ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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解放

「……早まったかなぁ」

 

と明久は、呟いた

雪菜の強さは、明久はよく知っている

その雪菜ですら、勝てる確率は約二割

となると、明久では勝てる確率は更に低いだろう

しかし、雪菜と沙矢華を戦わせる訳にはいかない

沙矢華はかなり重度に精神操作の影響にあるが、もしかしたら記憶には残っているかもしれない

だったら、沙矢華と雪菜を戦わせて、もし雪菜に怪我を負わせたら、沙矢華はどうなるのか

そう考えた明久は、柄尻で頭を掻きながら

 

「やっぱ、僕がやるしかないか……」

 

と呟いた

その直後、沙矢華が動いた

吸血鬼の明久の目でも、ギリギリ見える速さで明久に接近

煌華燐を振り上げ、明久に振り下ろした

 

「つっ!?」

 

それを明久は、紙一重で回避

鞘を、沙矢華の後頭部目掛けて振った

だがその一撃を沙矢華は、しゃがんで回避

同時に、足払いを明久に放った

それを明久は、側転の要領で回避

逆立ち状態から、沙矢華の頭を狙って蹴りを放った

その一撃は、沙矢華の掲げた刀身の横腹で受け止められた

それを見た明久は

 

「なるほど……空間切断は、刃にしか無いのか」

 

と気付いた

その瞬間、明久の足を沙矢華が掴み、投げた

 

「ぐぅっ! つあっ!?」

 

明久を叩き付けた後、沙矢華は追撃にと煌華燐を繰り出したが、明久はギリギリで回避

どうしようか、考えた

刀で攻撃は出来ない

なるべくなら、怪我はさせたくないからだ

 

「それに……問題は精神操作だけど……」

 

精神操作はつまり、対象に流し込んだ魔力で対象を操るのだ

 

「狙うなら、後の先……」

 

後の先

つまりは、カウンターによる一撃による無力化になる

しかし、一筋縄にはいかないのは明白だ

短い攻防だったが、明久は沙矢華の実力を把握した

 

(あのルードルフ・オイスタッハといい勝負だなぁ……厳しい……)

 

明久はそう思いながら、刀を肩に担ぐように構えた

その直後、二人は激突

沙矢華が振り下ろした剣撃を、明久は刀を横から当てて迎撃

軌道を逸らした

その隙に懐に入り込もうとしたが、沙矢華が肘打ちを繰り出してきたので、片手で防御

大外刈を繰り出そうとしたが、それは沙矢華が敢えて重心を崩すことで技を無効にされて、隙だらけになっていた脇腹に峰打ちを叩き込まれた

だが、明久は距離を取らずに組打ちで戦おうとした

その時、沙矢華が足下に札を叩きつけた

それを見た明久は、反射的にある眷獣の力を解放した

甲殻の銀霧(ナトラ・シネレウス)である

それにより、二人を中心に半径数m規模で穴が開いた

だが、今居るブルーエリジアムは人工島(メガフロート)で出来ている

その結果、二人は海に落下した

その衝撃で、沙矢華が身に纏っていた水着の上がはだけて、沙矢華の豊かな双丘が明久の目に飛び込んだ

その光景に、明久は吸血衝動に襲われた

そして沙矢華は、顔を真っ赤にしながらも煌華燐を明久の腹に突き刺した

だが次の瞬間、明久は沙矢華の首筋に牙を突き立てた

それで、沙矢華を支配する精神操作の魔力を血と一緒に吸い出すのだ

最初は抵抗した沙矢華だったが、気づけば明久の頭を抱き締めていた

雪菜が帰還したのは、それから約二十分後のことになる


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