(′・ω・`)ナンデ
「ここが庭だ。……少し狭いかもな、屋敷の方に範囲とってるから」
「十分広いよエイブリー」
ぎちぎちとアイアンクローを決めながら真っ黒な笑顔でリドルが言う。頭がもげる、痛いマジで痛い。俺の方が背高いんだからもう少し考えてやってほしい。
「ごめんって！…何で謝ってんの、俺」
「貴族の感覚で喋るからでしょ」
「え、それならリドルは庶民のいででででっ！！」
ぐっと力を込めてきた。アリスに助けを求めたが薔薇の花を虹色にして遊んでいて全く聞いてない。あれ、魔法？
「アリス、何してるの？」
リドルも不思議に思ったようで聞く。俺も便乗して頭をさすりながらアリスに近寄る。
リドルは手を払いながら近寄る。おい、リドル。失礼だろお前からやったくせに！とかは言ったら後が怖いから言わない。決してヘタレなんかではない。決して。
「薔薇の花びらを虹色に輝かせてるの」
「何で？」
何の疑問も抱かずに聞くリドルは相当アリスに毒されてると思う。虹色に輝く薔薇を俺らに見せる。そこで俺の疑問を解消してもらうことにした。
「なあ、それ魔法か？」
「違うよ」
「え？じゃあ何だよ」
私の能力だよ！といつもの眠そうな顔は何処へやら活き活きとして言うアリスにツッコミを入れたくなる。いや、入れるのが普通だ。
結果、ツッコミを入れてもアリスは普通だと言って朗らかに笑うだけだった。もうやだこの人、リドルもリドルで毒されてるし。………あれ？常識人俺だけ？
「で、なんでそんなことしてるんだい？」
俺の質問のせいで聞き損ねたと言わんばかりに俺を睨み足をぐりぐり踏んでくる。リドル、お前扱い酷いな、泣くぞ？貴族らしさとか優雅さとかかなぐり捨ててわんわん泣くぞ？
それは、とアリスは事情を説明する。長くなるかなと身構える俺とリドル。
「なんとなくだよ！」
身体中の力が抜けた気がした。なんとなくか。そうか。なんか、なんだかんだいって色々考えてそうなのに、なんとなくか。あっけらかんと笑い虹色の薔薇をつつくアリスに胃が痛くなってきた。
…ああ、ダンブルドアや、ディペットはきっとこんな感じだったんだろうなあ。ストッパーが居ないから暴走するんだね。薬でも買おうかな。
「ちなみにこの薔薇についた朝露は万能薬に、この薔薇の花びらは嗅ぐ人の好きな匂いがするよ」
「………ふーん……」
「エイブリー？どうしたんだい？……アリス、さりげなくすごいもの作らないでよ。エイブリーが放心したじゃないか！」
ぱしーんと勢いよくほおを叩かれた。別に放心してないさ、ちょっと自暴自棄になって放心…あれ、してた。
というか嗅ぐものの好きな匂いって、惚れ薬かよ。つーか高貴なる薔薇の中になんてもん紛れ込ませてるんだ。屋敷しもべが母様の化粧品に混ぜたらどうする。
「ごめんよ。これ惚れ薬にもなるから許してヒヤシンス」
ぺろ、と舌を出して言われた。ああそう。惚れ薬かよって突っ込んだら惚れ薬になる花だったんだね。でも俺好きな人とか居ないから遠慮しよう。
「リドル」
「何」
「リドルのお父さんだろ、なんとかしろよ」
「は？」
「……リドルのお母様だろ、なんとかしてください」
アリスからの笑顔の聞き返しが予想外に怖かった。というか命令口調が気に入らなかったのかリドルまで睨んできたから俺はもう涙目だった。
「何言ってるんだい？エイブリー、アリスは誰にもなんとかできないよ」
ああ、俺ホグワーツでこいつらとやって行けるかな。
お久しぶりです。アリスさん無双久しぶり。なんかぬるい気がしたからホグワーツ帰ったらさらに無双します。
※高貴なる薔薇……化粧品(魔法薬)の材料として用いられる事がある(ポタモア情報)
虹色の薔薇……Made・in・Alice。一輪のバラを丸ごとやると、茎がクリスタルに、棘が命の氷になる。でも派手だからあんまりやらない。出番は今後、作られるという点では多分無い。伏線？私にそんな技術ありやせん。
アリスさんが目覚めたので、ダンブルドアや校長にちょっかい出します。校長はまたバカンスです。金持ちが。