緋弾のアリア~Sランクの頂き~   作:鹿田葉月

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はいどうも、鹿(ろく)()()(づき)です。
3日に1話だと結構違うものですね。ネタを思いつくのが楽で楽で。
それはともかく、アンケート結果を活動報告に入れておきましたので、是非そちらもご覧ください。

では、第13話、始まります。


強襲科(アサルト)での出来事!?


13話~『Sランク内最強』の教(恐)育~?

ヤァ( *・ω・)ノこんにちは、零だ。

現在俺とキンジは強襲科(アサルト)――通称、『明日無き学科』の目の前に来ていた。

この学科の卒業時生存率は、97.1%。

つまり100人に3人弱は、生きてこの学科を卒業できない。任務の遂行中、もしくは訓練中に死亡しているのだ。本当に。

それが強襲科(アサルト)であり、武偵という仕事の暗部でもある。

 

「戻ってきてしまったな……」

「まあ良いじゃないかキンジ、もう遅いからそんなにクヨクヨするなって」

「俺は平和に暮らしたいだけなんだ、そういう零はなんでそんなに楽しそうなんだよ」

「だって初めて来るんだぜ、この学校の強襲科(アサルト)に。どんなヤツがいるのか楽しみで仕方ない」

 

本当にどんなヤツがいるんだろうか。将来性に期待が持てるヤツがいると楽しいのだが。

そう思いながら、強襲科(アサルト)の扉をあける。中では戦闘訓練をおこなっている者やトレーニングなどをしている者がいる。

 

「……キンジ?錐椰くん? 」

 

すると一人の女子がこちらに気づいて喋った途端、強襲科(アサルト)内の音がすべて消え去った。

 

「キンジ……キンジだ!」

「キャーッ!零様よ!本物だわ!」

 

そう言いながら俺達に近づいてくる強襲科(アサルト)のヤツら。いつもパーティーを組んで行動する強襲科(アサルト)では、生徒達が自然と人なつっこくなるもので……

 

「おーうキンジぃ!お前は絶対帰ってくると信じていたぞ!さあここで1秒でも早く死んでくれ!」

「キンジぃー!やっと死にに帰ってきたか!お前みたいなマヌケはすぐ死ねるぞ!武偵ってのはマヌケから死んでくもんだからな」

「零様ー!握手を、サインをお願いします!」

「あ、ずるい!零様私にも!」

「私にも!」

「くっそ錐椰のヤツ死ねばいいのに !」

 

……驚いたか?死ね死ね言うのは強襲科(アサルト)の挨拶なんだぜ?何故か俺の前にはペンと色紙を持って一列に並んでいる女子達と、明らかに挨拶だけではない殺意のこもった言葉が来るんだが。意味不明だ。

取りあえず女子達が何故か握手とサインを求めて来るので一人ずつ握手とサインをしていく。中には制服に書いてと言う女子もいた。一応したけどもうそれ使えないぞ?俺のサインなんか入っていたらバカにされるだろうし。

そう思いながら女子達の列が半分を切ったあたりで――

 

「――なんだよなんだよ、そんなヤツのどこが良いんだ?ええ?」

 

と複数人の男子生徒が段々と俺の方に近づいてくる。おそらく態度からして1年生だろう。

 

「いよぅ、あんたが『紅電』さんか?」

 

そのリーダー格であろう茶髪の男が俺の前に立つと、耳障りな声で話しかけてくる。

 

「ああ、そうだが。君達は1年生かい?」

「ああ?気安く話しかけてくんじゃねぇよ!」

 

なるべく事を起こさないように穏便に話しかけたつもりだったのに何故かキレた。本当にこの手のバカはよく分からん。

まあいいや、面倒くさいから無視し――

 

「こんなのが『Sランク内最強』?だったら俺がそう言われることになっても可笑しくないな!」

 

……何を言ってるんだ、コイツ。

 

「訂正しろ」

「ああ?だから気安く――」

「訂正しろって言ったのが聞こえなかったか?一年」

 

――瞬間、強襲科(アサルト)内に殺気が充満した。

 

「てめぇみたいな三下が簡単に名のれるほど、『Sランク内最強』は安くねぇよ」

 

シーン………

――静まりかえったな、今日はもう帰るか。

 

「なんやぁ、今の殺気は?」

 

俺が帰ろうとした時に入口から誰かが入ってきた。見るとどうやら教師のようだ。

 

「しかも滅多にない殺気やったでぇ……もしかして」

 

その教師は強襲科(アサルト)内を見渡して俺の姿を見つけるとどんどん近づいてくる。

 

「やっぱりお前やったかぁ、『紅電』」

 

その教師は俺の前に立つとそう言ってきた。女性なのだが、俺とほぼ同じぐらいの身長。長い髪をポニーテールにしている。この人の名前は確か――

 

(らん)(ぴょう)先生――」

「お、ウチのこと知ってるんか。感心感心……それで、一体どうして殺気が出とったんや?」

 

そう言って蘭豹先生は笑いかけてくる。

 

「さっき少し自分の神経を逆なでしてきたやつがいたので」

「ほう、お前の後ろに立っとるヤツらか?」

「ええ、そうです」

「おう、一年やないか。それなら……」

 

と蘭豹先生が強襲科(アサルト)内に響きわたるような声で言う。

 

「一年男子全員集合!今からお前たち全員と、『紅電』一人で勝負をしてもらう!」

 

――ザワァッ

 

蘭豹先生の言葉にざわつく。

 

「一年男子全員対『紅電』の錐椰!?」

「蘭豹先生一体何考えてんだ!?」

「そもそも一年男子何人いると思ってるんだ!」

「しかもAランクの奴も何人かいるんだぞ!?」

「いくら『紅電』でも、これは……」

 

強襲科(アサルト)の奴らが騒いでいる中、蘭豹先生が俺に語りかけてくる。

 

「まだ武偵高に入って間もない奴ばっか、さらにAランクやからって調子にのるアホゥもいる。逆なでしてきた奴もその一人や。やからちょっと武偵高とは何なのか教えてやってくれぇや」

 

成る程、この人なりの考え方があったのか。なら――

 

「はい、良いですよ。思い上がったバカどもを現実に叩き落としますよ」

 

ザワァッ

 

再びざわつく。俺が許可したことはおろか、楽勝で勝つってことを言ったからだ。

 

「なめやがって……おい野郎共!こんなチャンスは滅多 にないぞ!コイツを倒したら即Sランクだぞ!」

 

さっき俺を挑発してきた奴が他の一年に発破をかける。その言葉を聞いて、他の奴らもやる気になった。

 

「準備はええか?」

「良いですよ、ただ、自分が使うのはこれだけです」

 

そう言って背中から一本の日本刀をとりだす。

 

「おもしろい奴やなぁ、お前。では……始め!」

 

 

 

 

 

「囲め、敵は一人だ!」

 

そう言いながら一年は包囲網をかけてくる。ざっと見て30人か、なら剣技を使うまでもないな。

 

「よし、そのまま――」ヒュンッ

「遅い」

「なっ!?」

 

仕切っていた奴の目の前にいき、刀の峰で意識を落とす。

 

「おい、なんでもうあんなところにいるんだよ!?」

「10メートルくらい離れていたはずだぞ!?」

 

離れて見ている2年生達から驚きの声があがる。

 

「ちっ、くそが!」

 

一年の一人が拳銃を構えようとするが、

 

「だから遅いと言っている」ヒュンッ

「グハッ!」

 

構える前に接近し、意識を落とす。

 

「くそがぁ、全員撃てぇ!」

 

――パァパァパァパァパァパァパァパァンッ!

 

「全員、狙いが甘い」

 

――キィキィキィキィキィキィキィキィンッ!

 

『なっ!?』

一年全員が目を見開く。それもそうだ、なんせ20数名全員で撃ったのに、その全てを一本の日本刀ではじくか切ったのだから。

 

「ぼうっとしている暇があるのか?」

「しまっ――」

 

驚いている間に次々と意識を落としていく。残りは半分くらいになったな。

 

「どうすればいいんだよ……」

 

一年の誰かが呟く。接近しようとしたら一瞬で間合いを詰められ、拳銃で撃とうとしたら日本刀ではじかれる。そんな相手にどうすればいいかなんて分かる訳がない。

そうしている間にもどんどん数は減っていき、残りはさっきの複数人いたグループだけになった。

 

「ウオォォォォォッ!」

 

リーダー格だと思われる奴だけを残し、玉砕覚悟で突っ込んでくる。だが何も考えていない突撃なので当たる訳がない。そのまま全員の意識を落とした。

 

「残りはお前だけだな」

「くっ」

 

そう言いながら俺は日本刀をしまう。

 

「来いよ、最後は刀無しでやってやる」

「ッんの野郎ッ!」

 

リーダー格が接近して蹴りや掌底を繰り出してくるが、俺は全て受け流す。

 

「何故だッ!何故当たらないッ!」

 

当たらないことに苛立ちを隠しきれずに攻撃してくるリーダー格。そろそろ頃合いかな。

リーダー格が苦し紛れに出した拳を受け流し、腕を掴んで引っ張る。そのまま足を首に回して三角絞めをする。

 

「グッ……アッ……」

「ひとつ言っといてやる。世界には沢山のAランク武偵と、約800人のSランク武偵がいる。その中の頂点が『Sランク内最強』なんだよ。たかがAランクになって調子にのっているやつが、簡単になれるほど甘くは無いんだよ」

 

そう言って足の力を強め、意識を刈り取った。

 

 

 

 

 

「おう、ようやってくれたなぁ、感謝するで」

 

数分後、意識を失った奴らを全員起こした後に蘭豹先生から声をかけられた。

 

「いえ別に。自分も一年の実力を知りたかったので」

「ガハハ、そう言ってくれると助かるでぇ……おい一年ども!これが『Sランク内最強』と言われている男や!手も足も出なかったやろ、しかも日本刀一本だけなのにな!コイツは武偵やから意識を落とすだけで済んだが、もしコイツが犯罪者やったらとっくに全員死んどる!死にたくなかったら調子にのらんと日々精進せんかい!」

 

蘭豹先生は一年男子にそう言うと、こちらに向き直る。

 

「しっかし、流石は『紅電』。その二つ名は伊達やないな。今度時間があったらウチと勝負してくれぇや」

 

そう言って蘭豹先生は好戦的な目で見てくる。

 

「遠慮しときます。美しい女性と勝負するのは気が引けるので」

 

だが俺は女性を相手に戦うのは好きじゃない。だから見逃してもらえると嬉しいのだか……

 

「な……な……何言っとるんや///」

 

そう思いながら遠慮すると何故か蘭豹先生が顔を真っ赤にしている。いやホントに何でだ?

まあいいや、今日はこの辺にしといて帰りにそこで見学していたキンジとゲーセンでも行こう。

 

「それでは蘭豹先生、失礼します。キンジ行くぞ」

「あ、ああ」

「お、おい!ちょっと待てや!何を言っとんのや貴様ー!?」

 

……先生風邪なのかな?後で風邪薬でも渡そうかな?




どうでしたでしょうか?

誤字・脱字・ご意見・ご感想・質問などがありましたら是非お願いいたします。

それでは、ごきげんよう。

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