ユウキが行くSAO   作:雪零

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キリト君マジメインヒロイン(困惑)

キバオウファンの方がいたら注意です。少しきつく当たっています。


攻略会議に行くpart2

sideユウキ

 

「アスナとシリカは知り合いだったんだ?」

 

現在、攻略会議の途中。6人パーティを作ろうにも、当てがなくて困っていたところにシリカが来てくれた…と思ったら、実はアスナの知り合いらしい。

 

「うん。はじまりの街で閉じこもってたときに知り合って。一緒に初心者指導も行ったんだよ。ほら、ユウキたちが情報提供したっていう。その時はまだ閉じ込められたばかりで焦ってたから、最近までユウキたちの名前は思い出せなかったけど」

 

へー、そんな繋がりが。世間は狭いねー…って、1万人全員が第一層にいるんだし、こういう事もあるか。

 

「それで、そのあともシリカちゃんと話してるうちに、こんな子まで頑張ってるのになに自分だけ閉じこもってるんだーって思って。それで街を出たの」

「アスナさんにはいろいろ教えてもらったんですよ!舐められない交渉の仕方とか、揉め事の仲裁の仕方とか!パーティを組んだときに役立つかもって!」

 

うん。12歳に教えることじゃないよね…。まあボクも12歳だけど。というかアスナなんでそんなこと知って…って、アスナは現実世界ではお嬢様だったっけ。それくらい出来てもおかしくないか。

…シリカがそれを活用できてるかって点は置いておいて。

 

「それで、キリト君たちはどんな知り合いなの?」

「ああ。ちょっと前にモンスター相手に苦戦してるとこを助けたんだよ。ソロだったし、まだソードスキルに慣れてなかったみたいだったから俺とユウキでちょっとだけレクチャーしてあげたんだ」

「その節はほんっとーにありがとうございました!お礼に私、お二人の為なら何でもします!」

 

「「何でも」」

 

「二人とも反応しないの。しかもなんでユウキまで反応してるのよ…。いい?シリカちゃん。女の子が不用意に『何でも』なんて言っちゃダメ。わかった?」

「はい…わかりました」

 

可愛い女の子が「何でもします!」なんて言ったら反応して当然じゃないかな。あ、女の子じゃなくて、キリトが何でもするっていうのも面白そうだけどね。

 

「それじゃあ、4人目はシリカでいいとして…後二人…あっ!」

「どうした?ユウキ」

「ちょっと待ってて!」

 

キリトにそう言い残して席を数段駆け降りる。目指すのは少し離れたところにいる、坊主頭の斧を背負った大男。ALOでは、キリト達のことを優しく見守るお兄さんポジションだった人。

 

「あのー、ちょっといい?」

「?なんだ?何か用か?」

「ボク達とパーティ組まない?ちょうどパワーアタッカーが欲しかったんだ」

「俺でいいならそっちに入れてもらおう…って言いたいとこなんだがな。一人先約がいてな」

「ならその人も一緒でいいよ。こっちが今4人だから、ちょうど6人でぴったりだし!」

 

もう一人が気になるけど、この人が選んだなら悪い人じゃないと思う。…でもどこにいるんだろ。周りにそれっぽいプレイヤーはいないけど…

そう思ってるのがわかったのか、目の前から再度声がかかった。

 

「もう一人なんだが、今日はちょっと用事があって今はいないんだ。会議の内容を後で教えてくれって言われてる」

「そっか、了解。後で挨拶させてね!じゃあ、ボクは向こうに戻ってるから、会議が終わったらまた合流しよっか」

「ああ。俺はエギル。よろしくな」

「ボクはユウキ。こっちこそよろしくね!」

 

エギルと握手をしてから別れる。終わった後、もう一人の人とも合流して、そのあといろいろ話をすればいいよね。

キリトたちのところに戻ると、みんなから声がかかる。

 

「どうだった?」

「OK!入ってくれるって。ついでに6人目も確保してきたよ!」

「「「おおー」」」

 

3人から感嘆の声が上がる。でもこれ、アスナが少し声かければすぐに集まったんじゃ…。まあいっか。

と、そこでディアベルさんからお声がかかる。

 

「よーし、そろそろ組み終わったかな。じゃあ」

「ちょーまってんか!」

 

…話を遮ったその声に上を見上げる。ボク達のいるところより上の最上段に、なんかトゲトゲした髪型のおじさんが立っている。あの人が声の主みたい。

そのおじさんは階段を数段飛ばしながら駆け降りて、ディアベルさんの前に降り立った。

 

「わいはキバオウってもんや。ボスと戦う前に、言わせてもらいたいことがある。こん中に、今まで死んでいった700人に詫び入れなあかんヤツがおるはずや!」

「キバオウさん…それは、元βテスターのことかな?」

 

その言葉に、隣でキリトが反応したのがわかった。キリトは元βテスター。あの口ぶりからして、何を言われるのかは想像に難くないからね。

安心して。キリトはボクが守るから。そんな思いを込めてキリトの手を握る。それが伝わったのか、少しほっとした様子が伝わってきた。

 

「決まってるやないか!β上がりどもは、こんくそゲームが始まった瞬間、ビギナーを見捨てて消えよった。やつらはうまい狩場やら、ボロいクエストを独り占めして。自分らだけポンポン強なって、そのあともずーっと知らんぷりや」

 

そんなことないとおもうけどなー。…まあ、情報提供はしたけどクラインに任せっきりで放置してるから、そういう意味では知らんぷりなのかも。

 

「こん中にもおるはずやで!薄汚いβ上がりの奴らが!」

 

「そいつらに土下座さして!ため込んだ金やアイテム吐き出してもらぁな!」

 

「パーティメンバーとして命預けられんし、預かれん!」

 

…ムカッ。ニュービーの人たちがβテスターに怒るのはわからないわけじゃないけど、さすがにそれは言い過ぎなんじゃないかな。

と、ボクがこらえきれずに反論しようとしたときに、エギルが手を挙げた。

 

「発言いいか」

 

そう言って立ちあがり、キバオウの元へ歩いていく。

 

「俺の名前はエギルだ。キバオウさん…あんたの言いたいことはつまり、元βテスターが面倒を見なかったから、ビギナーがたくさん死んだ。その責任を取って、謝罪、賠償しろ…ということだな」

「そ、そうや」

「アイテムなんかはともかく、情報ならあったはずだ。…このガイドブック。あんたも読んだだろ?道具屋で無料配布してるからな」

 

え、無料配布?…ボク達500コルも払ったんだけど…アルゴ…ニュービーのためとはいえそんな阿漕な商売してたの…。

 

「もろたで?それがなんや!」

「配布していたのは、元βテスター達だ」

「っな…」

 

その事実にキバオウは慄く。他の人たちはどうやら知っていたみたいで、冷めた目で見つめている。アスナやシリカを初めとしたキバオウを睨み付けてるプレイヤーは、恐らくβテスターと仲が良かったり、助けられたりした人たちだと思う。

 

「それ以外にもあるぞ。はじまりの街でやっているレクチャーのことは知っているか」

「知ってるで。クラインっちゅープレイヤーがやっとるやつやろ。クエストの情報なんかも配布しとるらしいな」

「そのクラインに情報を提供してるのも元βテスターとビギナーのコンビだ。ついでに、、そうするように指示したのもな」

「っぐ…」

「しかもそのプレイヤー達は、攻略をしながらビギナーを助けたり、レクチャーしたりしている。そういう利己的でないβテスターもいるんだ」

 

あ、あははは。エギルにまで知られてたかー…。実際に有名なのを実感すると、なんか恥ずかしいね。それにそこまで言われると、少し申し訳なくなる。あの時はそんなこと考えてなかったからね。

キリトなんてほら。さっきからすっごい恥ずかしがっちゃって、顔伏せてプルプルしてるもん。無意識にボクの手も一緒に胸元に握りこんでるし。

そうこうしてるうちにも会話は進んで行く。

 

「いいか、情報は誰にでも手に入れられたんだ。なのにたくさんのプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえて、俺たちはどうボスに挑むべきなのか。それがこの場で論議されると、俺は思ってたんだがな」

 

お、大人だ…。感情的になって反論しようとしてた自分が恥ずかしいよ…。ボクももう少し冷静に対処できるように……うん。無理。そう言うのはアスナに任せよう。

なんて事を思ってたけど、やっぱりエギルも少しは頭に来ていたみたいで。

 

「それとキバオウさん。俺個人も、βテスターには恩がある。あまり偏見で見てほしくはないな」

 

なんて言葉を残していった。これがきっかけになったのか、周りの静観していたプレイヤー達から「そうだそうだ!」「キリトさんを悪く言わないで!」「薄汚いのはそっちだろ!」といった野次が飛ぶ。

最初のはともかく、3番目のってβテスターってばれてるばれてる。そして2番目はキリト目当ての……今更か。

 

「……っふん!」

 

キバオウもどうやら空気を読んだみたい。確かにこのままβテスターが~って話を続けても批判が強くなる一方だしね。エギルに一度論破されてる分余計に。

 

「よし、じゃあ再開していいかな。…ボスの情報だが、実は先ほど、ガイドブックの最新版が公開された。それによると、ボスの名前は、イルファング・ザ・コボルトロード。それと、ルイン・コボルト・センチネルという取り巻きがいる」

 

ざわめき声が上がる。ボスの情報を実際に手に入れたことで、緊張感が高まってきてるみたいだね。

 

「ボスの武器は、斧とバックラー。4段ある、HPバーの最後の1段が赤くなると、曲刀カテゴリのタルアールに武器を持ち替える。攻撃パターンも変わる、ということだ。…攻略会議は以上だ。それと、アイテム分配についてだが、金は全員で自動均等割り。経験値は、モンスターを倒したパーティのもの。アイテムは、ゲットした人のものとする。異存はないかな?」

 

ディアベルさんもズルい言い方するねー。この分配の仕方は、公平ではなくても最適な分配だと思う。だから、このやり方に不満がある、と言えば、そのまま『報酬をよこせとわがままを言っている』ことになる。そんな中異存なんてあるわけない。

 

「よし、明日は朝10時に出発とする。では、解散!」

「あーっ終わったーっ!疲れたーっ!」

「…ほんとに…疲れた……もう人前で名乗れない…」

 

キリトがまだ有名になった件で落ち込んでる。…というか燃え尽きてる?あ、ボクの手抱きこんでるのに気づいた。と思ったらもっと顔を赤くして…あ、倒れた。おーい大丈夫ー?

あ、アスナもキリトの様子に気づいたみたい。

 

「ユウキ、キリトく…ん…ってキリト君!?大丈夫!?ちょっと目を離した隙に一体何があったの!?」

「アスナ落ち着け…俺は大丈夫だ…大丈夫だから放っておいてくれ……」

「哀愁漂う姿ですね…」

「うーん、どうしたんだろうね?」

 

そういうとシリカは苦笑い。何か知ってるの?と、聞いても

 

「一部始終を見てましたけど、本人が耐え切れそうにないのでこれは言えません」

 

って言われた。そしてそれを聞いたキリトはさらに縮こまる。きれいに丸に見える体育座り…うん。こういうキリトも可愛くていいね!

 

「もうやめてくれ…」

 

あれ、声に出てた?

 

「あ、あはは…なんとなくわかったかも」

「?アスナまで?なんかボクだけ仲間はずれみたいになっちゃった…」

「うん。ユウキもそのうちわかるから。ね?今はそっとしておいてあげよう?」

「アスナがそういうなら…」

 

アスナがそのうちわかるって言うなら、多分きっとわかる。だってアスナのいう事だもん。間違ってたとしても、信じて後悔するようなことにはならないから。

あ、エギルもこっち来たみたい。

 

「ユウキ、そっちの3人が?」

「うん!今回のパーティメンバーだよ!」

「アスナです。よろしくお願いします、エギルさん」

「シリカです!よ、よろしくお願いします!」

 

アスナは何ともないみたいだけど、シリカは若干緊張してる。…この場合シリカがおどおどしてるのか、アスナが反応なさすぎなのか…どっちだろう?…って、そんなことよりキリトの紹介をしないと。キリト今行動不能だし。

 

「こっちで倒れてるのはキリト。このパーティのリーダーだね。今はいろいろあってへこんでるけど、いつもはかっこよく戦闘の指揮取ったりするんだ。キリトのこともよろしくね?」

「…落としてから持ち上げる…ユウキさん天然なのに恐ろしいです…でも、負けません!」

「…キリト君…今は休むといいわ…少し落ち着いてから戻りましょ?ね?」

 

なんかキリト()をあやすアスナ()っていう図式が成立してる…。キリトって、焦ると子供っぽくなるんだね。

 

「ああ、よろしく。って、まさかとは思ったが、さっき俺が話した『クラインに情報提供してるβテスター』ってのは…」

「あ、それボク達だよ。βテスターなのはボクじゃなくてキリトだけどね」

 

エギルなら別に話しても大丈夫だよね?いい人なのはわかってるし、というか半分ばれてるようなものだし。

 

「やっぱりか。…もしかして、それでキリトは倒れてるのか?」

「あーうん。そうみたい。恥ずかしかったんだって。まあ、あんなに有名だとはボクも思ってなかったし、しょうがないのかな?」

 

未だコミュ障気味だし。と思ったけど口には出さないでおく。今のキリト、精神的にライフが0っぽいし。

 

「お前たちに感謝してるプレイヤーは多いみたいだぞ?ここに来るまでに何度かそういう話を聞いたからな」

「へー。ならうまくいきそうだね」

「何の話だ?」

「ナイショ♪」

 

ホントはギルドのことだから隠さなくてもいいんだけどね。やっぱりサプライズは大事だと思うんだ。うん。

そのあとは、エギルのパーティ申請を受け、キリトが改めて自己紹介したあと、みんなで町へ繰り出すことになった。まあ、6人目のメンバーの合流するためだけど。

そして、町をぶらぶらすること1時間弱。ようやく6人目さんとご対面みたい。

 

「あ、エギルさん。すみません、待ちましたか?」

「いや、時間ピッタリだ。気にするな。それと、こっちの4人がさっきメッセージで伝えたパーティメンバーだ」

 

その人を見てボクは固まっていた。ここにいないはずの人だから?それもあるけど、それだけじゃない。

そんなボクに気づいたキリトが声をかけてくれるけど、それもうまく耳に入らない。

その人と目が合った。すると、その人も固まった。周りのみんなも、ボク達を見比べて驚いている。でも、驚くのは不思議じゃない。ボクとその人の容姿は、文字通り”驚くほど似ている”から。

それも当然だ。だってこの人は肉親。それも、瓜二つの容姿を持ったボクの─

 

 

 

「姉…ちゃん?」

 

「ユウキ…なの?」

 

 

 

──双子の姉なんだから。

 

 

 

 




ユウキ「間に合わなかったね」
キリト「なににだ?」

ユウキ「バレンタインに決まってるでしょ!?2月14日をなんだと思ってるのキリト!」
キリト「いやまだ年越してな「あとがきに時間軸は?」関係ないです」

ユウキ「よくできました」
キリト「物凄く理不尽だ…」

ユウキ「間に合ってたらチョコもらえたかもしれないんだよ?少しは気にしたら?」
キリト「さ、なんかユウキの姉らしきひとが出てきてるみたいだけど、そこんとこどうなんだ?」

ユウキ「あ、逃げたね。さすが思春期。…ってそうだよ!なんで姉ちゃんなんかだしたの作者!?」
キリト「なんかってことはないだろ。姉なんだし」

ユウキ「そんなこと言ってる場合じゃないって!マズイマズイマズイ、今まではボクが優位に立ってたのに、姉ちゃんが来たら確実に立場が逆転する…今日のキリトみたいになるー!」
キリト「言うなよ…落ち込むから…」

ユウキ「姉ちゃんには弱みを握られて…いやむしろボクの黒歴史情報を集めるのが趣味みたいな人だし…知られてはいけないボクの恥ずかしい77の秘密が…」
キリト「そんなにあるのかよ…ってか、今盛大に自爆してるぞ」

ユウキ「それくらいあってもおかしくないんだって!ボクの知らないことまで知ってたりするから…ガクガクプルプル」
キリト「…今度はユウキのSAN値が0になったっぽいから、今回は俺がやらなくちゃな…。えー、それでは皆さん、また次回にお会いしましょう!それでは。



…この不思議空間に慣れてきてるよ俺…」


作者「まあ二人ともがんばれ。作者も頑張る。(77の秘密をほんとに全て決めるかどうか的な方向で)」
ユウキ「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

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