ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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開戦

「行け、我が記憶の犯罪者達よ!」

 

阿夜はそう言って、魔法で再現したらしい脱獄囚達を放った

それを見た明久は

 

「今さら……そんなコピーに負けるかぁ!!」

 

と獅子の黄金と双角の深緋を召喚

一撃で、全て消し去った

その直後、明久に対して数多くの魔法が迫った

だが明久は、慌てずに

 

「遅いっ!!」

 

と右手に持っていた小太刀

鉋切長光で、全て切り裂いた

それに阿夜は驚いたが、すぐに

 

(ル・オンブル)!」

 

と黒に染まった騎士を呼んだ

それは、阿夜に支配されている、元は優麻の青き騎士

それを見た明久は

 

「お前も……唯々諾々と、従ってるんじゃない!」

 

と言いながら、駆け出した

その直後、闇の姿が掻き消えた

 

「つっ!?」

 

それに明久は、思わず脚を止めた

それは、那月が使う空間魔術と似ていたからだ

 

(どこから来る!?)

 

明久はそう思いながら、周囲を見回した

そこに

 

「先輩!!」

 

と雪菜が、背後に布陣

それと同時に、重い金属音が鳴り響いた

肩越しに見てみれば、雪菜が槍で、闇の剣を受け止めていた

どうやら、霊視で闇の出現位置と攻撃軌道を見て、カバーに回ったようだ

そこに

 

「私も居るんだけど!?」

 

と沙矢華が、雷切を上段に構えて、闇の背後から切りかかった

沙矢華の武器たる煌華燐は、未だにその力を失っている状態である

だから、まだ力を保っていた雷切を貸したのだ

その剣技は、卓越している

袈裟斬りから、股割りを一瞬にして繰り出した

だが、闇は本来は非実体型の守護者だ

阿夜が魔力密度を下げたことで、ダメージは入っていない

だが、それでいい

何故ならば、闇

否、青を優麻の為に奪還する腹積もりだからだ

だから、出来る限りダメージを与えるわけにはいかないのだ

 

「ええいっ!」

 

阿夜は苛立たし気に声を漏らし、魔法を次々と繰り出した

その魔法は、弾幕となって明久達に殺到した

だが、その魔法の弾幕は

 

「疾!」

 

「はっ!!」

 

明久と雪菜の二人によって、全て弾かれた

それを見た阿夜は、舌打ちして

 

「闇!!」

 

と守護者に、高い密度の魔力を回した

その直後、全員の耳に聞こえたのは、金属の重い悲鳴だった

それを聞いた明久が

 

「まさか、魔力の無効化を!?」

 

と阿夜に視線を向けた

すると、阿夜は嗤い

 

「そうだ……魔力無効化の速度を上げた……この島は、もうすぐ崩壊する」

 

と言った

それを聞いた沙矢華は

 

「そんな!?」

 

と顔を蒼白にした

しかし、明久は

 

「……ある意味、こいつはうってつけだね」

 

と呟いた

そして、刀を左手に持ちかえると、右腕を高々と掲げて

 

焔光の夜伯(カレイド・ブラッド)の血脈を継ぎし者、吉井明久が汝の枷を解き放つ!」

 

と新しい眷獣を呼ぶ時の式句を紡いだ

それを聞いた雪菜は、ムッとした表情で明久を見ていた

 

疾く在れ(こい)! 四番目の眷獣! 甲殻の銀霧(ナトラ・シネレウス)!!」

 

明久がその名前を唱えると、右腕から血が吹き出した

その直後、その場に居た全員の視界が、白に染まった


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