緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿田(ろくた) 葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。
間に合わなかった……てか、戦闘シーンの描写難しい……誰か文才を分けてください。

それはともかく、第45話、始まります。


45話~『守護神』~

――コウヒノホダシ。

それが、俺の刀の名前。俺が勝手に決めただけだが。

この刀は一見すると普通の日本刀に見えるが……

実は、俺の最大出力の超能力を(まと)っても壊れないくらいの丈夫な刀なのだ。

今、コウヒノホダシは両方とも炎に包まれている。

(ゼロ)式――超能力を駆使した剣技。その一章――炎の能力。

 

「待ちくたびれたぞ、零」

「悪いな、少し幼馴染みの成長を見届けていたんだよ」

「そうか……なら、かかってこいよ」

 

スッと腰を落として両手を顔の前で構えるサイア。

 

「なら遠慮なく……ハァッ!」

 

地面を蹴りあげ、サイアとの距離を縮める。

そして刀を使う――と見せかけて右足でソバットを見舞う。

サイアはそれに対して自身は右に避けながら左手で受け流す。そしてそこにカウンターの右ストレートを打ってくるが……

 

「――剣技!(ゼロ)式・一章・五節『流猛』!」

 

受け流された勢いのままその場で回転し、横切りを仕掛ける。

リミッターが外れた今、普通の攻撃ですら音速を越える。その中で更に回転を入れて速度を上げている。

見た目はとても優雅に、しかしどこか猛々しい一撃。

サイアは自分のカウンターよりも先に俺の攻撃が通ると認識したのだろう、前に出そうとした右腕を引き戻してガードに移る。

ギンッ!と金属がぶつかり合う音。

俺の刀は、サイアの手甲(ガンフレッド)に阻まれる。

それを理解した俺はバックステップをしながら足下に牽制して距離をとる。

 

「相変わらず硬いなその手甲。あのスピードでの斬撃なら、普通の金属なら容易に切断されてもおかしくないっていうのに」

「それくらいじゃなきゃ、『守護神』の防具にふさわしくないってね」

「そうかい……」

 

喋りながらも、サイアの様子を観察する。

――スキがない。どこを狙っても、容易に防がれるだろう。

まぁそれはともかく……

 

「サイア」

「何だよ零、来ないのか?」

「お前まだ、()()()()()()()()()()?」

「いつも言っているだろう?平和の象徴である『守護神』が、自分から攻める訳にはいかないって」

 

――そう、サイアは決して自分から攻撃することはない。全てカウンターか防御、拘束のどれかしかしない。

それだけを聞くと、かなりのデメリットだと思われるが……そういう訳でもない。特に護衛任務に関しては、その圧倒的防御力から依頼成功率100パーセントなのだ。

更に明らかに待ち伏せしていると思われる狭い空間には先にサイアに突撃させ、相手が攻撃が通らないことによって焦りだした時に強襲する、といったパターンもできる。まさに一家に一人、サイアが欲しいくらいだ。

 

「お前も相変わらずだなぁ……『サイアとだけは模擬戦したくないわ。全部引き分けでつまらない』とネリーが口癖のように言っていたのを思い出すぞ」

「そういえばそんなこと言っていたなぁ……」

 

まったくコイツは……ッ!

――バッ!

足元に異変を感じ、すぐさまバク転で後ろに下がる。

――次の瞬間、俺がいた場所を何かが覆った。

出てきたのは――水。

 

「――『水牢(すいろう)』か」

「ご明察」

 

俺の呟きに返答するサイア。その周りには、球体の水がフヨフヨと浮かんでいる。

そう、サイアは水の超能力者(ステルス)だ。

――水とは、一見するとそれほど脅威に思われない。

それは当たり前で、この地球上の7割を占めている海という水。普段から生物が生きていくために必要な水や、体を清潔にするために使う水。

このように身近な場所で、多彩な部分で使われている水は、重要なモノであるとしか認識されない場合が多い。

しかし、水とはとても脅威的なモノなのだ。

金属を水で断ち切るのを見たことがあると思う。強力な水圧によって金属すら簡単に断ち切れるのだ。

今サイアが使った『水牢』という超能力も、見た目は縦横奥行き3メートルずつの正方形に薄い水が貼っているだけに見える。

しかし実際は水が超高速で流れていて、触れれば万物を切り裂く。まさに脱出不可能な、拘束用の超能力なのだ。

 

「良く避けきれたな。気配を隠していたのに」

「そういうのには鼻が利くんだよ」

「犬かよ」

「噛ませ犬のお前には言われたくないな」

「ひどっ!?」

 

……さて、ここでふと疑問に思った人がいると思う。

『サイアが水使いだと知っていて、何故電ではなく炎の超能力(ステルス)を使うのだ?』と。

確かに普通に考えたらそうなるだろう。

――だが、サイアの使っている水は()()。電気をほとんど通さないのだ。

ならば液体という形を持たないモノ相手にどうすればいいか?

――答えは簡単、蒸発させてしまえば良い。

いくら純水だろうと、水は水。蒸発させることができる。マグマの中に2リットルの水を入れても何も起こらないように、圧倒的な炎の前では水は弱点にはならない。

しかしこれは逆もまた然りで、川の中にマッチの火を投げ入れても何も起こらない。

つまり、これは――

 

「「自分の超能力(ステルス)が、相手の超能力(ステルス)よりも強い方が勝つ」」

 

サイアも同じことを考えていたのだろう、呟くタイミングが一緒だった。

ならば様子見や出し惜しみなどは必要ない。全力で相手にぶつかる、それだけだ。

 

「……ああ、そうだ。零に良い忘れたことがあった」

「……何だよ」

「――(のぞみ)ちゃんについてだ」

「――ッ!」

 

 

『――お兄ちゃん♪』

 

 

脳内で、濃緑色のボブカットの少女が俺に向かってはにかむ。

 

「俺に勝ったら、知っているだけの情報をくれてやるよ」

「……そうか」

 

なら……

ツブス。

 

「――剣技。零式・一章・三節――『鬼火焼』」

 

 

ーside零outー

 

 

 

 

 

ーsideキンジー

 

ブワァッ――と、室内に何か冷たいものが流れたような感覚がした。

これは……ジャンヌの超能力(ステルス)じゃない。もっと、ナイフが首に当てられたよう。そしてこの感覚を、俺は知っている。

――間違いない。『望』という人物の名をネリーから聞いたときに感じた、零の殺気だ。

俺はそこで戦っているはずの、しかし視ることができない零の方を向く。

 

(零。お前は、何を抱えているんだ。何を、隠しているんだ……?)

 

そう思っていると、ギンッ!ギギンッ!と金属のぶつかり合う音が聞こえてきた。

見ると、白雪とジャンヌの刀剣が斬り結んで、そして離れる。

 

「――ムダだよ、ジャンヌ。このイロカネアヤメに、斬れないものはないもの」

「それは――こっちのセリフだ。聖剣デュランダルに、斬れぬものはない」

 

対峙するジャンヌが、勇気を振り絞るように胸の前に掲げた幅広の剣は――

古めかしい、しかし、手入れの行き届いた壮麗な洋風の大剣(クレイモア)

鍔に飾られた青い宝石が、白雪の炎に照らされて輝いている。

カツッ!再び駆けた白雪は――

俺の目には、どこか、勝負を焦っているようにも見えた。

白雪の刀、ジャンヌの剣が交差し、掠めた室内のものは、全てが冗談のように切断されていく。

巨大なコンピューターがキャビネットごと。防弾製のエレベーターの扉。リノリュームの床も、壁も。

だが、白雪の刀・イロカネアヤメと、魔剣――ジャンヌの言い分では、聖剣・デュランダル。

斬れないものがないと(うた)ったお互いの刀剣だけは、何度切り結んでも傷1つつかずにいる。

 

「これが一流の超偵の戦い……なのね……」

 

隣にいるアリアが、ボソボソと呟いた。

 

「でも、この均衡はもうすぐ崩れるわ」

「それは、どうしてだ?」

「超能力者は使う力が大きいほど、精神力をたくさん消耗するの。武偵と戦う時は勘所(かんどころ)で最小限の力を使おうとするものなんだけど……同類が相手の時は、ああやって全力を出し続ける。だからすぐにガス欠を起こすのよ」

 

成る程……じゃあ、その瞬間を狙えば……

 

「――ダメよ、キンジ。これは白雪の戦いよ。アタシ達があの戦いに入り込むのは、許されないわ」

 

――と、アリアが俺の心を見透かしたようにそう言った。

 

「……ああ、分かってるよ。白雪が自分から言い出したことなんだ」

「そうよ。だからアタシ達がすることはただ1つ……見守ることだけよ」

 

そう言いながらも、危なくなったら介入できるように準備しているアリア。

――白雪、頑張れ。

俺は心の中でそう呟いた。

そして、均衡していた戦いに、動きが生じた――

 

 




どうでしたでしょうか?

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それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。

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