ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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鼻血

『はあ!? アルデアル公の船の中ぁ!?』

 

と怒鳴ったのは、明久の通話相手

沙矢華だった

 

『分かってるの!? そこは治外法圏で、私達は中に入れないんだけど!?』

 

「仕方ないでしょ!? 今のキーストーンゲートは、戦力ガタガタで安全とは言えなかったんだからさ!」

 

沙矢華の文句に、明久はそう反論した

その明久だが、鼻にティッシュで詮をしている

その理由だが、オシアナスグレイヴⅡに乗った時、明久や浅葱達の服装は汚れていた

それを見たヴァトラーの部下

キラ・レーベデフが、明久達に入浴を進めた(その様子を見た浅葱は、一瞬明久が同性愛者かと疑ったが)

その後、明久が一人で入浴していると、ヴァトラーのメイド集団が乱入してきた

そのメイド達だが、なんでもヴァトラーの領地の隣国の王族や代表の娘達らしい

そんな彼女達がメイドに居る理由だが、要は人質と誘惑目的だった

しかし、ヴァトラーは戦闘狂

だから、彼女達には見向きもしなかった

そこで彼女達が考えたのは、第四真祖たる明久との間に子供を設けること

そうすれば、産まれるのは第四真祖の血を継いだ強力な吸血鬼

そうして産まれた新たな吸血鬼で、ヴァトラーを倒す

そう判断し、明久を誘惑しようと乱入してきたのだ

予想外の乱入に明久が狼狽えていると、そこに浅葱とおさなが現れた

しかも気付けば、メイド達の姿は消えている

予想外の事態の連続に、明久は思考がオーバーフロー寸前になった

その後、なんだかんだで浅葱達と入浴することになった

すると浅葱が、明久に

 

『あんた……私に何か、隠してるでしょ?』

 

と問い掛けてきた

その問い掛けに、明久は動揺した

確かに、浅葱は頭の回転が早く、勘も鋭い

どうやら、その勘の鋭さから、明久が何か隠してると思ったらしい

だがそのタイミングで、明久に限界が来た

明久は我慢していた吸血衝動が原因で、鼻血を噴出

風呂に土左衛門の如く浮いたのだった

そうして気付いてみれば、ある一室のベットに寝かされていた

その時に、明久を探していた沙矢華から電話が掛かってきたという訳である

 

「浅葱や小さくなった那月ちゃんを守るには、こっちの方が都合が良いと思ったんだよ」

 

『先輩、状況は分かりました。とりあえず、私と沙矢華さんも近くに居ますから、これ以上状況をややこしくしないでくださいね』

 

どうやら、途中で雪菜に代わっていたらしい

雪菜はそう言って、通話を切った

そこに、おさなを抱えた浅葱がやってきて

 

「この船、凄いわね。まさか、私達にぴったりサイズの服があるなんてね」

 

と驚いていた

浅葱が着ているのは、ロングスカートに白いワイシャツだった

それだけなのに、まるで何処かのお嬢様のような雰囲気だった

そしておさなだが、おさなが着ているのは水色の半袖のシャツに、ミニスカートだ

明らかに、子供服である

しかし眠いのか、船を漕いでいる

だからか、浅葱は優しくおさなをベットに寝かせた

その時だった

部屋に据え付けられていたテレビが繋がり

 

『嬢ちゃん! ようやく見つけた!』

 

と不細工なコアラ

モグワイの姿が映った

 

「モグワイ!」

 

『嬢ちゃんの携帯がバッテリー切れになったから、街頭カメラから探して、テレビ電波で入ってきたぜ』

 

浅葱が相棒の名前を呼ぶと、モグワイはそう言った

そして浅葱に

 

『嬢ちゃん、悪いんだが、仕事してくれないか?』

 

と言った

それを聞いた浅葱は、テレビのリモコンを持って

 

「嫌よ。ただの女子高生を、どんだけ働かせるのよ」

 

と言って、テレビの電源をオフにした

しかし、すぐに再点灯して

 

『頼む、この通り! 緊急事態なんだ!』

 

と土下座してきた

 

「はあ? 緊急事態?」

 

『そうなんだ……脱獄囚達も一大事だが、今絃神島全体で、徐々に魔法が使えなくなってきてるんだ』

 

浅葱が片眉を上げると、モグワイはそう説明した

それを聞いた浅葱は

 

「そんなん、平和になるじゃない」

 

と言った

しかし明久が

 

「それってもしかして……人工島に掛けられてる強化魔術もじゃない?」

 

と首をかしげた

すると、モグワイが

 

『正解だぜ、嬢ちゃんの彼氏(予定)さん』

 

と言った

それを聞いた浅葱は

 

「誰が彼氏(予定)が! ……って、不味いじゃない!?」

 

と驚愕の声を上げた

するとモグワイは、キーストーンゲート地下は映像を表示させて

 

『このままじゃあ、夜明けにはこの島が沈みかねない』

 

と説明した

それを見た浅葱が、唸っていると

 

『とりあえず、そっちに迎えを送った。すぐにこっちに』

 

とモグワイが言いかけた

その直後、テレビの映像が消えて、船が大きく揺れたのだった


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