それにβテスターがどうとかって言ってたし…」
「え''」
「き、聞こえてたのか…?」
「ちょっとだけ…。なにか不味かった?」
「まあ、アスナなら言いふらしたりはしないだろうしさ。いいんじゃない?」
「…そうだな。ユウキがそう言うなら。アスナ、宿に行ったら説明するよ。とにかく一旦帰ろう」
「わかったわ」
そうしてボク達は宿に戻ったんだけど…
まさか…まさかあんな悲劇が待ってるなんてっ…!
sideキリト
「えぇええええ!?アスナ!一緒にお風呂入ってくれないの!?」
俺たちが泊まっている宿に着いて早々に、ユウキが騒ぎ出した。
…一体ユウキは何を言い出してるんだ…。狩りのしすぎで頭がおかしくなってしまったのだろうか。
「あ、あの…ユウキさん?急にどうしたの…?」
「どうしたもこうしたも無いよ!アスナ、一緒にお風呂入れないの…?」
「(うっ…何故か凄い罪悪感)…で、でもほら。やっぱり恥ずかしいし…」
「恥ずかしくなんてないよ!ボク、アスナになら何されたって平気だよ!」
な、何をされても平気って…
ユウキはそっち側の人間だったのか…あ、そう考えたらなんか二人の後ろに百合の花が見えて…
「キリト」
「っ!!はいっ!」
底冷えする様な声が響いた。ユウキが怖い。よく「目が笑ってない」なんて表現があるが、目どころか全身どこも笑ってる所なんてない。
「勘違いしないでね?ボクは至ってノーマルだから」
「あ、ああ。わかった、いや、わかりました。ハイ」
「アスナ、聞いてた通りだよ!ボクにそっちの気はないから!安心して!」
ちっとも安心出来ないと思うのは俺だけなんだろうか。なんだか今日のユウキは暴走と言う言葉がぴったり当てはまるな。
「身の危険までは感じないけど…何故か途方も無い不安がこみ上げてくるわ…」
「アスナ………ダメ?」
涙目で上目遣いのユウキ…やられたのは俺じゃなくアスナだと言うのに、ここから見ていても物凄く可愛い。このお願いを断れる人なんて…
「ご、ごめんなさい。やっぱり一緒には入れないわ…」
「「断っただと!?」」
何故かユウキまで一緒になって驚いていた。まさか…今の行動が全て計算だった…?
…風呂にどこまで本気なんだよ。ちょっと引くぞ。
「えっと、それ以外のお願いを何か一つ聞くから。それで許して?ね?」
アスナが大人だ…
「じゃあ呼び方!」
「呼び方?」
「そうだよ。ユウキさん、なんて他人行儀だもん。ユウキって呼んで!」
「わ、わかったわ…えっと、ユウキ?」
「うん!そうそう!やっぱりアスナはそうじゃなくちゃ!」
出会って数時間しか経っていないのだが、二人の仲はかなりいいようだ。もしかしたら、前世からの親友だった……なんてな。そんなことあるわけ無いか。
コンコン
「キー坊、ユーちゃん、いるカ?」
「アルゴさん?はいはーい。今出まーす」
アルゴか。おそらくさっきの攻略会議の件…って、ああっ!?
「ユウキ!ちょっと待て!」
「?」
「何を待つんダ?キー坊」
「遅かったか…」
「ふーン。オレッチに言えない隠し事があると見たんだが、どうなんダ?ユーちゃん」
問いかけられたユウキは、数瞬考えた
「ア、アルゴさん!何もないから!ほら、今日のところは引き上げて!お願い!」
「ユウキ…それじゃ逆になにかありますって言ってるようなもんだろ…」
ユウキの説得(自白?)を受けたアルゴは、何かあると確信したのだろう。そのまま俺の部屋に居座った。
「あ、そうだユーちゃん。そろそろさん付けはいらないゼ。もう知らない仲じゃないしナ」
「あ、うん。じゃあ、アルゴ…それは嬉しいんだけど…えっと、なにか要件があって来たんだよね?ほら、早く済ませちゃおうよ!」
どうやら要件を済ませて帰らせる方向にシフトした様子のユウキ。確かに、ここからアルゴを追い出すのも変だ。アルゴにバレずにこの場を切り抜けるにはそれしかないだろう。
……この前戦ったラージネペントの時より緊張しているのは気のせいだと信じたい。
「それでアルゴ。要件はやっぱりボス攻略会議のことか?」
「まあ、それもあるナ。とりあえず、日時はさっき送ったメッセージの通りダ。あと、今回のレイドを束ねるリーダーの情報を少しナ」
「…アルゴから情報をタダで貰えるなんて、嫌な予感しかしないんだが…」
「安心しろヨ。タダじゃあないからナ」
「?それはどういう…」
「さっきから、キー坊もユーちゃんも、向こうの部屋をチラチラ見てたからナー。隠したい物があるのはここカ」
そう言ってドアを開けようとするアルゴ。…って!それはマズイって!
「ご開帳〜!」
「きゃあっ!えっ!?な、なに!?なんなの!?」
咄嗟に顔を背ける俺。…だがチラッと見えてってうおっ!?
「キリトは見ちゃダメ!」
「ユウキ!?離せっ、何も見えないから!」
「そんな!?ボクは失望したよキリト!キリトがアスナの裸を見たがる様な人だったなんて…!」
「いやそういうことじゃなくて!そっちを見ないように起こしてくれればいいだろ!」
そう。今俺はユウキに馬乗りになって組み敷かれているのだ。おそらく確実にアスナが見えないようにするためだろうが、この体制は少しばかりマズイ。何がマズイって、ユウキの体の柔らかさが直に伝わってくるのがマズイ。
一刻も早く抜け出したいのだが、本人はそんなことよりも俺の目を塞ぐ事の方が重要な様で、一向に俺を離そうとしない。
「あっばれない…でよ!抑えるのも大変なのに!…ってあれ?アスナ、もう服着たの?」
「う、うん。この世界の着替えは一瞬で済むから…それより、キリト君?」
「ハイ」
「一応聞いておくわ。言い残すことは?」
「悪いのは俺じゃなくアルゴだと言う事を理解していただきたいです」
「大丈夫よ。アルゴさんとは今後情報料の3割引って事で話はついたから」
あのアルゴが情報料を3割も値引きするなんて…余程恐ろしかったのだろう…
「という訳で、キリト君にも何らかの罰が必要だと思うんだけど?」
「仰る通りです…」
「…じゃあ1つ。キリトとユウキに。お願いが、あるの」
お願い?罰という割には消極的な言い方だけど…随分真面目な雰囲気だ。それにユウキにまで。一体なんなんだ?
「…私を、貴方達のパーティに入れてくれませんか?」
そう言って頭を下げてくるアスナ。
でも、それは…
「パーティに入れてくれって言われてもなぁ…」
「…やっぱり無理言っちゃったよね。ごめんなさい。今の、ナシにしていいわよ」
「いや、そうじゃなくて。俺達はもうアスナをパーティに入れるつもりだったんだが…」
「…え?」
「俺はともかく、ユウキは最初からそのつもりだったみたいだぞ」
「うん!アスナとはいい友達になれそうだから!」
「実力はあの時の戦闘を見れば、ある程度わかるしな」
「…本当に?」
「…俺はそこまで乗り気じゃ無かった。でも、ユウキがあそこまで懐いてるのを見ると、な」
「えへへー」
「…ありがとう」
もう一度頭を下げてくるアスナ。その表情は、先程よりも幾分か明るくなっていた。
「おーイ。オレッチを忘れてもらっちゃ困るんだけどナー」
「あ。アルゴいたのか。忘れてたぞ」
「…ふーン。オレッチをそんな風に扱うなんて、いい度胸だナ、キー坊。…この写真、なんだと思う?」
「なっ!?そ、それは!」
その写真は、先程の俺とユウキを写していた。ユウキが俺に馬乗りになって、抵抗する俺を押さえつけているところだ。
「ボク、あんなに恥ずかしいことしてたんだね…」
今更気づいたのか、若干顔を赤らめながら言うユウキ。くっ…可愛い…
「…それで、その写真と引換に、何をしようってんだ?アルゴ」
「なーに。簡単なことダ。これからもオレッチを御贔屓に、ってのと、もう一つは…」
アルゴから告げられた内容は、俺達にかなりの衝撃を与えた。
「「「ギルドを作ってくれ!?」」」
ボス攻略会議すらまだなのに一体何を言い出すんだ…。
俺達に平穏はしばらく訪れないらしかった。
ユウキ「あ☆と☆が☆きっ!イェイ!」
キリト「急にどうしたんだ?本当に頭でも打ったのか…?」
ユウキ「失礼な、ボクは至って正常だよ!」
キリト「正常なやつはたかがお風呂にあそこまで必死になったりはしないはずなんだがな…」
ユウキ「あ、あれは…ほら。久しぶりに会えた反動というか何と言うか…」
キリト「???」
ユウキ「あーもう!なんでもないの!」
キリト「そ、そうか」
ユウキ「それより、今回の後書きにはゲストがいるよ!今までボクとキリトだけだったのに!」
キリト「仕方ないだろ!ネタに限界があるんだよ!」
ユウキ「あ、また作者憑依してる…。まあ、そんなキリトは置いといて、ゲストさんの登場でーす!どうぞー!」
アルゴ「ゲストはオレッチだゼ」
ユウキ・キリト「「アスナじゃないの!?」」
ユウキ「記念すべき初回ゲスト…ボク、キリト、と来て次に出るのがアルゴだなんて…」
キリト「ってかアルゴまだいたのかよ」
アルゴ「衝撃の要求をして終わったばっかりだロ。居なくなる訳ないじゃないカ。…それと、あんまりオレッチを虐めると、キー坊が自分の宿にアーちゃんを連れ込んだって情報…格安で売っぱらっちゃおうかナー」
キリト「覚えてたのか…有耶無耶にできたと思ってたのに…」
ユウキ「最後の要求のインパクトが強かったもんねー。ボクもあの引きは酷いと思うよ。」
アルゴ「そんなことオレッチに言われてもナー。眠い中作者が頑張って書き上げたんだ。大目に見てやれよ」
ユウキ「おお、アルゴさんもメタ発言。これでよくわかっていない人はキリトだけという事に…」
キリト「なんでもいいけど、それよりアルゴ。攻略会議についての何かで俺のとこに来たんじゃなかったのか?」
アルゴ「それについては後で本編で書くから、それまでまってナ」
キリト「そ、そうか…(本編ってなんなんだ…)」
バンッ!
ユウキ「そんなことよりっ!」
キリト「うお!?どうしたんだ、急にテーブルなんて叩いて…」
ユウキ「作者だよ作者!なんで結局アスナの裸見せちゃうの!?この作品、主人公もヒロインもボクだよね!?」
キリト「えっと…その説は誠に申し訳ありませんでした」
アルゴ「アーちゃんの好感度も原作より高かったみたいだしナー」
ユウキ「ダメだよキリト!アスナは絶対に渡さないんだから!」
アルゴ「だってサー、キー坊。アーちゃん攻略は諦めた方が懸命じゃないカー?」
キリト「攻略って…そんなことするつもりは別に…」
ユウキ「そんなつもり無くても攻略しにかかるでしょ!キリト!…くぅぅぅ、この作品の主人公はボクだからキリトに主人公補正は働かないと思ってたのにぃー!」
アルゴ「むしろユーちゃんが加わった分だけ主人公補正増してるよナー」
ユウキ「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!アルゴのバカァァァァァァ!!」
アルゴ「あ、ちょっと待てってユーちゃん!キー坊!後は頼んダ」
キリト「…収集つかなくなってきたな…このままだと長ったらしく話すハメになるからこの辺で切り上げるか…(作者)」
キリト「…はっ!なんでだろう…『〆よろしく』って声が聞こえた気がする…〆ってどうすれば…え?なに?ユウキの真似すればいいって?お、おう(この声は一体…)」
キリト「おほん。えーっと、次回をお楽しみにー!また会おうねーっ!」
…
キリト「え?ユウキのモノマネをしろって意味じゃない?先に言えよ!物凄く恥ずかしいだろ!……えー、では、今度こそ。観覧ありがとうございました。また次回、お会いしましょう。それでは!」