ゆっくり読んでいってね!
↓本文↓
ぴぎゃぁぁぁあ
何故だかそんな叫び声が響く。
今日は熱中症になってしまいそうなくらいの暑さだ。ここイギリスにしては珍しい。
こんな生徒も夏休みで居ない中、何故そんな叫び声が聞こえるのか、なんて事は考えなかった。
否
「………っ苦し……」
「うわっ誰ってかごめんなさい本当悪気もなにも無いしわざとじゃないんです!」
考えられなかった。
いい天気だなと窓から外を眺めていると、上から少女が落ちてくるとはいくら私でも考えつかなかった。
むしろ考え付く者がいたら教えて欲しい。切実に。
慌てて自分の上から退いた少女は「やべえ、飛ぶ場所間違ったサラに怒られるってもう居ないや」とかわけのわからない事をほざいて…言っている。
この頃腰が痛かったというのにのしかかられてさらに痛みが増した。どうしてくれる。どうしようもないだろうがこの言いようのない怒りはどこにぶつければいいのだ。
「………誰?」
「あ!申し遅れました、私、アリスと申します」
ぴしっと背筋を伸ばし少女が自己紹介をした。若干抜け目がある自己紹介だが(苗字とか)、取り敢えず名前だけでもと思ったのだろう。
「そ、そうか…私はアルバス・ダンブルドア」
「あー、ごめんなさい腰平気ですか」
腰をさすって椅子に座ると少女…アリスは謝ってきた。
まあ最初から謝ってはいたが、それにしても礼儀はわきまえているらしい。よかった、最近の子供は礼儀のれの字も知らない子がいるからな。………まあ、子供だし仕方ないことだが。
出会いこそ最悪とも言っていい形だったがそうでなければ…、もしかしたら未だ名前しかわからないアリスと仲良く喋る程度に一緒に話すことができたかもしれない。頭のいい者は好きだ。
「平気じゃ、平気…」
「あ、そうだ。自己紹介に少し付け足しがありまして」
「?」
付け足し?名前…ああ、苗字や、どうしてここに来たか等か。後々言うだろうという予測は合っていたようだ。不思議な雰囲気を醸し出す予想外の斜め上をいきそうな少女にでも、私の考えは当たるようだ。
「私、元日本人の神なんですよ。どうしてここに来たかはほら、創設者の4人に言われたからなんですよ」
「は?」
創設者?スリザリン、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクローの事か?言われたとは何なんだ、まさかその時代に居たと言うのでは…?いや、そんなはずはない。時空移動なんて高度な技術、その時代にあっただろうか?
「サラに蹴られなければ着地ちゃんと出来たんですがね。畜生サラザールめ恨む。そして笑ってたゴドリックの組み分け帽も……って、いたじゃん」
言い出したよコイツ。しまった、コイツとか言ってしまった。
神って言ったりもうなんなんだろうか。
ついには組み分け帽を勝手に掴んで被り出した。いい加減胃が痛んでくる、やめてくれ。
大体ここはディペット校長の校長室であって少しやることがあったからと資料などを借りる為に居るだけなのに。
それなのにこんな厄介ごとしか背負ってこないような自称神の少女に出会い、部屋を荒らされるとか本当勘弁して欲しい。そのうえ組み分け帽を破る勢いでかぶるだと?冗談ではない。
「は?あの後サラ追い出されたの?まあ知ってたけどさ、仲取り繕ってた私の苦労は何だったの?ねえ?ねえねえ?」
気づけば大事な組み分け帽をぐにーっとつねり伸ばしているではないか。
「ちょ、ちょっとまってくれるかの!?」
「あ、ダンブルドアさん。お構いなく」
「全力で構う!」
思わず言葉がおかしくなってしまった。どうしてくれる。先ほどからアリスに対してどうしてくれるとばかり言っている気がする。最初の「礼儀正しい」という印象は何処へやら、今ではもうやんちゃな子供にしかみえない。
「あ、そういえばまだ校長じゃないんでしたっけ?つまりグリリンもいると…」
「グリリン…」
グリリンって誰だとかまだってなんだとか突っ込みたいところはたくさんあるけど仕方がない、出会って数分で理解した。こいつこう言うやつだ。だめだ。
「そうだダンブルドアさん。校長って今どこに?」
「……バカンスの予定があったと思うが…」
「ああ、じゃあちょっと行ってきます。」
しぶしぶ校長の居場所を教えると、行き先も聞いていないというのに行ってくると告げ、人差し指でぐるりと自分の周りの空気を裂くと謎の空間が現れた。
中では目玉がギョロギョロと蠢いている。はっきり言おう。気持ち悪い。
しかしアリスはそんなの気にならないようですっとその空間に入り込み、手を振って校長のバカンス先(と思われる場所)に行ってしまった。
去り際に「これスキマって言うんですよー」とか呑気に言っていたが理解できなかった。理解したら人として終わる気がした。
「……はあ」
そういえば何故居るか、しっかりした理由を聞いていなかった。でもまあ戻るみたいな言い方をしていたからその時聞けば…或いは。
できれば戻って欲しくないが…まあ…仕方ないだろう。
これ以上の胃の痛みには耐えられる気がしない。
そう思ってから校長の胃が心配になった。
……胃薬を買っておくか。
さっそくふくろう便をとばし、また仕事に戻った。
背後で組み分け帽が「ああ懐かしい、アリス…本当に来たのだな」とか言っていたのは気にしないことにする。
なぜかアリスの全てを認めたら何か、社会的にも人間的にも終わってしまいそうな気がするのだ。
とりあえず触らぬ神に祟りなし、校長には悪いが我が身が可愛い。アリスの件は校長に丸投げしよう。そうしよう。
あとがき
ダンブルドアとディペットの不憫さ。
これはアリスさん無双始まるか…?始まる前提で話が進んでいるんですがまあそれることは多いので。
それちゃダメか。それないように頑張ります。当たり前か。
追記:本当に申し訳ありません、駄文ですみませんでした。すこしだけ書き換えてみました。つけたしただけですが、少しでも改良できていたらいいなと思っています。