書きだめ全部投下(^o^)
(`・ω・′)ワアヤバイ
数時間後、とたとたと軽快なリズムで階段を上がってくる音ののちバンッと大きな音を立て、まるでパフォーマーのように気取ったポーズ(なんか滑稽だけど)でアリスが声高々に言った。
「出来たよリドル!」
ドヤァアア!と後ろに文字を浮かばせ自慢げに、いかにも焼きたてといった菓子の匂いを漂わせアリスは言う。というか一々僕に報告するのか。甘いもの好きだけど、そんなには食べられないよ?
読んでいた本をぱたりと閉じ下に降りてアリス手作りケーキを見る。………………あ、ケーキだ。
「アリスにしては普通のケーキだ」
「普通?そっかー、もう少し奇抜に「いいから普通で」えええ…」
そのケーキは普通のケーキだった。ただ、大きさがシャンデリア並みの10段もある結婚式ででも食べるのかというケーキだということを除けば。少なくとも家庭で気軽に作っていいようなものではない。材料どうしたんだ。
…これは普通じゃないって?頭の中に声が聞こえた気がしたんだけど…、まあいいや。多分アリスみたいな能力を持つ人がいるんだろう?もう驚かないぞ。あ、でも僕の前には現れないでくれ。
律儀にも僕はその質問に答えてやることにした。喜べ糞マグルから素晴らしき純血ども。
普段のアリスが容赦なくアリスですら奇抜だと思うくらい魔改造したケーキなんてきっと見た目すら原形をとどめていないだろう。
下手したら『ホグワーツバージョンお菓子の家 〜原寸大、湖や禁じられた森を添えて〜 』とか作りそうだ。勿論、生徒まできっちり表現するだろう。
「(やっぱりリドルネーミングセンスねえな)」
いや、これはまだいい。問題は未確認生物で作ったりした場合だ。今回のケーキにそんなものは含まれていないだろうが、万が一のことがある。
含まれていないことを願うしかないけど…、今ケーキの所々に薄ピンクの突起があるのが見えた。何だあれ。もうすでに望み薄だ。
「アリス」
「うい」
「このケーキの原材料は?」
「うん?えーとね、普通の純地球産のケーキの材料に、あと隠し味にMADE・IN・Aliceの(ゴニョゴニョ)の(ピーー)」
ゴニョゴニョ言っている部分はアリスが伏せているだけにせよピーーとは何なんだ、放送禁止か?何入れたの?隠し味に何…うわあっ!
何気なく薄ピンクの突起をつついてみるとごろんとピンク色の何かが出てきた。ふんわりと甘い香りがする。一応距離は離れているのにまるで鼻先に突きつけられたかのようだ。思わず鼻を塞ぐ。
「アリス、これは何?」
「ゴニョゴニョのピーー」
「え?ごめん、はっきり言ってくれないかい」
聞いてはいけないと体が告げるが、僕の口は勝手に動き言葉を紡ぐ。耳をふさぎたい衝動にかられるが、ふさいでもはっきり言わせる手前聞こえるだろう。それに甘い香りをモロに嗅ぐことになってしまう。
「人面樹の桃の、ツノが生えたバージョン。お好みで塩もどうぞ」
人面樹…….?名前からして禍々しいんだけど、なんてもの入れてるの。しかも桃なのに塩?SALT?あとツノ?突っ込むところが多すぎるよアリス。というか、未確認生物じゃなくてもとんでもないもの入れてるじゃないか。
「あのさ、なんでそれ入れたの?」
とりあえず疑問をアリスにぶつけてみる。ツッコミは量が多くてツッコミきれなさそうだからやめた。アリスといるとこういったいらない判断力がついてくる。僕の質問にケーキを見物しているガキどもがそうだそうだと頷いた。やっぱり僕は普通なんだよね。そうなんだよね。
「人面樹が笑顔だったからこれは縁起がいいと」
「ツノがあるのに?」
「持ちやすいでしょー」
「桃なのに塩?」
「桃縁起良い。塩は一応魔を払うように」
「お好みじゃだめじゃない?」
「そうだね」
どっと疲れがきた。頭を抱える僕の頭に耳障りな大声が響く。クソガキめ、さっきは賛同してた癖に!
「トムつかれてやんのー」
「ざまあ!」
「うるさい消えろガキども」
言ってからアリスに本性がバレたかとはっとしたけど、僕がからかわれた事自体に爆笑してたから平気だろう。ムカついたから人面樹の桃を口に突っ込んでやった。あれ、前もこんなことした気がする。
「わあ甘い!」
前のように一瞬で消えた人面樹の桃の感想がこれだ。甘いんだ、へえと僕も食べてみる。吐いた。甘ったるいなんてもんじゃない、吐かざるを得ない。そういえば塩かけてない。
「きったねー」
「掃除しろよ」
ガキどもにまたからかわれたけどそれなら食ってみればいい。そう言うと一口ずつかじったガキども。案の定吐いた。ざまあみろ。
「うええっ…ア、アリス何で食える、おえ」
「甘っ、いやむしろ苦っ」
ガキどもがそれぞれ的を得た発言をした。たまにはちゃんとしたこと言うんだなこいつら。
「あまーい美味しーいリドル食え!」
さっきの仕返しと言わんばかりに幸せのおすそ分け(のつもりなのだろう)をしてくる。僕としては迷惑極まりないことだ。僕は倒れた。甘い。甘すぎる。野望を果たすこともなく、甘すぎる桃ごときで僕は死ぬのか。エイブリー、代わってくれ。僕はもうだめだ、だめな部分をエイブリーに移したい。この際ダンブルドアでもいい。いや、ダンブルドアのほうがいい。僕の遺言、ダンブルドアにその桃をノンソルトで食べさせろってことでいい?
ふざけた思考が停止して視界が黒に染まった。ガキどもの悲鳴と、アリスの「やっちゃった☆」というふざけた感想を最後に僕は死んだ。
トム・M・リドルの人生 Fin
とおくから こえが きこえる……
僕の 名前は………
「っうわぁぁあ!?」
がばっと起き上がる。なんだ、今のは夢だったのか。唾を飲み込み落ち着こうとする。甘い。甘すぎる。砂糖水を500ミリオン倍にしたくらいでも叶うかわからない。口の中にかすかに残った桃の果肉で確信した。あれは夢じゃない。それに、ふんわりとお菓子特有の甘い香りがする。
ならば何故生きているのだろう?死んだと思ったけど気絶しただけなのか、それともここが死後の世界なのか僕がゴーストになったのか。ゴーストになっても桃を食べ続けなければいけないのか?冗談じゃない。
頭を振り現実を直視しようとしているとアリスが入ってきた。やっほーじゃねえよ何してくれてんだよ。
「てへっ、許してね!」
てへっとか言うな年を考えろまったく。怒りからか不安からか、アリスの悪口しか浮かばない。でもそんなことは後でいい。とにかく自分が今どういう状況なのか知りたい。
「……僕、」
「今回は私に非があったからね。あんたまだ死ぬ運命じゃないし勝手ながら生き返らせていただきましたー」
わー、と1人ハイテンションで騒ぐアリス。今、なんて言った?生き返らせたって?今までのアリスへの悪口はどこへやら、僕の頭は疑問で埋め尽くされた。なんてこった、アリスはそんなことまで出来るのか。
「そんな、生き返らせるなんて、神じゃないんだし…っ」
「だって私月の神だもん☆あ、言ってなかったね」
「聞いてないよ」
一欠片も聞いてないよ。そうか、聞いた時目をそらし答えなかったのはこういうわけか。神か。そうか、月の神か…。ははは…。父親が月の神って。ちがった、母親だ。いや、義理だからとりあえず相部屋の同級生だ。
何故だか僕はアリスの正体を簡単に信じた。悪魔、天使、まあたしかに悪魔とは言われても天使とは中々言われないのが神だ。そもそもアリスはチートだし神の方がしっくりくるというものだ。うん、多分。
寧ろ神すら凌駕するかも知れないし、てへぺろなんて言いながら改めて未来から来ました月の神アリスですとか自己紹介するアリスに眩暈がしてきたが、それと同時に変なテンションになってきた。徐々に口角が上がる。
もしかしたらこれが「笑うしかない」という状況なのだろうか。変な棒読みの笑い声が口から出る。ふざけんな、訳わかんねえよ。
「あははははははは」
「はーっはっは!恐れ戦くな笑いやがれ!そういえばダンブルドア以外には言ってないかも!」
「あははは、は、はあ………」
なんだろう、泣けてきた。未だ嘗てこんな感情を抱いたことはない。これはもはや諦めに近い感情だ。自分で自分の言っていることがわからなくなってきた。
「まあ、特に意識せず今まで通りでいいよ。月の神っつっても仕事はないし肩書きだけよ」
手をひらひらさせてあっけらかんと言い放つアリスに何度目かわからない目眩がした。肩書きだけって。神ってそんないい加減なのか。
同時に何故ここにいるのかという疑問の答えの推測がふたつ浮かんできた。一つ、ただの暇つぶし。二つ、危険分子の僕を監視しにきた。どちらも平等に可能性は考えられる。
もしかしたら蛇顔のあのアリス曰く「未来の僕」も、アリスにボッコボコにされた結果なのかもしれないし。そこまで考えて、アリスをこちら側に引き込む必要性を感じた。
短いですねごめんなさい。でも前のやつと合わせると五千字行くんです…信じてください…だからってなんだってわけでもないんですけどね。はっははのはー。
実は書きだめしてまた書きだめしてってやってたら黒い霧のとこで「え、なにしようとしてたっけ」となったり。メモ書こう…。そうしよう…。
駄文失礼しました\(^o^)/私の精一杯でございます。精進します。