リアルがかなり忙しくなってきました……本当に不定期更新になりそうです。
それでは、第41話、始まります。
チュンチュン……
「ふぁ……」
眠い……あ、(*´∀`)ノヤァ、零だ。今日はアドシアード当日。大勢の武偵や職員、更には一般人が集まる日だ。この日のためにしてきた(盛り上げるための)準備もしてきたし、後は今日の朝飯と昼の弁当作りだな。
そう思ってベッドから体を起こそうとする――
「……あれ?」
が、何故か体が動かない。具体的には、右半身がいつもより重く感じる。そして布団とは別の暖かさを感じる。
何かと思って見てみると……
「……んっ……」
――シェイが俺の腕を抱いて寝ていた。
「……は?」
現状を理解できずに固まってしまった。
(え、何これ?どんな状況だよ……あ、成る程。これは夢か)
そう思って自分の頬をつねろうと腕を動かそうとしたが、動かそうとしたのは右腕、つまりシェイに抱かれている方である。
当然動かすことはできず、代わりに……
――フニッ、と柔らかいナニカが俺の腕が動くとともに形を変えた。
「――ッ!?」
あまりのことにまた固まってしまう。そして目が完全に覚めた。
――な、何でシェイが俺のベッドの中にいるんだよ!?
慌てて離れようとしたが、シェイに腕を抱かれている以上、動くことはできない。
や、ヤバイ。こんなところ、アリアに見られたら……
「……朝から一体、何をしている訳……?」
そう、俺のベッドの目の前で前髪で顔が隠れている、仁王立ち状態のアリアに見られたら……
「……え?」
ア、アリアだって?
「一体、どういうことなの……?」
――ゴゴゴゴゴゴッ!
アリアは身の回りに何かオーラを纏いながら、依然として仁王立ちのままである。前髪で顔が隠れたまま。
ヤ……ヤバイ!超怖い!
「ア、アリアさん?と、とりあえず、その物騒なオーラをしまっていただけないでしょうか?」
あまりの怖さに敬語になる俺。プライド?知ったことか!
「……」
無視・無言・無表情。アリアって、こんなにポーカーフェイスができる子だっけ?お兄さんビックリだよ。
だが、こんなところでアリアの成長を確認している場合じゃない。早くどうにかしないと、風通しが良すぎる体にされてしまう。
そこでどうしようかと考えていると……
「……んっ。ふぁっ……あれ?零君にアリアさん、どうしたの?」
と、シェイが起きて俺達二人に聞いてきた。
「ど、どうしたもこうしたもないわよ!何でアンタが零の隣で一緒に寝てる訳!?」
するとアリアは先程から一転して顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。
「……零君の隣?」
と、シェイがアリアの言葉に反応してキョロキョロと辺りを見回す。
そして「ああ……」と何かに納得した表情をする。
「ごめんね、零君。
「……ああ、そういうことか」
「……どういうことよ」
アリアも何かあると思ったのか、怒りを抑えてくれたようだ。良かった。
「ええと、それはね……」
「その前にシェイ」
「何?」
「そろそろ腕を離してくれると助かるんだが……朝飯の準備もしたいし」
「ああ、ごめんね?」
と言ってようやく離してくれたので俺は素早くベッドから出てキッチンへと向かった。別に俺の腕をまだ離していなかったことにアリアが気づいて再びオーラが出てきたからではない。早く朝飯を作りたかっただけなのだ。本当だぞ!
「で?さっきのは一体どういう訳?」
朝飯が出来たので、俺・アリア・シェイ・キンジ(白雪が何故か女子寮にいるため、朝飯がないから来たとのこと)でテーブルを囲みながら朝飯を食べる。
ていうかキンジの顔が浮かないようだが、何かあったのかな?
「私、抱き枕が無いと眠れないの」
「……じゃあ、抱き枕を使えば良いじゃない」
「宅配便に不備があったみたいで、まだ実家から届けられてないの」
「しかもシェイは、抱き枕がない時はだいたい寝惚けるから、人のベッドの中に入ることがあるんだよ」
「……まぁ、理由は分かったわ。それで、いつになったら抱き枕がくるのかしら?」
「それが……一週間後」
「ハァッ!?何言ってるのよ!」
バンッと強くテーブルを叩くアリア。そんなに強く叩いたらテーブルが壊れるぞ。
「まぁだからこれからもあるかもしれないけど、その時はよろしくね?」
「そ、そんなこと許される訳ないでしょ!零の隣で寝るなんて羨ま……じゃなくてダメなんだから!」
「……ごちそうさまー」ダッ!
「あ、こらキンジ!逃げるな!」
……朝から凄く疲れた。これから毎日こんな風になるのか?栄養ドリンク買い溜めしておこうかな……
『ただいまより、アドシアードを開催致します!』
開会式が始まるとともに、大勢の武偵や観客が盛り上がる。
アドシアード、一年に一度の大イベントだ。この日のために努力してきた者達が、己の腕を確かめにくる。
そして俺はというと、観客席の方にいた。
(よくよく考えたら、アドシアードは2日かけて行うし、俺の出番である
少し恥ずかしい。
「――あれ?零先輩」
観客席で一人で観ていると、あかりちゃん達一年生組&
「(*´∀`)ノヤァ」
「こんちはッス。それにしても一人でどうしたんッスか?」
「俺の出番は明日だから、今日はここで観戦しているんだ」
「では、明日の準備をしなくてよろしいのでしょうか?」
「準備する必要がないからな」
「……さすがですの」
「じゃあ、あたし達も一緒に観戦して良いですか!?」
「ああ、良いよ」
ヤッター!とか言いながら、俺の右隣に座るあかりちゃん。そんなに席がなかったのかな?確かに空席はあんまりないけど。
「じゃあこっちはアタシが」
「いえいえ、ここは私が」
「
すると残り三人が左隣の席を同時に掴んだ。
――バチバチッ!
な、なんか三人の間で火花が散っているんだが。しかも本人達は笑ったまま。
「どうしたんだ志乃。お前は男嫌いだろ?だったらアタシに譲れよ。
「私は一言も男嫌いとは言っていません。それにライカさんだって、男よりも可愛いお人形さんの方が好きなのでは?」
「いくらライカお姉様のお言葉でも、今回ばかりは聞き入れませんの。ライカお姉様こそ、ここは
――バチバチバチバチバチバチッ!
な、なんか三人とも言ったと思ったら、さらに火花が飛び散りだした。何かよく分からないが……ここは、
「じゃあな!」ダッ
逃げる!
「「「「あっ!」」」」
四人とも気づいたようだが、もう遅い。
俺はそのまま、観客席から離れていった。
「もうやだ……最近俺のまわりが平和じゃない……」
トボトボと観客席から逃げてきて歩く俺。もう疲れたよパトラッシュ。
「誰か、物静かな人とかいないものかな……いないだろうな」
そう思っていると――
「――零さん」
抑揚のない、しかし透き通るような綺麗な声。この声は……
「レキか」
「はい」
後ろを向くと、ドラグノフ狙撃銃を肩に担いだレキがいた。
レキは基本、無口・無表情・無感情。そのため何回か会ったことはあるが、喋ったことはほとんどない。
(……いや、確かに物静かな人を探したけどさ。誰も無口とまでは言ってねぇよ)
とはいえ、あちらから話しかけられるのは珍しいことだな。少し驚いた。
「どうしたんだ?」
「――良くない風がふいています」
その小さな口が開かれたと思ったら、良くない風……?一体どういうことだ?
「気をつけてください」
そう言ってスタスタと歩いっていった。
「何だったんだ……?」
そう呟いた俺の声は、
――ピリリリリッ
という携帯電話の音に掻き消された――
どうでしたでしょうか?
誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などがありましたら、是非感想の方へ。
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。