ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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序章です
短いです


錬金術師の帰還
序章


文化祭が終わり、暫くしたある日の夜

ある秘匿施設の奥深く

そこでは、銃声が鳴り響いていた

その銃声を鳴らしていたのは、アイランドガードの精鋭小隊だった

普通ならば、獣人の部隊の一個中隊を抑えきれる実力を有している部隊であり、簡単には負けない

しかし

 

「があぁぁぁぁぁぁ!?」

 

その部隊隊員達は、まるで金属彫刻のようになっていた

それを成したのは、白黒チェックのスーツを着た青年だった

その青年はある重厚なドアの前に立つと、右腕を大型のように変成させ、乱雑に振るった

その直後、そのドアは重い音を立てて崩れ落ちた

その中に居たのは、一人の白衣を着た中年男性

叶瀬賢生だった

賢生は振り向き、その青年を見ると

 

「……随分と、乱暴なノックだな」

 

と静かに言った

すると、青年は

 

「いやぁ、悪いね。中々通してくれない上に、セキュリティが無駄に堅かったからね」

 

と言って、変成させていた腕を元に戻した

それを見た賢生は

 

「……錬金術師か」

 

と目を細めた

すると青年は、恭しく頭を下げながら

 

「天塚です……天塚汞(あまつかこう)

 

と名乗った

それを聞いた賢生は

 

「天塚……確か、ニーナ・アデラードの弟子の中に、そんな名前の男が居たな……」

 

と思い出しながら言った

それを聞いた天塚は、酷薄な笑みを浮かべて

 

「流石は、元アルディギアの宮廷魔導技師。よくご存知だ」

 

と言って、パチパチと拍手した

その間に賢生は、少しずつ下がった

しかし、賢生が居る部屋は狭い

すぐに、一番奥に着いてしまった

しかし天塚は、そんなことを気にした様子もなく

 

「さて、こちらの要求は一つだ……アレを渡してもらうよ」

 

と言った

それを聞いた賢生は

 

「アレとは、なんのことだ……?」

 

と問い掛けた

しかし天塚は

 

「やだなぁ、惚けなくていいよ……こっちは知ってるんだ……あんたがあの教会から、師匠が大事に仕舞っていたアレを、回収したってね」

 

と言って、賢生に一歩近づいた

それを聞いた賢生は、僅かに視線を部屋の一番端にある金庫に向けた

それを見逃さなかった天塚は、大声で笑い

 

「そこに有るんだね? 素直に渡してくれるなら、痛い思いしなくて済むけど?」

 

と杖を脇に抱え直し、更に一歩迫った

しかし、賢生は

 

「渡すわけには、いかんよ……あの少年と約束したからな……もう、違えないと!」

 

と言って、机の上に置いてあったカードホルダーを掴んだ

それを見た天塚は

 

「やれやれ、仕方ないなあ……本当はこういうこと、したくないんだけどねぇ!!」

 

と右腕を刃物に錬成した

それから少しの間、激しい音が鳴り響いた

そして部屋から出てきたのは、血に濡れた右腕に赤い球体を持った天塚だった

天塚は、その球体を見ながら

 

「さあ……今回のことが終わったら、返してもらうぞ! 賢者(ワイズマン)!!」

 

と憎しみの籠った声で言った

その言葉に、脇に抱えた杖の先端にあるドクロの装飾から

 

『呵呵呵……』

 

と笑い声が聞こえた……

こうしてまた、騒動の幕が上がる


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