ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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宣戦布告

「雪菜ちゃん、これ」

 

明久はそう言いながら、持ってきたギターケースを差し出した

それを見た雪菜は、驚いた表情で

 

「これは!?」

 

と明久を見た

すると、明久は

 

「あの師匠さんから、預かってきたよ」

 

と言った

それは、あのミサイルに乗る前のことだった

明久とニーナの前に、メイド服姿の沙矢華を連れたあの黒猫が現れた

呼ばれた明久は、二人に駆け寄ろうとした

しかし石に躓いて、沙矢華の胸元に顔を埋めたのだ

本物の沙矢華の、胸元に

まさか本物とは思わず、明久は固まった

その間に沙矢華は、顔を真っ赤にしながらもアッパーを繰り出した

それを明久は、間一髪で回避

その時になって、ようやく沙矢華が本物だと気付いた

それにより喧嘩が起きかけたが、それを黒猫が制止

明久に、雪霞狼が入ったケースを手渡したのである

雪菜はナイフを仕舞うと、雪霞狼を展開して構えた

その時、海中から氷を砕きながら賢者が現れた

 

『呵呵呵! 不完全なる者よ! 完全なる我に恭順せよ! 完全な我が手により、完全な世界を作ろうぞ!!』

 

それを聞いた明久は、深々と溜め息を吐いて

 

 

「確かに、人間や僕を含めた魔族は完全には程遠いよ……でもだからこそ、精一杯生きるんだ! 精一杯生きて、確かに自分が居たっていう足跡(証拠)を残すんだ!」

 

と言った

その明久の感情に揺さぶられたのか、明久の体から嘗てない程の魔力が溢れ出す

そして明久は、賢者を指差して

 

「あんたはさっきから、自分のことを完全だって言うけどさ、こっちから見たら、あんたは不完全以下だ!!」

 

と告げた

それを聞いた賢者は、明久をその不気味な目で睨み

 

『有り得ぬ!! 訂正せよ、不完全なる者よ!』

 

と否定した

だが明久は

 

「訂正しないね! 確かに、あんたは賢者の血液っていう、凄い物を造ったかもしれない。だけどね! あんたはその力で、何を成した!? 何が出来た!? あんたは、その力を、自分の為にしか使ってなかった! だから、ニーナは約三百年もの間監視し続けたんだ! あんたが悪さをしないようにね!!」

 

と声を張り上げた

すると賢者は、腕を振り上げて

 

『沈黙せよ! 完全なる我の命令に従い、沈黙せよ!』

 

と言って、腕を明久目掛けて振り下ろした

だが明久は

 

「黙らないね!!」

 

と言いながら、双頭の蛇竜を召喚し、腕を消滅させた

そして、賢者を睨みつけて

 

「もうこれ以上、あんたの盲執で誰も死なせるもんか! 傷付けさせるもんか!! 誰も、縛らせてやるもんか!!!」

 

と声を張り上げた

それを聞いたニーナは

 

「第四真祖……お主……」

 

と声を震わせた

その間に明久は、賢者を指差して

 

「もう眠る時間だ! 賢者!! あんたの盲執はここで終わらせる! ここから先は、第四真祖(ボク)戦争(ケンカ)だ!!」

 

と宣言した

すると、そんな明久の背後に雪菜が寄り添い

 

「いいえ、先輩! 私達の戦争(ケンカ)です!!」

 

と告げたのだった


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