今回は殆ど原作と同じです、ストーリー入る分には欠かせないお話ですよね!ですよね!?
それではどーぞ!
「お前が俺たちの応援に駆けつけた民警だぁ?まだガキじゃねえか!」
刑事のごつい顔を近づけられた少年、里見蓮太郎は嫌そうな顔をしながらぼやく。
「んなこと言われても仕方ねえだろ、俺は民警だよ、ライセンスだってある」
刑事は舌打ちしながら蓮太郎の周りを品定めするかのように回り始めた。
「お前学生か?」
「悪いかよ」
「最近はガキまで民警ごっこかよ、ライセンス出しな」
ライセンスを差し出すと、警備は添付けされた証明写真と蓮太郎の顔を見比べ、ひどい不幸面だと笑っている。
「それにしても天童民間警備会社ねえ、聞いたことねえな」
「売れてねえからな、あーてか早速で申し訳ないけど仕事の話しねえか?」
蓮太郎は目の前のマンションを見上げる、損傷こそ酷いが至って普通である。
「ホントにここで事件が?」
「あぁ、間違いねえよ。情報からしてガストレアだ。まあいいとにかく入るぞ」
マンションに入り少しすると刑事の多田島が何かに気付いたのかごつい顔を近づけてくる。
「お前相棒はどうした?」
「あ、あいつの手を借りるまでもないと思ってな!」
内心置いてきたことにぎくりとしていたがとてもではないが言えない。
現場の202号室の前まで来ると既に大量の警察官がドアの前に居た。
「何か変化は?」
多田島の言葉に警察官の1人が青い顔をしながら振り返った。
「す、すみません。たったいまポイントマンが2人窓から突入、その後通信が途絶えました」
一瞬にして場の空気が凍った。
「馬鹿野郎!何故民警の到着を待たないんだ!」
「我が物顔で現場を荒らすこいつらに手柄を取られたくないんですよ!」
「どいてろボケ共!俺が行く!」
拳銃を抜き大きく深呼吸をする。
掌の汗をズボンで拭い、めんどうな事にになったもんだと舌打ちをする。
ドアをぶち破り入ると隠しきれないような濃密な血臭、2人の警察官が壁に打ち付けられ絶命していた。
そして部屋の中央には、ワインレッドの燕尾服にシルクハット、仮面を付けた長身の奇妙な男が立っていた。
「なんだ、アンタ同業者か?」
「私も感染源ガストレアを追ってるが、同業者ではない。なぜなら…この警察官を殺したのは私だ」
瞬時蓮太郎は足に力を込め、床を踏みしめる。
ー天童式戦闘術ニの型十六番ー
「隠禅・黒天風!」
快心の力を込めた回し蹴りは首の動きだけで交わされる。
「おっと惜しいね」
「いやまだだ!」
瞬時蓮太郎は素早く足を踏み替えると続く2撃目を繰り出す。
「隠禅・玄明窩!」
蓮太郎のハイキックが仮面男の頭部に直撃、首が曲がっていたのでやったかと叫びかけたが、男はそれを力づくで首を戻す。
蓮太郎が驚いて動かなくなっていると男の携帯電話が鳴る。
「もしもし…小比奈か?すぐ行くよ」
男は携帯を閉じると蓮太郎をじっと見る、蓮太郎は悪寒から動けないでいた。
「いやぁお見事、油断してたとはいえ一撃貰うとは。最近の私は彼といい素晴らしい人材と良く出会う」
彼?と蓮太郎は疑問に思っていたが、仮面男は続けて質問をしてくる。
「君の名は?」
「里見…蓮太郎」
「里見君ね…またどこかで会おう」
「アンタ…何者だ?」
「私は世界を滅ぼす者。私を止めることが出来る者が居るとしたらただ一人、まあ最も彼は民警ではないけどね」
そう言い残すと男は一足飛びにベランダから飛び降りる。
蓮太郎は汗ばんだ手を握りしめるがその手はとても震えている。
その時、肩に置かれた手が力強く揺すぶられる。
「しっかりしろ民警!お前が今するべきことは感染爆発を防ぐことだ!」
喝を入れ直し部屋の中に居るはずの感染源ガストレアを探す、しかし最後のクローゼットには衣類しか入っていない。
ふと天井を見上げると緑色のジェル状の物が付いていた。
そこで蓮太郎はある結論に達して冷や汗をかきながらも状況を話していく。
「被害者がここで襲われたのは間違いないだろう、そして被害者は窓の外に助けを求めて…言いたかねえけどこの出血量で動けるってことはだな…」
「じゃあ感染源どころか感染者もほっつき歩いてるって事かよ!」
年太郎は頷いた。
少女、藍原 延珠は目の前のクモのガストレアと交戦していた。
延珠の目の前でガストレア化したそれはクモ特有の糸で延珠の動きを封じ、長く太い足で延珠を数十メートル先まで吹き飛ばした。
延珠がいくらイニシエーターと言ってもダメージが無いわけではない、動けずに居ると近くから2人の男女の声が聞こえてきた。
「こんな快晴な日に私を外に連れまわすなんて嫌がらせにも限度があるわ」
「ヤハハ、そう言うなって……ん?なんだこいつ?」
延珠は冷や汗が大量に出てきて逃げろと叫ぼうとするが、先程のダメージが予想以上に大きかった為言葉が喉から先に出なかった。
マズイと思って無理やり身体を起こそうとした時だった。
ズドン!!!と大きな音が辺りに響いた。
「やっぱりつまんねえよなステージ1だと…まあ1でも2でも3でも同じだけどよ」
「良いから帰りましょマスター、太陽の下はうんざりよ」
そう言って声の主達の足跡はどんどん遠ざかりやがて聞こえなくなった。
傷も完全に癒えて瓦礫の中から立ち上がると2人の姿は見えなくなっていた。
すると遅れて2人の男がやって来た。
「延珠無事か…ってお前1人でやったのか?」
「うわ…すげえな、木っ端微塵だ」
とごつい顔の多田島も感心している。
だが延珠は首を横に振りそれを否定する。
「いや、妾ではない。通りすがりの2人組が恐らく一撃で倒したのだ。妾は吹っ飛ばされて瓦礫に埋もれていたから見られなかったのだ…」
「2人組って事は別の民警なのか…」
「ま、ともあれ一件落着だな…」
そう言うと蓮太郎は時計を見て姿勢を正して敬礼する。
「2031年4月28日1630、ガストレア排除完了しました」
「ご苦労民警の諸君」
目線を交わし合う2人の口元から笑みが零れるが、そこにあどけない声が差し挟まれる。
「そんなことよりタイムセールは良いのか?」
蓮太郎の顔から血の気が引く。
「お、おいもう行くのかよ…?」
「もやしが一袋6円なんだよ!」
走り去る少年の影と、その後ろをついて行く小さな影を見ながら多田島は呟く。
「もやし…だと…?」
礼を言うのもバカバカしかったと首を振っているとそこに2人組少年少女が現れる。
「なぁあんた、この辺にカード落ちてなかったか?」
「あ?カードだぁ?…もしかしてあれか?」
そう言うと少年は指差されたカードを拾い笑いながら礼を言ってきた。
「これだこれ、助かったぜ。さっき落としたのか」
そんな事を言ってると横の少女が突っ込みを入れる。
「あんな思いっきり踏み込むからいけないのよ、それより見つかったならいい加減帰りましょ」
多田島は少女の目を見るがその瞳は赤くはない、とゆうことはこの2人は民警ではない。
先程のクモを倒したのはまた別のやつかと思っていると少年は手を振りながら、少女はスタスタと歩いて去って行ってしまった。
2人でブツクサと喋っているようだが何を話しているかは聞こえなかった、だが最後にチラッと聞こえたがそれは多田島の意識には触れずに消えてしまった。
「さっきの奴の体液跳ねまくったし服もクリーニング出さねえとなぁ…」
その日蓮太郎はこっぴどく木更に叱られた後家では延珠にいつもの絡みをされ、十六夜とペストはまたもやこの2人のせいで眠りにつけなかったとか…
ちょい短いですね。
まあここは序章の繋ぎなんでw
次は少し時間飛んで一気に聖天子が出てくるお話。
更新遅れる分頑張ります。
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