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sideユウキ
茅場晶彦を名乗るアバターが語ったのは、おおよそボクが知っている通りの、キリトたちにとっては驚愕の、ソードアート・オンライン本来の仕様。
ナーヴギアを外したら死ぬ。
HPが0になっても死ぬ。
脱出方法は第100層の突破のみ。
…事前に知っていたボクでさえショックは大きい。今聞かされた他のプレイヤーの心境は推して知るべしだろう。
ローブ姿のアバターは更にこう告げた。
「最後に、私から囁かなプレゼントを用意した。諸君らのアイテムストレージに入っている。使ってみたまえ」
ボクたち3人も言われた通りアイテム欄を見る。
そこにあったのは…
「「「手鏡?」」」
使ってみると、全身が青い光に包まれる。
「ええっ!?またっ!?」
「転移!?いや、違う!」
「うおぁ!?なんじゃこりゃ!?」
目を開けると、そこには…
sideキリト
「っつ…なんだったんだ今のは…おい!大丈夫か!…って、お前、誰…?」
そこには、俺の知らない野武士づらした男が立っていた。
「おめぇこそ誰だよ…?」
そう言われて俺は持っていた手鏡を見る。
って現実の顔になってる!?さっきの光はこれか!
「えっと…キリトにクライン…で、いいのかな?」
なっ!って事はさっきの野武士づらの男は…
「お前クライン!?」「お前キリトかよ!?」
言ったあとに気づく。今の声は誰だと。目の前にいるのがクラインという事は、必然的にもう一人は…
「「お前がユウ…キ…っ!?」」
その時、俺とクラインの体に電流が走った。
「「美少女アバターの中身が…美少女…だと…!?」」
俺たちの思考はこの時完全に一致していただろう。
即ち「美少女アバターなのにネカマじゃなかったのか!?」的な事である。
偏見なのは分かっていても、あれ程の美少女アバター。中身が女の子で、ましてやリアルの容姿とさほど変わりないなどと誰が予想できるだろうか。
「…ちょっと二人とも?後で話があるんだけど?」
「「すみませんでしたっ!!!」」
…笑顔でそう言うユウキは物凄く怖かった。
sideユウキ
「以上で、製品版ソードアート・オンラインのチュートリアルを終了する。諸君らの健闘を祈る…」
最後にそう告げてローブ姿のアバターは消えていった。
それと同時に広場の封鎖も解かれる。…辺りには絶望に泣き叫ぶ人達が大勢いる。
こんな…こんな所から始まったんだ。このゲームは。
すると、突然キリトがボクとクラインの手を引く。
「ちょっと来い、ユウキ、クライン」
そのまま近くの路地まで連れていかれると、キリトから提案が出た。
「俺はこのまま次の村へ行く。お前らも一緒に来い」
「どういうこと?キリト」
「アイツの言っていたことが本当なら、このはじまりの街周辺のリソースは全て狩りつくされる。その前に次の村を拠点にしておけば、安定して金や経験値を稼ぐことができる。俺はβテスターだから、安全な道も危険なポイントも全て把握してるし、レベル1でも安全にたどり着ける筈だ。まして俺たちは、昼間の狩りでレベルが上がってるしな」
確かにいい案だと思う。ボクはそれで構わないけど…
「で、でもよ。広場の中に、俺の知り合いがいる筈なんだ。そいつらを置いてはいけねぇ」
…レベルが高いボクはともかく、クラインはSAO初心者。ここに更にLv.1のニュービーが加わるとなると…3人、いや2人増やすのが限界かも…。
ボクとキリトがそう考えていたのを察した様で、クラインが言う。
「これ以上、お前らの世話になる訳にもいかねぇな。俺の事はいいから、先に進んでくれ」
「なっ…でも…」
「お前らに教わったテクで、なんとかしてやんよ!」
教わった…?あ!
「そうだ!」
「どうした?ユウキ」
いきなり声をあげたボクを不思議そうに見つめてくるキリトたち。
「キリトは、クラインを置いていかなきゃいけないのが嫌なんだよね?」
「あ、ああ。そんなとこだ」
「うん。それはボクも嫌だなーって思った。だから、クラインには頼み事をしようと思うんだ」
「「頼み事?」」
「そう。クラインにはボクたちが戦闘技術を教えこんだよね?だから、それをニュービーの皆にレクチャーしてあげて欲しいんだ」
「そ、そりゃ構わねぇけどよ?キリトやユウキがやった方がいいんじゃねぇのか?」
「キリトは人と関わるのが苦手みたいだし、ボクはそもそも教えるのが苦手だしね」
「…わかった。任されたぜ」
「それともう一つ。今からボクたちは次の村へ進む訳だけど、ボクたちはその時に情報を集める。もちろんβテスターのキリトがいる以上、β版との変更点なんかを特にね。その情報をメッセージで送って、クラインから皆に伝えておいて欲しい」
「?βテスターなら製品版との変更点くらい自分で探し出すんじゃねぇのか?それ以外の、クエストなんかの情報も他のβテスターが教えると思うんだが」
「…いや、恐らくそれはない。β版SAOに当選した1000人の中に、俺やクラインみたいな本格的なネットゲーマーはほとんどいなかった。大多数のβテスターが、情報と経験に慢心して無茶な狩りなんかに勤しむ可能性が高い。クエストの情報なんてもっての他だ。この危機的状況の中、自分のアドバンテージを捨ててまで情報を開示するプレイヤーなんて極わずか。…俺もさっきまで他のプレイヤーの事なんて全く考えていなかった」
「さっきはさっき、今は今、だよ?あんまり気にし過ぎない方がいいよ。それでクライン、事情はわかってくれた?」
「ああ。100層までのぼらなきゃならねぇってのに、初っ端から被害出してる場合じゃねぇしな」
その通りだ。こんなところで被害を出してる場合じゃない。
前の世界では、このゲームは75層でクリアされたが、今回もそうなるとは限らない。この世界は前の世界とは違うんだから。
だから被害は最小限にとどめなくちゃいけない。本当なら0が最善だけど…いつでも他のプレイヤーを気にしてられるわけでもない以上、それは不可能に近いからね。
「それじゃ、これで決まりね!いい、キリト?ボクたちはクラインを置いていくんじゃなくて、役割分担をするんだ。おっけー?」
「…ああ、オーケーだ。クライン…後は任せた」
「おう!これでも他のMMOじゃギルドで頭張ってたんだぜ。ニュービー相手のレクチャーとβテスターへの忠告くらい、楽にこなしてみせらァ」
「期待してるぜ」「お願いね?」
そう言ってボクたちは拳をぶつけ合う。
お互い必ず生き残る。そう信じて。
「それじゃあ、ボクたちはもう行くよ。クライン、またね!」
「いろいろ世話になった。これからもよろしく頼む」
「おう!前も言ったが、こっちもガンガン頼らせて貰うからな!覚悟しとけよ?」
その言葉に苦笑した後、ボクたちはクラインに背を向ける。するとクラインが、激励?を飛ばしてきた。
「キリト!ユウキ!…おめぇら、ホントは案外可愛い顔してんな。結構好みだぜ?」
あ、これ聞いたことある!ALOでキリトが話してた。
確か、こう返したって言ってたよね?
「「お前(クライン)のその野武士づらの方が、10倍似合ってるよ!!」」
声を揃えてボクたちは言う。顔を見合わせて苦笑。そして駆け出す。
もう未練はない。…とは言わないけど、どのみちボクたちは行かなきゃならない。クラインの為にも。
それがわかっているからか、キリトも振り向きはしない。ただ次の村へ全速力で走る。
「キリト」
「なんだ?」
「必ず生き残る。絶対に。これは約束だよ?」
「…ああ。その約束、絶対に守らせてもらうよ」
そうだ。ボクたちは必ず生き残る。そしてそれは、この世界のアスナ達を助けることにも繋がるはず。
だから生き残る。絶対に。その為にはまず…
「……(じーっ」
「な、なんだよ」
「なんでもなーい」
…このコミュ障気味の
「なんか失礼なこと考えてないか?」
「い、いやいや。ソンナコトハナイヨ?」
「まあ、いっか」
流石にちょっと失礼だったかな…
なんてことを考えつつも、そんな感じでボクたちのSAOは、スタートを切ったのであった。
ユウキ「正座」
キリト「は?え?ちょ、まてって!今は次の村に急がないと!?」
ユウキ「あとがきに時間軸は関係ないの!いいから正座!」
キリト「は、はい…」
ユウキ「…キリト。しょーじきに答えて。キリトは最初からボクの事を女の子だと思ってなかった…って事でいいのかな?」
キリト「い、いやそんなことはないぞ。ちゃんと女の子だと「本当に?」はいすいません本当に最初はともかくアバターだって気づいた時から疑ってました」
ユウキ「はぁ…ボクってそんな魅力ないのかな…原作を読んで男だって勘違いする人もいるみたいだし…」
キリト「いや!ユウキに魅力が無いのはありえないって!ユウキみたいな美少女なかなかリアルじゃお目にかかれないし!…ってか原作ってなんのことだよ…」
ユウキ「そ、そうはっきり言われるのも照れるけど…」
キリト「(か、可愛い…顔を赤らめたユウキの破壊力はちょっと信じられないレベルだなこれ…)」
ユウキ「はっ!?誤魔化されるところだったよ!そうだよ罰だよ罰!ボクの事を疑ったキリトにはそれ相応の罰が必要だと思うんだけど?」
キリト「…あはは。お手柔らかに…」
ユウキ「んーそれじゃあ、次のクエスト、フォアードはキリトね?」
キリト「え!?ちょっと待て、フォアードは交t「何か文句でも?」いえ謹んでフォアードを務めさせていただきます」
ユウキ「うん。よろしい!という訳で次回はボクたち初クエスト!キリト御用達のあの剣が出てくるよ!」
キリト「だから一体なんのこと「誰が立っていいって?(ニコッ」ガクガクガクガク」
ユウキ「それでは、また次回!お楽しみにー!」
キリト「こ、怖いってユウキ。凄く怖いって」
ユウキ「ちょっと!〆に入ってる雰囲気察してよ!もう…。それじゃ、take2!それでは、また次回!お楽しみにー!」
キリト「お、お楽しみにー?(だから結局なんの事なんだ…)」