ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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脱出

明久の言葉を聞いて、ドレッドヘアの男

シュトラ・Dが

 

「はっ! 第四真祖風情が、言ってくれるじゃねえか!!」

 

と言って、跳んだ

それを見た明久は、迎撃しようとしたらしく、足下に転がっていた刀

鉋切と火車を蹴りあげて、構えた

しかし、そんな明久より早く

 

「はあっ!」

 

と雪菜が動いていた

雪菜はシュトラ・Dの手の振るいに合わせるように、雪霞狼を突き出した

もし、シュトラ・Dの攻撃が魔力を用いた物だったら、それで無効化されていただろう

だが、シュトラ・Dの攻撃は無効化されず、雪菜の雪霞狼とぶつかり、周囲に暴風を撒き散らした

その後、雪菜とシュトラ・Dの攻撃は拮抗

二人は、衝撃で離れた

すると、着地したシュトラ・Dが

 

「俺の轟嵐砕刃が防がれただ? そうか……そいつが、獅子王機関の秘奥兵器ってやつか!」

 

と雪菜を睨んだ

そして、雪菜は

 

「先輩、引いてください。相手は、普通の魔族じゃあありません」

 

と明久に警告した

シュトラ・Dが普通の魔族でないことは、明久にも分かっていた

だが、明久の背後には重傷で身動きが出来ない優麻が居る

その優麻を、置いていくことは出来ない

明久がそう思っていた

その時

 

「二人供、伏せて!」

 

と声が聞こえて、明久と雪菜はその場で伏せた

その直後、眩い閃光がその場を支配した

やはり、その閃光は予想外だったのだろう

脱獄囚達は視界を奪われていた

そして、視界が元に戻った時には、明久と雪菜

そして、優麻の姿は無くなっていた

そこから離れた場所では

 

「こんな時に、何処を掴んでるか!?」

 

「落ちそうなんだから、仕方ないでしょう!?」

 

三人を助けた人物

沙矢華の腰に、明久が必死な表情で抱き付いていた

そして、明久

 

「というか、このバイクらしき物はどうしたのさ!?」

 

と沙矢華に問い掛けた

すると、沙矢華は

 

「そこら辺の道端に、転がってたのよ!」

 

と返した

それを聞いた明久は

 

「こんなのが、転がっててたまるか!?」

 

と突っ込みを入れた

すると、雪菜が

 

「これは、ケッテン・クラートですね。第二次世界大戦時に、東ドイツで開発・配備された半履帯式(キャタピラ)の乗り物です」

 

と説明した

それを聞いた明久が、思わず

 

「ゆ、雪菜ちゃん?」

 

と問い掛けるように、名前を呼んだ

すると雪菜は

 

「の、レプリカでしょうね。これも、モデルガンみたいですし。恐らく、パレード用に作られたのかと」

 

と雪菜は、自分が掴んでる機銃の懸架台を見ながら、付け加えるように言った

確かに、パレード用ならば納得がいく

今は、波廊院フェスタ真っ最中

コスプレして歩き回るのも、多々居る

恐らく、何処かの企業か大学のサークルかが作ったのだろう

 

「雪菜、追っ手は?」

 

「ありません」

 

沙矢華の問い掛けに、雪菜は周囲を見回してから答えた

それを聞いた沙矢華は、ケッテン・クラートの速度を落とした

すると、態勢を立て直した明久が

 

「煌坂さん。優麻を治せる?」

 

と沙矢華に問い掛けた

すると沙矢華は

 

「そいつ、あんたの体を乗っ取ってた奴でしょう? 何があったのよ」

 

と二人に問い掛けた

その問い掛けに二人は、分かりやすく簡潔に、沙矢華に教えた

すると、沙矢華は

 

「つまりその母親は、自分が脱獄するためだけに、そいつを使い捨てにしたわけ!? なんて奴よ!!」

 

と憤った

彼女は過去に、家族関係で事件があった

だから、許せなかったようだ

 

「助けてあげたいけど、私には無理ね……」

 

「そもそも魔女関連は、未知の部分が多分にあります。現代の科学技術でも、解明されていません」

 

沙矢華が残念そうに言うと、雪菜が補足説明した

どうやら、沙矢華にはお手上げらしい

そして、沙矢華は

 

「相当の技量を持つ魔女か魔法使い。もしくは、魔導医療施設のある施設なら、治療出来るかもしれないけど……」

 

「しかし、南宮先生は行方不明です……とうすれば……」

 

沙矢華の言葉を聞いて、雪菜はそう言った

すると明久が

 

「魔導医療施設か……」

 

と言いながら、渋面を浮かべた

そして

 

「煌坂さん。次の角を右に」

 

と言った

それを聞いた沙矢華は、言われた通りに曲がってから

 

「なにか、心当たりがあるの?」

 

と明久に問い掛けた

すると、明久は

 

「ああ、うん……僕と凪沙の母さんの勤め先……MARの医療セクション研究所」

 

と教えた

すると沙矢華と雪菜は

 

「えぇ!?」

 

と揃って、声を上げたのだった


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