ユウキが行くSAO   作:雪零

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遅れてすみませんでした!!!

昨日投稿できそうだったんですが…いいところでWi-Fiが死ぬという事故が発生。復旧したので投稿します。(昨日でも遅れているという事は言ってはいけない)

ボス戦パート2。久しぶりのキリト君視点があります。
今回、紺野姉妹には暴虐の限りを尽くしてもらいました。だけど困惑するキリト君、キミも大概です。
と、そんな回になっていると思います。楽しんでいただければ幸いです。


ボス戦に行くpart2

sideユウキ

 

 

 

ボクは目の前の戦闘を見ながら、昨日の出来事──姉ちゃんとのデュエルを思い出していた。

 

姉ちゃんは強かった。というかめちゃくちゃ速かった。それはもうとてつもなく速かった。それもAGIのステータス的な速さじゃなくて、プレイヤーごとに異なる反応速度。それが異常だった。ボクとキリトも結構鍛えてたはずだったんだけど…

反応速度って言うのは、脳から伝達される信号がナーヴギアに伝わり、体…アバターを動かすまでの速度のこと(だと思っている)。それが速い姉ちゃんは、みんなよりワンテンポ早く動くことができる。例えば、不意打ちを受けたときに、普通の人なら振り向いて防御、までが精一杯のところ、姉ちゃんの場合は躱して反撃までする余裕が生まれる。

そしてそれは、フェイントなんかの無効化にもなる。みんなより遅く判断しても同じタイミングで動き出せる姉ちゃんは、攻撃を”見てから”対処できる。視線や動きから行動を予想する必要がなくなって、ただ圧倒的なまでの反応速度を駆使して攻撃を避ければいい。おかげでボクもかなり苦戦した。まあ、”わかっても避けられない”攻撃には意味ないから、躱せない状況に持ち込むか、ステータスの速さ的に対処不可能な攻撃をすれば勝てるんだけど…でも、姉ちゃんがレベルも上がって、反応速度に体がついてこれるようになったら、対人戦──1対1のデュエルなら無敵といってもいい。

 

 

システム外スキル──『超反応(リアクト)

 

 

 

それは、今のところ姉ちゃんだけに許された特権。あらゆる攻撃をその反応速度を以て対処する。

ボクはさっき、その『超反応(リアクト)』を中途半端にだけど、模倣してボスのソードスキル『幻月』を防いだ。

足りない反応速度は経験で、ステータス的な速さは……ALOみたいに反応速度がそのままアバターの速度になればよかったんだけど…ここはSAO。アバターの速度はステータスで決まる。だからソードスキルをブースト──ソードスキルに合わせて体を動かす──して補った。

…だけど、やっぱりそれは真似事だったって…目の前の姉ちゃんはそう思わせる。

 

「なんだ…あれ…」

「さっき止めたあいつもそうだが…A隊ってのは化け物揃いかよ…」

 

ちょっとまった。なんか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど…。化け物って…姉ちゃんのことならわかるけど…百歩譲ってもキリトも別にいいけど…ボクまで巻き込まないでよ!?

って思ったけど、改めて考えてみれば、ボクはボスの攻撃を──それも、まわりのみんなからすれば知らないはずのソードスキルを──とっさに防いでディアベルさんを助けてるし…ひじょーに遺憾だけど納得は…うん。一応できなくもなくもないような気がしなくもない。

でもまあ、それを差し引いてもやっぱり姉ちゃんは頭一つ抜けてると思う。だって、さっきから”ボスの攻撃を一人で全部防ぎきってる”んだから。

……うん。つい、何を言ってるのかわからないと思うが──っていうアレを言いたくなる。流石におかしいよ姉ちゃん…なんで武器防御(パリィ)だけで壁役(タンク)と同じことができるの…。ボク達よりレベルは低いはずなのに。

まあ、このボスが姉ちゃん一人で対処できる技しか使ってこないせいもあるけど…それに、さすがに防御以外に気は回らないみたいだし。むしろ回ってたら怖い。

だけど今回のボス戦は姉ちゃんだけじゃない。防御の必要がなくなった今、残りのメンバーは──攻撃に集中できる。

 

キリト、アスナ、エギル。

 

やっぱりっていうかなんというか、この三人が図抜けてると思う。エギルはもともと斧を使から重要なダメージソースだし、アスナは得意の素早い剣技でまわりの隙を埋めるような立ち回り。一見地味だけど大事なことをやってる。アスナらしく、堅実な戦い方。…時々フォローをシリカに任せて突っ込むけど。

そして何といってもキリト。姉ちゃんが武器防御(パリィ)で作った隙にもの凄く生き生きとした様子でボスに突っ込んでいく。…ソードスキルで攻撃。ボスが大きく怯む。うんHPの減りがおかしい。片手剣なのにエギル並にダメージ与えてない?…βテスターって、みんな姉ちゃんやキリトみたいな人ばっかりなのかな…?ちょっと自身なくしそう…。

『人のこと言えるの?』って幻聴が聞こえた気がした。無視無視。

あ、そうそうシリカはアスナと連携をとりつつ他の隊に指示を出してる。主に、ボスのHP現象に伴ってまた出てきた取り巻き…ルイン・コボルト・センチネルなんかを近づけさせないために。…どう考えてもアスナがこっちの方がいい…って最初は思ってたけど、案外きちんと統率が取れてる。少なくともボクよりもうまい。みんなそれぞれ凄いことをしてると思う。っていうか、なんかボク達のパーティだけで戦ってない…?

そんなことを考えてると、どうにか我を取り戻したらしいディアベルさんに声をかけられる。

 

「俺はもう大丈夫だ。キミも向こうの援護に向かってくれ」

「援護…必要なのかな…?」

 

ボクはもう一度姉ちゃんたちを見つつそう言った。絶対、やることない…でも行かないわけにもいかないし……あ、援護が必要ないならもうボクも好き勝手に暴れちゃえばいいんじゃ…?

そこまで考えて、僕はディアベルさんに堂々と言い放った。

 

「援護は多分いらないと思うけど、ボクも行ってくる」

「…?援護じゃないなら、何をしに…?」

「ボスのLAを取りに!」

 

あ、言ってから思ったけど…そういえばディアベルさんの目的って、ボスのLAだったような…悪いことしたかな?…まあいっか。そのときはそのとき…ってことで。

そんな無責任なことを考えつつ、ボクはキリト達の元に駆け出した。

 

 

 

 

sideキリト

 

 

「ユウキ!私が攻撃を弾いたらキリトと一緒に突っ込んで!」

「了解、姉ちゃん!」

 

後ろから追いついてきたユウキにランが指示を出す。それに答えてユウキが俺のところまで来る。…って、一緒に!?いやいや、ただでさえアスナと同時に攻撃してるのに、ユウキも同時攻撃はさすがにマズイ。最悪、互いの武器がぶつかってソードスキルがキャンセルされる。それを避ける技量は俺にもアスナにもないぞ…?

 

「でもさっきみたいな無茶はしないでよ?一人でボスの初見のソードスキルを…それも、避けられない状況で受けようなんて…私たちみたいに作業分担して戦って!」

 

「「「「いやそれはおかしい(です)」」」」

 

ユウキと、二人の会話が聞こえてたらしいアスナ、エギル、シリカの三人が突っ込む。俺も声には出さなかったものの概ね同感だ。…ボス相手にその”分担”が俺達のパーティ内で完結していること自体がおかしいことに気づいてくれ…

と、ランの意外な天然に出鼻を挫かれたけど、それよりさっきのことを…って、もう遅いか…

ランに作戦の可否を問う前に、ボスが動きが出していた。

 

「グオオオオオオォ」

「来たぞ!」

 

エギルの注意が飛ぶ。ランもそれに合わせて迎撃の構え。…最初こそ不安だったけど、もうランに防御を任せることに異議はない。というかアレを見せられてどう不安に思えばいいんだ…?俺ほどカタナスキルについては詳しくなかったはずなんだけど…

そういうわけで、とりあえず防御はすべてランが引き受けてくれる。俺は攻撃に専念すればいい…んだけど…ホントにユウキどうするつもりなんだ…?…まあ、ここはユウキを信じて突っ込むしかない、か。ユウキの技量の高さはここにいる誰よりも知ってるし、何よりパートナーを信頼できないような奴は、パーティを率いるのも、これからギルドのトップにつくこともできないと俺は思う。だから、俺はユウキを信じる。

 

「行くわよ……スイッチ!!」

 

ランがその言葉と同時にボスの攻撃を弾く。そして俺たちは駆け出した。だけど、そのあとのランの様子を見て絶句した。

 

 

 

 

パリィィィン

 

 

 

 

そんな効果音とともに、ランの剣が砕け散る。

 

「─えっ!?嘘っ!!」

 

──耐久地限界!?なんで…いや、あれだけの攻撃を単独で相殺し続けたんだ…そうなってもしかたないか。

俺がここで戻って防御に…いや、なにする気なのかはいまだにわからないけど、ユウキもいる。ここはこのまま突っ込む。そして……絶対に削りきる!

 

「ユウキ!アスナ!ここで仕留めるぞ!エギル!シリカ!あとのフォロー頼んだ!」

 

これでもし削り切れなくても少しは大丈夫だ。シリカが俺達が戦っている間に他のプレイヤーを立て直しているし、エギルのパワーがあればユウキが最初に防いだソードスキル──『幻月』を初めとした、初見では防ぎにくいソードスキル以外には対応可能だ。

そうして、まずは俺からボスの右側から『スラント』を放つ。それに続いて、アスナの『リニアー』が左側から繰り出される。

真ん中にほとんどスペースなんてないぞ…?ユウキはどこに…

そんなソードスキルを放ちながらの俺の思考は、目に入ったユウキを見て、このボス戦で二度目の絶句した。

 

ユウキは──”上”にいた。

 

剣から放たれるのは黄緑色の燐光。片手剣突進技──『ソニックリープ』だ。同じ突進系の『レイジスパイク』よりも射程は短いものの、現状唯一、”空中に向けて”放てるソードスキル。

左右は俺たちがいる。かといって真ん中は狭すぎてダメだ。…だから、上。考えれ見れば当然の結論ではあるけど、普通思いつかないし実践もしない。それに、ユウキ…着地した後のことまで考えてるのか…?…いや、考えてないな。そんな妙な確信があった。

そしてソードスキルが終了する。ボスのHPは……まだ残ってるか。もう一撃──そう思うが、未だ俺の体は技後硬直に縛られている。先に硬直が終わるだろうアスナがこの隙を埋めてくれるはず。…そう思っていた俺は、本日三度目の絶句をする羽目になった。原因はまたしてもユウキ。

 

「はぁあああ!!!」

 

絶句、というかもはや唖然。となりのアスナを見ても、やっぱり似たような表情をしていた。恐らく他のみんなもそんな感じだろう。

だって、ユウキは未だ空中。…にもかかわらず、その手に握る片手剣『ソニックリッパ―』からは、青色の燐光。

 

そう、ユウキは”空中で”ソードスキルを発動させていた。

 

…確かに、システム的に不可能ではない。ソードスキルはモーションさえしっかりしていれば発動する。だけどそれを体制が不安定な空中で…しかもぶっつけ本番──恐らくソニックリープを放ちながら思いついた──で成功させる。その姿はまるで空中で舞う一匹の蝶の様だ…なんてらしくないことを考えつつ、ユウキの仮想世界での体の動かし方に関する才能に戦慄する。まるで何年もこの世界で過ごしたことのあるような…。そんなことはあり得ないにも関わらず、そんな気さえしていた。

 

「せぁああっ!」

「うぉおおお!」

 

そしてユウキは『バーチカル』をきっちり発動させ、ボスを両断するべく落ちてくる。それに一瞬遅れて硬直から立ち直ったアスナが『オブリーク』を放つ。二人よりさらに一瞬遅れて、俺は『バーチカルアーク』で追撃する。

三人の攻撃がほぼ同時にボスに突き刺さる。だが、まだボスのHPは残っている。恐らくあと一撃。そして俺のソードスキルは2連撃だ。

 

──倒せる

 

「あぁあああああ!!!」

 

俺の渾身の2撃目がボスへ襲い掛かる。ユウキとは逆に、下から上へ両断せんとばかりに全力で切り払う。

 

「─っらあ!!」

 

そのまま勢い余ってふらつく。技後硬直を経て倒れそうになったところを剣で支えてなんとか姿勢を保つ。

 

 

──これで終わった

 

 

その事実を実感するとともに、ランの剣とは比べ物にならない莫大な効果音とともに、ボスはポリゴン片となって砕けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   《Congratulations!!》

 

 

 

 

   《You got tha last attacking bonus!》

 

 

 

 

 

 

 




ユウキ「へーいキリト!ついにボス戦が終わりそうだよ!喜べー!話が進むよ!」
キリト「なんかわからないけど、楽しそうだな」

ユウキ「そりゃ楽しくもなるよ!話の展開が遅いと定評のあるこの作品が一つの節目(作者認識)を迎えたんだよ!?」
キリト「まあ、1層突破って考えたら確かに節目なのかもな」

ユウキ「ここまで長かったね…1層…1か月経ってないのに、もう3か月くらいたった気がするよ…」
キリト「俺でもわかるメタ発言だな」

ユウキ「実際に攻略するよりも多くの時間をかけて書いた文がこれ…うん。作者もボクたちに習って特訓するべきだよ」
キリト「あれは特訓と呼べるのか…?どう考えてもユウキの個人的趣味な気がするんだが」

ユウキ「そこは気にしないの!趣味と実益を兼ねてるんだって!」
キリト「趣味…か。俺はあんまり趣味とかないんだよなー」

ユウキ「そんなことないよね?機械弄りとか好きじゃなかったっけ」
キリト「あれ?そんなこと話したっけか?まあ、たしかに好きだが趣味って言うにはなんか趣味っぽくないような…」

ユウキ「うーん…趣味っぽい趣味かー。…あ!ボク裁縫とか得意だよ?」
キリト「!?…なんだと」

ユウキ「…何その反応。ボクだって一応女の子なんだけど?」
キリト「いや…ユウキなら絶対アウトドア系だと思ってたからな…」

ユウキ「あーわからなくもないけど、体調崩すことが多かった時期もあったからその時に覚えたんだ。何もしないのが辛い!っていうときもあるよね?」
キリト「なろほどな…俺は体調崩してもパソコンに向かい合ってた気がするよ」

ユウキ「イメージのまんま過ぎて何も言えない…そして作者とまったく変わらないその性質に驚いてるよボク…」
キリト「へぇ…気が合いそうだなその人」

ユウキ「コミュ障なところまで変わらないから気は合わないんじゃないかな」
キリト「あっ無理だな」

ユウキ「…自分で言っててなんだけど判断早いね…?コミュ障同士にしかわからないなにかがあるのかな」
キリト「まあユウキは誰にも物怖じしないしな。そういうのとは無縁だろ?」

ユウキ「まあねー。そりゃキリトよりはね」
キリト「その勢いでギルドの団長も引き受けてくれればよかったのに…」

ユウキ「さーてそろそろ(文字数的に)次回のあらすじかなー!?」
キリト「文字数を盾にして逃げやがったな…」

ユウキ「突っ込みは無視!次回!ボクが落ち込む!キリトが落ち込む!姉ちゃんが落ち込む…かもしれない!以上!」
キリト「あらすじにしてもあらすぎるだろそれは…。というかなんでそんなにみんなして落ち込むんだよ」

ユウキ「だいたいキリトのせい」
キリト「ええ!?いやいや、俺がなにしたって言うんだよ」

ユウキ「その辺も含めて、次回にこうご期待!またねー!」
キリト「あ、また逃げたな…あー、えっと、ま、また次回ー。…何回やっても慣れないなこれ…」







内容あまり進んでない点については誠に申し訳ないです。もっと精進します!

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