昨日投稿しようと思ってたのですが↑なんて思ってるうちにかなり遅れました。すみません
sideユウキ
「うおおおおおお!!」
「やった!やったぞ!」
「ボスを…倒したっ!!」
キリトがボスを『バーチカルアーク』でぶった切ったあと、みんなは喜びの声をあげた。まあ、誰も死なずに無事1層のボスを倒せたんだから、喜ぶ気持ちは痛いほどわかる。ボクも、ボスを倒したこと自体は喜んでるけど…現在絶賛落ち込み中。ついでに姉ちゃんも隣で落ち込み中。
「キリトさん!やりましたね!」
「ああ。シリカもお疲れ様」
「キリト君、大丈夫?なんだかふらふらしてるように感じるけど…」
「いや、大丈夫だよ。終わった…って実感したら、なんか体から力抜けちゃってさ」
向こうでキリトたちがそんな会話を交わしていた。エギルはそれを微笑ましそうに見ている。いつもならボクもあそこに混じってるんだけど…ちょっと落ち込んでてそれどころじゃない。
全身で落ち込みを表現…というか、膝をついてうなだれていると、それに気づいたのかキリトが声をかけてきた。
「ユウキ…?どうしたんだ?なにかあったのか?」
「あ、あははは…いやーちょっとねー」
元凶は目の前のキリトなんだけど……いや、キリトが悪いわけでは全くなく…ただ、ね…ゲーマーとして譲れない何かがあったというか…
「あ……もしかして、LA…か?」
「うぐっ」
図星である。ボクはあのときの空中『バーチカル』でとどめを刺すつもりだったんだけど…やっぱり空中で無理やり発動したからか、体制があまり整わない中ソードスキルのブーストなんて真似はできず…結果、システムアシストに体を任せるしかなかった。
当然、それで大ダメージが出せるはずもなく…キリトに全部持っていかれた…ってわけ。
「あー…その、なんだ…えっと」
「下手な慰めはいらないって…余計悲しくなるから…」
まあこれはボクが飛んだのが悪いというか…そんなことをせざる負えない指示をだした姉ちゃんが悪……いやボクもノリノリで突っ込んでいったけど…
まあそんなこと言ってても始まらないし、もう気にしないようにしよう…うん。切り替えは大事。
「うう……剣が……私の剣が……」
忘れてたけどここにも落ち込んでる人が…そういえば剣砕けてたね、姉ちゃん…。強化したアニールブレードみたいだったし…残念だったろうなぁ…
うん。ここはボクがひと肌脱ぐしかないよね。姉妹だし。
「元気出して姉ちゃん…ほら、ボクのサブ武器の強化済みアニールブレードあげるから…」
「ユウキ…あなた…ううっユウキも落ち込んでるでしょうに…」
「姉ちゃん!」
「ユウキ!」
だきっ
みたいな擬音が出そうな感じで抱き合うボクと姉ちゃん。麗しき姉妹愛って奴だね!
「何を漫才やってるんだお前ら…」
失礼だなーキリトにはこの姉妹愛がわからないの?との思いを込めたジト目×2セットの視線がキリトを貫く。
「いやそんな目されても…ほら、そろそろあっちに集合するぞ」
あっち…?とおもってキリトの示す方を見ると、みんなが未だ喜びの声を上げつつディアベルさんの元に集合してた。あと集まってないのはボク達だけみたいだ。
「はーい。今行くよ」
「ふーん。…なんかキリトとユウキって…」
?ボク達がどうかしたのかな。姉ちゃんはボクとキリトを交互に見比べながらこういった。
「…兄妹みたいだね!」
「…!た、確かに…キリトってなんか兄っぽいかも…」
「き、兄妹…」
「えーっと、…兄ちゃん?」
「うっ…い、いいから行くぞ!……はぁ」
キリトは顔を赤くして踵を返す。と思ったらため息をついて落ち込む。顔を上げて明るい顔になった…と思いきやまた落ち込む。…キリトは何故に百面相してるんだろう。
「あ、あはは。あの、ラン…キリトくんはね、その」
「うん、今ので大体わかった。ちょっと悪いことしたかな…」
「…?なんの話?…それより、アスナと姉ちゃんも早く行こうよ!」
「…うんそうね。ユウキがこんなんじゃ…キリト、ガンバ」
なんか姉ちゃんがキリトを応援してるけど、何を応援してるんだろう…
そんな疑問を置き去りにするように二人はキリトのあとに続く。…まあ、いっか。大事なことならいつか教えてくれるよね。
そうしてボクも二人の後を追った。
「みんな!ボス討伐お疲れ様!全員生きて勝つことができて、本当によかった!まあ、俺が少しヘマしちゃったけど。…でも!ミスをしてもフォローし合えるような仲間がいるってことがわかって良かったと思う!みんな、どうだ?」
「「「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
ディアベルさんのそんな声に雄叫びで応えるみんな。でも、相変わらずディアベルさんって演説得意だなー。今だって、多分ボク達の強さを誤魔化すために言ったんだろうし。
ボク達は今回あまりにも活躍しすぎた…と思う。自意識過剰とかじゃなければ。そして、そんなボクたち…正確にはキリトと姉ちゃんがβテスターだってばれたら、カタナスキルの情報。ボス相手に1パーティで立ち回れる強さ。あとは…LAに対する嫉妬、かな?その辺のことでまた揉め事が起きてたと思う。ディアベルさんは確かキリトがβテスターだって知ってたし、キリトの推測ではディアベルさん自身もβテスター。隠してるとはいえ、厄介事になるのは避けたかったんだと思う。
「じゃ、ここで今回の立役者達に出てきてもらおうと思う。…A隊の人たち、出てきてくれないか!」
え、なんか呼ばれた。どうしよう、凄い目立ってる。みんなにどうするか聞いてみようっと。キリト……はダメだね。うん。完全にテンパってる。じゃあここはアスナに頼ることにしよう。
「(アスナ、どうするの?)」
「(どうする、って…出ていくしかないんじゃない?面倒臭いことにならないといいけど…)」
「(凄い目立つもんね…でも呼ばれてるし、行かない方が面倒になりそうなんだよね…ああ逃げ場がない…)」
「(とりあえず行きましょう)」
アスナはシリカとエギル、そして姉ちゃんに声をかけて、人込みをかき分けつつディアベルさんの元へ歩いていく。
じゃあボクはキリトをっと…ってまだ戻ってこないよ…これ以上待たせてもなんだし、手早くいかないとね。
ボクはキリトの手を取ってアスナたちの後を追う。
「うぇえ!?」
なんか変な声出してさらにテンパった。…そんなに人前が嫌なのかな?まあどのみち拒否権はないし、我慢してもらわないとね。
「今回、俺を助けてくれて、ボスの討伐にも大きく貢献してくれたA隊のみんなだ!みんな、拍手!」
ディアベルさんに呼ばれて前に出たボク達は、ボス戦に参加したみんなからの大きな拍手と歓声に迎えられた。うわあ…キリトじゃないけど、これすっごく恥ずかしいね…。
でも目立つのも悪いことばっかりじゃないと思う。歩いてる途中で気づいたけど、ボク達はギルドを作らなきゃならないんだし、有名になるのは必要なこと。ならこういう機会は丁度いいのかもしれない。
「それじゃ、A隊のみんなから誰か代表して一言、お願いできるか?」
「えーっと…」
「キリトー頑張ってねー」
「お願いね、キリト君」
「…やっぱりそうなるのか…」
悩むキリトを無視してみんなでキリト推し…ボクも言ってて少し可哀想になってきたよ…
でもここはキリトが言っておいた方がさっき思った知名度アップに役立つし…多分アスナもそう思ってキリトに任せたんだと思う。…多分。めんどくさかっただけかもしれない…。
「じゃあ、俺から一言。…俺はキリト。普段はそこのユウキと二人でコンビを組んでる。まずはみんな、ボス戦お疲れ様」
キリトはそう言って話し出した。…キリトもギルド設立の宣伝、気づいてるのかな?わざわざボクの名前も出してるし。…あと地味に省かれたアスナが怒ってて怖い。後でキリトに謝らせよう。
「多分、知ってるプレイヤーがほとんどだと思うが…俺はβテスターだ」
その言葉に、場がざわめく。いくらクラインとアルゴの影響で周知されてても、自分から断言するとは思わなかった…ってところかな。しらなかったプレイヤーもいるだろうし。…でもまあ、確かにどのみち話すことだけど…そこから切り込む?…こういう時だけ大胆というか、向こう見ずになるよね…キリトって。
「さっきのボスのスキル…カタナスキルも、βテスターでも上の方まで上った俺と…ユウキの隣にいる、ランくらいしか知らなかった。だからあそこまで有利に戦えたんだ。……それをよく思わないプレイヤーがいるのも知ってる。情報の独占…確かにその通りだ。今回のボスみたいなβテスターでもわからなかった変更点はともかく、ほかの情報…クエストや狩場の情報、それになにより、”この世界での戦い方”を知ってる。その恩恵が大きいことは否定しない」
…みんな、なにも言わない。擁護の声もなければ、批判の声もない。みんながみんな、雰囲気にのまれている。…やっぱりキリトに話させてよかったと思う。ボク達じゃ、ここまで聞き入らせるような空気は作れない。
「俺もクライン経由で情報を広めたりはしたけど…それだけじゃダメなのはわかる。…だからギルドを作ることにした」
また場がざわめく。キリトの言葉の意味を測り兼ねてるのかもしれない。まあ、話が急すぎるしね…ギルドの設立とか、まだできないし。
「今すぐ作るわけじゃない。ギルド設立のクエストができるようになったらの話だ。そのギルドはβテスターも、βテスターじゃなくても平等に受け入れる。目標はただ一つ。”必ず生き残る”こと。…そのためにはβテスターと初心者プレイヤーの間で小競り合いなんてしてる場合じゃない…と俺は思ってる。βテスターも、あんたらみたいな生粋のゲーマーばかりじゃない。レベリングのやり方すら知らない素人がほとんどだった。…だから、βテスターだからって、初心者プレイヤーだからって反発してたら進めないんだ。…”MMOのやり方”を知ってるβテスターがどれだけ戦力になるかは、さっき俺たちが見せたはずだ。でもそれだけじゃなく、俺たちのパーティは初心者だったプレイヤーだっている。俺達について来れば強くなれる、なんてことは言わない。けど…初心者はβテスターから情報を、βテスターは自分の知らないことを教え合う。戦いたくないプレイヤーは生産職で戦闘をする人のフォローを。…そんなギルドがつくれたら、現状を少しは改善できると思うんだが…ディアベルさん。アンタはどう思う」
「うん。俺も賛成だ。攻略には、βテスターだけじゃ数が足らない。初心者プレイヤーだけじゃ質が低い。そのお互いの欠点を補いあうギルドができたら…最高だと思わないか?みんな!」
ディアベルさんの問いかけにはっと我に返るみんな。そして言われたことを理解し始めたのか、近くの人たちと今のキリトの宣言について話し合っている。
そして、そのタイミングでキリトは黒いコートを装備して、2層に続く階段の方へ踵を返す。…多分あれが今回のLA。…いいなぁ…かっこよくて。次こそはボクも…
そしてキリトは顔だけ振り返り、こう続けた。
「強制的に入らせようだなんて思ってない。自分たちでよく考えて決めてくれ。…もし入りたいって決めたやつがいたら、情報屋の”鼠のアルゴ”に連絡を入れてくれ。そうすれば俺達と連絡が取れる」
「待たんかい!自分ら、どこ行くつもりや!」
そんなキリトを呼び止める声が。あれはたしか…キバオウ…だったっけ?とりあえずなんかムカッとした人だ。
「どこって…2層の転移門のアクティベートだよ」
「…なんでわざわざ自分らがいくねん。他の奴らにまかしたってええやろが」
「…ボス戦で疲れが残ったまま知らないモンスターに襲われたいならどうぞ。…ここはβテスターに任せた方がいいと思うが」
「ぐっ………はよ行けや」
って、眺めてる場合じゃないって、キリトの後追いかけないと!
ボク達は小走りでキリトの後を追う。…って、姉ちゃんはわかるけど、シリカとエギルはついてきちゃってもいいのかな…?
「ねえ、エギル。今ついてくるとキリトの仲間認定されて、ギルドに入らざる負えなくなるよ?いいの」
「何言ってんだ。そんなのさっき前に立たされた時点で似たようなモンだろうが。それに、俺たちは仲間じゃねえってのか?」
「いやいや、そんなことはないよ!ただ、いろいろと面倒事がありそうなボク達についてきてよかったのかなーっておもったからさ」
「面倒事から子供を守るのも、大人の仕事だ。それに、やりたいこともあるしな」
やりたいこと…?まあ、あとで聞けばいっか。それより、エギルが仲間になってくれるって方がうれしい。あとはシリカだけど…
「シリカは?いいの?」
「はい!ダメって言われたならともかく、自分からキリトさんの傍を離れるなんて考えられません!」
「あ、そうですか…」
シリカはすごい単純だったよ…まあ、それもそっか。キリトの傍を離れるって、ボクも考え付かないし。
「じゃ、いろいろあると思うけど、これからもよろしくね!」
そうしてボク達は第一層の迷宮区のボス部屋、その長い階段を駆け上り、第二層へと到達した。
「あ、一応聞くけど姉ちゃんは?」
「妹がいるのに離れるわけないでしょ?」
「ごもっともです」
こっちは物凄く
ユウキ「ゲームだよゲーム!ボクがついにゲーム出演!」
キリト「前作でも出てただろ」
ユウキ「キリトがメタ発言…だと…」
キリト「作者がメタ発言できないキャラを書くむずかしさに辟易したらしい」
ユウキ「ネタ切れか…切実な悩みだね…でもあとがきで1000文字近く使う作者の自業自得だと思うんだボクは…」
キリト「肩の力を抜いて書けるのがいいらしいぞ」
ユウキ「なあ、そんなことよりゲームだよ!みんな予約した?作者はボクが出るってわかって予約してきたよ!」
キリト「新手のステマかよ…流行らないぞ今時」
ユウキ「前書きで作者に放置宣言されたからってイライラしないの。ボクの魅力にみんながやられちゃうのは当然だからね。仕方ないよ」
キリト「べ、別にイライラなんてしてないぞ?…それに、どうせ二刀流のチート性能に頼る場面が出てくるんだから、その宣言に意味はないな」
ユウキ「作者、ホロウフラグメントではキリトLv135でボクはLv154らしいけど…(ボソッ」
キリト「なん…だと…」
ユウキ「あ、打ちひしがれてる…まあ、こういう時は放置に限るよね。それじゃ、文字数が長くなる前にこの辺でお別れ!また次回!お楽しみにー!」
みなさんはロストソング買いますか?なかなかおもしろそうなので楽しみです(それが理由で更新ペースが落ちそうという懸念はありますが)