ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

72 / 182
錬金術師の奇襲

「……僕居る意味、あるのかな?」

 

と呟いたのは、ベンチに座っている明久である

今明久は、妹の凪沙と監視役の少女、雪菜

中等部の聖女、夏音の買い物に付き合っていた

その買い物の理由だが、中等部は二日後から本土に修学旅行に向かうのだ

その準備のために、なぜか明久も来ていた

だが明久は、流石に下着店に入る気はないので、外で待っていたのだ

そして、冒頭のセリフに繋がる

 

「……はぁ……」

 

周囲を見回して、明久は深々と溜め息を吐いた

周囲には、同じように買い物に来ている学生達が多く来ている

それを見ていると

 

「どうも」

 

と明久に、一人の青年が声を掛けてきた

明久が視線を向けると、そこに居たのはチェック柄のスーツを着た青年だった

 

「……あんた、誰?」

 

無気力になりかけていた明久は、思わずそう問い掛けていた

すると、青年

天塚汞は

 

「真理の探求者さ」

 

と答えた

その瞬間、明久は脳内に危険信号が鳴り響き、明久は直感に従って、一気に前に転がるように跳んだ

その直後、明久が座っていたベンチが真っ二つになり、金属質になった

それを見て、明久は

 

「いきなり、なんだ!?」

 

と怒鳴った

すると、汞は

 

「答える義理は無いね!! 僕は、仕事をこなすだけさ!!」

 

と言って、凪沙達が入った下着店に変成した腕を伸ばした

それを見た明久は

 

「させるかよっ!!」

 

と木を思いきり、蹴り折った

その時になって、警報が鳴り響き、周囲に居た民間人達は避難を始めた

その間に、明久が蹴り折った木は金属に変わっていた

 

「これは……」

 

「邪魔だな、お前は!」

 

天塚はそう言うと、明久に向けて腕を伸ばした

そこに

 

「はあっ!!」

 

と割り込む小柄な人影

その人影

雪菜は、雪霞狼を振るった

その銀閃により、汞の腕は半ばから切り裂かれた

 

「その槍は……なるほど。それが噂の、獅子王機関の七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)か……」

 

切り裂かれた腕と雪霞狼を見て、汞はそう言った

その間に、雪菜は

 

「先輩、無事ですか?」

 

と明久に問い掛けた

 

「ん、無事……いきなりだったよ」

 

明久がそう言うと、雪菜は

 

「あの人は?」

 

と明久に問い掛けた

すると、明久は

 

「真理の探求者だってさ」

 

と言った

それを聞いて、雪菜は

 

「真理の探求者……錬金術師ですか……」

 

と呟いた

それを聞いた明久は

 

「錬金術師? 初めて見た……」

 

と言った

錬金術師

それは、普通の石を金にしたり、植物を布に変えたり出来る

しかし、主流ではない

今は、一部の企業が医療用に使ってる位だ

アスタルテがその代表例となる

しかし、その利便性や柔軟性は非常に高い

過去には、剣をまるで鞭のようにして、数人を纏めて斬ったという記録すらある

 

「やれやれ……剣巫が邪魔をするのか……」

 

汞はそう言うと、斬られた腕を鉄塔にくっ付けた

その直後、鉄塔を吸収して腕を再構築した

 

「うわぁ……あんなことも出来るのか……」

 

その光景に、明久はそう漏らした

すると、汞は

 

「しかし……剣巫の相手は面倒だね……吸収も出来ないし……」

 

と言って、雪霞狼を見た

どうやら、雪霞狼が天敵のようだ

 

「僕の目的は、あの生き残りなのにさ……やれやれ……」

 

あの生き残り

それを聞いた明久は

 

「生き残り……まさか……夏音ちゃん?」

 

と言った

汞の条件に当てはまるのは、夏音だけなのだ

夏音の居た教会は、数年前に放火殺人が起きて、夏音だけが生き残ったのだ

どうやら、汞はそれを知っているらしい

 

「さてと……こうなったら、僕は逃げるよ」

 

汞はそう言うと、二人に背を向けて走り出した

それを見た明久は

 

「待て!」

 

と追い掛けようとした

だが

 

「先輩、待ってください!」

 

と雪菜が引き留めた

その直後、明久の目の前に金属化した木が倒れてきた

どうやら、走り際に斬っていたらしい

それに登った時には、汞の姿は無くなっていた

それを確認した明久は

 

「はぁ……また、何か起きるのか……」

 

と呟いた

そして、なるべく雪菜の方を見ないようにしながら

 

「あー……雪菜ちゃん……前、気にして頂戴」

 

と指摘した

それを聞いた雪菜は、着ていた制服に視線を降ろした

するとそこには、胸元が開いた制服が見えた

それを見た雪菜は

 

「つっー!?」

 

顔を真っ赤にして、叫ぶしかなかった


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。