まず最初に。
神崎遼哉さんに評価8。
シロカナタさんに評価9(コメント付)
を頂きました。ありがとうございます!
……さて、話を戻しますが、どうしましょう。こうなったらリクエスト頂いた物は番外編として違う部分に出そうかと思っている所です。
まだまだアンケートは行っておりますので、是非皆様活動報告のアンケートの方をよろしくお願いいたします。
では、第62話、始まります。
(*´∀`)ノヤァ、零だ。『大泥棒大作戦』は無事
小夜鳴先生とはテキパキと挨拶だけ済ませ、タクシーを呼んで向かった先は――横浜駅に程近い、横浜ランドマークタワー。
ここの屋上で、理子の
一階のエレベーターホールにあったガイドによれば、高度は296メートル。日本一高い高層ビルらしい。
『立入禁止!』と書いてある看板の横を通りすぎ、人気の無いヘリポートに上がると、周囲には少し段差のついた四つ角が見えた。フェンスはない。
「レイレーイ!」
とててててっ!
蜂蜜色の髪を風になびかせながら、例の改造制服を着た理子が駆け寄ってきて……ぼふっ。
俺の体にタックル気味に抱きついてきた。
「やっぱり三人に任せた理子の目に狂いはなかったよ!理子にできないことを平然とやってのける!そこにシビれるあこがれるゥ!」
「分かったから、さっさと離れろ」
大きな二重の目をキラキラさせながら胸元からこっちを見上げてくる理子を、肩を押して離れさせる。
なんか頭にいつもはつけていない、でっかい赤いリボンを増設してるし。
「零。さっさと十字架あげちゃって。なんかソイツが上機嫌だとムカつくわ」
「おーおーアリアんや。レイレイを取られてジェラシーですね?分かります」
「違うわよ!っていうか零!いつまで黒髪茶目なのよ!」
「あっ、ホントだ」
アリアに言われてようやく気がついた。そう言えばこのままでやってきたんだっけ。
軽く目を瞑り――自分の中でボタンを押すような感覚と共に――フッ。
俺の外見が、いつもの紅髪・紅目となった。まあ、俺からは見えないんだが。
そして、胸ポケットから、ここに来る前にキンジに渡された青い十字架を出し。
「ほら、理子。依頼内容の確認をしてくれ」
理子の顔の前にチャリ……とぶら下げた。
それを見た理子は、声にならない声を上げたかと思うと――首につけていた細いチェーンに、手品のような素早さで繋いでしまった。
「乙!乙!らん・らん・る――!」
理子は喜びのあまり両手で敬礼ポーズをするわ、両手をシャカシャカ振り回すわ、最高にハイってやつだ。
「理子。喜ぶのはそのくらいにして、約束は――ちゃんと守るのよ?」
腕組みをしたアリアが、こめかみをピクピクさせながら釘を刺す。
……相当イライラしていらっしゃるご様子が、一目で分かります。
理子は、
「アリアはほんっと、理子のこと分かってなぁーい。ねぇ、キーくぅーん」
何やら怪しげに笑って、キンジに手招きした。
キンジが訝しげに近付くと――理子は蜂蜜色の髪をカチューシャのように留める、大きなリボンを向けた。
「お礼はちゃんとあげちゃう。はい、プレゼントのリボンを解いて下さい」
何だ……?それを解いたら契約満了ってか?
理子の意味不明な動きにキンジがウンザリした顔で、しゅる。
理子のリボンをテキトーに解くと。
「くふっ!」
ガシッ。とキンジの後頭部を掴み。
――そのまま、自らの胸に押し当てた。
「……?――――ッ!」
何が起こったのか分からなかったキンジはきょとんとした顔だったが……その後ジタバタし始めた。
が、理子はそれでも押し当て続ける。
やがて、キンジが動かなくなったところを見て……ようやく解放した。
トタタッ……と、二、三歩後ろに歩いたキンジは……
「り……りりりりり理子おッ!?」
俺の横から、アリアが非常ベルのように叫んだ。
「な、なな、ななな何やってんのよいきなり!」
――と怒鳴るアリアに、理子はさっきまでのオフザケを何一つ返さず――
たたん、たたっ。
屋上のほとんど縁とも言える場所を回り込むように、華麗な側転を切った。
とんっ。
そして俺達の退路を塞ぐように、階下へ続く扉を背に立つ。
湿った海風に、その蜂蜜色の髪をざわつかせる理子は――
「ごめんねぇーキーくぅーん。キーくんがさっき言った通り、理子、
にぃ……と、ハイジャックの時と同じ目で、
……いつ、『悪い子』なんて言ったんだ?
「もう一度言おう――『悪い子だ、理子』。約束は全部ウソだった、って事だね。だけど……俺は理子を許すよ。女性のウソは、罪にならないものだからね」
でた、ヒスキン特有のキザな発言。
……まあそんなことより、隣にいる、正に怒り心頭といった表情のアリアをどうするかだな。
「ま、まあ……こうなるかもって、ちょっとそんなカンはしてたけどね!念のため防弾制服を着ておいて正解だったわ。零、サポートに回って。キンジはそこにいなさい」
「了解」
「仰せのままに」
「くふふっ。そう。それでいいんだよアリア。理子のシナリオにムダはないの。アリア達を使って十字架を取り戻して、そのまま三人を
理子は、右、左。
スカートの中から、名銃・ワルサーP99を二丁取り出した。
「へぇ、気が利くじゃない。これで正当防衛になるわ」
鏡像のように、アリアも、右、左。
その小さな手に不似合いな、白銀と金色のガバメントを取り出す。
「……へぇ、『
そう吐きつつ、俺もホルスターから、紅色のガバメントを取り出した。
「……くふっ。レイレイ相手は悔しいけど敵わないからねぇ。だから――呼ばせてもらったよ?『GOW』のメンバーを」
という理子の発言と共に、キィ……。
理子の後ろの扉が、ゆっくりと開かれた。
――前に『GOW』のメンバーが残り二人の内、次に誰が来るか分かるって言ったよな。あれの理由、今教えるぜ。
なぜなら――
テク、テク、テク……という足音が、
「――お久しぶりです。零さん」
「お元気そうでなによりです」
間を空けずに繋がれる、
「ああ、久し振りだな……B、G」
――その二人が、
名前は、BとG。Bが男で、Gが女。身長はどちらも150程度。外見はとにかくうり二つで、両方とも橙色の髪をボブカット気味にしている。
瞳は空色で、違いを上げるなら、Gが左側面の髪に蒼深いヘアピンをつけているくらいだ。それぐらいしか、見分けがつかない。
「零……あいつらは、誰?」
二人がただ者ではないと直感で気づいたのだろう、アリアが臨戦体制のまま訪ねてくる。
「BとG。どこで生まれたのかも、本名すら誰にも解析できない奴等だ。本人達も名前を言わないから、
実際、BとGは連携してこそ力を発揮する。だからこそ、コイツらは二人でリバースランカーに当てられたんだ。
「まあ今は僕達よりも」
「理子さんの話を聞いた方が良いかと」
その言葉に、アリアは理子に向き直るが……俺はそのままだ。いつコイツらが仕掛けてくるか分からないからな。
「理子。風穴あける前に一つ教えなさい。なんでそんなモノがほしかったの。何となく分かるけど……ママの形見、ってだけの理由じゃあないわよね?」
アリアは理子が胸にさげた十字架を拳銃で指す。
理子は……ワルサーを口元に寄せて、笑った。
「――アリア。『
「
「腐った肉と泥水しか与えられないで、狭い檻で暮らしたことある?ほらぁ。よく犬の悪質ブリーダーが、人気の犬種を
大仰な身ぶり手振りを交えて、理子は笑いながら語る。
早送りのように流れる雲の下、ランドマークタワーの屋上に何か異様なムードが漂う。
「何よ、何の話……?」
理子を許すよ制するように、アリアが両手を前に出す。
――それを合図にしたかのように。
理子は突如、悪魔のような表情になった。
それは、ハイジャックの時と同じ。
「ふざけんなっ!あたしはただの遺伝子かよ!あたしは数字の『4』かよ!違う!ちがうちがうちがう!あたしは理子だ!峰・
理子は途中から……虚空に向かって、アリアではない誰かに叫んでいた。
その言葉は、アリアの言葉と会話を成立させていない。
断片的で、意味がつながっていない。
ただ、理子の感情のままに放たれている感じだ。
ピカッ!ゴロゴロ……
海の方から
「……『なんでそんなモノが』って
にい、と理子がアリアを睨んで笑う。
「この十字架はただの十字架じゃないんだよ。これはお母様が、理子が大好きだったお母様が、『これは、リュパン家の全財産を引き換えにしても釣り合う宝物なのよ』って、ご生前に下さった――一族の秘宝なんだよ。だから理子は檻に閉じこめられていた頃も、これだけは絶対に取られないように……ずっと口の中に隠し続けてきた。そして――」
そこまで言った理子は、ツーサイドアップの髪のテールを――
わささっ、と、ヘビのように動かし始めた。
神話に出てくる魔物・メデューサのような光景に、キンジは1歩退いた。
「ある夜、理子は気づいた。この十字架……いや、この金属は、理子に
理子の左右のテールが、じゃき、じゃき、と背の襟の下に隠していた大振りのナイフを抜く。
アリアと同じ――しかし異なる意味を持つ二つ名の通り、理子は4つの武器を構えた。
「さあ……決着つけよう、オルメス。お前を
左の拳銃でアリアを、右の拳銃でキンジを狙った理子。その横で、寡黙でいたBとGが静かに構え出す。
「オルメス、遠山キンジ、錐椰零――お前達は、あたしの踏み台に――」
と、理子が叫ぼうとした瞬間。
ダッ――と俺が理子目掛けて、翼をだしながら、駆け出す。
それに驚いた理子が、アクションを起こす前に――ガシッ。
理子を抱き抱えて、そのまま
「なっ、何を――!」
理子が驚きを隠せずに、そう叫ぼうとした時。
バチッッッッッ―――!!
小さな雷鳴のような音が上がった。
その音源は――先程まで、理子がいた所から。
「なっ――――」
何度目の驚きを隠せない理子は、声を出せずにいた。
バサッ。大きく1度羽ばたきながら旋回し、アリアとキンジの所に理子を抱えたまま、降りる。
「ここは立ち入り禁止の場所ですよ。看板にも書いてあったじゃないですか」
翼を戻し、理子を降ろしながら、俺は先程まで理子のいた場所に言った。
そこには、勿論理子はいないが――代わりに誰かが、立っている。
その物は――手にスタンガンをもちながら、自身のメガネをくい、と浮かべていた。
「そうですよね――
俺の言葉に、その者――小夜鳴先生は、意地の悪い笑みを、浮かべていた――
はい、どうでしたでしょうか。
たぶん他の小説にはないであろう(ていうかそうであってほしい)、理子がスタンガン喰らう前に救出!キチンと
では、ご機嫌よう。(´・ω・`)/~~バイバイ。