緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿田(ろくた)葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。
体調良くなってきたし、筆も乗ったし、久しぶりの連日投稿です!次がいつになるやら……
それと、今回から少し書き方変えました。会話文の地の文を一行あけています。
それでは、第27話、始まります。


27話~用心棒~

リュパン……か。どうりでな。

リュパンとは、探偵科(インケスタ)の教科書にも載っている、フランスの大怪盗だ。

 

ル○ン・ザ・サ~ド♪

 

……今違うものが出てきたような……気のせいか。

 

「でも……家の人間はみんな理子を『理子』と呼んでくれなかった。お母様がつけてくれた、このかっわいい名前を。呼び方がおかしいんだよ」

「おかしい……?」

 

アリアが呟く。

 

「4世。4世。4世さまぁー。どいつもこいつも、使用人どもまで……理子をそう呼んでたんだよ。ひっどいよねぇ」

「そ、それがどうしたってのよ……4世の何が悪いってのよ」

 

ハッキリと言ったアリアに、理子はいきなり目玉をひんむいた。

 

「――悪いに決まってんだろ!!あたしは()()か!?あたしはただのDNAかよ!?あたしは()()だ!数字じゃない!どいつもこいつもよォ!」

 

突然キレた理子は――

俺達ではない、誰かに対して、叫んでいた。

ここではない、どこかに対して怒っていた。

 

「曾お爺様(じいさま)を超えなければ、あたしは一生あたしじゃない、『リュパンの曾孫』として扱われる。だからイ・ウーに入って力を得た……100年前、曾お爺様同士の対決は引き分けだった。つまり、オルメス4世を(たお)せば、あたしは曾お爺様を超えたことを証明できる。あたしは、手に入れた力でもぎ取るんだ――あたしをッ!」

 

……なるほど、言いたいことは良く分かった。

 

「……それで、やるのか?こちらは3人だぞ?しかもSランク1人に『Sランク内最強』1人に元首席候補1人だぜ?」

 

俺の言葉を合図に、俺達三人は臨戦態勢に入る。

 

「……確かに、オルメスの一族にはパートナーが必要だ。曾お爺様と戦った初代オルメスには、優秀なパートナーがいた……だが、お前みたいな化け物ではなかったがな、零」

 

……なるほど、『化け物』ね。そう思われても仕方ないか。それに、初めて理子から『零』って呼ばれたな。

 

「……だからこそ、目には目を、歯には歯を、公式チーターには――非公式チーターを。入ってきて」

 

と、理子の声で、コツ、コツ、と歩いてくる音が聞こえてきた。操縦室からだな。

そちらを見てみると――

 

武偵高の制服を身に(まと)い、

銀髪というより、白髪に少し銀色が混じっているような髪を肩より少し伸ばしていて、

目鼻立ちがくっきりとしていて、

脚がスラッと伸びた、美少女がいた。

 

「――ッ!」

 

俺はその少女を見て、動けなくなった。

 

「さっきのアテンダントみたいだな……武偵高の制服着てるけど……」

「ええ……しかし、あんな奴見たことがないわ。零の相手にならないと思うけど……」

 

キンジとアリアが少女を見て呟く。

 

「――零、久しぶりね」

 

その少女が俺にそう言ってくる。

 

――アリア、アリアが言ったことは半分正解で半分外れだ。確かに相手にならないだろう。

 

「ああ、久しぶりだな。ネリー」

 

俺はその少女、ネリーを見ながらそう言う。

――ただ、相手にならないのは彼女ではなく……

 

 

「それで、何しに来たんだ?『リバースランカー』――『技神』さんよ?」

 

 

――俺の方だ。

 

 

 

 

 

 

「零……一体何者なんだ彼女は?」

 

俺の表情を見てただ事ではないと判断したのだろう、キンジが真剣な顔で聞いてくる。

 

「ああ、ネリーは……」

「待って、自己紹介くらいするわよ」

 

そう言ってネリーは微笑んだ。

 

「初めまして、ネリー・リチャードと言います。以後お見知り置きを」

 

そう言って深々と頭を下げてくるネリーに、キンジがつられて頭を下げる。

 

「今はパリ武偵高、二年強襲科(アサルト)Cランクとして活動して――」

「――そんな表向きのプロフィールは今はいいだろ」

 

ネリーが今はいらない情報を流そうとしているので止める。

 

「あら?一応零が言わせたいことは最重要機密事項になっているものだけど、いいのかしら?」

「ああ、俺が許可させる」

「へぇ~」

 

そう言った俺に、ネリーは少し驚いた表情でキンジとアリアを見る。

 

「良かったね、あなた達。今の、零から信用されてるってことよ」

「言わなくていいからさっさと本当のこと言え」

 

ハイハイ、と言って手をフラフラッ、と左右に振るネリー。

 

「じゃあ本当のこと言うわね……あたしは『リバースランカー』と呼ばれる者よ」

 

さっきまで微笑んでいた顔が急に表情を消した。

 

「『リバースランカー』って何かは知らないわよね……『リバースランカー』は、表向きはB~Dランク、最高でもAランクなんだけど、実際は生まれつき圧倒的な強さを持つ者のこと。そして、武偵活動の表面上は平凡なんだけど、裏ではプロ武偵が何十人いても歯が立たないような依頼をこなしたり、国からの任務を遂行したりするのよ。当然汚れ仕事もあるわ。言っちゃえば『裏の武偵』ね」

 

「「なっ――」」

 

キンジとアリアが、揃って目を見開く。

 

「そして、『リバースランカー』と呼ばれる者は『神』と呼ばれる称号もつくのよ。あたしは『技神』――まあ正直誰も『リバースランカー』のことすら知らないから、称号なんて飾りにしかならないけど」

 

そう、『リバースランカー』は本当に一部の者だけしか知らない。知ったら最期――消されてしまうから。

 

「で、でも零は、零は勝てるよね!?」

 

アリアがそう言ってくるが――

 

「――そんな訳ないじゃない。少なくとも、()()零じゃ」

 

そうバッサリとネリーが言う。

 

「それは一番あなたが分かっているはずよ、零。いや――」

 

 

「元・『リバースランカー』、『破壊神』さん?」

 

 

……ついに言ったか……

 

「えっ……どういうこと?零?」

「そのまんまだよ。俺は昔、『リバースランカー』だったんだよ」

 

俺の告白に、キンジとアリアが驚く。

 

「『リバースランカー』は生まれつき圧倒的な強さを持っていることが条件なんだ。そして、国からの依頼ももらうくらいだ……負けることなんてあり得ないんだよ……でも」

「でも零は負けてしまったのよ。13才の時に」

 

俺の言葉を、ネリーが繋げた。

 

「……えっ?13()()の時って……もしかして」

 

アリアが何かに気づいたような顔をする。

 

「ああ、そうだアリア。俺がアリアの前からいなくなった理由――それは、事故で両親を失ったんじゃなくて、()()()との勝負で負けて、両親を殺されたんだ。そして――」

 

そこで俺は我に返り、

 

「いや……とにかく、それで『リバースランカー』を剥奪。以来国からはRランクにもなることも許されず、かといって下げすぎると反発がくると思ったのか、『Sランク内最強』の称号が与えられたんだ。そんなことする気はないけどな」

 

と、少し言葉を濁してそう言った。

 

「そう……だったの……」

 

アリアは少し俯いた。色んな情報が飛び交っていて、頭の中が整理できていないんだろう。

 

「待てよ」

 

とキンジがネリーに言った。

 

「何?」

「確かに零が負けたことは分かった。だけど零が弱くなったわけじゃない、それなのにどうして零が勝てないことになるんだ」

 

とキンジが最もらしい質問をする。が……

 

「えっと……遠山くん、で良かったかしら?」

「あ、ああ」

「何で零が『錐椰 零の名の下に』って言うと思う?」

「はっ?」

 

ネリーのいきなりの質問に戸惑うキンジ。

 

「おかしいとは思わない?何で毎回言っているのかって」

「それは……発動するための条件なんじゃないのか?」

「50点。確かに発動するための条件ではあるわ。でも、零が負けるまでは、何も言わずに能力を使っていたわ」

「なっ――」

「つまり何が言いたいのかっていうと、零はわざと発動条件を付けているっていうことよ。それに、もう1つ制約をつけている」

「もう1つ?」

「それは――」

「同じ系統の能力を一定期間内には使わない」

 

ネリーの言葉を遮って、俺が言った。

 

「キンジは知っているよな?俺がサーチ能力を使ったことを」

「あ、ああ」

 

あれはキンジが青海の猫探しの依頼を受けた時だ。その時に俺が使った能力ですぐに見つかった。

 

「あれを使えば『武偵殺し』がどこにいるかとか、そういうのは全部分かったはずじゃないか?」

「……」

 

俺の言ったことに、キンジはようやく気づいたような顔をする。

 

「そう、俺は自らリミッターを掛けているんだ。せめてもの、ケジメとして」

「ケジメ……?」

「ああ」

「……で、そろそろいいかな?」

 

と話していると痺れを切らしたのか、理子が少し声を震わせながら言ってくる。

 

「ああ、すまなか――」

 

ヒュンッ、サッ

 

――たな、と続けようとしたが、目の前に刃物が来たので避ける。

そしてさっきまでいた俺の場所には、傷跡ともいえないキレイな切り込みが床にあり、そこには、トンファーに刃がついたような物を二本手にしたネリーがいた。

 

「『風月』――それがこの武器の名前。まあ、私はタガーって呼んでるけど」

「そうかい」

「ちなみにどんな武器か分からないって人はファン○タのタガーを思ってもらえると良いよ」

「お前は誰に言っているんだ?」

「私はポー○ブル――つまり、通称P○Pが好きだったんだけど……でもPS○がもうソフト販売しなくなったから……」

「メタ発言は控えようか」

 

何てことを言ってはいるものの、背中には冷や汗が伝う。

 

「まぁ、この程度は避けられることは分かったし……そうね、遊んであげる」

 

そう言って今度は微笑むんじゃなくて、愉しむように笑うネリー。その後ろでは、アリアと理子が戦闘を始めている。

さて……どうするか……

 

 

「さぁ……風舞う私のフィールド(戦場)にようこそ」




どうでしたでしょうか?
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それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ

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