いやぁ、ようやく抜糸をしました……これから少しずつ動けるようになったので、スポーツの好きな自分にとっては嬉しいことです。
そんなことより、第40話、始まります。
(*´∀`)ノヤァ、零だ。現在は
「……おい、見てみろ錐椰のヤツ。剣の軌道が筆記体で『Rei Kiriya』になってるぞ」
「どんな斬撃の仕方しているんだよ」
「で、今度は『Kouden』になってるし……」
「ただの自己紹介じゃねーか!」
……なんか外野がうるさい。まぁいいや、続きは明日にして今日は帰ってゆっくりしよう。
そう考えた俺は刀を仕舞い、
「――じゃあアカっち、後よろしくねー」
「ねー」
「う、うん……」
そのまま校門を向かおうとしたら、掃除している一年女子三人を見かけた。そしてその内の二人は箒をその場に置いてさっさと帰っていった。
残った一人の女子はせっせとまだ掃除をしている。
(……何か、可哀想だな)
そう思った俺は自然とその女子の前に行った。
「手伝うよ」
「えっ……」
ヒョイとさっき帰っていった女子が残していった箒を取り、声をかけると振り向いた。
――美少女だった。
身長は153くらい。髪の毛は――俺と同じ紅色でボブカット。目も紅色。幼い顔立ち。そして――
(……デカイな)
どこをとは言わないが。一般に『ロリ巨乳』と言うやつだろう……あ、言っちゃった。
その美少女は俺の顔を見て少しキョトンとした顔をしていたが、やがてその大きな目を開けて、
「れ、れれれ、零様!?」
と言ってきた。
「うん。そうだよ」
何か最近女子達から様付けで呼ばれることが多いので普通に返事した。
「な、何でここに……」
「あー、君が一人で掃除しているのを見て少し可哀想だと思ってね。手伝うよ」
「い、いえ!零様の手を
……あー、この子、ネガティブな子だな。
改めて美少女を見ると、肩が少し上がっている。普段からおどおどしている証拠だ。目も垂れぎみで、争い事とかできなさそうだな。武偵高には珍しいタイプだ。
しかし、こういう子は頑なに拒否してくる。だから俺は了承を得る前に掃除を始める。
「俺はこっちをやるから、君はそっちをやってね?」
「え、でも……」
「ね?」ニコッ
「は、はい///」
もう一回言うとその少女は掃除を始めた。何故か顔を赤くして。
そしてテキパキと掃除して、ゴミをゴミ箱に入れた。これで終わった。
「ん~ん、終わった~」
「あ、あの零様、ありがとうございました!」
大きくのびをすると、少女が頭を下げてお礼を言ってきた……頭を下げた時に大きく揺れた。ふぅ、眼福眼福……じゃなくて!
「別に良いよこれくらい。頭を上げて」
「いえ、零様に手伝ってもらったので……あの、何かお礼をさせてください!」
「いや、これくらいでお礼をもらうと逆に俺が困るんだけど……」
「何かお礼をさせてもらわないと申し訳ありません」
(……まいったな、どうしようか……)
「じゃあ、名前を教えてもらえないかな?」
「な、名前ですか?」
「うん。知り合いになった人を『キミ』呼ばわりするのは嫌なんだ」
「じ、じゃあ、ええと。わ、私の名前は……
「
「れ、れれれ、零様が私の名前を……///」
……紅野さんが顔を赤くして
と、その時。
「――見つけたぞ、錐椰!今日こそ抹殺してやる!」
と、弓矢を持った男と20人程度の男子達がやってきた。
「ああ……またカスの奴らか」
『カスじゃない!KASだ!』
「はいはい」
コイツらは俺を殺そうとしているグループの『KAS』というやつらだ。めんどくさいからカスと俺は呼んでいる。
「なぁ三っちゃん。そろそろ止めてくれないかな?いいかげん飽きたんだけど」
「止めるわけないだろう!貴様を殺すまではな!後三っちゃん言うな!」
「先生……バスケが、したいです……」
「貴様……」
ピキピキと額に青筋を浮かべる三井。
「もういい……お前ら、やっちまえ!」
『ウオォォォォォ!』
三井の合図によって拳を上げるカスのヤツら。仕方ない、少し相手して――
「――こちら紅野。二番隊の皆さん、発砲してください」
瞬間、
――パパパパパパパパァンッ!
と、多数の発砲音。それによって倒れるカス。
(……あれ?これ、どっかで見たことあるような……)
「だ、誰だ!」
と叫ぶ三井。これも見たことある。そして……
「公害が歩かないでください。迷惑です」
と言って持っている拳銃――XDs(9mmモデル)で三井の鳩尾に発砲する紅野さん。
そしてカスは全滅した。
「――
「――7番から15番は証拠隠滅。20番から31番までは周囲の警戒。残りは公害の撤去。急いでください」
『はい!』
カス達が全滅した後、ぞろぞろと女子達が集まってきた。そして一人が紅野さんに何かを問うと、紅野さんはおどおどしていたのが嘘みたいにテキパキと指示をしていた。
……というか、
「あの、紅野さん」
「は、はい」
あ、元に戻った。
「さっき一人の女子から『
「あ……えっと、それは私のアダ名です。『紅野 瑞姫』だから『
「えっと……俺の『紅電』から取ったって言うこと?」
「は、はい。そうです」
「――
「ご苦労様です」
喋っていると、一人の女子が報告に来た。そして辺りにいたカスはもういない。
「それでは、零様。ごきげんよう」
「あ、ああ」
この前――宮野さんの時に学んだこと、『知らなくてもいいことは知らないままで良い』から、三井達がどうなるのかは聞かない。
そして、紅野さんは去っていった。
あれから数日がたち、5月5日の朝。
「零。ちょっと良いか?」
いつものように朝食を作っていると、珍しくキンジが早起きしてきた。
「今日は雨かな……」
「おい」
「冗談。で、何のようだ?」
「実は……今日、白雪と東京ウォルトランド・花火大会に行くことになった」
そのことを聞いて、俺はピタッと料理する手を止めた。
「東京ウォルトランドって、『学園島』から離れているぞ?」
「知ってる」
「しかも花火大会だから、人の多くなる場所になるぞ」
「それも問題ない。少し遠くなるが、葛西臨海公園から見ることにしている」
「……そうか」
そこまで聞いた俺は、止めていた料理を再開する。
「じゃあ俺は、アリアの説得をすれば言いわけだ」
「……察しが良くて助かる。だけど頼もうとしていた俺が言うのもなんだが、できるのか?」
「当然。パートナーだからな。それにアリアも
「……ああ、分かった」
「じゃあキンジ、朝食の準備手伝え。折角早起きしたんだから」
「げぇ……」
キンジが心底嫌そうな顔をする。飯抜きにしてやろうか……と、
「キンジ」
「どうした?」
「言いたいことがあるんだが」
「何だ?」
「実は――」
「――というわけだから、今日は白雪の護衛無しにして、白雪とキンジを二人で行かせたいんだ」
「……」
今、俺はファミレスでアリアを説得中だ。アリアがすんなりと許してくれれば良いんだが……
「……大丈夫なの?」
「問題ない。キンジに何かあったらすぐ連絡しろとは言っておいた」
「……なら良いけど」
「良いのか?」
「ええ。白雪にそんな事情があること知らなかったし、良い機会じゃない?」
「良かった」
俺は安堵して、ドリンクのコーラを口にした。
「……で、そ・れ・よ・り・も……何でアンタが零の横にいるのよ!」
「うん?私?」
そう、何故かアリアと二人で来たはずなのに、いつの間にかシェイがいたのだ。そして俺の隣に座ってパフェを食べている。ちなみにアリアは対面。
「……シェイ。こんな所で油売ってていいのか?アドシアードに向けて色々準備が必要なんじゃないのか?」
「大丈夫だよ。私がやることは歌うことだけ。ある程度の調整だけで充分だよ」
「だからって、何で零の隣なのよ!こっちにくれば良いでしょ!?」
「私、出口に近い方に座りたい人なの」
「アンタ反対側にいるけど!?」
「まあまあ……」
何故か激昂しているアリアを
「あ、そういえば零君。
ハイ、と俺に一枚の小さい手紙を渡してきた。てか、今どっから取り出した?
「ええと、何々……?」
とりあえず開けて読んでみる。そこには……
「――部屋の移動?しかもこの号室……隣じゃないか。何でだ?」
「隣に住んでいた3人が一斉に転科したから無人になっていて、使わないのももったいないからだって」
「3人一斉って……普通じゃないわよ?」
アリアが言ったことはその通りなのだが……まぁ、移動しろと言われたらするしかないな。
「――ついでに私も一緒に住むから、よろしくね」
「ああ、分かっ……は?」
「ちょっ……ちょっと待ちなさいよ!女子が男子寮に部屋に住むなんて許されないわ!」
アリア、それブーメランだぞ?分かっているのか?
「大丈夫だよ。既に寮長にも了承を受けているし」
「早っ!?」
なんと既に公式的に認められているとは……
「と、いうわけで……よろしくね」
「ハハハ……」
シェイの笑顔と一緒の言葉に俺は乾いた笑いしか出ず、
「ぜ、ぜ、絶対に零は渡さないんだから――!」
というアリアの声がファミレス内に響いた。
神よ……俺に安静な地をください。できれば今すぐに。
なんて思いつつ、結局
どうでしたでしょうか?
誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などがありましたら、是非感想の方へ。
それでは、ごきげんよう(´・ω・`)/~~バイバイ。