今回は勾田高校に転校生がやってくるお話です、誰かは予想付くはず!w
評価よろしくお願いします!
4月に入ったもののこの季節の夜はまだ寒い、十六夜は制服のポケットに手を突っ込みながら口を開く。
「こんな時間に呼び出して何の用だよ影胤」
「すまないね、電話越しでも良かったのだが機密事項なのでね」
「おいおい、めんどくさい事ならお断りだぜ?」
十六夜はクビを鳴らしながら気だるそうに言い放つが、影胤も引かない。
「まあそう言わないでくれたまえ、まだ君には貸しがあるんだ。それ相応な物で返して貰わないとね」
「都合が良い奴だな、まあ良いけど。んでなんだよ?」
「現在私が追っているガストレアを駆除して中にあるケースを無傷で取ってきて欲しい、それが私の目的につながる」
そこまで言うと詰まらなそうにしてた十六夜の目が影胤の方に向く、口元も緩みきっている事からかなりの上機嫌がうかがえる。
「って事は…ステージ5が呼べるんだな?」
「そうさ、ケースを渡した後は好きにしていい」
「悪くねえな、引き受けてやるよ」
「では場所が分かり次第連絡するとしよう…」
それから影胤は一息つくと十六夜が予想をしてない事を口に出す。
「それと君には学校へ行って貰おうと思う」
「はぁ!?なんでそんなめんどくせえとこ行くんだよ?」
「君は前の世界で学校へ行ってたんではないのかね?いつもその制服を着ているじぁないか」
「これは…っ…」
反抗しようとすると十六夜の脳裏にふと昔の記憶が蘇る。
病室でベッドに腰をかけ此方に声をかけてくる女性はとても暖かい微笑みをしている。
「1度で良いから十六夜の制服姿見たいわねぇ、まあ無理なお願いか…」
十六夜はその願いを箱庭に来る少し前に叶えていた、しかしどことなくその言葉が頭から離れない事に十六夜はムシャクシャして頭を抱えめんどくさそうに答えた。
「あ〜分かったよ、行けばいんだろ?」
「随分と早い手のひら返しだね?」
「うるせえ、高校の名前といつから行けば良いかだけ教えろ」
十六夜は気恥ずかしさから不機嫌そうに答える、影胤はそれを見て軽く笑いながら答える。
「勾田高校というすぐ近くの所だよ、君が承諾してくれたのなら週明けには転入出来るようにしておこう」
「そうかい、んじゃ俺は帰るぜ」
そういうと十六夜は影胤に背中を向け軽く手を振りながら去っていく、残された影胤もそっと呟くとそこから姿を消した。
十六夜が家に帰るとペストがテレビの前に釘付けになっている、テレビを見てみると天誅ガールズという文字が入りCMに入った。
「なんだこれ?アニメか?」
「帰ってたのねマスター」
ペストはぶっきらぼうにそう言うとまたテレビの方に顔を向ける、CMが終わったので十六夜も少し見てみると可愛らしいコスプレをした少女達が悪役と戦っていくという何ともシンプルな子供向けのアニメだ。
「お前、こんなの見てて面白いか?」
「良いのよ、どうせここではメイドの仕事もないし暇なのよ…」
ペストは十六夜の方を見向きもせずに答える、暇などという理由は表面上なだけで内心は完全にハマっているのだろう、別に困る事でもないので十六夜は自室に行き眠りに就く。
十六夜が自室に入ったのを確認するとペストはパソコンを開く、そこには天誅ガールズのグッズ一覧が載っていた。
めぼしい物があったのか、ペストは緩みきった口元を隠しながら呟く。
「……今度買おうかしら…」
週明けの月曜日の朝のHR前、蓮太郎は何時にも増して気だるそうに机に突っ伏して居た。
「はぁ…だりぃ……」
原因は言うまでもなく延珠である、朝からいつものハイテンションで付きまとわれた為、蓮太郎のメンタルは今に至る訳である。
これが毎週、否毎日続くのは俺にしか分からない苦労だ。
そう考えていると担任の先生が入ってきてHRが始まる、毎週変わらない内容を長々と言うため再び机に突っ伏して居ると、ガラガラと音を立てて誰かが入ってきたようだ。
多少の興味本意から顔を上げてみると、担任の横には金髪の顔立ちが整った少年が立っていた。
すると担任が黒板にその少年の名前であろう文字を書き、少年に自己紹介を促す。
「あ〜、逆廻 十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれるよう頼むぜ?」
なんで自己紹介なのに疑問形で終わらせるんだ、なんだよ三拍子揃った駄目人間って、などと男子生徒達は突っ込みを入れているが女子生徒の反応はかなり良いものだった。
「ねぇねぇ、かなりカッコよくない?」
「後で携帯番号聞いとこうよ!」
蓮太郎はめんどくさい奴が来たなと思っていると担任が手をパンパン叩き口を開ける。
「静かに!逆廻は…里見の、一番後ろの右から2番目の席に座りなさい」
と言うと逆廻 十六夜は此方に向かって歩みを進める、蓮太郎の前に来ると軽く挨拶をしてきた。
「自己紹介もしたけど聞いてなさそうだったし一応、逆廻 十六夜だ、十六夜で良い、よろしくな」
「粗野でなんちゃらより前の部分は聞いてたぜ、里見 蓮太郎だ、俺も好きに呼んでくれ」
すると十六夜は「蓮太郎?レンタロー…?」と首をかしげるがそのまま椅子に座る。
蓮太郎も授業の準備をすると鐘が鳴り、授業が始まった。
昼休み、午前中の休み時間の間は十六夜が女子から番号を聞かれ放題の状況であったが、それも終わり今は蓮太郎と二人で話している。
普段誰も寄ってこない蓮太郎としては細やかではあるが嬉しい事である。
「いやぁ役得だったぜ、この学校の女子レベル高いな」
「あんな耳元で騒がれて良く楽しそうだな、俺なら耐えられねえよ」
そういってパンを齧る蓮太郎を見ながら十六夜はヤハハと笑う、すると蓮太郎と携帯電話が鳴り出す。
しかし蓮太郎はその電話には出ずに携帯を机の上に置く。
「良いのか?出なくて」
「あぁ、問題ねえよ」
プルルルルルルルルルルル!!
「なぁ、出なくても良いのか?」
「あ、あぁ!大丈夫だ!多分…」
「なーにが大丈夫なのかしら?さ・と・み・く・ん?」
後ろから声がしたので振り向いてみるとそこには黒髪ロングで顔立ち、スタイルも良い10人見れば10人が美人というような女生徒が居た。
「へぇ…こりゃ良い目の保養だぜ」
十六夜は率直に感想を述べる。
「あらありがと、貴方名前は?」
「逆廻 十六夜だぜお嬢様?」
「そう、十六夜君ね。私は天童 木更よ、よろしくね」
木更は笑顔で十六夜に挨拶すると今度は絶対零度の笑顔で蓮太郎の方に目線を向ける、蓮太郎はと言うと額から物凄い量の冷や汗が出ている。
「そーいやお嬢様と里見はどういう関係なんだ?」
「私達は天童民間警備会社ってとこに勤めてるの、それで私が社長、里見君が雇われ人」
民警なのかと十六夜は蓮太郎の方を見るが蓮太郎はそれどころではなく、額の汗は枯れてしまい、今度は石化が始まっている。
「さ〜て里見君、私の電話を無視した理由をたっぷりと……ってもうこんな時間なのね、もう良いから付いて来なさい!」
「あぁ!?付いて来いって学校はどうすんだよ」
「仕事と学校の優先順位の判断くらい出来るようになりなさい!」
「いやそれ学校の方が優先順位上じゃ……」
そこまで言うと木更は蓮太郎の襟を掴み引っ張って外に歩き出す。
「十六夜君、里見君は今日は早退って伝えておいて貰えるかしら?」
「りょーかい、お嬢様」
「おい離せよ木更さん!自分で歩くから!」
そんな感じで歩いていく2人を見送ると校内放送がかかる。
「逆廻 十六夜君、放課後に生徒会室に来てください。繰り返します…」
「あ?俺か?影胤の奴ちゃんと手続きしてないんじゃねえのか?」
十六夜はめんどくせえと肘をつき外を見るが、その顔は僅かに笑っていた。
「ま、こういうのも悪くはねえかな」
中途半端なとこで終わらせてすみません!
次からは少しオリジナル展開になります!
誤字とかあったら教えてくださいな☆〜(ゝ。∂)