緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

35 / 85
はいどうも、鹿田(ろくた) 葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。

テストが終わったので、久々の投稿です。テストの結果?聞かないでください……

とりあえず、第34話、始まります。


34話~『魔剣』~

「零、子供の作り方教えて」

「ブフォッ!」

 

ゲホッゴホッゴホッ……あ、(*´∀`)ノヤァ、零だ。今俺は自宅のリビングでコーヒーを飲んでいたが、開幕初っぱなに吹き出した。

アリアが聞きたいことがあると言ってきて、何かと思って聞いたら……

 

「え、えーと、アリア。何でそんなことを?」

「えっとね、この前……」

 

 

~回想~

 

『ね、ねぇ白雪』

『ん?どうかしたのアリア?』

『ここら辺に産婦人科ってある?』

『……え?』

『だから、産婦人科』

『え、えっと、何でそんなことを……?』

『だって、ア、アタシ、れ、れれれ零と、キ、キキキキスしたのよ!』

『え?』

『だ、だから!キ、キスしたのよ!それで……』

『え、えっと、どういうこと?話が視えないんだけど……』

『だから、子供ができてないか、確認するためよ!』

『……えっと、アリア。キスで子供はできないよ?』

『え?だって小さい頃、キスで子供ができるってお父様が……』

『……(純粋だな~)』

 

~回想終了~

 

 

「それで、じゃあ子供はどうやって出来るのって聞いたら、『そ、それはレンちゃんに教えてもらうと良いよ』って言われたのよ。何故か顔真っ赤にして」

 

おい白雪、何面倒なことを人に押しつけているんだよ。

し、しかし、子供の作り方、か……いや、知らない訳ではないよ?でも、教えるとなると……

 

「ア、アリア、保健の教科書読んだことないのか?」

「授業は眠たいから聞いてない」

「おい」

 

ちなみに武偵高の偏差値は50を切っている。まぁ一般知識より専門的な知識を学ぶ武偵高だから当然と言えば当然なのだが。偏差値75である白雪や、それに準ずる者達が必死で勉強するから、まだ50を切るくらいで済んでいるのだが。

ん?俺の成績?白雪といつもテストの点数で勝負しているとだけ言っておこう。

 

「それで、結局どうすれば子供ができるの?」

 

ズズイと顔を寄せてくるアリア。だが……

 

「アリア、そこにパソコン置いてあるから、自分で調べてくれ!」

 

俺はそう言って立ち上がり、ベランダに向かって走って飛び降りる。

ワイヤーを使って上手く寮の外に降りて、そのままあてもなく駆け出した。後ろから何か聞こえるが気にしない。

だって、それを言ってしまったら、取り返しのつかないことになりそうだし……ヘタレじゃないからな!

――数時間後、部屋に戻ってくると、顔を真っ赤にしてパソコンを見ているアリアを発見し、一悶着あったのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

数日後、アドシアードに向けて強襲科(アサルト)で調整し、あかりちゃんとライカの相手をしてきた帰り。いつものようにアリアとキンジと一緒に帰ろうとすると――

 

「零、キンジ、あれ見て」

「何だ?」

 

ピシッとアリアが指差したのは、教務科の掲示板。そこに書かれていたのは――

 

『生徒呼出(よびだし) 二年B組 超能力捜査研究科 星伽白雪』

 

……珍しいな。(普段は)生徒の模範を素でいっている白雪が呼び出しとは。

 

「アリア。お前、このあいだ白雪に襲われたのをチクったのか?」

「何で友達を売らなきゃいけないのよ」

 

キンジがアリアのことを疑うが、アリアは心外とばかりに頬を膨らます。あ、可愛いな。

 

「それにアタシは貴族よ。『H』家の名に懸けて、そんなことはしないわ」

「……そういえば、結局その『H』ってのは、一体なんなんだ?」

「はぁっ!?まだ分かってなかったの!?信じらんない!このバカ!ギネス級のバカ!バカの金メダル!」

 

いやアリア、キンジに何も教えてないんだから分からなくて当然だろ。キンジがバカなのは認めるが。

 

「……ハァ。まぁいいわ、教えてあげる。アタシのフルネームは――神崎・()()()()・アリア」

「ホー、ムズ……!?」

「そう!アタシはシャーロック・ホームズ4世よ!」

 

キンジは目を見張る。まぁこの学校にも、このことを知ってるのは少ないしな。あかりちゃんは知っているけど。

 

――シャーロック・ホームズ。

100年ほど前に活躍した、イギリスの名探偵。拳銃の名手で格闘技(バリツ)の達人。そして武偵の始祖とも言われている。

 

「じゃあ、理子が言っていた『オルメス』というのは?」

「あれは、『HOLMES(ホームズ)』をフランス語で発音した時の言葉だ」

 

キンジがアングリと口を開けているが、まぁ仕方ないだろう。誰だって知っている超有名人の子孫が、こんな可愛い美少女だとは思わないだろうからな。

 

「それにしても、白雪が呼ばれるなんて……何があったんだ?」

「そうねぇ……よし。零、キンジ、白雪が指定されてる呼び出しの時刻、一緒に……」

 

そこまで言ったアリアはそこで一旦言葉を区切り――

恐ろしいことを言った。

 

「教務科に潜入するわよ!」

 

……マジで?

 

 

 

 

 

東京武偵高は隅から隅まで危険きわまりない高校だが、その中にも『三大危険地域』と呼ばれる物騒なゾーンがある。

強襲科(アサルト)

地下倉庫(ジャンクション)

そして、教務科(マスターズ)だ。

教師の詰め所にすぎない教務科が、なぜ危険なのかって?

答えは簡単。武偵高の教師が、危険人物ばっかりだからである。

考えてみればすぐ分かるが、普通じゃない学校の先生が、普通な訳がない。

例を挙げると蘭豹先生だが、蘭豹先生は香港マフィアのドンの一人娘で、まだ19才なのに酒を飲んでいる。俺がやんわりと止めたほうが良いですよって言うとすぐにその時は止めるが。

他にも前職が各国の特殊部隊とか、傭兵とか、殺し屋とか。それはもう聞かなければ良かったという人がたくさんいる。少しはマトモな人もいるが。

 

「零。手が届かないから抱え上げて」

 

と無声音で言うアリアの両脇をつかんでダクトの所へと持ち上げた。

にしても、軽いなー、アリア。女子に体重の話をするのは厳禁だが、アリアはとても軽いので失礼にならないだろう。その代わり身長の話は何があってもしてはいけないが。

アリアをダクトへ入れた後、今度はキンジをアリアが上から引っ張って入れ、その後で俺がジャンプして自力で入り、ゴソゴソと匍匐(ほふく)前進で進む。

ゴソゴソ。

シャカシャカシャカシャカ。

……アリア、匍匐前進速いな~。キンジとどんどん差がでている。

 

「アリア、匍匐(ほふく)前進速いな」

「得意なの。強襲科(アサルト)の女子で一番速いわ」

「だろうと思ったよ。邪魔になるもの()がないからな」

 

――ゴスッ!

キンジがとんでもなく失礼なことを言ったら、アリアの足が急にぶれて、気付いたらキンジの側頭部にキックが入り、10センチほどめり込んでいた。

……胸についても厳禁だな。

 

 

 

 

 

白雪を――見つけた。

呼び出しをしていた教師の、個室にいたのだ。

俺たちは狭い通気口から、部屋の内部を伺う。

 

「星伽ぃー……」

 

この女にしては低めの声……(つづり)先生か。

武器(エモノ)はグロック18。目がいつも据わっていて、年中ラリっているような感じだ。そして世界を旅していた俺でも分からない、明らかに市販の者とは違う草っぽい匂いがするタバコを吸っている。

だが侮ることなかれ。この先生は尋問の技術に()いては、日本で五指の指に入る名人なのだ。

何をさせるのかは誰も知らないが、綴先生に尋問されると、どんな口の堅い犯罪者でも洗いざらい何でも白状する。その後おかしくなって、綴先生を女王とか女神とかよぶようになるのだが。

 

「お前最近、急ぅーに成績が下がっているよなー……」

 

ああ成る程、成績の話だったのか。確かに綴先生は2年B組の担任で、白雪は2年B組だからな。

しかし珍しい。武偵高の先生が成績の話をするなんて。やっぱりこんな学校でも先生は先生なんだな――

 

「あふぁ……まぁ、勉強はどぉーでもいぃーんだけどさぁ」

 

前言撤回。やっぱり武偵高の先生は武偵である。アクビまでして、本当にどうでもよさそうにしているし。

 

「なーに……えっーと……あれ……あ、変化。変化は、気になるんだよね」

 

おい……まさか、『変化』という単語すら忘れていたという訳ではないよな?わざとだよな?

 

「ねぇー、単刀直入に聞くけどさァ。星伽、ひょっとして――アイツにコンタクトされた?」

魔剣(デュランダル)、ですか」

 

白雪の言葉に――

アリアがピクッ、と反応した。

魔剣(デュランダル)』か。確か、超能力を用いる武偵・『超偵(ちょうてい)』ばかりを狙う――誘拐魔、だったかな。

だが魔剣(デュランダル)は、その実在自体がデマだと言われている。というのも、その姿を見た者が誰もおらず、誘拐されたとされる超偵も、実は別件での失踪では?という見方の方が今や多数派らしい。最早都市伝説といってもいい犯罪者だ。

 

「それはありません。と言いますか……もし仮に魔剣(デュランダル)が実在したとしても、私なんかじゃなくてもっと大物、例えばレンちゃ――錐椰くんとかを狙うでしょうし」

「星伽ぃー。もっと自分に自信を持ちなよォ。アンタは武偵高(ウチ)の秘蔵っ子なんだぞー?それに、錐椰を狙うなんて、赤ちゃんに富士山とエベレストまでを繋いだ幅0.001ミリのロープを渡れって言ってるようなものだぞォー?」

「それはまぁ、そうですけど……」

 

何だよその例え方。白雪も肯定しちゃってるし。

……アリアとキンジ。分かったから『あぁ……』みたいな納得の表情で頷くのを止めろ。そんなに今の例えが適正なのか?

 

「星伽ぃ、何度も言ったけど、いい加減ボディーガードつけろってば。諜報科(レザド)魔剣(デュランダル)がアンタを狙ってる可能性が高いってレポートを出した。超能力捜査研究科(SSR)だって、似たような予言をしたんだろ?」

「でも……ボディーガードは……その……」

「にゃによぅ」

「私は、幼なじみの子の、身の回りのお世話をしたくて……誰かがいつもそばにいると、その……」

「星伽、教務科(ウチら)はアンタが心配なんだよぉ。もうすぐアドシアードだから、外部の人間もわんさか校内に入ってくる。その期間だけでも、誰か有能な武偵を――ボディーガードにつけな。これは命令だぞー」

「……でも、魔剣(デュランダル)なんて、そもそも存在しない犯罪者で……」

「これは命令だぞー。大事なことだから、先生2度言いました。3度目はコワいぞー」

 

プフゥーッ、と綴先生は白雪の顔面にタバコの煙を吹き掛けた。おい、白雪は未成年だぞ。

 

「けほ。は……はい。分かりました」

 

煙に目を細めつつ、白雪はとうとう首を縦に振った。

……難しいところだな。白雪は幼なじみ(キンジ)の世話をやきたいからボディーガードは嫌だという。それに対して教務科(マスターズ)は白雪は期待の星だから、例え眉唾モノの話でも万が一のことがあったらいけないからボディーガードを命じる。白雪もかわいそうだが、大人達の考え方も分かる。

さて、どうしたものかと考えた時に……

 

がしゃん!

 

と、アリアが通気口のカバーをパンチで開けて、ダクトから室内に降り立った。そして――

 

「――そのボディーガード、アタシ達がやるわ!」

 

と声高らかに宣言した。

おいおい……今度はどんなことが起きるんだ?




どうでしたでしょうか?

誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などがありましたら、是非感想の方へ。
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。