ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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古の錬金術師

浅葱が奇跡で生きていたことを喜んだ後、明久は浅葱に自分が着ていたジャージを上着として着せた

そしてすぐに、アデラード修道院跡地から離れた

すると、道路を次々とパトカーや装甲車が走っていく

警備隊が向かっていったようだ

それを見送り、ある信号のところまで来た

すると、雪菜が

 

「では、先輩方。私はここで」

 

と言った

そして明久に小声で

 

「師家様に報告してきます」

 

と告げた

それを聞いた明久は

 

「あの式神壊しちゃったけど、大丈夫? 今度は雪菜ちゃんバージョン作られないよね?」

 

と問い掛けた

すると、雪菜は不安げに

 

「分かりません……何せ、気まぐれな方ですから……」

 

と言って、信号を渡っていった

雪菜を見送ると、明久は浅葱を見て

 

「流石に、その状態で帰す訳にはいかないよねぇ……」

 

と言葉を漏らした

今の浅葱は、明久が渡したジャージで辛うじて隠しているが、血塗れなのだ

下手すれば、警備隊に尋問されるのは間違いない状態である

そして明久は、少し悩むと

 

「仕方ない……ここから、近いしね」

 

と言って、ある方向を見た

それから、数分後

 

「ただいまー」

 

「あ、おかえりー。牛乳、買ってきてくれた?」

 

明久は、自分の部屋に戻ってきた

そして帰ってきた明久に、凪沙がそう問い掛けてきた

 

「あぁ……ごめん、携帯のバッテリー切れてて見てない……」

 

「えぇ! 今日のご飯、シチューなのにぃ! 牛乳無くて、どうするの!? って、誰か居るの?」

 

明久の言葉を聞いた凪沙は、憤慨した表情で明久に詰め寄った

その時、明久の後ろに他に誰か居ることに気付いた

 

「あぁ、うん……実は……」

 

「こ、こんばんは……」

 

明久が後ろに視線を向けると、浅葱が気まずそうに挨拶した

 

「え、浅葱ちゃん!? 何事!?」

 

浅葱の姿を見て、凪沙は思わず混乱した

そして、数分後

 

「牛乳はあたしが買ってくるから、明久君は準備をお願いね。あ、浅葱ちゃん。洗面台の化粧品は使っていいからね。下着も、適当に買ってくるから」

 

と凪沙は、買い物に出掛けた

それを見送った明久は

 

「あ、浴室はそっちね。洗濯機に入れとけば、僕が回すから」

 

と浅葱に言った

それを聞いた浅葱は、言われた通りに浴室に向かった

そしてジャージを脱いで、改めて自分の惨状を目の当たりにした

着ていた制服はボロボロに切られ、素肌には夥しい量の血が着いている

そして最後に、自分の片耳に触れた

そこに着いていた筈のピアスは、未だに見つかっていない

だが今は、現状をどうにかするのが先だと判断し

 

「よし」

 

と気合いを入れてから、服を脱いでいき、浴室に入った

鏡で見ると、自分の体に付着している血の量に改めて驚く

 

「うわっちゃぁ……この量、本当なら即死級じゃない……」

 

浅葱は思わずそう言ってから、シャワーに手を伸ばした

そうして、シャワーで全身の血を流し始めた

ふとその時、胸元で少しひきつる感覚がした

 

「ん? なにこれ……?」

 

その時になって初めて、浅葱は自分の胸元に赤い少し大きめのビー玉サイズの玉が着いていることに気付いた

それに軽く触れた直後、浅葱は意識を失ったのだった

そして、浅葱が入って十数分後、明久は一人厨房で料理をしていた

予め何を作るのかは聞いていたので、後は失敗せずに作るのみである

そして、明久が水分補給にと水を飲んだ時、ドアが開く音が聞こえた

それを聞いた明久は、浅葱が出たのかなと思って視線を向けた

その直後

 

「ごっぷぇぶ!?」

 

明久は思わず、水を吹き出した

何故ならば現れた浅葱は、一糸纏わぬ姿で居たからだ

 

「あ、浅葱さん!? なにしてるんですかにゃー!?」

 

「ん? 浅葱とは、この体のことか?」

 

明久の言葉を聞いて、浅葱(?)はそう問い掛けた

その口調と雰囲気から、明久は

 

「待って……貴女、誰?」

 

と問い掛けた

すると、浅葱(?)は

 

「ん? 私は、トリス・メギストスの後継者と名高き錬金術師。ニーナ・アデラードよ」

 

と告げたのだった


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