インフィニット・ストラトス~オーバーリミット~   作:龍竜甲

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一体いつまで一巻の内容を引きずるんでしょうかねぇ・・・・。
もうね、巻をすっ飛ばしてラウラ出したいです。
構成上出せませんけど!


凰 鈴音

鈴がルームメイトになってから一夜明けて翌日。

俺は節々の痛みで目が覚めた。

・・・・そうだ。

昨日はあれから鈴を起こそうとしたが、寝ぼけている鈴から一発アッパーをもらい、やむ無くベッドを奪還することを諦めたんだった・・・・。

床から起き上がり、被っていた毛布を手早く片付ける。

こりゃ早いうちに収納してあるベッド出さないとな。

窓際のベッドを見てみると、鈴の姿はなく、シャワールームから流水の音が微かに聞こえる。

俺は今のうちにさっさと着替えを済ませ、授業の準備をする。

確か今日は一般の体育がある日だ。

IS学園には、ISの知識を学ぶ特殊科目と、その他の一般科目がある。

勿論進級には単位が必要で、どちらの科目でも手を抜くわけにはいかない。

もちろん一般科目の方には保健体育も含まれていて、俺たち生徒はISスーツとは別に体操服を準備する必要がある。

そんなこんなで準備をしていると、不意にシャワーの音が止まった。

・・・・来るぞ・・・・ヤツが・・・!

 

ギィとくぐもった音を扉が上げる。

出てきたのは髪がしっとりしている制服姿の鈴だ。

どうやらちゃんと、昨日シャワールームに張り付けておいた張り紙に乗っ取って更衣室で着替えをしたらしい。

 

「・・・・なによ? 漢字くらい読めるわよ」

 

タオルで頭をゴシゴシ擦る鈴は、ジト目でそう言った。

 

「そうか、なんなら中国語で書いておこうかなとか思ったりもしたんだが、杞憂だったみたいだな」

「え? クレハって中国語が出来るの?」

 

鈴が意外そうにいう。・・・教えたヤツが驚くっていうのも変な感覚だな。

 

「まぁな。簡単なことしか言えないが」

 

俺は無意識に頭をガリガリと掻く。

 

『へぇ、意外。クレハってもっとバカなんだと思ってたわ』

 

おいおい、言ったソバから始めるのかよ・・・・。

鈴はドライヤーを使って髪をツインテールに結わえながら、流暢な中国語を発音した。

 

『失礼だなお前。これでも語学の点数は良いんだぜ?』

 

お返しとばかりに中国語で返すと、鈴は「本当みたいね」と視線で言ってきた。

暫くして、鈴のツインテールが完成。さらさらした黒髪が朝日に煌めく。

 

「さあクレハ、食堂にいくわよ」

「いやお前、昨日の話聞いてただろ。雨が弁当持ってきてくれるって言ってたの、思えてないのかよ?」

 

食堂に向かおうとする鈴を引き留める。

それと同時に部屋のドアがノックされる。

 

「来たみたいだな・・・・」

 

 

五分後、収納型のテーブルを2つ繋げて十分な広さを持つテーブルにしたあと、その上に雨が持ってきてくれた重箱をところせましと並べた。

しかし、流石に四段は食えんぞ四段は。

雨は相当張り切ったらしく、難色を示した俺の顔を見てしょんぼりした。

とか思っていたら、丁度部屋の前を通りかかったフォルテを見つけたので、強制的に食卓に付かせる。食った後?知らん。お前なら余裕だろう。

結果、四人の朝食となり、重箱攻略の兆しも見えてきたのだった。

 

「ウムウムウム・・・。で、どうだったっすか昨日の夜は? キノウハオタノシミデシタネ」

 

いなり寿司を食いながらフォルテが喋る。

 

「別になんもねーよ。あったとしても鈴は専用機持ちだぞ。しかもパワー型だ。俺の手に負えるか」

 

ちょっとしたことはあったが、冷静を保つため、思い出さないようにする。

隣では鈴が「あたしパワー型なんて言ったっけ・・・?」と首をかしげている。

 

「どうっすかね~。最近クレハさんの様々な噂が飛び交ってますからねー。曰く、中学では様々な性犯罪を行い、それの罰として去勢されたとか」

「ええっ!? クッちゃんいつの間に!?」

「無いから、それデマだから!」

 

雨が本気でビックリしていることに傷付いた。三年の時は例の実験のせいで離れて暮らしたが、俺たち幼馴染みなんだよな?

 

「正直なところ、あたしとしてはそうであったほうが助かるんだけどなー・・・・あ、このきんぴらごぼうおいし」

「ありがとう、凰さん。でも大丈夫ですよ。クッちゃんは年下には興味ありませんから!」

 

雨が鈴の皿にきんぴらを足しながら言う。

何だろうか、この二人どこかピリピリしてるよな。一方的に雨が攻撃してるみたいだが。

 

「そう言えばクレハ、一体いつになったら返事くれるのよ?」

「絶対にしない。諦めろ」

 

鈴が昨晩のペアの話を出してきたので、即座に打ち切る。

しかし、ネタの尻尾を見せればたまらずかぶり付く野次馬魂を持ったヤツがここにいた。

 

「返事? 返事って何のことっすかリンサン!」

 

おいフォルテ。顔赤くしてワクワクしてるとこ悪いが、そういう浮いた話じゃないぞ。

 

「別に、あたしとクレハでペアを組もうって話なだけよ」

 

鈴の返答にフォルテはなーんだ残念っす・・・と肩を落としたが、そのフォルテのとなりでテーブルに箸を叩きつける音がしたのでビクッとなる。

 

「ぺぺぺ、ペア!? それは、トーナメント的な意味で!? それとも永遠の契り的な―――」

「まてまてまて、前者だ前者! 勝率を上げるために急造ペアは避けて、公式のペアを組もうって話だよ!」

「で、で、で、でも凰さんクッちゃんのこと名前で・・!」

 

うーん、これは想像以上にめんどくさい。

チラリと鈴を見てみると、旨そうにカレイの甘辛煮をつついている。辛いもの好きだっけ。

 

「別に、名前でくらい誰だって呼ぶだろッ。このペアには競技的な意味だけでその他の感情は一切ない!」

「むふふ、強引に納得させるとことかチョッと怪しいっす・・・!」

 

混乱している雨には力業。これが幼馴染みの状況収集の付け方だ。

俺が強く言うと雨は一応納得したようで、席に戻った。

 

勢いよくメモ帳にメモするフォルテ。

「脈なし・・脈なし・・・脈なし!!」と呟いている雨。

一心不乱にカレイの身を落としている鈴。

 

・・・・めんどくさいなコイツら。

 

 

一般授業の体育の時間、女子がグラウンドでソフトボールを楽しむ中、俺は一人でグラウンドの端に逃げ、暇な時間を過ごしていた。

バッターボックスには大倭先生がデカイポニーテールとユサユサしながらバットを構えており、完全に女子高生の雰囲気に溶け込んでいた。

おっ、良い当たり。・・・・でもセカンドフライだ。

 

「・・・なにしてんのよ、こんなとこで?」

 

突然降りた影に上を向くと、鈴が立っていた。

ISスーツの上にパーカーを着込み、どうやら実習中だと言うことが分かる。

 

「お前こそどうしたんだよ。千冬さんの授業だろ。サボってると怒鳴られるぞ」

「質問に質問を返すんじゃないわよ。バカみたいに思われるわよ」

 

そう言いながら、鈴は隣に座った。

理由は分からないが、こんな所で油売っていて良い状況なのだろう。

俺は昨日から気になっていることを聞いてみた。

 

「・・・なぁ、お前の目的って何なんだ?」

「なによ突然?」

 

鈴は目だけでこちらを見ていった。

 

「昨日からペア組めペア組めって煩いけどな、まずはお前の目的をいえよ。じゃなきゃ判断が付かん」

 

ホントは組む気なんてないが、この間鈴が言った『双龍』という単語。あれがどうにも気になる。

鈴と組めば分かるのかもしれないが、その行為が破滅を呼びかねないのでチョッとズルをさせてもらおう。

 

「双龍って言うのは、ある組織の名前。中国で生まれて、最近どこかの組織と協力体制を取ってるみたいで、世界中に影響力を持つようになってきた秘密結社よ」

「・・・・その双龍の本部が日本にあるって言うのかよ?」

 

俺の知っている双龍とは根本的に違っていたので幾らか安心したが、秘密結社か・・・・これまた漫画みたいな話だ。

 

「ううん。本部の場所は分からない。と言うより、存在そのものが疑われてる機関だしね。誰も本気にしてないのよ。・・・でも、あたしだけでも探し続けるわ。お父さんを見つけるために!」

 

鈴は力強くそう言うと、俺に、親父さんのことを教えてくれた。

中華料理が上手で、強く、優しい父親。

不覚にも、鈴の語る父親の姿が、自分の父親の姿と重なる。

 

「それでさ、二年くらい前かな。突然姿を消したと思ったらさ、離婚してたのようちの両親。お母さんに聞いてもお父さんには会わせてくれないし、聞くとさ、苦しそうな顔するのよ。それが堪らなく苦しくて・・・・」

 

膝に顔を埋める鈴に、俺は何もしてやれない。してやる権利なんて無いから。

 

―――――俺は、鈴の父親を殺しているから。

 

今さら謝れるわけがない。いや、どんなに謝ったって許されることじゃない。

だから、俺は鈴から逃げようとした。彼女に知られる前に、彼女と関わる前に逃げて逃げて逃げて、自分と彼女を守ろうとしていた。

 

「必死になって頑張って、ISで代表候補にまで上り詰めたときに、中国の極秘文書で双龍の存在を知ったのよ。起こしてきた様々な事件の被害者一覧に、しっかりとお父さんの名前もあった。でも、でもあたしはお父さんが死んだなんて信じられない。せめて最期くらい聞かないと収まりがつかない。だから、最近IS学園付近で起こってる通り魔事件の話を聞いて日本に戻ってきたのよ。もちろん一夏に会うためでもあるわよ?」

 

それでも、長くは居られないけどね・・・と、鈴は最後に言った。

逃げていた俺とは反対だ。真逆だ。こいつは立ち向かおうとしている。

失ってしまった自分を許容せずに、真実を得ようとしている。

そんな鈴が眩しくて、後ろめたさもあってか、俺は何も言えずにただただ時が過ぎるのを待っていた。

やがて授業終了のチャイムが鳴った。

 

「・・・・戻るわ」

「ああ」

 

鈴はそう言ってグラウンドの向こう側へ消えていった。

 

 

 

そして数日後、全クラス対抗戦(リーグマッチ)が始まった。

今年は対戦数が数倍多いので、3日かけて行われる。

俺の試合は初日の昼、なんと織斑一夏が相手だった。

 

 

 

 




原作の内容に、へんなもん継ぎ足しスギなんですかね?
結局鈴ちゃんは父親の行方を追うべく、その手がかりである「双龍」を追ってるわけです。その過程で日本に来ることになったんですね。一夏完全に空気じゃないですかー。もっとハーレムしろやー。

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