ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

58 / 182
診察

「えっと……あぁ、あった」

 

と明久は、深森に教えられた寝室のクローゼットの中から、救急箱を見つけた

その救急箱を近くの椅子に置いてから明久は、着ていた衣装を脱ぎながら

 

「怪我してるって分かってるなら、その傷口をど突く? 普通……」

 

とブツブツと言った

そして着ていたワイシャツの前を開ければ、深森が肘打ちした下腹部の少し上に、刺創があった

それは、雪菜が刺した傷口だった

明久はその傷口を、恐る恐ると触って

 

「いった!?」

 

と言った

その直後、その寝室のドアが乱暴に開けられて、沙矢華が入ってきた

驚いた明久は、ワイシャツの前を閉じて

 

「き、煌坂さん!?」

 

と沙矢華の名前を呼んだ

よく見れば、かなり窶れている

 

「な、凪沙はどうしたの?」

 

「ちょっと呪術で、眠ってもらったわ」

 

明久の問い掛けに、沙矢華はそう答えながら、ベッドに腰掛けた

どうやら、かなり苦労したようだ

 

「呪術でって……」

 

「仕方ないでしょう!? 貴方が第四真祖だってこと、秘密なんでしょ?」

 

明久が非難がましい目で見ると、沙矢華はそう言った

確かに、深森は気付いてる節が有るが、凪沙には秘密にしていた

その理由は、凪沙は魔族恐怖症だからだ

そうなった理由は、過去に魔族が起こしたテロに巻き込まれたからだ

 

「まあ、そうだね……ありがとう」

 

「ふん……吉井明久、ちょっとこっちに来なさい」

 

明久が感謝すると、沙矢華はそう言いながら、手招きした

それを聞いて明久は、スタスタと沙矢華に近付いた

すると沙矢華は、明久の顔を見て

 

「傷口、見せなさい。治療出きるかもしれないから」

 

と言った

 

「気付いてたの?」

 

「当たり前でしょう? 私は舞威姫。呪詛と暗殺を得意としてるのよ? 呪力の流れに違和感を感じたわ」

 

明久が驚いた様子で問い掛けると、沙矢華は自信満々と言った雰囲気でそう言った

それを聞いて明久は、閉じていたワイシャツを開いた

すると、沙矢華は

 

「うわ……これが……」

 

顔を赤らめながらそう呟き、ゆっくりと傷口付近を触った

その瞬間

 

「つっ!?」

 

「あ、ご、ごめん!」

 

明久が痛みで体を強張らせたことに気づき、沙矢華は反射的に謝った

すると沙矢華は、今度は少し離れた場所に手をそっと当てた

そして、少しすると

 

「なにこれ……回復が、阻害されてる?」

 

と怪訝そうに、呟いた

それを聞いて、明久が

 

「それって、雪霞狼で刺されたから?」

 

と問い掛けた

すると、沙矢華は

 

「いえ……雪霞狼に、そんな能力は無い筈よ……確かに、真祖殺しの槍だけど……」

 

と否定した

 

「そうだよ……ね」

 

沙矢華の言葉を聞いて、明久は同意した

だがその直後、明久は倒れた

 

「ちょっ!? 大丈夫!?」

 

慌てた沙矢華は近寄り、明久の体を揺らした

すると、明久の目がうっすらと開いて

 

「……お」

 

と呟いた

 

「なに、どうしたの!?」

 

と沙矢華は問い掛けた

すると、グキュルルルという間抜けな音がして

 

「お腹すいた……」

 

と明久が言った

 

「はあっ!?」

 

明久の言葉を聞いて、怒った沙矢華は悪くないだろう


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。