ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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脱出

明久が結瞳を説得した頃

 

「これで、終わりっ!!」

 

と浅葱は、キーボードを叩いた

すると、戦車乗りたるリディアーヌは

 

『諦めるでござるよ、女帝殿。拙者も鬼ではござらん。せめて、日記の暴露で……あなや!?』

 

と驚いた

何故ならば、リディアーヌが乗っていた多脚戦車

膝丸が、突如として機能をダウンさせたからだ

 

『これは……ディディエ重工からの強制命令!? まさか、ディディエ重工のサーバーを乗っ取ったでござるか!?』

 

リディアーヌが乗る膝丸は、彼女の実家に当たるディディエ重工の試作機をリディアーヌ専用に改修強化した代物で、何かあった時のために、ディディエ重工から強制命令で機能停止させられるようにしてあったのだ

 

「あんたが直接守ってるクスキエリゼのサーバーより、簡単だったわよ!」

 

『バカな!? ディディエ重工は軍需企業にござる! そのサーバーを、たった数分で!?』

 

ディディエ重工は戦王領域においては、一大軍需企業であり、その物理的ならびに電子的防御網は並大抵ではない

しかし浅葱は、リディアーヌと電子戦を繰り広げながら、僅か数分でディディエ重工のサーバーをハッキング

強制命令を出させたのである

 

「さーて、後はこのLYLの解体ね……やれやれ、疲れたわ……」

 

浅葱はそう言って、LYLシステムの解体を始めた

すると、リディアーヌは

 

『……女帝殿……やはり女帝殿は……カインの巫女なんでござるな……』

 

と呟いたのだった

その頃、レヴィアタン内部では

 

「わっと……な、なんだ?」

 

突如として、レヴィアタンが大きく揺れたのだ

そこに

 

「大変です……!」

 

と結瞳が、痛みを堪えるように言った

 

「結瞳ちゃん!?」

 

「何があったの!?」

 

と二人が問い掛けると、結瞳は

 

「レヴィアタンが……私の制御を外れつつ、ありますっ!」

 

と言った

 

「なっ!?」

 

「なんだって!?」

 

結瞳の言葉を聞いて、二人は驚愕した

つまり、レヴィアタンが本来の機能を発揮しつつあるということになる

 

「今はまだ、完全ではありません……しかし、このままでは……!」

 

頭を抱えながら、結瞳さそう言った

それを聞いた明久は

 

「急いで、脱出するよっ!」

 

とヨダカに向かった

そして、ヨダカに乗って

 

「結瞳ちゃん、隔壁の開放と注水は出来る!?」

 

と結瞳に問い掛けた

その問い掛けに、結瞳は少ししてから

 

「なんとか、出来ます……!」

 

と答え、目を閉じた

その数秒後、確かに注水が開始された

それを見た明久は

 

「さてと……上手く動いてよっ!」

 

と明久は、操舵悍を握った

そして、ある程度注水されて、隔壁が開いた

その直後、明久はレバーを思い切り上げた

そして、思い切りUターン

結瞳が一度開けたが、閉まり始めていた隔壁を見て

 

「しっかり捕まっててよ!!」

 

と二人に忠告した

その数十秒後、ヨダカは閉まり掛けていた隔壁の隙間を、火花を散らしながら強行突破

外に出た

 

「ふへぇ……なんとか、出られた」

 

窓から見た光景に、明久は気の抜けた声を漏らしつつ、レバーを手前に引いて、ヨダカの速度を落とした

その直後、空間を震わせる程の咆哮が轟いた

それを聞いた三人は、外を見た

すると、数百m離れた位置にその巨体が現れた

 

「あれが……レヴィアタンか……!」

 

漆黒の装甲に、直径1kmは有りそうな胴体が見えた

 

「つう……凄い魔力です……」

 

「うーん……これは、所謂激おこですな」

 

と明久が言った直後、凄まじい数の生態式ミサイルが発射された

 

「やばっ!?」

 

その数は、突入時の比ではなかった

黙視で、数百発に及ぶ生態式ミサイル

それを見た明久は

 

「深緋の双角!!」

 

と深緋の双角を召喚

衝撃波で、直撃するミサイルを全て撃墜した

だが、残ったミサイルは全て周囲の海に着水

高さ10m以上の水柱を形成した

 

「おおおおぉ!?」

 

「きゃあぁぁぁ!?」

 

明久達三人は取っ手を掴んで耐えたが、ヨダカは嫌な音が響いた

直撃ではなくとも、長くは持たないだろう

 

「まあ……レヴィアタンには同情するよ……静かに寝てたのに、いきなり、精神操作されたんだからね……だけど、君に暴れられたら、島も危ないんだ……」

 

明久はそう言って、ヨダカの甲板から、レヴィアタンを見た

そして

 

「だから……また深海で寝てもらうよ……ここから先は、第四真祖(ボク)戦争(ケンカ)だ!」

 

と宣言した

その隣に、雪菜が立ち

 

「いいえ、先輩……私達の戦争(ケンカ)です!」

 

と力強く言った

 


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