ガンダムGジェネレーションオンライン   作:朝比奈たいら

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2011/12/29執筆開始

前書き

これはガンダムのVRMMOものであります。
転生チートデスゲーム要素はありません。
諸事情により更新が遅れる場合がありますが、
完結はいたしますので気長にお付き合いいただければ幸いです。

なお、私朝比奈たいらが特定の物や者に向けて
悪意、敵意、嘘などを含む行為を行なう事はありません。
読者の皆様方も、悪意、敵意、嘘を含む行動。
および他の読者様の迷惑になる事を行なわぬよう
落ち着いて閲覧をお願いします。

※2015年9月25日より、誤字脱字修正及び多少加筆した改正を開始。
一部描写を詳しくしておりますが、ストーリーは一切変わりません。
11月18日、現在投稿済みの六章まで全て改正完了。


プロローグ

オデッサ上空の宇宙空間に浮かぶHLVが砲撃で沈んだのを見て、

榎本亮こと『ノイル・アルエイクス』は全力でペダルを踏み込んだ。

 

中に入っていた機体は、おそらく全滅だろうと思う。

まだ作戦開始前だというのに、何も出来ずに犬死にした仲間の事を考えると

まるで自分の事のように無念を感じる。

HLVだけではなく、既に多くの機体が鉄の破片となって地球の引力に引かれていった。

 

敵は《サラミス級巡洋艦》や《マゼラン級戦艦》が数隻と、

100機を軽く超えるであろう《RGM‐79ジム》型のモビルスーツ。

その他トリアーエズやセイバーフィッシュ戦闘機、

ボール支援ポッドや大気圏突入カプセルHLVが多数である。

 

この状況で、ノイルはまず敵のHLVを叩くのが上策と考える。

どれに何の機体が搭載されているかは分からないが、

シャトルであるHLVさえ落としてしまえば敵は大気圏降下出来なくなる。

例え宇宙の部隊が全滅しても、地上のオデッサ基地さえ陥落させる事が出来るのならば

作戦は成功した事になるのだ。

ならば、敵を地上に降ろさせたくはない。

 

ノイルは味方に通信を送る。

内容は、「自信のある奴は俺に続き敵HLVを叩け」というものだった。

これで何人の味方が同調してくれるかが勝敗の鍵であるはずだ。

一機、また一機と味方の機体、

《MS‐05ザクⅠ》や《MS‐06ザクⅡ》がノイルのザクⅡに続く。

十数機ほどになった部隊は、敵の先鋒を上方から迂回する軌道を取る。

 

ノイルの意図に気付いた敵部隊は彼らに向けて射撃を行う。

ジムのビームスプレーガンやボールの120ミリ砲を受け、

ザクは次々と被弾し大気圏へ落とされていった。

 

味方の《ムサイ級軽巡洋艦》、《チベ級重巡洋艦》、《グワジン級戦艦》は

思い出した様に支援砲撃を開始する。

ノイル達の方を向いていた敵機らにメガ粒子ビームが命中し、

彼らもまたいくつかの光球となった。

 

戦線を抜けたザクはノイルを合わせても三機しかいなかったが、敵のほとんどは前線に居る。

敵MSが居ないのならば、後はノイル達の独壇場であった。

HLVは大気圏突入、離脱用のシャトルであって武装が搭載されていない。

装甲も120ミリザクマシンガンで貫けるほどには薄かった。

 

無抵抗な敵HLVに、ノイル達は先程のお返しと言わんばかりに攻撃を仕掛ける。

大気圏に突入しようとしている今なら、

エンジン部分を狙えば一発でも致命傷になるはずだ。

三機のザクはザクマシンガンを連射する。

一発ごとにHLVが火を吹きコントロールを失っていった。

慌てて中からジムが出てきたが、

ノイル達はそんな事にかまわずHLVのみに狙いを絞り二十機ほどをも撃沈せしめた。

HLVから出てくるジムが増え、頃合いだと思ったノイルは撤退の通信を送る。

一機のザクⅠがノイルに続いて自陣へとスラスターを噴かした。

 

しかしもう一機のザクは少し欲張った。

HLVから無謀にも《RGM‐79G陸戦型ジム》が出てくるのを見ると、

熱斧であるヒートホークを抜き突進して行ったのだ。

陸戦仕様のジムは何とか迎撃を行なおうとするが、

宇宙空間では満足な機動も取れずザクのヒートホークをコックピットに受けて爆散した。

だがそのザクも、HLVから発進したジム部隊により集中砲火を受け、

機体のあちこちを貫かれて散華する。

 

ノイルから見て、敵の砲火が味方本隊へ向いている今、

自陣へ帰還するのは先程と比べると困難ではなかった。

このまま後方から攻撃する事も考えたが、

敵に気付かれた場合敵の前線とHLVからのジムとの挟み撃ちに遭ってしまう。

誘惑を堪え、再び敵本隊を迂回し自陣のHLVへと向かう。

自分にはまだ地上でやる事があるのだから、

これ以上宇宙で戦果を挙げる必要もないだろう。

 

結局突撃部隊は自分ともう一機、

全身を銀色に塗られたザクⅠしか生き残らなかったが、

そのザクⅠはノイルに向けて敬礼をよこすとHLVへと帰っていった。

このようなやり取りは、いかにも戦友といった感覚があるから止められない。

ノイルも自分のHLVに戻り、作戦開始時間を待つ。

カウントがゼロになったその時、味方のHLV全てがオデッサへと降下していった。

 

ノイルはコックピットの中でヘルメットのバイザーを開き、

水のパックを取り出してそれを吸う。

喉が潤う事は無かったが、冷たい水の味が口の中に広がった。

HLV機外の真っ赤な大気圏を眺めながら、溜息を漏らして感動する。

 

本当に良く出来たものだ、このゲームは。


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