緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿田葉月(*`・ω・)ゞデス。

今回から第二章が始まります。そして気づけば5000文字越してる……自分でもびっくりです(なお、文才は皆無な模様)

それでは、第32話、始まります。


第二章 カゴを燃やす二対の炎翼
32話~やはり完全な黒~


(*´∀`)ノヤァ、零だ……なんか、この始まり方久し振りだな。

それはともかく、病院を超能力を使ってまた1日で退院するということをした俺は、今現在アリアとキンジの口論を聞いていた。その内容とは……

 

「キンジ、アタシの奴隷のくせに良くそんなことが言えるわね……」

「奴隷になったつもりは無いし、それにこれだけは譲らねぇ……」

 

両者が睨み合う。そして……

 

「美味しいのは桃まんよ!」

「何言ってやがる!うなぎまんだ!」

 

という、第三者視点から見ると凄くどうでもいい内容だ。

事の発端は、キンジがアリアにパシられて桃まんを買ってきた時に、自分が食べるように買ってきたうなぎまんをアリアが間違って食べた。

饅頭なのに何故か魚特有の生臭い匂いがするうなぎまんを食べたアリアは大激怒。うなぎまんに対しての文句を言うと、今度は珍しくキンジがそれにくいついて、現在に至るという訳である。

 

「アンタは桃まんのことを理解していないからそんなことが言えるのよ!この如何にも食欲をそそる外見!食べたときに伝わるモチッとした食感とアンコの絶妙なハーモニー!そんな変な魚の形になっている物とは訳が違うわ!」

「お前こそ何も分かっていない!変な魚じゃなくてウナギだ!日本の高級食品だ!それがコンビニで低価格で風味を味わえる、素晴らしい商品だぞ!そんな誰でも作れるような商品じゃない!」

 

――ガルルルル……

 

口論がかなりヒートアップして、お互いに相手に噛みつくような感じになっている。アリアはまだ分かるが、キンジがそんな風になるのは珍しい。そんなにうなぎまんが好きなのかな?

 

「零!この分からず屋に言ってあげて!桃まんが最高だってこと!」

「何言ってやがる!零、うなぎまんの方が最高だよな!」

 

おいおい、俺に振るなよ……てか俺はうなぎまん食ったことないし。まあでも一つ言うとしたら……

 

「抹茶アイス美味しい」

「「今そんなものの話を聞いている訳じゃない!」」

 

……()()()()()

 

――コンコンッ

 

「お前達……1回逝ってみるか?」

 

と俺は右足の踵で床を二回叩く。

 

「「申し訳ありませんでした」」

 

即座に二人が謝ってきた。うん、素直でよろしい。

あ、ちなみにまたリミッターをかけたぜ?リミッター外していると身体能力まであがるから、ちょっとの攻撃で下手したら重症に追い込むから、武偵法9条を破りかねん。

まあでも、『リバースランカー』達相手には外すけどな。ネリーと戦った時の教訓だ。

何てことを思っていると、キンジと俺のケータイから、メール着信音が同時に上がった。

この部屋は微妙に電波状況が悪く、たまにメールが送られてから着信するまで少し時間がかかったり、後でまとめて来たりするのだが……画面を見て、俺はギョッとした。

現在の未読メール:37件。留守番電話サービス:録音13件。

それも全部、白雪から来ている。キンジの方を見ると、どうやら同じことが起きているみたいだ。それも俺より多い。

そこには――

 

『レンちゃん、キンちゃんが女の子と同棲してるってホント?』

 

に始まり、

 

『さっき恐山(おそれざん)から帰ってきたんだけどね、神崎・H・アリアって女の子が、キンちゃんをたぶらかしたって噂を聞いたの!』

『どうして返事くれないの?』

『すぐ行くから』

 

といった感じである。

 

「ア、アリア、に、に、にに、ににに逃げろッ!」

「な、何よキンジ。なに急にガクガク震えてんのよ。キ、キモいわよ……」

「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

「って零まで!?」

「ぶ、ぶ、『武装巫女』が――うッ。マズい……」

「来たぞ……!」

 

――どどどどどどどどど…………!

 

猛牛か何かが突進しているかのような足音が、マンションの廊下に響き渡っている。

 

――シャキン!

 

金属音と共に、玄関のドアが冗談のように()()()()られた。

そこに仁王立ちするのは、巫女装束に額金(ひたいがね)、たすき掛けという戦装束に身を固めた――

 

「「白雪!」」

 

だった。

 

「やっぱり――いた!神崎・H・アリア!」

 

ここまで猛突進してきたのだろうか、ぜーぜーと息を切らせながら、般若のような顔になっている。はっきり言おう。

――超怖ぇッ!

 

「ま、待て!落ち着け白雪!」

「キンちゃんは悪くない!キンちゃんは騙されたに決まっている!」

 

キンジが落ち着かせようとするも、白雪は話を聞いてない。

 

「ア、ア、アリアを殺して私も死にますぅー!」

「何でアタシなのッ!人違いよ!」

 

アリア、白雪相手にそれは通じないんだ。

 

『錐椰 零の名の下に』

『アリアの身体能力を5分間2乗に!』

 

俺は今から起きることを想定して、アリアが死なないように能力を使う。

そして俺は一目散にベランダに向かう。

なぜベランダに向かうのかって?防弾性の物置があるからだよ!

俺が物置に入った瞬間、『破壊神』である俺もびっくりするほどの破壊音が聞こえてきた。

 

「零!俺も入れてくれ!」

 

そしてキンジも説得に失敗したのか、慌てて物置に入ってきた。

女子相手に逃げ出す男?『Sランク内最強』の名が泣く?なんとでも言え。

――そんだけ今の白雪が怖いんだよ!

 

 

 

 

 

星伽の巫女は、武装巫女。

どっかのスピリチュアルなアルバイトさんも巫女をやっているが、白雪の実家こと星伽神社は、長い歴史の中で何と武装してご神体を守っているのだ。

で、白雪を見れば(今の白雪は見たくない)分かるが、星伽の巫女は、強い。

どれぐらい強いかっていうと、彼女も銃弾を日本刀で弾ける。いわば()()じゃない。

彼女の強さの源は、鬼道術(きどうじゅつ)という『超能力』の一種だ。

とかなんとか考えていると破壊音が止まったので、俺とキンジはそーっ……と防弾物置から出た。

 

「……なあ、キンジよ」

「……なんだ?」

「ここ、俺達の部屋だよな?」

「……そうだ」

「……台風でも来たのか?」

「……台風の目ならそこにいる」

「……(´Д`)ハァ……」

 

――壁には至る所に弾痕やら斬撃の跡ができ、部屋に置いてあったテレビや食器やソファーなどが、見るも無惨な姿に成り果てていた。あ、あれ俺のお気に入りのコップだ……

 

「はぁ……はぁ……なんて、しぶとい、どろ、ぼう、ネコ……」

 

白雪は日本刀を杖のようにしてなんとか立ち、ぜーはーと荒い息をしている。ここ地面じゃなくて床だってこと分かってる?

 

「あ、あんたこそ……とっとと、くたばり、なさいよ……」

 

アリアは床に尻をつき両膝を立て、上体が後ろに倒れるのを腕で支えている。

見たところ引き分けだな。てかアリアの身体能力2乗にしたのにそれと引き分けるって……白雪マジ怖い。

 

「……で、決着はついたのか。見たところ引き分けっぽいんだが」

「――キンちゃんさまっ!」

 

キンジが物置から出てきたことにいま気付いたらしい白雪は、刀をがしゃんと脇に置き、よろよろとその場に正座し、顔を両手でおおった。

 

「しっ、死んでお詫びしますっ、きっ、キンちゃんさまが、私を捨てるんなら、アリアを殺して、わ、私も今ここで切腹して、お詫びしますっ!」

 

白雪だったらマジでやりそうだから笑えない。

てかキンちゃん様って、接尾詞が2つついてるし。

 

「あ、あのなー……捨てるとか拾うとか、なに言ってんだ」

「だって、だって、ハムスターもカゴの中にオスとメスを入れておくと、自然に増えちゃうんだよぉー!」

「意味が分からん上に飛躍しすぎだ!」

 

俺は意味は分かるが、何故その話が出てきたのかは俺にも分からん。

と考えていると、白雪がガバッと泣き顔を上げた。

 

「あ、あ、アリアはキンちゃんのこと、遊びのつもりだよ!絶対そうだよ!」

「ぐえっえぐえ襟首をつかむな!」

「私が悪いの、私に勇気が無かったからキンちゃんは外にっていうか内に女を……」

「それ以上勇敢になられても困るわよ」

 

おいアリア!今の流れだと会話だけで解決出来ただろ!

横から憎まれ口を叩いたアリアめがけて、

 

「キ、キンちゃんと恋仲になったからっていい気になるなこの毒婦!」

 

白雪はキンジを床に放り投げると、じゃらっ!

袖に仕込んでいた鎖鎌をアリアめがけてブン投げた。

 

「ハァッ!?恋仲!?」

 

アリアは銀のガバメントを盾にしながら叫ぶ。

 

「何でアタシとキンジが恋仲にならなきゃならないのよ!」

「じゃあキンちゃんはアリアの何なの!恋人じゃないの!?」

 

ギリギリリと鎖鎌を引っ張り合いながら喋る二人。

 

「キンジは奴隷に過ぎないわ!」

「ど、奴隷!?」

 

あー、やっちまったぞアリア。

白雪は何を想像したのか、火がついたように真っ赤になる。

 

「そ、そんな……イケナイ遊びまで、キンちゃんにさせてるなんて……!」

「な、ななな、なにバカなこと言ってんのよ!違うわよ!」

「違わない!わ、私だってその逆のは頭の中で考えたことあるから分かるもん!」

 

武偵高大丈夫か?白雪を生徒会長にしておいて。

 

「ちがうちがうちがうちがうち――が――う――!キンジ!」

 

白雪と喋るのでは拉致が開かないと思ったのか、今度はキンジを睨む。

 

「このおかしい女が湧いたのは、100%アンタのせいよ!何とかしなさい!そうしなきゃ後悔させてやるんだから!」

 

多分もうしてる。

 

「……えっーとだな。おい……白雪」

「はい!」

 

呼ばれた白雪は鎖鎌をぱっと放して俺の方に正座し直した。あ、アリア転んだ。

 

「よく聞け。俺は零とアリアのパートナーと、一時的にパーティーを組んでるに過ぎないんだ」

「……そうなの、レンちゃん?」

 

何故俺に振るし。

 

「も、勿論だ」

「……そうなの?」

「そうだぞ白雪。お前、俺のあだ名を知っているだろう?」

「……女嫌い」

「だろ」

「あと、昼行灯(ひるあんどん)

「それは今関係ない」

「は、はい」

「というわけでお前のそのよく分からない怒りは誤解であり無意味なんだ。だいたい俺がこんな小学生みたいなチビと「風穴」そんな仲になったりするワケがないだろう?」

 

キンジ、見事にアリアをスルーしたな。アリアが疲れてなかったら文字通り風穴があいていただろう。

 

「で、でも……キンちゃん」

 

お?珍しく白雪が意見を出してきたな。普段ならこれで終了なのに。

 

「なんだ?」

「それ……」

 

と、白雪が指差したのは、キンジのポケットから顔を出している『レオポン』が。

そして今度はアリアのスカートのポケットに移る。そちらにも『レオポン』が。

 

()()()()()してるゥゥゥー!」

 

叫んだ白雪は涙を噴水みたいにほとばしらせた。

 

「ぺあるっく?」

 

アリアはペアルックという死語を知らないみたいだ。

 

「ペ、ペアルックは好きな人同士ですることだもん!私、私、何度も夢見てたのに!」

「だーかーらー!アタシとキンジはそういうんじゃないのよ!こんなヤツとなんて、1ピコグラムもそういう関係じゃない!それに零もしてるでしょ!」

 

少しいい感じになってきたと思ったが、また振り出しに戻ったな。てかアリア、ピコグラムって……

 

「こら白雪。お前、俺の言うことが信用出来ないのか?」

 

キンジ、両肩を掴んでそう言うのは反則だ。それを言われると何も言えなくなる……流石、天然の女たらしだな。

 

「そ、そんなんじゃないよ。信じてる。信じてますっ……」

 

とはいえ、ようやく態度を軟化してくれた白雪。よかった、これで一件落着……

 

「じゃあ、じゃあ、キンちゃんとアリアは、()()とかしてないのね?」

「そんなことするわけ――」

 

……()()、ですか。

その単語で、俺とアリアが見合わせた。

思い出すのは、この前のハイジャックのこと。あの時はアリアの興奮を抑えるためにやって、そのあと色々あったからウヤムヤになってたが……

アリアは顔を真っ赤にして、そのまま俯いてしまった。かくいう俺も頬が熱い。

キンジが『あー、そういえばそんなことあったなー』的な顔をすると、

 

「え?あれ?」

 

白雪が俺とアリアを見て困惑していた。

 

「もしかして……」

 

そして何かに気付いたように、白雪はアリアの側に行き、ゴニョゴニョと何か耳元で呟いた。

それを聞いたアリアは驚いたように顔を上げ、そして俺と目が合うと更に顔を赤くしてまた俯いた。

 

「なんだ……そうだったの……」

 

白雪はそう言ったと思ったら、さっきまでの顔はどこに行ったのかというくらいに慈愛に満ちた顔になった。

 

「ごめんねアリア……さっきまで勘違いしてて。でもこれからは相談相手になってあげるよ……レンちゃんの小さい時の写真とかあるよ?」ボソッ

「!ホント!?」

 

白雪がアリアに謝ったと思ったら何かをアリアに呟いて、アリアがそれに反応する。

 

「うん、私にできることがあったら何でも言って!同じ想いを持っている子は応援するよ!」

「ホントに!?ありがと、白雪!」

 

と思ったら今度は握手した。一体何が起こっているんだよ……

 

「白雪、早速聞きたいことがあるんだけど……」

「うん、どんなこと?」

 

そして二人は和気あいあいとしながらアリアの自室(にしている)に入っていった。

 

「……キンジよ」

「……ああ」

 

残された俺とキンジは……

 

「「部屋片付けるか……」」

 

取りあえず壊滅した部屋を片付けることにしたのだった……




どうでしたでしょうか?

誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などがありましたら、是非感想の方へ。
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ。

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