ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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刺客

明久が(空腹で)倒れて、十数分後

 

「空腹で倒れるってなによ!?」

 

「仕方ないでしょ!? 優麻が、丸一日何も食べてないなんて思ってなかったんだからさ!?」

 

と口論してる明久の頭頂部には、見事なタンコブが二段重なりで鎮座していた

それは、沙矢華の拳で作られたタンコブだ

そして明久は、冷凍庫から出してレンジで暖めたピザを食べている

その時、何故かナース服を着た雪菜が現れて

 

「優麻さんの応急処置が終わりました」

 

と告げた

すると、明久が

 

「なんで、ナース服?」

 

と首を傾げた

すると雪菜は、恥ずかしそうにしながら

 

「仕方ないじゃないですか。私が着ていた服は、戦闘で汚れてしまって、深森さんに渡されたのがこれだったんですから……」

 

と言った

気付けば、沙矢華が何処かから出したデジカメで、撮影しまくりである

そして明久は、ゆっくりと雪菜を見てから

 

「うん、よく似合ってるよ」

 

と言った

それを聞いて、雪菜は顔を赤くしながら、部屋のテレビに視線を向けた

その直後

 

「あれ、藍羽先輩?」

 

と言った

 

「へ、浅葱?」

 

雪菜の言葉を聞いて、明久もテレビに視線を向けた

すると雪菜が

 

「はい、先程……あ、ほら!」

 

とテレビを指差した

確かに、浅葱が映っている

しかも浅葱の隣には、長い黒髪の少女が映っていた

それを見た明久は

 

「あれ……那月ちゃんに似てない?」

 

と二人に問い掛けた

すると、沙矢華が

 

「確かに、似てるわね……」

 

と呟いた

そこに、雪菜が

 

「もしや南宮先生は、キーストーンゲートに転移したのではないでしょうか?」

 

と言った

その言葉を聞いて、明久と沙矢華の視線が雪菜に向いた

 

「恐らく南宮先生は、警備隊詰所のあるキーストーンゲートに向かって転移しようとした。しかし途中で子供になってしまい、そこに藍羽先輩に出会い」

 

「まるで、生まれたての雛みたいに、親だと思ってる……みたいな感じ?」

 

雪菜の言葉を継いで、明久がそう言った

すると、雪菜は頷き

 

「恐らくは、本能的に安全だとも思ったはずです」

 

と言った

それを聞いて明久は、納得しつつ

 

「とりあえず、浅葱にコールだ」

 

と言いつつ、携帯を取り出した

その頃浅葱は、中央道で行われてるパレードを小さな少女と一緒に見ていた

その少女は、少し前

浅葱がキーストーンゲートから出て、すぐ近くのモノレール駅の売店に行った時、売店のおばちゃんが

 

『子供とはぐれないようにね』

 

と言って、初めて気づいた

勿論だが、浅葱はまだ結婚すらしていない

驚きながらも浅葱は、その小さな少女に

 

『お母さんは誰?』

 

と問い掛けた

すると、少女は

 

『藍羽浅葱!』

 

と元気に答えた

とりあえず浅葱は、どうしようか考えながらも、その少女が退屈しないようにと、祭に繰り出した

なお浅葱は、その少女を仮におさなちゃんと呼ぶことにした

そこに

 

「えっ!? 明久から!?」

 

浅葱は驚いたが、すぐに携帯に出た

 

「はい、もしもし?」

 

『浅葱、今パレード見てるよね!?』

 

第一声にピンポイントで当てられて、浅葱は驚き

 

「え、なんで知ってるの!?」

 

と問い掛けた

すると明久は

 

『テレビに映ってたの!』

 

と言った

それを聞いて、浅葱は

 

「しまった……映ってたか……」

 

と頭を抱えた

そこに明久が

 

『それより、隣に居る女の子は誰!?』

 

と問い掛けてきた

その問い掛けに、浅葱は

 

「それがね、気付いたら居たのよ。しかも、アタシをお母さんと勘違いしてるみたいで……」

 

と言った

その時、尋常じゃない気配を感じて、右に視線を向けた

その先には、民族衣装を着た老人が居た

それを見た浅葱は

 

「ごめん、明久。なんかヤバそうだから、切るね」

 

と言って、携帯を切った

すると、その老人は

 

「本当に幼くなっているのだな……女……その少女を渡せ……そうすれば、命だけは助けてやる」

 

と言ってきた

しかし、浅葱は

 

「そう言われて、渡すわけないでしょ!」

 

と言って、少女

おさなと一緒に、走り出した

そして

 

「モグワイ!」

 

と相方を呼び出した

すると、携帯画面にブサイクなコアラが現れて

 

『状況は把握してるぜ。あいつは、キリカ・ギリカ。ある部族の精霊使いで、自分の体に炎の精霊を宿した化物だ。前に空隙の魔女に捕まり、監獄結界に収監された奴の一人だ』

 

と教えた

それを聞いた浅葱は

 

「監獄結界!? あれって、噂じゃなかったの!?」

 

と驚いた

しかし、後ろから飛んできた火球を避けて

 

「とりあえず、この危機的状況を乗り越えるのが先ね……モグワイ、キーストーンゲートのEエントランスまでの最短ルートを!」

 

と指示を出したのだった


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