ユウキが行くSAO   作:雪零

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ついに…ついにボス戦までたどり着いた!

…のはいいけど、まだ終わりません。相変わらず展開遅くてすみません

書きたいことが少しづつかけそうでよかったと思う話でした。お楽しみいただければ幸いです。


ボス戦に行く

sideユウキ

 

 

あの後準備をしっかり終え、現在、ボス攻略に向けて48人が進軍中。

その中でも、ボク達A隊の6人は先頭から2番目──指揮隊、ディアベルさん達の後ろ──を歩いている。役割はアタッカー。まあ、このパーティ編成じゃあ、アタッカーか遊撃しかできそうにないしね。

 

「いいか、俺達はA隊だからC隊…壁役(タンク)がボスの攻撃をはじいた後、そこですかさずスイッチして俺たちA隊が攻撃を叩き込む。基本的にはこれの繰り返しだ。…タンクとかスイッチとか、この前説明したばっかりだけど、覚えてるか?アスナ」

 

この前たっぷりと教え込んだもんねー。…本当に、あの時はほんっとーに疲れた。もうあれを繰り返すような真似はしたくない…まあそう思ってキリトも今聞いたんだろうけど。

 

「大丈夫。ちゃんと覚えてるから。それに…あれだけ練習したのに、忘れるわけないじゃない」

 

どうやら大丈夫みたい。でもなあ…アスナが頭いいのは知ってるけど、時々…いや、本当に時々抜けてるところがあるから…。そしてどうやらキリトも同意見みたい。

 

「ははは…あの無知っぷりを知っている身としては何とも言えないな…なんで壁役が存在するのか、の説明からはじめないとダメって……まあ、それに今回は個人間でのスイッチじゃなくて、パーティごとのスイッチだからな。タイミングは変わらないけど、感覚は変わるはずだから油断はするなよ」

「だいじょーぶだよ。失敗してもボクがフォローするから」

 

これは冗談じゃなく割と本気。…みんなは仮想空間での大規模戦闘──レイドを組むボス戦──は初めてだけど、ボクはある程度の経験がある。あの時ほど動けるとは思わないけど、それでもアスナ達をフォローするくらいのことはできるはず。

─と、思っていたんだけど

 

 

コツンッ

 

「痛っ…くはないけど、なにすんのさ姉ちゃん」

「フォローするなとは言わないけど、無理したらダメ。それにユウキだってそんなこと言えるほど強くないんだから。ユウキが助けるんじゃなくて、みんなで助け合うの。わかった?」

「はーい。…でも、今の姉ちゃんよりは強いよ?………多分、きっと、おそらく」

 

言ってて自信なくなってきた…。

実は昨日、準備が終わった後ある程度の力を見るためにみんなでデュエルをした。ボクと姉ちゃんの戦績は…3戦して、2勝1敗。…正直ギリギリ。

やっぱり姉ちゃんは強かったよ…。まあ、勝因は姉ちゃんがまだ技術的にキリト以下だからかな。…ボクがモンスター戦に弱すぎるだけじゃなくて普通にキリトが万能型なだけってわかってほっとしたのはナイショ。

でも多分、キリトじゃまだ姉ちゃんには勝てない…と思う。10回やったら6回くらいは姉ちゃんが勝つ。…それくらい姉ちゃんの”アレ”は反則じみてる。第六感(シックスセンス)くらい反則。

まあその話は一旦おいといて。

どうやらついたみたい。…ボスがいる扉の前に。

 

「いよいよ…か」

 

キリトがそう呟く。目の前にある扉は、ALOのときよりもはるかに重く、大きく、…ボク達の行き先(未来)に立ちふさがる。

でも、これを…そしてこの先にいるボスを乗り越えないと()には進め(昇れ)ない。何が何でも、生きて、ここにいる48人全員で第二層にたどり着いて見せる。

 

「キリト…約束、覚えてるよね?」

「もちろん」

 

「「必ず生き残る」」

 

そうして、ディアベルさんの号令のもと、ボク達は扉を開け放ち、ボスの部屋へと入って行った──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「A隊B隊、スイッチして攻撃!C隊D隊!その間にポーションで回復を!」

 

フロアにディアベルさんの指示が響き渡る。ボクたちはその指示にしたがって、C隊とスイッチ。ボスがまでひるんでいる間にソードスキルを叩き込むべく接近する。

 

「はぁああああ!!」

 

ソードスキル『スラント』。片手用直剣のカテゴリでも一般的なソードスキルだけど、出が速いし、汎用性が高いから重宝してる。ボクはそれを使ってボスの右足のあたりに切りかかる。

 

「せいっ!!」

「はっ!!」

 

キリトやアスナもそれに続いてソードスキルを放つ。それを食らってボスが一瞬だけ硬直する。

だけど、その隙をつく余裕はソードスキルの技後硬直で動けないボク達にはない。

けど、今はボク達3人だけじゃなくて、頼もしいパーティメンバーが他に3人もいる。

 

「えいっ!!」

「うおおおおお!!」

「……」

 

シリカ、エギル、姉ちゃんの三人が隙を見せたボスに対して追撃をかける。ていうか、姉ちゃんなんで無言なの…すっごいこわいよ…

B隊もボクたちとほぼ同じタイミングで反対側──左足側──から攻撃を加え、ボスの立て直しまでの時間を稼ぐ。

その間に3人の技後硬直が終了すると、ボスも立て直しこっちに攻撃を仕掛けてくる。それをみたディアベルさんが素早く指示を出す。

 

「C隊B隊!A隊とスイッチしてヘイトを集めてくれ!」

『『了解!』』

「俺が弾く!準備しててくれ!」

 

キリトの声を聞いてスイッチしやすいように下がる準備を整えるボク達A隊とB隊。そしてそれと同時にキリトに向かってボスが攻撃をする。

 

「グオオオオオオ!!」

「…っはああ!!」

 

ボスの斧による振り下ろしを『ホリゾンタル』を使って迎撃するキリト。攻撃は相殺されて、ボスもキリトも一緒にのけ反る。その隙にC隊、D隊と入れ替わるようにしつつ叫ぶ。

 

「「スイッチ!!」」

 

キリトも壁役(タンク)隊を、文字通り壁にしてボスの攻撃を避けてボク達のところまで戻って来る。

 

「どうだ、ボスの様子は」

「うーん、あとちょっとでHPがレッドゾーンに、ってところかな」

「まだ、HP残ってるのね…」

「まあ、まだ武器の持ち替えは来てないけど…結構時間経ってると思ってたのに、そうでもなかったみたいね」

 

ほんとにね…いやになっちゃうよ。もう3時間くらいここで戦ってる気がする。気がするだけみたいだけど。

そして、キリトもポーションを飲み終わって、ボク達がまたスイッチのタイミングに備えて剣を構えなおしたときそれは起こった。

 

「グ…グアアアア!!!!!!」

 

うわっ!?なに、今部屋が揺れ…てはいないけど、それくらいおっきい叫び声が…ってボスしかいないか。

ってことは……やっぱり。HPバーが赤くなってる。もう一息、と同時に、ボスが武器を持ち替える合図。

 

「情報通りみたいやな」

 

キバオウがそんなことを言う。そう、情報通りならボスはここでタルワールに持ち替えるはず。でも…なんか様子が…なんだろう、この違和感…

 

「下がれ、俺が出る!」

 

ディアベルさんがそう言って一人前に飛び出る。えっ…ふつうならここは、取り囲んで一気に倒すのがセオリーなんじゃ…まあ、毎回飛び出すボクが言うと皮肉にしかならないけど。

そんなことを考えていたら、ボスが腰から武器を抜きはな……っ!!あれって!

キリトと姉ちゃんも気づいたみたいで、ディアベルさんに向けて慌てて叫ぶ。

 

「タルワールじゃなくて、野太刀!βテストと違う!」

「ダメ!戻って!っ…全員、全力で後ろに飛んで!!!」

 

姉ちゃんの声が聞こえたらしい前衛組(A~D隊)が後退する。C隊D隊はほんとに飛んでこっちに来た。なりふり構っていられないようで、何人かでもつれ合っているところもあった。

その様子を察してディアベルさんがこっちの声に気が付くけど…多分もう遅い。あの位置じゃもう引き返せない。だったら…

 

──ボクが防ぐしかない!

 

「ちょ、ユウキ!待て!」

「ユウキ!あなたカタナスキルなんて知らないのに!…ああ、もう!」

 

キリトと姉ちゃんがボクの後を追ってくる。ほんとなら二人にも協力してもらいたいけど、今間に合うのはボクだけ。あと、ごめんね姉ちゃん。ボクカタナ系のソードスキルなら、嫌ってほどALOで見て来たんだ。

だけど、どんな技を最初に撃って来るのかまでは知らない。だからどのみち危険な事には変わりないんだけど…

 

──でも、1撃。1撃でいい。それさえ防げば、あとは姉ちゃんたちが追いつく。

 

問題はその1撃をどう防ぐか。…正確には、最初に使ってくる技をどうやって察知するか。…システム外スキル『見切り』?いや、予備動作が似ているソードスキルはいくつもある。それだけじゃ正確には判断できない。避けるだけならそれでもいいんだけど…今回は、こっちもソードスキルを使って相殺しなきゃ意味がない。ディアベルさんを助けられなきゃダメなんだから。

何かない?この状況を打開できる、何か!

ボクは走りながらそう必死で考え続ける。多分今、過去最高に頭が回転してる気がする。

 

──ボクが姉ちゃんかキリトなら、ボスが使うカタナスキルを知ってるのにっ!

 

そこまで考えて気づく。姉ちゃん(・・・・・)?…そうだよ、姉ちゃんだよ。姉ちゃんの”アレ”があればたとえフェイントだって……でもあれは姉ちゃんだからできることで…いや、悩んでる暇なんていらんないよ!やらなきゃ助けられないならやって見せる!

幸いボクにはカタナスキルの知識はあるから、完全再現できなくても、なんとか補えるはず…!

 

集中する。意識を深いところに沈ませて、それ以外なにも入ってこないように。

 

─あと3歩。

ボクは剣を構える。どんな攻撃にも対処できるように、あくまで自然体で。

 

─あと2歩。

ボスを見る。相手の動き出しを見逃さないように。今からやることは相手をしっかり”見”ないとできないことだから。

 

─あと1歩。

体を動かす準備をする。速く。姉ちゃんみたいに速く。脳からナーヴギアに信号が出力され、それが(アバター)を動かすまでのプロセス──反応速度を、限界まで速めるつもりで集中する。

 

そしてボクはようやくディアベルさんの元にたどり着く。そして、それと同時にボスがソードスキルを放つ。

まだ、まだダメ…まだ動かないで…見るんだ。限界ギリギリまで…いや、”本来間に合わない”タイミングまで…あと少し、見る…

 

─上…?…ッ違う!

 

「下ぁああ!!!!」

 

──動けっ!!!

その思いが体を突き動かしたのか…ボクの体は、間に合わないはずのタイミングで動き出したにも関わらず、ボスのソードスキル──『幻月』を『バーチカル』で迎撃した。

 

「できたぁぁあ!」

 

その歓喜の叫びの後、ボクは膝をついた。

 

「あとはよろしく!キリト!姉ちゃん!」

「任せろ!」

「任せて!」

 

…そう言ってボクの左右から飛び出していった二人を見た後、ボクはちょっとだけ思った。

 

「息ピッタリ…姉ちゃんばっかりずるい」

 

…って、戦闘中に考えることじゃなかったかもね。

 

 

 

 

 




ユウキ「さーて、やっとあとがきだよ…」
キリト「なんでそんなに疲れてるんだ?」

ユウキ「いやほら、本編でボクメッチャ頑張ってるじゃん?なんかすっごいことやってるよね?」
キリト「まあそうだな。あれって結局、どういう事だったんだ?」

ユウキ「これ以上はネタバレだから後回しかなー。きっと次話で作者が書いてくれるから、それまでまっててね!」
キリト「すがすがしいほどの人任せだな…」

ユウキ「どっちにしろ、最終的に作者には負担かかるんだからしょうがないしょうがない」
キリト「哀れ…作者…(合掌)」

ユウキ「自分で自分を慰めるってどういう気分なんだろうね」
キリト「それは言ったらダメなやつなんじゃないか?」

ユウキ「大丈夫大丈夫。作者の心はガラス細工よりちょっとは堅いから」
キリト「あんまり変わらないな」

ユウキ「でも結局。今回あんまりエギルとかしゃべらなかったね。あ、シリカも」
キリト「そうだな。まあ、ボス戦の最中に話し込むのもどうかと思うけど…」

シリカ「本編に出ないからって、会話がないとは限りませんよ!」
ユウキ「え!?あとがきのゲスト二人目はシリカ!?…アスナや姉ちゃんは?…ん?本編でいっぱいでてるからいいだろ?…シリカも出してあげればいいだけの話なんじゃ…」

シリカ「いいんです!むしろここのほうが、ライバルが少ないし…ええ?そういうのは本編でやれ?その機会を作ってくれないんじゃないですか!あ、ちょ、ま、まって、まってくださいいいいぃぃぃぃ......」
キリト「哀れだ……でもなんか助かった気がする」

ユウキ「…シリカもいなくなっちゃったし、今回はこの辺にしておこっか」
キリト「…そうだな。でも、結局エギルは…」

ユウキ「あっ…作者…今度は可哀想だからエギルも…ね。…それではまた次回!ばいばーい!」






作者「エギルは…うん。うまい絡みが思いつかなかったんだ…」







次も早めに更新できるよう頑張ります

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