緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿(ろく)()()(づき)です。
今回は前書きはそこそこに、第22話、始まります。(書くことないなんて言えない)


22話~動き出す歯車~

ーsideあかり視点ー

 

「あかり、これ見たか?」

「何?ライカ」

 

あ、どうもm(_ _)mペコリ。あかりです。今あたしは武偵高の教室でライカと話しています。

 

「錐椰先輩の経歴が書いてあるぞ」

 

そう言ってライカが見せてきたのは武偵高新聞(武偵高のことについて詳しく書かれている新聞だ)。そこに錐椰先輩の写真がでかく貼られていて、「捜査完了!これが『紅電』の経歴だ!」と書かれている。どうでも良いけど、ネーミングセンスが低い。

 

「錐椰先輩、これまで色々なことしているんだな。『三大マフィア抗争鎮圧』とかは割と有名だけど、他にも『テロリスト団体壊滅』とか『時効寸前の極悪犯罪者の捜索、逮捕』なんてのもあるぞ。強襲成功率なんか100%で世界ランカー達をぶっちぎっているし」

 

ライカが錐椰先輩の経歴を喋っているが、あたしは記事のある一点に注目する。

 

「何より武偵違反がゼロなのがステキ!まさに完全無欠の武偵っ!」

「はいはい、わっーてるわっーてる」

 

あたしが興奮して喋っているのに対してライカは軽く受け流している。もっとちゃんと聞いてほしいのに……って、

 

「あれっ?車輌科(ロジ)のヘリ……?」

「緊急着陸運動だな」

 

バラバラと外から音が聞こえてきたので見てみると、大雨の中とんでいるヘリを見つけた。

 

(中に乗っている人は……あ、アリア先輩の友達の人だ。確かレキ先輩だったかな?)

 

そう思っていると、今度はピーポーピーポーと救急車の音が聞こえてきた。

その瞬間、あたしは何かイヤな予感がして、教室を飛び出してヘリの着陸地点まで走った。

そこには人だかりが出来ていたので掻き分けながら前に進むと、

 

「――腹に原因不明の傷!意識不明!心拍不整!」

「ねぇ零!起きてよ零!大丈夫だよね!?返事をして!」

 

――そこには、腹の周りが血だらけになっている錐椰先輩を運ぶ遠山先輩と、泣き叫びながら錐椰先輩に話し掛けるアリア先輩がいた。

 

(……えっ?何、どういうこと?何でアリア先輩が慌てているの?いやそれよりも、錐椰先輩が怪我をしている?えっ?何で?嘘だよね?だって錐椰先輩は完全無欠の武偵……)

 

あたしはそれを見た時、何が起こっているのかサッパリ分からなくて、混乱していた。そんな間に錐椰先輩が救急車に運ばれて、そのまま走り去ろうとしている。

 

「――零さーん!」

 

あたしはそこでようやく混乱から覚めて救急車を追おうとするけど、相手は車。どんどん離されていく。途中で足がもつれて転んでしまい、そして救急車が完全に見えなくなった。

 

(そんな……錐椰先輩だけじゃなくてアリア先輩も元主席候補の遠山先輩も狙撃科(スナイプ)の先輩もいたのに……一体、誰に……?)

 

 

 

 

 

「グスッ……錐椰先輩……錐椰先輩……」

 

あたしはおぼつかない足取りで大雨の中、傘も指さずに泣きながら街中を歩いていた。近くにいた人が心配そうな表情をしている。

 

「――間宮あかり」

 

――すると、イキナリ雨が当たらなくなって名前を呼ばれた。不審に思って見てみると、そこにはあたしに傘を指している美少女がいた。

セーラー服を身に(まと)い日本人形の様に切り揃えられた黒髪を持つ、クールな雰囲気の美少女。だが左手にはリボンのついた白い手袋をしている。

その少女を見て、あたしは驚愕した。

――あたしは、この少女のことを知っている……!

 

「……夾竹桃(きょうちくとう)

「おいで」

 

そう言って夾竹桃は歩き出した。

 

(どうしよう、夾竹桃はあたし達間宮の敵。何をされるか分からない。でもこのタイミングで夾竹桃が出てきたってことは、さっきの事件に関係あるかもしれない。なら――)

 

あたしはそこまで考えると、黙ったまま夾竹桃についていく。

それを横目で見た夾竹桃が、少し笑ったような気がした――

 

ーsideあかりoutー

 

 

 

 

 

ーside零ー

 

「ん……ここは……病院か」

 

俺が目を開けると、真っ白な天井が見えた。その後にキョロキョロと辺りを見回すと病室だということが分かった。

 

「ええっと……そうだ、確か俺は腹を……イテッ」

 

だんだんと意識が覚醒してきたからか、腹が痛くなってくる。だが治療が終わったからか、少しズキズキとくるだけだ。

ガラガラ

すると、病室のトビラが開いて、アリアが入ってきた。

アリアは沈んだ表情で入ってきたが、俺が起きているのを見るとキョトンとした表情になる。

 

「( *・ω・)ノヤァ、アリア。起き「零!」たぞってグフォッ!」ドンッ

 

取りあえず起きたことを知らせようとすると、アリアが目に涙を浮かべて突進してきた。そしてそのまま抱き締めてくるが俺今腹痛いからってイタタタタ!

 

「ア、アリア痛い痛い!俺今腹に傷があるから!」

「あ!ゴ、ゴメン……」スッ

 

フゥ~、ようやく離してくれたか……

 

「ねぇ零、大丈夫なの?傷痛くない?何か食べたい物ある?」

 

そう言って心配してくるアリア。手には何やら桃やリンゴなどが入っているレジ袋を持っている。心配してくれるのはありがたいが、俺は風邪を引いている訳じゃないぞ?

 

「ああ、大丈夫だよ。少しズキズキするくらいだ」

「そ、そうなの。良かったぁ……」

 

俺の言ったことに安堵したのか、アリアがほっと息をつく。

 

(……ん?何かアリアに違和感があるぞ……あ、ヘアピンが無いのか)

 

アリアの形の良いでこが前髪で隠れていることに気づいた俺はアリアに聞いてみる。

 

「アリア、ヘアピンはどうした?忘れてきたのか?」

「ああ、ヘアピン?実は爆弾解体している時にルノーにぶつけられてヘルメットが割れて、ヘアピンと一緒にとれちゃったの。そのままレインボーブリッジの海の中に入っちゃったから見つけられないし。また新しいの買わないとなぁ……」

 

成る程、そういうことがあったのか。頭を怪我したとかそういうのじゃなくて良かった。

 

「でも買わなくて良いんじゃないか?前髪があると少し大人っぽく見えるぞ」

「え!?ホント!?」

 

俺が思ったことを言うと、アリアは結構喰いついてきた。

俺は改めてアリアの顔を見る。今までずっとおでこを出していたから、前髪があると新鮮に感じる。それに少し大人っぽく見える。

 

「ああ、ホントだぞ」

「そう……じゃあこれからこのままにしようかな」

「良いのか?」

「ええ」

 

とここまで楽しく会話していたのだが、アリアが真剣な表情になったので俺も真剣になる。

 

「零、いつ退院出来そう?」

「どうした?何かあるのか?」

「決まってるわよ、『武偵殺し』を捕まえるのよ。敵討ちよ」

「イヤ、俺死んでないんだが……」

 

俺の目の前で拳を握って決意するアリア。しかし言葉を間違えてないか?それだと俺死んでいることになるんだけど。

 

「それで、いつ頃に退院出来そう?」

 

再度確認してくるアリア。俺はそれを聞いて時計を確認する。

 

「16時か……なら20時だな」

「分かったわ、20時ね……ってそんなの無理に決まっているじゃない!」

 

俺の言ったことに一度頷いたが、即座に大声で叫ぶ。ここ病院ってこと忘れてないか?

 

「落ち着けアリア」

「落ち着ける訳(ヾノ・∀・`)ナイでしょ!重症なの分かってる!?」

 

いや混乱しすぎだぞアリア。顔文字になってるし。

 

「ああ、分かってるよ」

「なら何で……」

 

アリアが何かを言い切る前に俺は両手を広げる。

 

『錐椰 零の名の下に』

『自然治癒能力を二乗に』

 

そう言って俺は手を降ろした。

 

「――俺だからな」

「……そうね、零だもんね」

 

アリアは少し黙ったあと、何か納得したような表情になった。

 

「ところでキンジはどうした?」

「ああ、キンジならさっき帰っていったわよ。『零が起きたら連絡してくれ』って暗い表情で言っていたわ。他にも沢山の人が来てたわよ?」

 

そう言われたのでもう一度辺りを見回すと、何か見舞品らしき物が沢山あるぞ。花もあるな、白百合(カサブランカ)の花か。『レキより』ってこれレキが持ってきてくれたのか!?何か意外だ……

 

「まぁ後でキンジに連絡しておくとして、20時まで何してる?」

「そうだなぁ……あ、アリア、『武偵殺し』の資料持ってないか?」

「持っているけど」

「じゃあ貸してくれ」

「どうするの?」

「どうするかって?決まってる、勝負は既に始まっているからな」

 

そう言って俺はニヤリと笑った。

待っていろよ『武偵殺し』、俺に目をつけられたが最後だからな――




「錐椰 零の説明コーナー!」
「( *・ω・)ノヤァ皆、零だよ。今回は21話の『剣技』について説明するよ。何でも作者が説明入れ忘れていたみたいだから代わりに俺が説明するよ」
「まず『剣技』とはその名の通り剣の技だ。ちなみに日本刀がメインだが、刀剣類なら一応なんでも使えるぞ」
「次に『式』について。これは『剣技』の種類を指しているんだ」
「『一式』は攻撃系、つまり自分から攻めていく時だな。基本的に一番使うかな」
「『二式』は防御系、相手の攻撃の数が多かったり、相手との距離が離れている時はこれを使うよ」
「『三式』はカウンター、一対一だったり、相手との距離が近い場合はこれを使う。これだけで勝つことも出来るぞ」
「最後に『節』について。これは『式』からさらに細かく分けていて、その場の状況で決める。まあこれで技名が変わるって処だな。ちなみに『節』はそれぞれ五節まであって、基本的には数が小さくなるほど強くなっていくんだ」
「これで分かってくれたかな?他にも説明してほしいのがあったらどんどん言ってくれ!それじゃ、ごきげんよう( ´∀`)/~~バイバイ」




「……ねぇキンジ、零は一体どんな夢を視ているのかしら」
「……取りあえず、ナースコールしとくか」

これは零が起きる、数十分前のお話(嘘)

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