気づいている方もいらっしゃると思いますが、都合によりランドマークタワー事件と
それでは、第19話、始まります。
カルテット後編スタート!
ーsideあかり視点ー
「それじゃあ、今から訓練を始めるぞ」
「「「「はい!」」」」
あ、どうもm(_ _)mペコリ。あかりです。現在あたし達は庭にでて錐椰先輩の訓練を受けようとしています。
「まず佐々木」
「はい!」
「お前は対双子対策だ。基本は佐々木とあかりちゃんの二人で攻めてもらうが、道中で双子と戦闘になった時に佐々木が双子と勝負。あかりちゃんはそのまま進み、佐々木は双子を撃破次第あかりちゃんを追ってくれ」
「はい!」
「という訳で……すみませーん!出てきてくださーい!」
と錐椰先輩が屋敷に向かって言うと、志乃ちゃんの使用人が木刀を二本ずつ持って出てきた。そして錐椰先輩がどこから取り出したのか、長めの木刀一本を志乃ちゃんに渡す。
「佐々木、今からお前には使用人二人相手に勝負してもらう」
「はい、分かりました」
志乃ちゃんが返事をすると、錐椰先輩がキョトンとした顔をする。
「あの、どうされましたか?」
「いや……意外と素直に受け取ったなぁって思ってさ。てっきり『勝手に指図しないで下さい、このウジ虫が!』って言われるかと思ったから」
「錐椰先輩から見て私ってどんな人ですか!」
……何か言い争ってる。でもさっきの時みたいな感じではなく、何か楽しそうな感じだ。志乃ちゃんも笑ってるし。
「続いてライカ」
「はい!」
錐椰先輩がライカに向き直り、ライカも姿勢を正す。
「お前は防御に回ってくれ。さっきも言ったが、あっちは間違いなく風魔で勝負を仕掛けてくる。相性が悪いとはいえ、こっちで風魔に対抗できるのはライカだけだ。できるか?」
「はい!任せてください!」
「良し、ならこれで目を隠せ」
そう言って、錐椰先輩がハチマキをライカに渡す。
「
「了解したですの!」
「という訳だライカ。今から目隠しした状態で
「分かりました!よし
「はいですの!」
そう言って特訓を始める二人、志乃ちゃんも特訓を始めているし、後はあたしだけだ。
「最後にあかりちゃん」
「はい!」
一体どんな訓練なのだろう?
「取りあえず、屋内いこうか」
「……はい?」
「あ、あの錐椰先輩。一体何故屋内に来たんですか?」
あたしと錐椰先輩がいる場所はさっきも来たオーディオルーム。特訓なら外でやればいいのに……
「監視されてたからな」
「えっ!?監視!?」
「ああ、視線的に恐らく望遠鏡か何かで見られていた。高千穂班の奴らだろう」
「そんな視線、まったく感じなかったんですけど……」
「そりゃそうだ。相手との距離はかなり遠い。普通の人なら分からないよ」
それって錐椰先輩は人じゃないってことだよね?あ、今さらかな……
「何か失礼なこと考えてないか?」
「キ,キノセイデスヨ……」
そして鋭い。その鋭さを違う部分にも使ってほしい。
「まあとにかく、これからあかりちゃんに教えるのは切り札になるから、相手に見せたくなかった訳」
「はあ……って切り札!?」
何それ、凄そう!
「ただ、覚えるのはかなり難しい。それでもやるか?」
「はい!やります!」
「よし、じゃあまずは……」
そうして、あたしと錐椰先輩との特訓が始まった。
そしてカルテット当日、あたし達、間宮班と高千穂班は
「……使用弾薬は
まあいいや(よくないけど)と思いつつ、あたしは高千穂さんに向き直り、手を差しのべる。
「お互い頑張ろう」
でも高千穂さんはあたしの手を軽く見ると、持っていた扇子で叩いた。
「イタッ……」
「対等なつもり?不愉快だわ」
そう言って扇子で扇ぎ始める高千穂さんとそれを睨むあたし達。剣呑な雰囲気だ。
「はいはい、それでは間宮班は南端、高千穂班は北端へ。10分後に試合開始です」
そんななか、
よぅし、絶対に勝ってやるんだから!
「作戦を確認します。攻撃は間宮様と佐々木様、守備はライカお姉様と
場所は移り11区の南端。ここであたし達は装備を整えて
「間宮様、敵は『目』をロッカーなどに入れて鍵をかけるかもしれません」
「うん、汎用の
「では あかりさん、行きましょう」
「うん」
あたしは志乃ちゃんと一緒に北端へと向かった。
「奥に行くにはこの先の通りを通るしかありません。待ち伏せに注意して下さい」
「うん」
今あたしと志乃ちゃんは中央通りまで来ている。当然相手もいるはずだ。
そのことを考えつつ、慎重に進んでいく。いつもの街中なのに不気味に見える。一般の人や、武偵高の生徒も通る。
「……だよね~」
「アハハ」
その中で進んでいくと、二人組の武偵高の女子生徒が仲良さげに喋りながら歩いている。
「……志乃ちゃん」
「はい」
――その二人組の武偵高の女子生徒があたし達の横を通りすぎた瞬間、あたしと志乃ちゃんは武器を取り出しながら後ろを向いて構えた。
「「――なっ!?」」
そこにはカツラを取り外してあたし達に攻撃しようとしていた双子がいた。あたし達が気づいていたことに驚いている。
その隙にあたしは二人に向かって発砲する。射撃は不得意だが、流石にこの距離では当たる。そして怯んでいる間に志乃ちゃんが二人をチェーンで縛り付けた。
「な、何故だ!?」
「どうして変装を見破った!?」
双子はとても驚いている。
「錐椰先輩の教えだからね」
『佐々木、あかりちゃん、二人は必ず双子に当たるだろう。ただ、相手もバカじゃない。必ず変装してくるはずだ。しかし、武器を使ってもいいルールだから、武偵高の制服のままだと思う。だから武偵高の生徒を見つけたら、まずそいつの目線を追え。まだ一年だから、変装していてもターゲットから目を反らすことは出来ないはずだ』
昨日錐椰先輩から教わったことだ。なのでやってみたら、双子は会話しているようにみせてはいたが、目線がこちらに向いていた。なので変装を見破れた。
「あかりさん、先に行ってください。私はこの二人を動けなくしてから援護に向かいます」
「分かった」
「絶対に勝ちましょう!」
「うん!」
さっき
そう思って北端に来たのでフラッグを探すと、工事現場の土が盛り上がっている天辺に刺さっていた。と言うことは――
「お前が来たのね、これも
(高千穂 麗……!)
土山の向こうから、高千穂さんが出てきた。
「
「――ッ!?」
えっ!?アリア先輩と錐椰先輩に!?
「でも契約試験で
そうだったんだ……
「でも、今は
このっ……!アリア先輩と錐椰先輩を悪く言って……!
『挑発されても慌てない。まずはその場で深呼吸』
スゥー、ハァー。
「……?」
……そうだった。冷静にならなきゃ、勝利から遠ざかる。それに
「何だか良く分からないけど、攻めてこないならこちらから行かせてもらうわよ!」
高千穂さんはそう言って、ストック付のスタームルガー・スーパーレッドホークを取り出した。確かあれは、44口径マグナム、装弾数6発。なら――
あたしはマイクロUZIで牽制しながら物陰に隠れる。
「取り巻きがいないと何もできないとでも思ったのかしら!?」ドンッ、ドンッ
高千穂さんがそう言いながらあたしの方に向かって発砲してくる。
(……今ので二発、時間は……よし!)
あたしは物陰で素早く時計を確認して、頃合いだと思い、物陰から走って出てきた。
「自分から出てきて、マヌケね!」
ドンッドンッ。
それを見た高千穂さんは撃ってくるが、あたしは全速力で走り続けるので、狙いが定まらず、当たらない。
(――残り二発!)
「この……チョコマカと!」
高千穂さんは当たらないことに動揺して、一発検討違いな所に撃った。
(……残り一発、ここが勝負どころ!)
そう思ったあたしは走るのを止め、高千穂さんと向き合う。
「……なんで止まったのかは知らないけど、これで終わりよ!」
そう言って引き金を引こうとする。
(――今!)
あたしは引き金が引かれる瞬間、その場でしゃがみ込んだ。
ドンッという音と同時に風を切る音が真上から聞こえた。
「――なっ!?」
そのことに関して高千穂さんは凄く驚いている。
『もし相手が銃を構えていたら、相手が引き金を引く瞬間、どこを見ているか確認するんだ。目は口よりモノを言う。それでだいたい狙っている場所がわかるさ』
これも錐椰先輩から教えてもらったこと。高千穂さんの目を見て、頭部を狙っているのが分かった。だからしゃがんで躱すことができたのだ。
そして今、高千穂さんは驚きのあまり、何もできずにいる。リロードされる前に切り札を使う!
練習の時は成功率は50%、でもここで決めないでいつ決める!
そう思い、あたしは少し笑い、
カクンッ
「えっ?」
すると高千穂さんが倒れこんだ。やった、成功した!今のうちにフラッグを!
そう思って土山に向かう。後ろでは高千穂さんが起き上がろうとしているだろうが、心配はいらない。だって……
「――頼んだよ、志乃ちゃん!」
「――はい!」
志乃ちゃんが起き上がろうとした高千穂さんをそのまま倒し、拘束していた。さっき時間を確認していたのは、志乃ちゃんからの援護にくる時間を確認していたからだ。
「これで……終わりっと」
そうしてあたしは攻撃フラッグを『目』のフラッグに当て、カルテットは間宮班の勝利に終わった――
「では、間宮班の勝利に、カンパーイ!」
「「「「「「カンパーイ!」」」」」」
あたし達は今、アリア先輩と錐椰先輩とののかと一緒にファミレスで祝勝会を開いていた。
「しっかし、良く勝ったなあかり。高千穂ってAランクだったろ?」
「そうだよライカ、錐椰先輩に教えてもらったことをやったら勝てたんだ!」
「そう言えば間宮様は一体何を教えられたのですの?
「そう言えばそうですね。あかりさん、一体何を教えられたのですか?」
「えーっと、それは……」
どうしよう、どうやって説明すればいいか分からない……
「口で言うより見た方が早いだろ」
と悩んでいると、錐椰先輩がノートパソコン(どこに仕舞っていたの?)を取り出して開き、こちらに向けてきた。
全員でそれを見ると、そこにはさっき
「えっ?これどうしたんですか?」
「今日暇だったから撮ってたんだよ」
「暇だったって……」
それから数分後、そこにいるメンバー全員が驚いた。
「おいあかり!一体これどういうことだよ!?」
「そうよ!どういうことよ!?」
特にライカとアリア先輩が驚いている。
「これって錐椰先輩がアタシ相手に使っていたやつじゃないか!」
そう、あたしが高千穂さんに使ったのは、錐椰先輩がライカを転ばせたやつだったのだ。
「何であかりが使えるの!?あれって洗脳じゃなかったの零!?」
「取り合えず落ち着け二人とも」
「「落ち着いてられないわよ(っスよ)!」」
錐椰先輩が宥めようとするが、二人とも興奮しているのか、まったく落ち着いていない。
「あの~、お客様。他のお客様に迷惑ですので、大声はお控え下さい」
「「ハッ……スミマセン……」」
店員さんに注意を受けてようやく静まった。
「お前ら二人とも勘違いしているようだが、これは別に洗脳ではないぞ?」
「「……えっ?」」
二人とも( ゚д゚)ポカーンとしている。
「これはな、相手に向かって殺気を当てているんだよ」
「殺気……って、アタシはそんなの感じませんでしたけど!?」
「そこがこの技のポイントだよ。相手に気付かれないように、本能の隅っこだけが捉えられるような殺気を相手に当てるんだよ。そうすることで相手は無意識に怯えてその場に座り込む。それが急激すぎて、そのまま後ろに倒れこむってことだ」
「へ、へぇ。凄い技ね……」
錐椰先輩以外の皆が驚いている。
「ただ、この技には条件があるんだよ」
「条件?」
「ああ、相手に余裕を見せないといけない。それこそ相手の攻撃をすべて避ける、とか。そうした上で余裕を見せ、冷静な殺気を当てなければならないんだ」
そう、あたしが高千穂さんの銃撃を走ったりしゃがんだりして避けたのは、相手に余裕だと見せるため。その後笑ったのも余裕だと思わせるためだ。
錐椰先輩もライカと戦った時は攻撃をすべて躱したり、受け流したりと余裕を見せていた。そのなかで殺気を当てたから成功したんだ。
「でも、覚えるのは本当に大変だったよ。殺気を操るなんて想像したこともなかったから」
「そうなんですか……あかりさん、頑張りましたね」
「うん!ありがとう志乃ちゃん!」
「ま、まぁまだ納得出来ないけど……今は勝ったからいいか」
「そうですの!もっと楽しくやりましょう!」
そうしてワイワイ盛り上がって、本当に楽しい祝勝会になった。
――だが、あたしは気付かなかった。
あたしの妹・ののかの顔が浮かなかったことに。そして、闇へと
どうでしたでしょうか?
最長の執筆のため、最後がグダグダになりましたが、ご了承ください。
誤字・脱字・ご意見・ご感想などがありましたら、是非感想の方へ。
それでは、ごきげんよう。(´・ω・`)/~~バイバイ