はいどうも、
GW中に投稿するつもりでしたが……間に合いませんでした。全部バイトか就寝に当ててしまいました……本当に、申し訳ありませんでした。
では、第58話、始まります。
(*´∀`)ノヤァ、零だ。今俺はサイアに言われて、武偵高にある音楽室に向かっている。
(しかし……一体誰だ、俺を呼び出すなんて。下らないことならボコるぞ……サイアを)
なら生徒くらいしかいないと思うが、サイアは転校生。しかも知り合いである俺達が知らなかったくらいだから、他の生徒と接触しているはずもない。
先程まで晴れていた天気に雲がかかり、雨が降りだしている中、考えながら歩いていると……ピアノを弾く音が聞こえてきた。
音楽室から聞こえてくるあたり、どうやら俺を呼び出した人物らしい。
……しかし、やたら上手いな。思わず聞き入れてしまいそうだ。
あまり音楽には聡くないが、この曲は知っている。
確か……『火刑台上のジャンヌ・ダルク』。
……。
…………。
(……ネタバレって、怖くね?)
音楽室についた俺は、扉の窓から――
先月のアドシアードの時に
俺に気付いたのか、ジャンヌはピアノを止め……。
くいっ。とアゴを音楽室内へと動かした。
――
ジャンヌに敵意がないことを察した俺は、ガラリラと扉を開けて音楽室へと入る。
「ジャンヌも、司法取引といったところか?」
「そういうことだ」
切れ長の碧眼で俺を見ながら、ジャンヌは口元でバカにするような笑みを作る。
「とはいえ、今の私は囚われの身も同然だ。取引条件の1つで、東京武偵高の生徒になることも強制されているのだからな。今の私はパリ武偵高からきた留学生、
女子にしては少し低めの声で、自分の状況をスラスラと述べていくジャンヌ。
……てか、同い年だったのか。てっきり年上かと思ったぞ。
銀色に輝く長い髪に、170センチメートルくらいある身長。キリッとした碧い瞳が、年齢以上の雰囲気を醸し出している。
「なるほどな、だから
「……あの男か。アイツとはもう一緒に任務をしたくないな」
サイアの名前を出した途端、ジャンヌがゲンナリとした表情を浮かべた。
……あのバカ、一体何をしでかしたんだよ。
まぁ大方、静かにしてろって言われたのにずっと喋っていたっていうところか。
うるさいサイアと、クールなジャンヌ。
なるほど、相性は最悪といったところだな。
「それより、俺を呼んだ理由は何だ?まさか、転校したことを伝えるためじゃないよな?」
「……その通りだ錐椰 零。お前に伝えたいことがある」
キィ。と座っていたイスから立ち上がったジャンヌは、トコトコ。
窓際に寄せてあった机に向かって歩き、ストンと座った。
……武偵高の女子制服のスカートが短いため、ジャンヌのスラッとした長い足が太ももの付け根部分まであらわになっている。
キンジでもないのに何故かヒヤリとした俺は、少しだけジャンヌから目を離した。
「話したいことは、峰理子のことだ」
少し天然な部分があるのか、ジャンヌは俺の視線に気付かずに坦々と言った。
理子のこと?イキナリ何を話すつもりなんだ、コイツ。
「今度お前達は、
理子から話を聞いたのか、ジャンヌは……
どうやら、重要なことを話すつもりらしい。
詳しく聞こうと、視線をジャンヌに戻すと……。
ガラリラ。
音楽室の扉が開き。
「あの……使用しても、良いでしょうか?」
どうやら軽音部らしい一年生の女子が、申し訳なさそうに入ってきた。
今から部活動を始めるのだろう、その肩にはギターケースを背負っている。
ジャンヌにアイコンタクトで、『どうする?』と聴いてみると――。
パチッ。パチッ。
『バショ ヘンコウ イドウ』。と、
……
流石に雨の中で話をするわけには行かず、俺はジャンヌを連れて、東京武偵高がある
席についたと同時に、若い女性店員さんにドリンクバー2つとパフェ一つ。後、
そしてドリンクバーの機械へ向かおうとするが……ジャンヌが何故か空のグラスを持ったまま、席に座っている。
「錐椰。聞きたいことがある」
「何だ?」
「何故店員は、空のグラスだけを置いていったのだ?これでは何も飲めないではないか」
ジャンヌの発した言葉に、思わず引っくり返りそうになった。
聞けばジャンヌは、ドリンクバーを知らないという。マジかよ。
仕方がないのでジャンヌの手を取って(何故か手を掴んだときに慌てていた)、ドリンクバーの機械の前まで向かった。
「これがドリンクバーの機械。ここから飲みたい物のボタンを押して、自分の持っているグラスに入れて飲めるんだ。飲み放題だから、好きなだけな」
「好きなだけ……じゃあ、100リットル飲んでも問題ないということなのか?」
「理論的にはそうだが、そんなに飲むやつはいないし、できるわけないだろ」
「分かっている。冗談で言ったまでだ」
と、意外とお茶目なことを言ってくれたジャンヌ・ダルク30世さんは……。
俺が注文しておいたパフェのでかさに驚きつつ、メロンソーダを飲んでいる。
てか、さっきいれ忘れていたはずの氷がいつまにか入ってるし。意外と応用が効くんだな、ジャンヌの
「
「……まずソレを飲み込んでから喋ってくれ。後、一体何なんだソレは」
「ンクッ……何って、『抹茶アイス・錐椰 零スペシャル』だけど。ここの抹茶アイス旨いから頻繁に通ってたら、いつの間にか店長がメニュー作ってくれていた」
ジャンヌの言葉に反応しつつ、俺は6人用ファミレスの
しかし……ここの店長。やけにスイーツ系統の物は凝っているんだよな……。アリアもここのももまんは美味しいと言っていたし。
半分ほど食べ進み、舌鼓を打っていると……コホン。とジャンヌは咳をして。
「理子の話をしたいのだが、良いか?」
真面目な表情になりながら、こちらを見つめている。
流石に真面目な話中にアイスを食べるのもどうかと思うので、一端スプーンを置く。
「ああ」
「まず、理子は努力家だ。イ・ウーで最も貪欲に力を求め、勤勉に学んでいたのが――峰・理子・リュパン4世だ。理子は誰よりも有能な存在に変えたがっていた。悲痛なまで、一途に……な」
「……なるほど。イ・ウーという、天賦の才を神より授かった者達が集い、技術を伝え合い、どこまでも強くなる――いずれは、神の領域まで行くという所だからか?」
「……何故それを知っている」
「ジャンヌはサイアに依頼して組んだんだろう?てことは、俺の裏を知っているはずだと思うんだが?」
「……『リバースランカー』、『GOW』か」
「ご明察」
『GOW』という、俺がリーダーを勤めていたチームは最重要機密組織。特Ⅰ級国家機密の者や、公安0課のほんの一握りしか知ることを許されていない。
逆に言えば、俺らレベルになると、特Ⅰ級レベルなら知ることを許されているのだ。
「話を戻すが、何で理子は強くなろうとしたんだ?」
「――自由のためだ」
俺の質問にジャンヌは一つ、長い瞬きをする。
その発言には、理子を気の毒がるような感じがした。
「自由?」
「理子は少女の頃、監禁されて育ったのだ」
……。
「理子がいまだに小柄なのは、そのころロクな物を食べさせてもらえなかったからで……衣服に対して強いこだわりがあるのは、ボロ布しか身にまとう物がなかったからだ」
「――理子はリュパン家の者。怪盗とはいえ、高名な一族……いや。そういえば以前に、没落したと聞いたな」
「その通りだ。リュパン家は理子の両親の死後、没落したのだ。使用人たちは散り散りになり、財宝は盗まれた。最近、母親の形見の銃を理子は取り返したようだがな」
「……それで、理子はどうなったんだ?」
「その頃まだ幼かった理子は、親戚を名乗る者に『養子にとる』と騙され……フランスからルーマニアに渡った。そこで囚われ、監禁されたのだ。長い間な」
理子……あの表にだしている、明るい性格の下に。
そんな、暗い過去があったのか。
「――誰に、監禁されていたんだ?」
「『無原罪のブラド』――名前は知っているだろう?イ・ウーのNo.2だ。この前保健室で現れたコーカサスハクギンオオカミも、奴の
ジャンヌの発言に、俺はこの前現れたオオカミを思い出す。
確かに、かなり頭が良かったな。それに遊撃のような素振りでもあったし。
……ああ。今はハイマキという名前で、レキに飼われていたっけ。
「まあいい。とりあえずブラドについて少し教えてくれ。どうせ、人じゃないんだろ?」
「察しがいいな。そうだ、ブラドは人じゃない。強いていうなら……『オニ』だな」
ハッ。オオカミの後はオニか。次は閻魔様でも出てくるのかね?
「……ブラドは理子を拘束する事に異常に執着していてな。檻から自力で逃亡した理子を追って、イ・ウーに現れたのだ。理子はブラドと決闘したが、敗北した。ブラドは理子を檻に戻すつもりだったのだが、そこで成長著しかった理子に免じて――ある約束をした」
「約束?」
「『理子が初代リュパンを超える存在にまで成長し、その成長を証明できれば、もう手出しはしない』と」
「……だから、理子はアリアに執着していたのか」
初代リュパンと、アリアの先祖であるシャーロック・ホームズは、100年前に引き分けていた。
つまり、理子はその曾孫であるアリアを倒すことで、初代リュパンを越えたと証明しようとしたのだろう。
「ブラド自体のことだが……口で話しても分かりずらい。奴の姿を絵で描いてやろう」
というと、ジャンヌは胸ポケットから縁なしメガネを取りだし、続けて学校指定の黒鞄からノートとサインペンを取り出す。
そして、キュキュッ。と何かを描き出した。
「いいか錐椰。奴と当たった時は、お前でも撤退を前提に考えておけ。私の3台前の双子のジャンヌ・ダルク達と初代リュパンが組んで戦ったことがあるが……引き分けたのだ。それはブラドがただ強いだけじゃない。どれだけ急所を突いても、死ななかったという。ヤツは死なないのだ」
そうやって話ながらも、ジャンヌは――
キュキュッ。と、ナニカを描いている。
「私も直接見た訳ではないが、ヤツが敗れたのは――イ・ウーのリーダーと戦った時だけだ。その後、イ・ウーで聞いた情報だが……ブラドを倒すには、全身4箇所にある弱点を同時に破壊しなければならなかったらしい」
意外とメガネが似合っているジャンヌは――。
「4箇所の弱点のうち、3箇所までは判明している。ここと、ここと、ここだ……ヤツは昔、ヴァチカンから送り込まれた
最後に黒い点のような物をグリグリと描いたジャンヌは――。
ピラッ。とこちらに描いた物を見せてくれた。
……はっきり言ってしまうと。
「ジャンヌ……絵心無いんだな」
そう。ただピーマンに触手のような物がついているようにしか見えない、三歳児のお絵描きレベルの者だったのだ。
「なっ……!し、失礼なっ!ブラドはこういうヤツなのだ!これはちゃんと似ているっ。取っておけ!」
バンッ。と音がなるくらいにその絵を俺の胸に押し付けてきたジャンヌは、ムスッ。
如何にも不満げな顔で、メロンソーダの入ったグラスのストローに口をつけている。
まあ、ジャンヌなりに忠告してくれたものだ。有り難く貰っとくか。
と考え直しながら抹茶アイスを食べ終わり、レシートを持って店を出ることにした。
「ありがとなジャンヌ。後はそのパフェでも食べながらゆっくりしておいてくれ」
「……ああ。分かった」
「おう。じゃあな……と、その前に2つ。聞きたいことと、言いたいことがある」
「何だ?」
根が真面目なのだろう、ジャンヌはムスッとしながらも律儀に返してくれる。
「一つ。ジャンヌは、理子のことをどう思ってる?」
「……さっきも言った通り、理子は勤勉家で努力家だ。そして、私は彼女のことを好ましく思っている。親友と言っても差し支えないくらいにな」
そうやって、理子のことを言うジャンヌの表情は……どこか、誇らしげな物を感じる。
本当に、仲が良さそうだな。
「そっか。ならいい……2つ目」
そこでビシッ、とジャンヌを指差し。
「――死なないヤツは、俺の絶好のカモなんだよ。覚えておきな」
ジャンヌにそう言って、俺は『ロキシー』を後にしたのだった――
はい、どうでしたでしょうか?
そういえば、検索方法に、『最終更新日時(新しい順)』以外に色々あったんですね……一年以上経っているのに初めて知りました。
それで、少し興味が湧きまして……自分の作品がどのくらいの物なんだろうと思って調べてしまいました。
そしたらなんと……『緋弾のアリア』内にて、この作品が『通算UA数(多い順)』が12番目だったんです!
しかも、それより多かった作品は、皆様が一度は閲覧されたことがあるかと思われる、有名な作品ばかり。
これもすべて、皆様のおかげであります!ありがとうございます!
そしてこれからも、この作品のことをよろしくお願いいたします!
では、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。