今回、まったく話が進みません。作者も書いていて『どうしてこうなった?』という部分がたくさんあります。なので、いつもより駄文です。ご注意ください。
それでは、第37話、始まります。
「ぶ、ぶ……武偵アイドルのシェイ、ちゃん?」
静寂に包まれた教室の中、誰かがポツリと呟いた。
「うん、そうだよ」
それに対してシェイが笑顔で頷く。するといきなりドワァッと一気に騒がしくなった。
「う、嘘!シェイちゃん!?」
「マジで!?これドッキリとかじゃないよな!?」
「……ハ!さてはこれは夢だな!おい誰か!俺を撃ってくれ!」
「良いぞ」パァンッ
「グオォォ……いてぇ……現実だ……」
……男子どもが偉く騒いでるな……何か一人ぶっ倒れたし。
「はいはい、皆さん、お静かに~。これから質問タイムにしますから~」
高天原先生がパンパンと手を叩いて皆を静める。倒れたやつ放っとくのかよ。そして男子、何我先にと挙手を始める。
「好きな食べ物は!?」
「苺かな」
「料理はする!?」
「できるけど、時間がないからあまりしないかな?」
「趣味は!?」
「うーん……バスケかな?」
「笑顔ください!」
「……はい」ニコッ
「グハァッ」バタッ
「大変だ!血を吐いて倒れたぞ!」
「
……さて、教室内が色々とカオスなことになってきたので、さっき男子が言っていた『武偵アイドル』について説明しよう。
そもそも武偵高は、世間からは非難される対象になっている。
当然だ。まだ未成年の子供がナイフや拳銃を使って世界を飛び回ったり、将来有望な少年少女達が死の危険に晒されたりするからだ。
このまま非難の対象のままだと、武偵高存続の危機に晒されると思った教師陣達は、イメージアップのために様々な内容を考えた。それが『武偵アイドル』だ。
単純にテレビという情報モラルで人気を勝ち取れば、世間の武偵へのイメージが上がる、と考えた教師陣達はすぐに実行。最初の何人かは上手くいかなかったが……シェイは別だった。
単純な可愛さは勿論、歌や踊りなど、まるで一人で行っているとは思えないほどの実力を持ち、更に優しい性格なので、人気になるのは言わば必然だろう。
「はい、じゃあ質問タイムは終わります。ええと、シェイルさんの席は……」
「先生」
HLが終わる時間なので、高天原先生がシェイの席を言おうとすると、シェイが言葉を遮った。
……何だろう、凄く、凄くイヤな予感がする。
「私、彼の隣が良いです」
そう言ってシェイが指差したのはある一点の場所。その隣の席のアリアがポカンとした表情になり、その更に隣のキンジが『ドンマイ』みたいな表情をする。
つまり、俺の席を指している。
つかつかと歩いてきて、俺の左隣の席の男子生徒の前に立つ。
「ごめんね、席を譲ってくれないかな?」
「は、はい!どうぞ!」
頼まれた男子生徒はすぐに机の中にある教材を取りだし、空いている席へと移る。
そしてシェイはこちらを向き、
「よろしくね、零君」
と言ってきた。瞬間――
ドワァッ!
と、さっきまでよりも一段と騒ぎだした。
ヤバイ……このままでは、何でシェイが俺のことを知っているのかみたいなことで、俺の転校初日の放課後みたいなことになる!(※7話参照)
そう考えた俺は、右隣にいるキンジとアリアに、『オクジョウ ツイテコイ』と素早く
「おい、零が逃げるぞ!」
「追え!追うんだ!」
「ちくしょう、何で零ばっかりなんだ!」
「この野郎、ぶっ殺して……」パァンッ、バタッ
「おい、大丈夫か!?」
「零様に危害を加えようとする輩は排除します」ニコッ
「お、おい、やめ……」
教室から様々な声が聞こえるが無視して走る。途中発砲音も聞こえたが、こちらに弾がくる感じもない。何が起きているんだ?
「で、あの子は一体誰なの?零」
屋上についた後、アリアが笑顔でそう聞いてきた。ただし目は笑っていない。
「あ、あの、アリアさん?怒ってます?後さっきから足踏まれているんですけど……」
「べっつに~?」グリグリ
「おいアリア、話が進まないからその辺に……」
「あ?」
「いえなんでもないです」
キンジがフォローに入ってくれようとしたが、一言で玉砕した。もっと粘れよ。
「まぁ良いわ……それで?一体誰なの、あの子?」
ようやく足をどかしてくれて、話を聞いてくれるようになった。ああ、爪先が痛い。
「ああ、シェイは……」
「――私がどうかしたの?」
話そうとしたら、シェイが屋上の扉から歩いてきた。
「初めまして、ネリーちゃんから話は聞いているよ。神崎・H・アリアさんと遠山キンジ君だよね?」
――ネリーという人物名を聞いた瞬間、アリアとキンジが拳銃を抜いたが、手で制する。
「大丈夫だ、シェイは」
俺が言うと、シェイはクスクスと笑いだした。
「東京武偵高って、本当に個性豊かな人が多いよね。世界中の武偵高を回ってきたけど、ここより個性豊かな人達はいなかったよ」
「そうか、どうなんだ、最近のアイドル活動は?」
「順調だよ」
俺とシェイが普通に会話しているのをみて、ようやくアリアとキンジが拳銃を下げた。
「一体誰なのよ、アンタもリバースランカーなの?」
「うーん、当たらずも遠からずかな?私は
リバースランカーは最高でもAランクまで。Sランクということは、それだけでリバースランカーではないと証明されるものだ。
「じゃあなんで、ネリーのことを知っているんだ?」
キンジがワケが分からないといった顔をする。
「ねぇ、神崎さんに遠山君。あなたたちは、『GOW』ってネリーちゃんから聞いた?」
「……いいえ、知らないわ」
「……名前だけなら聞いた。何でも、『リバースランカーの溜まり場』……だったか?」
シェイの問いにアリアは横に首を振り、キンジはネリーが脱出する際の俺への警告を聞いていたので知っている。
「そっか……なら、『GOW』について説明するね」
よっ、とシェイが屋上の落下防止用のフェンスに腰かけながら座る。危ないな、ここ屋上だぞ?
「『GOW』っていうのは、対闇組織専用に結成された、リバースランカーが集結したチームなの」
「……リバースランカーが集結?」
「……相手が可哀想と思うのは、アタシだけかしら?」
アリアとキンジは実際に想像してみたのだろう、顔がゲンナリとしている。
「リーダーが零君で、特攻担当がネリーちゃん、他にも後三人いるんだけど、私は
「……ん?後三人ってことは、その三人はリバースランカーなのか?後、シェイが配属された理由が分からない。そんなチームなら
キンジが話を聞いて分からなかったところを尋ねる。
「最初の質問の答えはYesだよ。リバースランカーは全員で5人……いや、零君はもう違うから4人かな?二つ目の質問については……別に回復させる相手が味方とは限らないんだよ?」
「『味方とは限らない』?」
「だって考えてみてよ。零君やネリーちゃんみたいな人が5人いるチームだよ?相手を
まぁリバースランカーは『一人で大陸一つを制覇できる』と言われているからな。一応汚れ仕事をしているとはいえ、被害は最小限の方が良いし。
「と、言うわけで私は戦う気はないの。OK?」
「あ、ああ……」
「分かったわ」
二人の確認を取った後、シェイは落下防止用フェンスから飛び降りる。
「何か他に聞きたいことある?」
「いや……」
「何も」
「俺はある」
「何?零君」
「何で東京武偵高に来たんだ?」
俺が聞くと、「ああ、それね?」と言った。
「アドシアードが近日中にあるでしょ?それのエンディングで歌うことになってるの……表向きは」
「……本当は?」
「……ネリーちゃんに、『零がこれから色々やらかすだろうから、サポートしてあげてね~』っていう理由」
「……ご迷惑をおかけします」
「……今更だよ」
ネリーの人使いの荒らさにため息をつく。
そしてシェイは少し俺達から離れて、
「改めまして……これからよろしくね?」
と笑顔で言ってきたのであった――
なお、教室へ戻ると男子全員が地面に倒れており、女子達がニッコリと笑っていて恐怖を覚えたのは別の話で。
どうしでしたでしょうか?
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では、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。