インフィニット・ストラトス~オーバーリミット~   作:龍竜甲

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くそ・・・どういうことだ!
区切りを着けるタイミングが見つからねぇ!
既に前の更新から時間がかなりたっている!!
早急に次回を―――ああっ、アイデアがっ! アイデアが浮かばねぇ!

・・・・以上。この話を書き上げるに至るまでの私の心情のダイジェストをお送りしました。

珍しく長いです。冗長です。心理描写難しいですね。
投稿前に誰かに読んでもらうべきですかね・・・。


貴方を想って紡ぐ言葉

ホノルル島を出てから一時間後。

リヴァイヴのエネルギーが三分の一消費された。

ハイパーセンサーとGPSを照らし合わせてみると、日本までの距離は残り半分だ。

 

「大丈夫かサラ。いくらバリアーがあるとはいえ、生身での飛行は結構キツいんじゃないか?」

「心配ないわ。貴方が多重に展開してくれてるバリアーのお陰で負担は殆ど無いわよ」

「そうか。それじゃあと一時間ほどだ。我慢してくれよ」

「言われずとも耐えられるわよ」

 

俺の腕の中にいるサラはそう言って自身の肩を抱くように身を縮めた。

それじゃあ俺は戦闘のイメージでもしておくかな、と長考に頭を働かせようとしたときだ。

 

『――――い。――――おい―ーおおやま――先生! ―――返事を―――――先生!』

 

と、ノイズ混じりな音声がオープンチャンネルから流れてきた。

慌てて通信先のアドレスを見ると―――千冬さん!

 

「千冬さん!? 千冬さんですか!? 今どこに――」

「――ああ、良かった大倭先生。至急柊たちに伝達を―――」

「千冬さん、俺です!柊です! 通信可能です!」

「!? ひ、柊か・・・? なぜお前が大倭先生の回線を開いている!?」

 

聞こえていなかったようなので大声で言うと、千冬さんはようやく俺の声を認識したようだった。

 

「少々事情があって大倭先生から教師用のリヴァイヴをお借りしました。現在、飛行中のISを追跡中です」

「飛行中のIS・・? まて。それは『福音』の事か?」

「そうです。現在福音は空軍基地を脱し、日本に向かって進路を取っています。恐らく狙いは鈴です」

「ちょっと待て!――――――――」

 

千冬さんが回線を開いたままコンソールを操作する微かな音が聞こえる。

 

「――――今回お前たちが受けていた任務、福音の監視だったみたいだな・・・・。先ほど私も日本に向かって飛翔する正体不明のISの報告を受けた。調べたところそのISはお前たちが追っている福音と同じISのようだ。それを受けて、私たちはこれより専用機持ちによる迎撃作戦を展開する。詳細なスペックデータは入手しているか?」

「はい。今送ります。―――――送信しました」

「よし。受信した。こちらで秘匿事項として扱おう。――そう言えば同行していた渚はどうした。一緒にいるのか」

「ミナトはサイレン・チェイサーを展開して俺の前を飛行中です。ハイパーセンサーでは反応だけ感知できます」

 

そういいながら反応をチェックすると、どうやらミナトは福音の後ろをピッタリついているらしい。

そしてその後ろには更にもうひとつのIS反応――ウェルクのIS牙龍の反応がある。

なんとしてもウェルクを鈴に会わせるわけには行かない。

最悪、海上で戦闘を行う可能性もあるぞ。

 

「よし、それでは柊。お前と渚は我々に合流次第、作戦に組み込む。先ずはこちらに到着することを念頭に置け」

「――――了解です」

 

通信を切断。

眼下に見える漁船を不審に思いつつ飛行しているとサラが呟いた。

 

「・・・・いいの? あの男のことを報告しなくて」

「良いんだよ。ウェルクに限っては俺の問題、いや、俺とサラの問題だ。だからアイツは俺とお前でやる」

「そう、良いの・・・。もし私たちが無様に敗北したら?」

「そん時はそん時だ。這いつくばってでもアイツを止めるさ。絶対に鈴に手出しはさせない」

「・・・・・はいはい。ごちそうさま」

 

サラが欧州人なクセして、欧米人みたいに肩をすくめてやれやれと首をふる。

 

「―――それで、勝算はあるのかしら?」

「・・・・あるが、ぶっつけ本番だな」

 

勝算。

今回の場合、勝つためにはやはりサラのISサニーラバーか必要だ。

特殊能力云々じゃなくて戦力的にこちらが大幅に劣っているからな。

牙龍のパイルバンカーはデュノアのシールドピアス並みの貫通力を持っていて、俺が一人で戦うと間違いなくエネルギー不足になる。

だから負担を減らすためにサラのサポートが必要なのだ。

つまるとこ、先ずはじめに奪取すべきはサニー・ラバー。次に瞬龍だ。

俺がそう言うと、何故かサラは吹き出しやがった。

 

「何だよ。結構頑張って考えたんだぞ」

「何が頑張って考えた、なのよ。穴だらけじゃない。どうやって奪取するのよ。バカなんじゃないの?」

「うっ、それは・・・・」

「でも、貴方らしくて良いんじゃないかしら?ぶっつけ本番、出たとこ勝負。そして、最終的には人任せ。最低じゃないかしら?」

「おい、最後のはあんまり頼ったことないぞ?」

 

五月の一件に関しては、お前の気を引いて鈴が隙を突きやすくしたのは俺だし、ラウラの時だって暴走を沈めてラウラを救出したのも俺で・・・。あ、でも事態を沈静化したのは一夏達だしなぁ・・・。もしかして頭ごなしに否定できない?

 

「――でも、別にいいだろ頼っても。それだけ信頼してるってことだし」

「つまり今回は私を信用するってことかしら?お人好し」

「今回だけな今回だけ。変なことすると海に投げ捨てるぞ」

 

今のところ、サラに危険な所はないし、ISを隠し持っている様子もない。

ISで抱き上げてる身体だって細くて華奢で良い匂いするし・・・・。

 

「・・・・変なことしそうなのはどっちよ」

 

ジトーと視線を送ってくるサラに、俺は返事を返せなかった。

 

@  

 

「――――了解。一年生チームが戦闘に入ったらしい。高速移動する福音を叩くために高機動な二機で対応してるらしい。ウェルクがいない間に俺たちもいくぞ」

「そうね。あの男の場合、向こうから出ないと見つけられないでしょうし」

 

太平洋日本近海に到達したとき、俺たちはウェルクの反応を見失ってしまい、優先事項を福音―――ナターシャの救出に変更した。

 

「取り敢えずサラは千冬さんたちと合流だな。事情を説明して俺が単独行動を取る許可を取り付けておいてくれ」

「了解したわ」

 

砂浜が見え、旅館の建物も視認した。

砂浜には少数の生徒に、千冬さん、山田先生そして・・・・鈴。

 

「――――千冬さん、直ぐに出ます。エネルギーの補給だけお願いします」

「心配するな。直ぐに出撃できるようにはする。だが、今は一夏と篠ノ乃が出撃している。搭乗者の救出が成功すればそのまま帰還。失敗の場合には報告が入り、柊。お前に出てもらう。いいな?」

「了解です」

 

着陸すると、直ぐ様整備科一年によるエネルギーの補充が始まり、すっげぇ嫌そうな顔で「ISを解いてください」って言われた。

 

「よし。――――それにしても久しぶりだなサラ・ウェルキン」

「え? は、はい。お久しぶりです織斑先生・・・・」

 

千冬さんを前に小さくなるサラ。

そんなサラに一年生女子からエネルギーの譲渡を受けつつ、耳打ちをしてやる。

 

「心配すんな。五月の件は犯人不明なまま調査も終わった。つまりお前は2ヶ月無断欠席した問題児ってことになってる」

「え?・・・ああそうなの。なら良かったわ――――って、無断欠席? そんなのこの人が黙って見逃すわけ―――」

 

そこまで言ったサラの両肩が、誰かに叩かれる。

勿論千冬さんと山田先生だ。

 

「「取り敢えず、終わったら指導室に来い(行きましょうね~?)」」

「は・・・い」

 

おーお。あんなに肩落としちまって。ウェルクとの戦闘大丈夫かよ。

そんなことを考えていたら、不意に横っ腹に一撃。間違いなく鈴だ。

こ、このちびすけは・・・・!

 

「ってぇ! 何すんだよ!?」

「うっさいクレハ! あんたこそ何よ! 二年の狙撃手と一緒なんて一言も言ってなかったじゃない! 嘘ついたの!?」

 

顔を会わせた途端に蹴りを入れてくるとってもデンジャーな鈴は、何故だかご立腹なようだ。

なんでミナトと任務ってだけでキレることができるんでしょうかねコイツ。

 

「吐いてねーよ!俺も現地行くまで知らなかったんだよ。どっちかって言うとアイツがついてきた感じだ」

「付いて来たって・・・・。ていうか! 二人で行けるならまず最初にあたしに声かけなさいよっ!」

 

あーもー。長距離飛行してきたせいで疲れてるってのに、コイツの甲高い声は結構身体に響く。

試しに掌底で鈴の口を塞ぎ、むぎゅ。

後ろに回って頭ごと固定したため、鈴は目を白黒させて黙っている。

にしても身長ちっちぇーな。俺の肩までしかないぞ。

 

「・・・・・・なるほど。あんなことをさらっと出来ちゃうから人気が高まってるんですね柊君」

「おまけに自覚がないから余計に質が悪いわ。私としては誰が毒牙に掛かろうが良いのだけれど、見せつけられると殺意が湧くわ」

 

・・・・・なんか、山田先生とサラがこっち見てヒソヒソ話してる。

どうやら俺についての事だったので、今やってることを分析してみると・・・・。

・・・・あれ。今の俺と鈴の体勢。なんか身長差カップルで、男が彼女を抱き締めてるようにも見えなくもない?

鈴は小さいから頭だけれど、もう少し大きければ肩抱けたんだなぁ・・・なんて考えてると。

ドクッ

一つ、心臓が脈打つ。

だが、Bシステムは起動しない。何故なら瞬龍が無いからだ。

思わぬところで失ったことを再確認した俺は、モガモガいう鈴を解放してやる。

 

「はぁー。・・・そう言えばそろそろ一夏と箒から報告が来ても良い頃――――ん? 目の前にIS反応?」

 

鈴を解放した瞬間、リヴァイヴと瞳のハイパーセンサーに二機のIS反応が映し出され、真っ直ぐこちらに向かってきていることが分かる。

識別反応は白式と・・・・・何だろうか。見たことない反応だ。・・・・・akatubaki―――紅椿(アカツバキ)

 

「なんだ?報告も無しに帰ってきたのかアイツら。紅椿に異常でも起こったか? まぁ二機揃ってるだけ良しとするか」

 

千冬さんがそう口を尖らせて言う。

真夏の海辺。水平線の向こうから姿を現したのは――――――

 

「なっ!!」

 

「クレハさんっ・・・! 直ぐに治療を・・・・・っ!」

 

ボロボロの一夏と箒を背負ったミナトの姿だった。

 

 

砂浜に着地したミナトも少なからずダメージを負っており、一夏と箒同様に直ぐ様治療が施された。

 

「何があった。軍用とは言え、たった一機にお前ら三人が負けるなんて・・・・・」

「一機じゃ・・・・・ありません・・・」

 

頭から血を流しながらミナトが言う。

ミナトが言うには敵は福音と、ウェルクの操る牙龍に加え、もう一機出現した。

更にその操縦者は、ウェルクとの会話から男だと予想でき、三機からの攻撃を浴びた三人はボロボロになりながらも帰還した、というわけだ。

ミナトはステルスモードで逃げたらしいが、福音の広域索敵能力は狙撃主であるミナトを簡単に見つけ出してしまえるほど、高レベルのようだ。

 

「男性操縦者・・・・。双龍関係か」

「その可能性が高いわね。もともとISは女性しか扱えない筈なのに、その常識を破れる機関が複数あるなんて今のところ考えられないわ」

 

三人が旅館の一室で治療を受けている間、俺とサラと一年生は待機を命じられた。

だが、この件に関しては黙っているわけにもいかないので、俺たちは旅館の別館にある一室で話し合っていた。

 

――恐らくこの案件は本格的に自衛隊のIS部隊か、安全保障局の管轄となるのだろう。

だが、そうなれば奴らは間違いなく福音を破壊する。

奴らは搭乗者が居ようが居まいが気にすることはない。

ISの操縦者なんて元々代用品・・・・スペアが準備されている消耗品だ。

ISは実戦兵器なので、乗れなくなったら次、そしてまた次へと受け継がれるのだ。

受け継がれると言えば聞こえは良いだろうが、実際瞬龍の行った実験で犠牲になった人数なんて計り知れない。

更に決定的と言えるのが、ホノルルで会った教官とマキナの存在だ。

あの二人は自衛隊の上層部からISを崩壊させるプログラムを渡され、それを秘密裏に使えと言われていた。

そう、福音を初めから壊すつもりで居たのだ。

自衛隊は領海侵犯を理由に福音を攻撃し、プログラムを使う。

だが、俺はそれをさせはしない。

何故なら、ナターシャは福音を大切に思っている。まるで友人のように。

例え、そのプログラムでナターシャの命は助かるとしても、ナターシャの『友人』はどうなる。

破壊され、鉄の塊に成り果ててしまう。 そして残るのは、国家間の摩擦と、ナターシャの悲しみだ。

俺は、そんなことを容認できない。

 

「それじゃどうするつもりなのですかクレハさん? 現在の貴方はISを失い、量産機にしか頼れない状況なのですよ?」

 

ソファーに座り、状況を把握したセシリアがまず俺の戦闘能力の低下について触れた。

 

「・・・・・それでもやるんだ。国が動く前に俺が福音を止める」

 

俺の言葉を最後に、部屋の空気が重く、静かになっていく。

だが。

 

「何一人でカッコつけようとしてんのよ? 全然似合ってないわよ」

「・・・鈴?」

 

気がつくと、目の前に鈴が立っていた。

 

「なにが国が動く前に俺が止めるーよ。あんたが動くって言うなら私も動くわよ。双龍関係なら尚更ね」

「・・・・・・それはダメだ。今度の戦いは俺とサラでやる。それがいいんだ」

 

「ふざけるんじゃないわよ!」

 

唐突に発せられた怒号に、俺は面食らう。

いつもの照れ隠しによる怒りじゃない。

鈴が本気で激怒した顔は、俺も今回初めて見る顔だった。

 

「クレハ、あんたの考えてること分かるわ。どうせ向こうで何かあって、その責任を取るために独りで戦おうとしてるんでしょ。 あんたはそういうやつよ。ラウラの時もそうだった。あたしの時だってそうだった。あんたが戦うのは何時だって人のため。今回だってきっと福音の操縦者のためなんでしょ? そして口ぶりからするとあたしも何かに関わってるわね?」

「・・・・・」

 

なんて、なんて鋭いやつなんだよお前は。

そうだ。確かに俺は責任を感じていた。

俺がハワイに来たために、ナターシャと福音を不幸な目に逢わせている。

そして、鈴にも危機が迫っている。

これらの事象には、全て原因に俺がいる。

だから俺が何とかしなくちゃいけない。

それが俺の仕事だと、それが俺の責任だと、そう思っていた。

 

「・・・だけどね、あんたが責任に感じてることはあたしも同じように責任を負うべき事なのよ。あたしがクレハを『双龍』に巻き込み、責任感を押し付けてる。 だったらその責任くらいあたしが取るべきでしょう?」

「だけどっ、俺はお前に・・・・ッ!」

「安全な場所にいてほしいっての? バッカじゃないの? 女が男の後ろに隠れてる時代は終わったのよ。今は、並んで歩くべき時代なのよ。・・・だから、あたしちょっと怒ってるからね」

「・・・・? い、一体何にだよ?」

 

そう言うと鈴は視線をチラッとサラに向けた。

 

「ご、五月の事件だってあんたは一人で何とかしようとしてたけど、あたし達ってチームなのよね。だから置いていかれると凄く悲しくなるわ。信頼されてないんだ、ってね」

「なっ、別にそういう訳じゃ!」

 

「――――とにかく、あたしだってあんたの後ろにいるだけじゃ嫌なのよ。あの時の怪我だってあたしの力不足で負ったんだから、あんたが責任に思う必要なし! て言うか肩見すぎ! このスケベッ!」

 

と、最後に俺の顔面に拳を叩き込む鈴。

どうやら自分で言ってて恥ずかしくなったみたいだが、お陰で気付かされたぜ。

自分がこれまでどれだけ自分本意だったかをな。

 

「ってぇな・・・。・・・・そこまで言うなら頼りにさせてもらうぞ相棒」

「ふん、望むところよ。その牙龍ってやつの杭なんか叩き斬ってやるわ」

「――――よし」

 

・・・・・・そう言えばサラと鈴って今のところどうなんだろうか。様子を見る限りいきなり切り会うってことは無さそうだけどなぁ・・・・・。

意気込み新たにこれからを話し合おうとしたとき、デュノアが口を開いた。

 

「えっと、いい雰囲気になってるのに水を指すのもなんなんだけどね・・」

「「なってないッ!!」」

「うぇっ!? 否定する!? ・・・まぁいいや。それで、さっきから話に出てる双龍って一体なんのことなの? 僕たち何も聞いてないんだけど・・・」

 

俺と鈴、二人ぶんの反応に若干引いたデュノアがおずおずと手をあげて発言する。

その問いに、俺と鈴とサラは顔を見合わせると、一つ頷く。

 

「悪いなデュノア。ちょっと言えないんだ。俺たちの過去に関わることなんだ「なんであんたの過去に関わりがあるのよ?」――鈴とサラの過去に関係があって言えないんだっ!」

 

ちょっと口を滑らしかけた俺は大慌てで訂正する。

そう言うとデュノアは少し目を伏せて、

 

「あ、ご、ごめん! そう・・だよね。人の過去においそれと聞き入る訳にはいかないよね・・・」

 

神妙な顔で謝るデュノア。

・・・・タッグマッチトーナメントが終わってから、自分の性別をあらわにしたデュノアだが、未だになんで男装してたか理由は分からないんだよな。

以前、同室だったらしい一夏に聞いてみても顔を赤くするだけだったし、正確なところは謎のままだ。アイツはなんで赤くなってたんだ?

 

「・・・・で、でもクラスメートが傷付いてるのに僕だけ黙ってみてるわけにはいかないよ。事情を全て知ってる訳じゃないけど、僕にもなにか手伝わせてほしいな、・・・なーんて・・・」

「そう言うことなら、私も協力させてください兄さん。嫁の嫁として。仇はとらねばなりません」

 

なんだよ嫁の嫁って。意味わからんぞラウラ。

 

「で、でしたら私もクレハさん! 渚先輩が倒れた今、狙撃手兼観測手となれるのはわたくししかいませんわ!」

「お、おう。頼りにしてるぜ・・・・」

 

福音迎撃部隊、総勢六名。

敵は福音、牙龍及び、正体不明のIS一機。

こちらの勝利条件は福音の停止、及び、敵ISの撃破。

俺にとっての敗北は鈴の安全が確保できなくなることだ。

 

「今の俺には瞬龍がない、だから本当に危ないときには全員を守ってやれる自信がないんだ。よって全員、離脱するときは俺を囮に使え。暫くは稼いでやる」

「―――何を言ってるのよ柊君?」

 

俺が作戦前のブリーフィングのノリで離脱時の手順を確認していると、

 

「ここにいる全員が、ただ守られるだけの女の子だと思っているのかしら?」

 

そう言って不敵に笑むサラの後ろには、

腕をくんで胸を張る鈴に、あざとく笑顔を浮かべるデュノア。

腰に手をあて絶対的な信頼を向けてくるラウラや、無意味に高笑いをしているセシリア。

 

「・・・・ああ、むしろ後ろ弾に気をつけるとしようかな・・・・」

 

そう苦笑いをしてしまえるほどの心強い味方がいたのだ。

 

――――そして夕陽が沈む時刻、作戦は決行される。

 




読んでくださってありがとうございました! 
引き続き、インフィニット・ストラトス~オーバーリミット~をよろしくお願いします。

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