緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿(ろく)()()(づき)です。
お陰様で、お気に入り250突破しました!ありがとうございます!

それでは、記念すべき第20話(sideAA入れると21話)、始まります。


久し振りの原作へ!そして緋弾のアリアssでもっともヒロイン枠が多い子が登場!


20話~不協和音~

( *・ω・)ノヤァ零だ。今俺はアリアと一緒にあかりちゃんの射撃訓練を観ている。

バララッバラッバラッ

しっかし……面白いほどに外れるな~。

今回の射撃の的は武装した犯罪者を描いた物である。武器の部分から肩にかけてまでが得点の範囲内であり、それ以外の部分に当たると加点されないというシステムだ。

 

「もう、こんな命中率あり得ないわよ?」

 

そう言ってアリアは先程の射撃訓練のスコアをあかりちゃんに見せる。スコアは6/100、つまり100発撃って6発しか当たっていないということだ。

 

「すみません……」

「アンタ、元々撃ち方に悪い癖がついててそれを抑えてるんじゃない?」

 

アリアの指摘に対してあかりちゃんはビクッと反応した。顔が俯いているため表情は分からないが、明らかに動揺している。

 

「やっぱりね。どうせ入学前に違法で撃ってたんでしょ、まったく」

 

そう言いながらアリアはあかりちゃんのマイクロUZIを取り、マガジンをリロードする。

 

「ちょっと見せなさい。元々手が覚えてた撃ち方を」

「――嫌です」

 

……これは驚いた。あかりちゃんがアリアの指示を拒否するなんて。アリアも拒否されると思わなかったのか、少し面食らっている。

 

「矯正するためよ、どこに当ててもいいから」

 

そう言ってアリアは再度拳銃を渡そうとするも、

 

「嫌です。矯正なら自分でやります」

 

再度、拒否。よほど見せたくないのだろう。

 

(もしかして……)

 

俺はあることに気がつき、アリアを止めようとするが――

 

「撃ちなさい!」

 

キレたアリアが叫ぶように言う。するとあかりちゃんはすぐにアリアの手から拳銃を奪い取り、的を見ずに発砲した。

 

「えっ……」

 

アリアが的を見て動揺している。

的は、額・右目・左目・ノド・心臓――つまり致命傷となる場所に二発ずつ、全弾命中していた。

 

(……()()()()、か)

 

俺は今まで疑問に思っていたことが起こったので、特段驚かなかった。

 

「――こうすれば満足ですか」

 

ボソッ、とあかりちゃんが呟いた。その目には涙が浮かんでいた。

 

「こんなの、武偵の技じゃない!」

 

そう言ったあかりちゃんは目元を拭いて、そのまま走り去っていった。

 

「今まで何か隠しているとは思ったけど……『9条破り』の手癖とはね」

 

――武偵法9条

武偵は如何(いか)なる状況に()いても、その武偵活動中に人を殺害してはならない。

 

「……零は分かっていたの?あかりのこと」

「何となくは。ただ、確証がなかったから言わなかった」

「……そう。アタシ、あかりと少し話したいから今日は帰らないわ」

 

そう言ったアリアはそのまま訓練室を後にした。

 

(……俺もまだまだだな)

 

そんなことを思いつつ、俺はその場に残って射撃訓練を行った。スコアは言うまでもないので語らない。

 

 

 

 

 

翌日、アリアから『そのまま学校向かうから、先に学校行ってていいよ』とメールが来たため、キンジと二人で向かうことにする。

 

(しっかし、今日は雨かぁ……)

 

空は雲で覆われて、大雨が降っている。これではバイクが使えない。

 

「キンちゃん、今日はバスでいいか?」

「ああ、別に構わないぞ?てか、キンちゃんって言うの止めろ」

「分かったよキーくん」

「誰がキーくんだ」

「えっ?誰って、生徒会副会長のハーレム王(笑)の奴だけど?」

「本当に誰だよ……」

 

まぁそんなこんなでバス停に向かっていると、バス亭には既に7時58分のバスが来ていて、生徒たちが押し合いへしあいして乗り込んでいるところだった。

俺はバイクで通っているから乗ったことはないが、一時間目の始まる直前に一般地区に着くとあって、いつもこのバスは混むらしい。

だから7時50分に部屋を出たはずなのに、なんでこんなにこんでいるんだ?

そう思って時計を確認してみると、長針が10の所で動いてなかった。故障かよ!

 

「やった!乗れた!やったやった!おうキンジに零おはようー!」

 

バスに駆けつけると、入り口のタラップで車輌科(ロジ)の剛気がバンザイしている。

奥の方はもう生徒でギチギチだ。

(;゜∇゜)ヤバイ。雨のためか、チャリ通の生徒が一斉にバスを使っている。

 

「のっ!乗せてくれ武藤!」

「そうしたいとこだがムリだ!満員!お前らチャリで来いよっ」

「俺らのチャリは爆破されたんだよ!なんかの当て付けか剛気!」

「ならあのバイクで来いよ!あんな良いもんあんのに使おうとしないからだ!という訳で2時間目にまた会おう!」

 

その言葉を聞いた瞬間にバスのドアが閉まり、そのまま行ってしまった。

 

「仕方ない、バイク使うか」

「切り替え早いな!てか使えるなら最初から言えよ!」

「うるさいなぁ、なんなら歩いていくか?」

「是非乗らせて下さいお願いします」

 

 

 

 

 

大雨の中、バイクで学校へと向かう。ちなみにサイドカーはもう既に届いている。いつもアリアはサイドカーに乗らずに俺の後ろに座っているが。

間もなく強襲科(アサルト)の黒い体育館を通ろうとした時に電話が鳴ったので出る。勿論停車してからだ。安全大事。

 

「――もしもし」

『零。今どこ?』

 

アリアだった。

 

「今強襲科(アサルト)のそばだ。キンジもいる」

『良かった。そこで武装を整えて女子寮の屋上に上がってきて、出来るだけ早く』

「どうした?何かあったか?」

 

俺がそう言うと、アリアは少し低めのトーンになった。

 

『ええ、事件よ。すぐに来て!後キンジも!』

 

 

 

 

 

俺は現在自分の装備を確認している。今回はキチンとマガジンもかなり持って来たし、日本刀もちゃんと持ってきてある。

キンジはというと、防弾ベストに強化プラスチック製の面あて付きヘルメット。武偵高の校章が入った無線のインカムに、フィンガーレスグローブなどなど、通称『C装備』と言われる攻撃的な装備をしている。

 

「キンジ、準備は出来たか?」

「ああ、てか零はC装備をしなくていいのか?」

「俺にとってはただの重りにしかならないからな」

 

そんなことを言い合いつつ、俺達は屋上に出ると、そこにはC装備に身を包んだアリアがいた。

アリアは冷静に何か無線機に言っている。

 

「……?」

 

ふと気がつくと、階段の下には、黄色いヘッドフォンをつけた美少女がいた。

身体は細く、黄緑色の髪をショートカットにしている。なお、座っているために伸長は分からない。

 

「レキ」

 

とキンジが話しかけるが、ヘッドフォンで何か聞いているため無反応だ。後名前はレキらしい。

コツコツ、とキンジが指でその頭をノックすると、レキはようやくヘッドフォンを外して立ち上がり、こちらを見てくれた。成る程、伸長は150センチメートルだな。後顔がCGで描かれたんじゃないかって言うくらいに整っている。

 

「お前もアリアに呼ばれたのか」

「はい」

 

抑揚のない声。変わらない表情。クールな少女だということが分かった。

その子がこちらに顔を向ける。おそらく俺が知り合いじゃないから警戒しているのだろう。

 

「はじめまして、錐椰 零だ。『紅電』と呼ばれている。よろしくな」

「レキです」

 

こちらが挨拶したら名前だけ言ってくれた。どうやら必要最低限のことしか話さないようだ。

 

(レキは狙撃科(スナイプ)2年、Sランクだ。基本的に無口・無表情・無感情だ)ボソッ

 

キンジが小声でそう教えてくれた。そういえば肩にドラグノフ狙撃銃(SVD)担いでいるな。

 

「一体どんな音楽を聞いていたんだ?」

「音楽ではありません」

「えっと……じゃあ何?」

「風の音です」

 

うーん、何とか会話してみようとしたけど、難しいな。てかなんで風の音を聞いてるの?

 

「これでよし、っと……」

 

そうこうしていると、アリアが通信をきってこちらを向く。

 

「アリア、一体何が起こった?状況説明(ブリーフィング)をしてくれ」

「バスジャックよ」

「――内容は」

「武偵高の通学バス。男子寮マンションに7時58分に停留したのよ」

 

――マジかよ、あのバスには武偵高のみんながすし詰め状態で乗ってるぞ。

 

「――犯人は、車内にいるのか?」

「分からないけど、たぶんいないと思う。バスには爆弾が仕掛けられてるわ」

 

――爆弾――

その単語を聞いて、俺とキンジの脳に数日前のチャリジャックがよぎる。

それを感じ取ったのか、アリアは言葉を続けた。

 

「零、キンジ。これは『武偵殺し』。二人の自転車をやったヤツと同一犯の仕業(しわざ)よ」

 

――『武偵殺し』……だって?ちょっと待てよ。

 

「最初の武偵はバイクを乗っ取られたわ。次はカージャック。その次が二人の自転車で、今回はバス……ヤツは毎回、乗り物に『減速すると爆発する爆弾』を仕掛けて自由を奪い、遠隔操作でコントロールするの。その操作に使う電波にパターンがあってね。今回もその電波をキャッチしたのよ」

「でも、『武偵殺し』は逮捕されたハズだぞ?」

 

そう、それだ。武偵殺しは捕まったと白雪とキンジから聞いたのだ。それなのに何故……?

 

「それは真犯人じゃないわ」

 

アリアが言った言葉には、何か強い意志がこめられているような感じだった。

 

「――確証は?」

「今は背景を説明する時間がないからしないけど、確証はあるわ。ヘリが来るから準備して」

 

アリアがそう言った瞬間に激しい音が聞こえてきた。

 

「キンジ、どうやら本当のことらしいぜ?」

「何でそう言いきれるんだ、零」

「アリアがこんな感じで言う時は、本当に確証がある時だけだ。嘘ついてたらすぐ分かるし」

「……ああ、分かったよ。やってやる」

 

キンジがやる気になったのをみて、アリアが笑った。

 

「キンジ。これが約束の、最初の事件になるのね」

「大事件だな。俺はとことんついてないよ」

「お前が幸運の時なんてみたことないしな」

「うるさいぞ零」

「じゃあ……行くわよ」

 

そんなやりとりをしつつ、俺達はヘリに乗り込んだ。




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それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ

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