緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿田(ろくた) 葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。

久し振りの連日投稿……かなり疲れました。目標はアリア20巻が出る前に第二章を終わらせることです。いけるかな……

まぁ取りあえず、第43話、始まります。

(※前半は原作通りなので、中盤くらいまで飛ばすことをオススメします)


43話~『デュランダル』~

――気付いてやがったか――

そう思った次の瞬間、俺は。

 

「白雪逃げろ!」

 

叫ぶと同時に、白雪たちの方へと駆けていた。だが何も考えずに突っ込む訳ではない。

ここは火薬庫、俺もだが、ヤツも銃は使えない。

敵まで50メートル、俺の足で7秒の間に俺の武器を把握し、逃げるか戦うかの判断をし、何らかの武器を用意し、体勢を整え――そこまでの事が、できるものか!

 

「キンちゃん!?」

 

驚いた白雪の声が、大倉庫に響く。

 

「来ちゃだめ!逃げて!()()()()()()()()()()!」

 

悲鳴のようなその叫び声に続いて、俺の足元に――

ガツッ!

目にも止まらぬ速さで飛来した何かが突き刺さる。

 

「うおっ!?」

 

ダンッ!と倉庫に音を響かせ、俺はつんのめってブッ倒れた。

足元の床には、優美に湾曲(わんきょく)した銀色の刃物が突き立っている。

これは……ヤタガンと呼ばれる、フランスの銃剣。細長い古式銃の先端につける、サーベルのような小剣だ。

 

「『ラ・ピュセルの枷(l’anse de la Pucelle)』――罪人とされ枷を科される者の屈辱を少しは知れ、武偵よ」

 

女の声に続いて、銃剣を中心に何か白いものが広がっていく。その白い何かが、パキ……パキ、と俺の足を床に張り付けていくのが分かる。

う、動けない。

 

「――うっ!?」

 

起き上がろうとした肘にも、その白いものが広がっていく。

なんだ、これは……!?

冷たい……氷か?

 

「我が一族は光を身に纏い、その実体は、陰の裏――策士の裏をかく、策を得手とする。その私がこの世で最も嫌うもの、それは、『誤算』でな」

 

未だ姿を見せない敵の声に続いて、フッ――と室内の非常灯が消えた。

周囲は完全な闇に包まれる。

 

「……い、いやっ!やめて!何をするの!――うっ……!」

 

ちゃりちゃり……!

という金属音が、白雪の方から聞こえる。敵が動いている。

 

「――白雪!」

 

俺の叫びに、白雪は――答えない。

焦る俺だが、氷に縫い付けられた今となっては、何も出来ない。

シャッ!

という、次の銃剣が空を切る音。

暗闇の中でも分かる。

あれは俺を――殺す刃――!

――ギンッ!

そしてその刃は、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「じゃあ――」

「バトンタッチね」

 

その方向から聞こえてきたのは、男女二人の声。

そこには……電話で呼んだ零と、

 

「アリア!?」

 

ロンドン武偵局の対応に追われているはずの、アリアだった。

 

ーsideキンジoutー

 

 

 

 

 

ーside零ー

 

(*´∀`)ノヤァ、零だ。いやぁ、何だか凄いことになってるな。

と俺は呑気に考えつつ、登っていた棚からアリアと共に降りる。

 

「ようキンジ、面白い格好してるな」

「ホント、まさにドレイっていう感じにひれ伏しているわね」

「な、何でアリアがここにいるんだ!?ロンドン武偵局はどうしたんだよ!?」

「ああ、それは――」

 

ぶんっ、ギンッ!

 

「おっと……人が喋っている時に剣を投げちゃいけないって、教えてもらわなかったのか?」

「まずそんな状況になることがないぞ」

 

まぁ当たることはないけどな、O☆RE☆DA☆KA☆RA!

 

「まぁ結論を言うと、アタシの話は全部嘘っていうこと」

「……は?」

 

キンジがマヌケのような顔をしている。まぁそうなるわな。

 

「い、一体どういうことだ?」

「それはな、俺達が魔剣(デュランダル)が盗撮・盗聴しているのに気付いてたからだよ」

「何だと!?」

 

おうおう、魔剣(デュランダル)が焦ってる。

 

「だからわざとアタシがアドシアード1日目にいないという嘘を事前に言って、今日犯行に移させるということをしたのよ」

「そういうこと。ついでに俺もアドシアード参加者だからあまり護衛できないということを言って、護衛をキンジだけと思わせるということをしたんだよ」

「ということは、零の方も嘘なのか!?」

「いや、俺のはホントだよ。実際、『アドシアード参加者は競技場内にいることを推奨する』ということだし」

 

まぁ『推奨する』っていうだけであって、別に絶対いなければならないということではないけどな。

それに嘘の中に真実を混ぜることによって、嘘を嘘と思わなくさせるということが出来るからな。

 

「……で、どうだ魔剣(デュランダル)サンよ、策を仕掛けたつもりが逆に仕掛けられてた気分は?素直に俺だけが確実にいなくなる2日目に動けば良かったものを」

「……クッ!」

「……なぁアリア、零がおかしくなってないか?」

「……そうね」

 

後ろでキンジとアリアが何か話しているが無視する。

こっちは色んな事情でオリ展開にしないといけないから必死なんだよ!

……今、俺は誰に何を言ったんだろう……

と考えていると、ガチャンとどこかの扉が閉まる音がした。

 

「逃げたな」

「逃げたわね」

 

俺が呟き、アリアが確認しながら、キンジの体を拘束していた氷を剥がす。

 

「さて、と……これからどうするの、零?」

「俺は魔剣(デュランダル)を追うから、キンジとアリアは白雪と合流してから追ってきてくれ。たぶん拘束されているだろうから、解錠(パンプ)キーを先に取り出しておけ」

「分かった」

「気を付けろよ」

「誰に言っているんだ?」

 

そう言った後、俺は魔剣(デュランダル)が向かったであろう地下6階へと向かった。

 

 

 

 

 

地下6階は、周囲に壁のように巨大なコンピューターが無数に立ち並ぶ、HPCサーバー――俗に言う、スーパーコンピューター室だった。

チカチカと、あちこちでアクセスランプが点滅しているが、『DANGER』やら『CAUTION』などのサインボードがない。

かといって壊してもいいという物ではないため、俺はガバメントを抜きコッキングしておく。

え?何で壊したらいけないのに拳銃を出すのかって?俺の場合拳銃が一番威力が小さいんだよ。

とか思っていると……

ズズン――!

と、くぐもった音が地下倉庫に響き渡った。更に微かにだが、ごぼ、ごぼぼ……と水が流れている音が聞こえてくる。

――マズイ、たぶん排水系を壊されて、下の階に水が浸水している。

戻って状況を確かめようかどうかを考えていると、コツコツと鉄格子を上がってくる音と共にアリアが上がってきた。

 

「アリア、キンジと白雪は?」

「白雪は今拘束されてて、キンジが解錠しようとしてる。アタシはその……泳げないから零と一緒に魔剣(デュランダル)を捕まえてこいってキンジが言ってた」

「そうか……なら、俺達は先に進むぞ」

「うん」

 

そうして俺とアリアは慎重にクリアリングしつつ、大型コンピューターが衝立(ついたて)のように並ぶ、迷路みたいな部屋を進む。

そして10分ほど探していたが、まったくもって見つからない。上へと続く場所は全て閉ざされていたため、この部屋のどこかにいるはずだが……

とその時、角に人影が。

 

「――ッ!」

 

素早く構えて照準を定める。相手も銃を向けてくるが――

 

「……何だ、零じゃないか」

「……キンジか」

 

相手がキンジだと気付き、銃を下げる。

 

「キンジがここにいるってことは、白雪の解錠には成功したんだな。それで、白雪は?」

「途中ではぐれてしまってね。今探しているところなんだ」

 

そこで俺はキンジがいつも違う口調になっていることに気付いた。

 

「キンジお前、()()()()

「ああ」

 

アリアがいるため少しボヤかしたが……キンジがヒステリアモードになっている。何かしたのか?それともお得意のラッキースケベか?まぁ一ついえるのは、こちらのカードが揃ったということだ。

 

「まぁまずは、白雪と合流してからにしましょ?」

「ああ、そうだな――」

 

と言った時、

――けほっ、けほっ

という、微かな咳の音が聞こえた。

 

「白雪だわ、あっちにいる」

 

それを野性動物なみの聴力をもつアリアが反応し、方向を示す。

 

「周りを警戒しながら行くぞ」

 

そして俺、キンジ、アリアの順番に慎重に進むと……いた。

HPCサーバー室の奥にある唯一の広い空間――エレベーターホールに人魚姫みたいな姿勢で座っていた巫女装束の女子は――

排水溝から出た水を飲んだのか、両手に口を当てて咳き込んでいた。

 

「白雪、大丈――」

 

それに駆けつけようとしたアリアを、俺は手で制する。そして俺が話しかける。

 

「大丈夫か?」

「うん……ありがとう、レンちゃん」

「そうか……で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()魔剣(デュランダル)

「……え?一体何のこ――」

「惚けようとしたってムダだ。俺の視力は8・0。黒髪の中に銀色の髪の毛がバッチリ見えてるぜ?」

「――ッ!」

 

そこで白雪の変装をしていた魔剣(デュランダル)の顔が歪み、筒のような何かを落とした。

そして筒から、白い煙がみるみるうちに広がっていく――発煙筒、煙幕か。

襲ってきても大丈夫なように構えてはいたが……気配が遠くなった。一旦下がったな。

 

「零、よく分かったわね。全然気付かなかった」

「俺もだ」

「まぁ変装自体は完璧だったが……相手が悪かったな」

 

俺達三人が固まっていると――

 

「――キンちゃん、レンちゃん、アリア」

 

後ろから、今度は本物の白雪が現れた。

 

「白雪、大丈夫か?」

「うん、もう大丈夫だよ」

「――錐椰 零……貴様がいなければ……」

 

すると、だいぶ離れた所から魔剣(デュランダル)の声が聞こえてきた。

 

「どうだ?魔剣(デュランダル)。そろそろ決着をつけたいところなんだが」

「……いいだろう。直接対決の可能性も想定済みだ。後、私の名前は魔剣(デュランダル)ではない――私の名前は、ジャンヌ・ダルク30世だ」

 

……へぇ、ジャンヌ・ダルク……ねぇ。

15世紀、イギリスとフランスによる100年戦争を勝利に導いた、フランスの聖女の子孫ということか。

 

「ウソよ!ジャンヌ・ダルクは火刑で……十代で死んだ!子孫なんていないわ!」

「あれは影武者だ。我が一族は策士の一族。聖女を装うも、その正体は魔女。私たちはその正体を、歴史の闇に隠しながら――誇りと、名と、知略を子々孫々に伝えてきたのだ。私はその30代目――ジャンヌ・ダルクだ」

 

そう言いながらコツコツと現れたのは、部分的に身体を覆う、西洋の甲冑(かっちゅう)に、刃のような切れ長の眼は、サファイアの色。

二本の三つ編みをつむじの辺りに上げて結った髪は、氷のような銀色。

まさに、美しい白人だった。

そして、その周囲には先程の煙で作動したスプリンクラーの水が、氷の結晶となって雪のように舞っている――ダイヤモンドダストという現象が起こっている。

なるほど……ヤツは、銀氷(ダイヤモンドダスト)の魔女か。

 

「始祖の名に懸けて、お前達を倒す……が、お前だけは別だ、錐椰」

 

そう言いながらこちらを見てくるジャンヌ・ダルク30世。

 

「だから、用心棒を雇った……出てこい」

 

ジャンヌ・ダルクの声に反応し、後ろから出てきたのは――

 

「よっ、零。久し振りだな」

 

片手を顔付近まで上げて挨拶してくる、身長190近くの大柄な男子。

俺は現れたソイツに対し、軽く頭を抱えた。

 

「今度はお前かよ――サイア」

 

俺の言葉に対し、男子――サイアは軽く笑みをこぼした――




どうでしたでしょうか。

用心棒サイア、彼は一体どんな人物なのでしょうか……

誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などがありましたら、是非感想の方へ。

それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。

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