緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿田(ろくた)葉月(はづき)(*`・ω・)ゞデス。
インフルエンザに見事にかかってしまいました……申し訳ありません。それと、お気に入り350件有難うございます!

それでは、第26話、始まります。

まだ頭痛いや……


26話~『武偵殺し』~

( *・ω・)ノヤァ、零だ。現在は午後7時。俺とアリアは今夜、イギリスにチャーター便で向かう。

ちなみに俺達が乗っているのは『空飛ぶリゾート』と言われている、全席スィートクラスの超豪華旅客機だ。座席ではなく高級ホテルのような12の個室を機内に造り、それぞれの部屋にベッドやシャワー室までもを完備した、いわゆるセレブご用達しの新型機だ。

金髪と銀髪のアテンダント二人に案内されながら部屋に入る。

 

「もうすぐ離陸だな」

「そうね」

「しっかし、久しぶりにイギリスに行くな~。着いたら何しようかな?」

「メヌに会いに行かないの?あの子、零がいなくなった時に珍しく大泣きしたのよ?」

「メヌエットかぁ……そういや連絡してないな、悪いことしたなぁ……」

 

アリアとそんな話をしていると、

ぐらり。

機体が揺れた。離陸準備に入ったな。

そのまま滑走路に入って、離陸した。

 

 

 

 

 

離陸まもなくして、ガチャっ、個室の扉が開いた。そこにいたのは――

 

「……キ、キンジ!?」

 

アリアが突然入ってきたキンジに対して驚いている。そりゃそうだ。キンジには言ってなかったんだから、キンジが来るのはあり得ないことだ。

 

「……さすがはリアル貴族様だな。これ、チケット、片道20万ぐらいするんだろ?」

「――断りもなく部屋に押しかけてくるなんて、失礼よっ!」

「お前にそれを言う権利はないだろ」

 

アリアは自分が俺の部屋に押しかけたことを思い出したのだろう。

うぐ、と怒りながらも黙る。

 

「……なんでついてきたのよ」

「太陽は何で昇る?月はなぜ輝く?」

「うるさい!答えないと風穴あけるわよ!」

 

セリフをパクられてカッとなったのか、アリアはホルスターに手をかけた。

 

「まぁまぁ、アリア落ち着けって……それで?何でキンジはついてきたんだ?教えてないし、そもそもアリアとの契約は終了しただろ?」

 

そう、キンジはバスジャックが終わった時にもう契約は終了しているのだ。それなのに何故……?

 

「武偵憲章二条。依頼人との契約は絶対守れ」

「……?」

「俺はこう約束した。強襲科(アサルト)に戻ってから最初に起きた事件を、一件だけ解決してやる――『武偵殺し』の一件は、まだ解決してないだろ」

「……クッ」

 

キンジが言ったことに対して俺は思わず笑ってしまった。

それを見たキンジは怪訝そうな顔をする。

 

「何がおかしいんだよ」

「いや、やっぱりお前は『正義の味方』――遠山金四郎の血を引き継いでいる者だよ」

 

時代劇とかで皆も聞いたことないか?

 

『――この桜吹雪、見覚えがねぇとは言わせねぇぜ――!』

 

って言うやつ。あの人だ。なんでもあの人もヒステリアモードのDNAを持っていて――露出狂のケがあったのか、もろ肌を脱ぐと急激に知力体力を高めることができる人だったらしい。

 

「何だよそれ」

「さぁてね」

 

そんなやりとりをしていると、

 

「帰りなさい!」

 

アリアが切れた。

 

「ロンドンについたらすぐ引き返しなさい。エコノミーのチケットくらい、手切れ金がわりに買ってあげるからっ。アンタはもう他人!アタシに話しかけないこと!」

「元から他人だろ……それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。零なら分かっているんじゃないか?」

「……はぁ?何を言って――」

 

キンジが言ったことにアリアが首を傾げると……

 

パン!パァン!

 

――音が機内に響いた。

それは、俺達武偵の生徒が最も聞き慣れた音――

銃声――!

 

狭い通路に出るとそこは、大混乱になっていた。

12の個室から出てきた乗客たちと、数人のアテンダント――文字通り老若男女が、不安げな顔でわあわあ騒いでいる。

銃声のした機体前方を見ると、コクピットの扉が開け放たれている。

そこにいたのは、さっき俺とアリアを部屋まで案内した金髪と銀髪のアテンダント二人。

そいつらが、ずる、ずる、と機長と副操縦士を引きずり出してきている。

二人のパイロットは何をされたのか、全く動いていない。

どさ、どさ、と通路の床に二人を投げ捨てたアテンダントを見て、俺とキンジは拳銃を抜いた。

 

「――動くな!」

 

キンジの声にアテンダント達は顔を上げると、にぃッ、と、その特徴のない顔で笑った。

そして1つウィンクをして操縦室に引き返しながら、

 

「「Attention Please.(お気を付けください)でやがります」」

 

ピン、と音を立てて、胸元から取り出したカンを放り投げてきた。

 

「――みんな部屋に戻れ!ドアを閉めろ!」

 

足元に転がってきたカンを見て、ガス缶だと思ったのだろう、キンジが乗客全員にそう叫んだ。

乗客がそれを聞いて部屋に戻るなか、俺はアテンダント達を追おうとしたが、

 

「零!何やっているんだ!早く来い!」

「ちょっ……おい!」

 

キンジに腕を捕まれて部屋に引きずられた。

パタン、と扉を閉める一瞬前に――飛行機はグラリと揺れ、パチン、と機内の照明が消え、乗客たちが恐怖に悲鳴を連ねた。

 

 

 

 

 

暗闇はすぐに、赤い非常灯に切り替わった。

 

「零!何で追いかけようとした!ガス缶が目に入らなかったのか!」

 

とキンジが言ってきたが、

 

「バカかキンジ」

「なっ……何でバカにされるんだよ!」

「もしあれがガス缶だったとしたら、何で投げてきたアテンダント達がガスマスクしていないんだよ?」

「――ッ!クソッ!一本取られたか……」

 

キンジは悔しそうに壁を殴った。

 

「それよりキンジ、1つ聞かせろ。『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』って言ったよな?っていうことは、キンジ()こうなることが分かっていたっていうことで良いんだな?」

「ああ」

「ちょっと、一体どういうこと?それにキンジ()って……零もこうなること分かっていたっていうこと?」

 

アリアが混乱しているような感じで聞いてくる。

 

「ああ、アリア。まず1つ言っておくことがある……俺は始めから、イギリスに行くために飛行機に乗った訳じゃないんだ」

「……え?」

「『武偵殺し』はバイクジャック、カージャックから事件を始めているのは分かるな……調査の時に分かったんだが、シージャックで――ある武偵を仕留めた。そしてそれは、直接対決だった」

 

俺の話を聞いて、少しキンジが俯いたが、今は話を続ける。

 

「……どうして」

「そのシージャックは違う事件とされていたからな。電波も傍受してなかったんだろ?」

「う、うん」

「『武偵殺し』は電波を出さなかった。つまり、船を遠隔操作する必要がなかった。ヤツ自身が、そこにいたからだ」

 

……この話はすべてキンジに関係することだが、今は説明する時間がない。

 

「ところが、バイク・自転車・船と大きくなっていった乗り物が、ここで一度小さくなる。俺とキンジのチャリジャックだ。次がバスジャック」

「……!」

「ここまで言えば分かるか?ヤツはかなえさんに罪を着せ、アリアに宣戦布告したんだ。そしてシージャックと同じ三件目で、今アリアと直接対決しようとしている。この、()()()()()()で」

 

推理が苦手なアリアが、ぎり、と悔しさに歯を食いしばる。

 

「――だからこそ、誘った」

「えっ?」

「アリア。逆を返すと、今まで出てこなかった『武偵殺し』と直接対決できるってことなんだ。このチャンスは逃す訳にはいかない」

「……そうね。どこのどいつだか知らないけど、アタシ達を嘗めてくれたこと、後悔するといいわ」

 

そこに――

ポポーンポポポン。ポポーン。ポポーンポポーンポーン……

ベルト着用サインが、注意音と共に不自然な点滅をし始めた。

 

「……和文モールスか……」

 

オイデ オイデ イ・ウー ハ テンゴク ダヨ

オイデ オイデ ワタシ ハ イッカイ ノ バー ニ イルヨ

 

「……誘ってるな」

「上等よ。風穴あけてやるわ」

 

と久しぶりに風穴宣言を聞きながらバーに向かう。

 

「一緒に行く。()()()が役に立つかどうかは、分からないけど」

「来なくていい」

 

キンジの申し出をアリアが拒否した途端――

ガガーン!

雷の音が聞こえてきた。だいぶ近いな、雷雲の近くを飛んでいるのか?

 

「きゃっ!」

 

雷がなった瞬間、アリアが驚いて俺に抱きついてきた。

 

「れ、れい~」

 

……そういえばアリア、雷苦手だったな。

 

「キンジ、ついてきてくれ。アリアのオシメを替えることくらいできるだろ?」

「ちょっ、零!それどういうこと!?」

 

 

 

 

 

床に点々と(とも)る誘導灯に従って、俺達は慎重に一階へと降りていく。

一階は――豪奢に飾り立てられたバーになっている。

その、バーのシャンデリアの下。

カウンターに、足を組んで座っている女がいた。さっきの金髪のアテンダントの方だ。

そのアテンダントは、武偵高の制服を着ていた。

それもヒラヒラな、フリルだらけの改造制服――だ。まさか……

 

「今回も、キレイに引っかかってくれやがりましたねぇ」

 

言いながら……ベリベリッ。

アテンダントはその顔面に被せていた、薄いマスクみたいな特殊メイクを自ら剥いだ。

中から出てきたのは――

 

Bon soir(こんばんは)

「――理子!?」

 

くいっ、と手にした青いカクテルを飲み、パチリ、と俺達にウィンクをしてきたのはやはり、理子――だった。

 

「アタマとカラダで人と戦う才能ってさ、けっこー遺伝するんだよね。武偵高にも、お前たちみたいな遺伝系の天才がけっこういる。レイレイは違うみたいだけど。でも……お前の一族は特別だよ、()()()()

 

――ッ!どうして理子が、アリアの『H』家の名を――

 

「あんた……一体……何者……!」

 

眉を寄せたアリアに、にやり、と理子が笑う。

 

「理子・峰・リュパン四世――それが理子の本当の名前」

 

その顔を、窓から入った稲光が照らした――




どうでしたでしょうか?
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それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ

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