インフィニット・ストラトス~オーバーリミット~   作:龍竜甲

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更新遅れてごめんなさい・・・・。
では本編どうぞ。


のどかな(?)昼休み

 

「・・・・それじゃあ早速計画案を出しなさいよ」

「まてまてまて」

 

みょうちきりんなことを口走った鈴を慌てて制止する。

鈴はこう言ったのだ。

 

ドイツ軍所属のISを盗め―――と。

 

振り分けられたISの強奪や窃盗は勿論条約違反だ。

露見すれば国連のIS査問委員会による裁判は免れないだろう。

しかもそれだけじゃなく、IS学園のIS運用の中止だってありえる。

これらのことは鈴だって知らない訳じゃあるまい。だけれど、なぜ鈴は盗むなんてことを言い出したのだろうか。

 

「鈴、わかってると思うが相手は軍人だ。しかもリスクも大きい。ISに乗れなくなるかも知れないんだぞ」

「分かってるわよそんなこと」

 

わかってんなら止めろや。

 

「でも、そうでもしないとドイツのISなんて改めさせてくれると思う? ドイツはISの関しては鎖国的な国よ。ウワサのナノマシン注入部隊だって存在するかしないか曖昧なんだし・・・・」

 

鈴はその後ベラベラと盗んだ方が手っ取り早いというだけの理由をのべ、「とにかく」と結論を導き出した。

 

「せっかくドイツ製のISが目の前に転がってるのよ。調べない手はないわよ! ・・・・・それにクレハ、良い言葉を教えてあげる」

「なんだよ良い言葉って。中国の諺なんか分からんぞ」

 

と、俺が残った酢豚を掻き込みながら促すと・・・・。

 

「バレなきゃ犯罪じゃないのよ。悪いことって」

「・・・・・・・・・・・・おいおい」

 

それで良いのか国家代表候補。

 

 

その後の相談の末、作戦決行は学年別タッグマッチトーナメントの開催期間に入る二週間後・・・・その二週間のうちに実行することになった。

もちろん実行するのは鈴かと思いきや、まさかの俺。

いや、男がコソコソ動き回れるわけないだろ。と抗議するも鈴は、

 

「いや、クレハってなんか女子に嫌われてる節あるじゃない? だから関わりたくないと思って誰も近づいてこないわよきっと」

 

という俺の古傷を抉る理由でその申し出を却下。晴れて盗みの実行犯は俺と言うことになった。

 

そして二日後の昼休み。

今朝の経過報告によれば、今日のうちに鈴の用意した俺のサポートメンバーが現れるらしいが、まさか朝からずっといるフォルテ(コイツ)じゃないだろうな? 絶対失敗するぞ。

 

「クレハさんなんか最近元気ないっすねぇ・・・・なんか知ってるっすか雨さん?」

「う、ううん。最近私も部活で忙しかったから・・・・。こ、今度お弁当作っていこうかクッちゃん・・・?」

「あ、ああ。今度頼むわ・・・とびきりスタミナつくやつを」

 

授業が終わると速攻で机に突っ伏した俺を心配して、雨がやって来る。

悪いな、心配してくれてるがこの疲労はラウラの行動を探った結果なんだ・・・。盗みのために。

なお、俺に対象の調査術を教えてくれたのは第三アリーナの住人、(ミナト)だ。

スナイパーは狙撃対象の動きを予想し的確にそこを突くため、対象の行動を調べる能力が総じて高い。

今回の一件に挑むにあたって俺は湊に先生役を頼んだわけだ。

 

(素直に教えてくれたのは良かったが、タイトスカートで目の前をうろちょろされるのは如何なものかと思うぜ・・・・)

 

そんなわけで疲れているところを二人に心配された俺は昼のエネルギーを求めて売店へ立つ。

 

「あ、ちょっと待ってクッちゃん・・・!」

 

しかし、扉を開いたところで雨に呼び止められる。

袖を軽く握って絶対に逃がさないの構えだ。

 

「どうしたんだよ雨? 早くいかないとサンドウィッチ売り切れる・・・・」

 

食堂とは別にある売店のサンドウィッチと言えば、この学校に俺こと男子が来る前からある人気商品で、俺が入学してからは男子にあわせてボリュームアップされたとても食べごたえのあるサンドウィッチとなっている。

元々訓練などでカロリーを消費しやすい環境に居るため、女子たちもボリュームアップには文句が無かったのだろう。

俺は最近金欠ぎみなため、食堂よりも売店を利用する比率が多くなっている。

 

しかし雨はそんなに人気のある商品を買いにいく俺を呼び止めたのだ。

少し恥ずかしそうでモジモジしているが、俺は急いでいる。

それならばそれに見会うだけの理由を聞かせてもらおうか!

 

「えっと・・・・私のお弁当・・・一緒に食べる?」

「オーケーだ雨。是非ご相伴に預かろう」

 

瞬時に手のひらを返す。怒りやすい鈴をかわすために最近身につけたパッシブスキルだ。

遠くでフォルテが「うわ、ダメ男っす・・・」とか言ってる気がするが、まぁ気のせいだろう。

 

久しぶりの雨のメシにウキウキ顔で席についた俺はガキのようなテンションで雨の弁当を待った。

・・・やっぱり雨だから和食だろうか? いや、最近鈴という中華の要素も入ってきたし、雨のテンションによっては中華にてを出していてもおかしくはない・・・・。もしそうなら雨の酢豚が食えるぞ・・・・!

 

だが、その瞬間だった。

 

「・・・・なっ!?」

 

何者かが俺の腕を引っ張ったのだ。

突然の出来事に、腕を引いた人間を目視で確認する。

その人物とは綺麗なブロンドの髪を、サラ・ウェルキンとは違い毛先にロールをかけていて、常に高圧的に佇んでいる下級生・・・・・・って。

 

「せ、セシリア!?」

「鈴さんから依頼は受けましたわ。是非ともご協力させてくださいましクレハさん?」

 

な、なんか怒ってるセシリアがソコには居た。

額には青い血管を浮かべていて、口許はひくひくとつり上がっている。

え? なんで怒ってるんだコイツ?

 

「クッちゃんお待たせ~・・・・ってオルコットさん? ど、どうしたんですか・・・・?」

 

ああ、雨の言葉が尻すぼみになっていく・・・・・。

フォルテは参加するより観戦する方を選んだのか遠巻きに俺たちの様子を眺めている。あの野郎!

 

「先輩方。失礼ですがクレハさんをお借りしても? 大事なお話が御座いますの」

「えっ、で、でもクッちゃんとお昼・・・・・」

「お借りしても?」

「どうぞ・・・・」

 

よっわ! 雨弱い! 

下級生なんだからもうちょっと粘っても良いだろ!

 

「それではクレハさん。行きますわよ?」

「え、でも弁当を・・・」

 

何とかメシにありつこうと雨の弁当に手を伸ばす。こういうとこ俺はがめついよな。

 

「それでしたら心配は要りませんわ。私がバスケットを用意してきましたの」

 

そう言ってピクニックにでも行くようなバスケットを掲げるセシリア。

するとそれをみた雨が自分も、と持ってきた袋の中を探し始めた。

そうして取り出される小さくカラフルな容器。女子が使うにしては中々スタイリッシュなデザインだ。

 

「こ、これ。クッちゃんの好きなの詰めたから・・・・一緒に食べてね」

「あ、ああ。ありがとな・・・・・っておい! そんな強く手ぇ引っ張んなって!」

 

こうして俺は教室から強奪されたのだった・・・。

 

 

歩く通路から予想するに、セシリアはどうやら屋上に向かっている様だった。

途中で恥ずかしくなったのか手は放してくれたが、依然として態度はちょっと不機嫌だった。

 

「なぁ、なんでそんなイラついてるんだよ?」

「・・・・・・・・・ふん」

 

問いかけるが、セシリアは無視を決め込んでくる。

先輩を無視するとは良い度胸だなコイツも・・・。

しかし、チラチラとこちらの様子を窺っている辺りから察するに、なんで怒っているのか自分でも分かってない感じだな。

その理由を俺が考える謂れはないし、元来女子という生き物は定期的にイライラする生き物らしいし、俺には理解できない領域なので、俺は考えることを放棄したのだった。

 

屋上に出ると六月らしく初夏の日差しが俺たちを照り付け、暑かったので俺はブレザーを脱いだ。

セシリアは英国貴族のプライドがどうとかで脱ごうとはしないが、見るからに暑そうだぞ。

 

備え付けのベンチに座り、取り敢えず弁当を広げる。

今さらな確認だが、鈴が依頼したサポートメンバーとはセシリアの事でまちがいなさそうだ。

どう言いくるんだかは知らんが、教室に現れたときの口ぶりから察するに結構協力的みたいだ。セシリアは優等生らしいし、期待できるな。

 

「しかし、意外でしたわ。クレハさんにそんな趣味がありましたなんて・・・・・・」

「は? 趣味が?」

 

おい鈴。お前何て言ってコイツを引き込んだんだよ?

尋ねたいが、此方も本当の事を言わないといけなくなるので自分からは尋ねられない。

ヤキモキしているとセシリアは更に不機嫌な様子で唇を尖らせた。

 

「見ず知らずの女の子の私物が欲しいだなんて、悪趣味にもほどが有りますわよ・・・・」

 

・・・・・・・窓際のベッド、使用不可能にしてやろうかな。

って、そんな報復活動なんて考えている場合じゃない。気になることは山ほどあるが、今は話を合わせる時だ!

 

「あ、ああ。ちょっと妹がな・・・。大体ドン引くならなんでこんな依頼を受けたんだよ? 鈴からの報酬か?」

 

話を反らすために、セシリアが依頼を受けた理由に話題を変えるが、俺がそう尋ねるとセシリアはいきなりビクッと飛び上がり、ダラダラ汗をかき始めた。

表情は「墓穴を掘りましたわ・・・・・」って顔をしてやがる。

 

「おいおい、一体どんな報酬を貰うんだよ? ちょっと聞かせろよ」

 

興味がわいたので更に追及するが、セシリアは答えられないのか首をふるばかりだ。

・・・・・いや、小声でなにか呟いたぞ?

えーと?「しゃ、シャシンダナンテ、イエマセンワァ・・・・・」?

写真? 確か鈴は中国でモデル活動もしてたと思うが、そんな写真が欲しかったのかセシリアは。

 

「なんだよ。写真で良いなら幾らでもやるから。協力は惜しまないでくれよ?」

「・・・・・! そ、それは本当ですのっ!?」

 

うおっ、目がキラキラしたセシリアが突然顔を近づけてきたので思わず仰け反る。

その拍子に風に乗ってきたセシリアの甘ったるい体臭が強く感じられたうえ、流石は欧州人といったサイズの胸が大きく弾んだので、目線も反らしていなかったら危うく一ヶ月前の二の舞になるところだった・・・・・。

にしても、なんで女子ってそんなに甘いにおいがすんの? 不思議。

 

それにしてもこの反応・・・。よっぽど有名らしいな鈴って・・・。

 

「そ、それではクレハさん・・。どうぞご賞味下さいませ」

 

話が一段落着いたので、昼食に移ることにした俺たちは止めていた手を再び動かす。

セシリアの様子を窺うと、さっきとはうってかわって上機嫌なようだった。鼻唄まで聞こえてきそうだぜ。今回だけは鈴に感謝しとこー。

 

セシリアが差し出したのは普通のタマゴサンド。

普通の食パンに、普通の卵サラダを挟んだ普通のものだ。

 

―――――だが。

 

「ありがとなセシリア・・・・。それじゃいただきまぁ――――――フッ」

 

次の瞬間。俺はウェルクさんと再開していた。

ああ、向こう側が見える・・・・。

 

目が覚めたのは夕刻の保健室。食中毒だったらしい。

 




話進んでないなー。

いきなりですが、セシリアの立ち位置をどうしましょうかね。あとラウラも。
ハーレムものって難しい。
あと雨との絡みも書きたいですよー。

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