ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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観測者達の宴編なり


観測者達の宴編
終わりにして始まり


「立てる、優麻?」

 

「なんとかね……」

 

明久の問い掛けに優麻はそう言いながら、ゆっくりと立ち上がった

その表情は、何処か憑き物が落ちたようにすら見える

 

「さて、この後はどうする?」

 

明久がそう問い掛けると、優麻は

 

「そうだね……フェスタを回りたいかな」

 

と言って、明久の方に振り向いた

その時

 

「お前が、阿夜の娘か」

 

と声が聞こえた

明久が振り向いてみればそこには、先程まで椅子に座って眠っていた筈の那月が居た

 

「那月ちゃん!?」

 

「貴女が……空隙の魔女……」

 

明久がちゃん付けで呼んだのが不服らしく、那月はしかめっ面だった

しかし、優麻に視線を向けて

 

「確かに、阿夜によく似ているな……」

 

と言った

そして、続けて

 

「それで、もう戦うつもりはないんだな?」

 

と優麻に問い掛けた

すると優麻は

 

「ああ……もう、僕にはどうしようもない」

 

と返答した

それを聞いた那月が頷いた

その時、優麻の背後に優麻の守護者

青が姿を現した

 

「青? 僕は呼んでないんだが……」

 

と優麻が不思議そうにした

その直後、青は腰の剣を抜刀

優麻に突き出した

 

「優麻!?」

 

余りにも予想外の事態に、明久は驚愕した

すると優麻は、青の顔を見て

 

「お……お母……様……そこまでして」

 

と言って、口から血を吐き出した

すると、青が

 

『待ッテイタゾ……那月……貴様ガ、隙ヲ見セルタイミングヲナァ』

 

と喋った

それを聞いて明久は、視線を那月に向けた

そして見たのは、青の剣によって胴体を貫かれた那月だった

 

「阿夜……貴様……そこまで……して……この……外道が……」

 

そこまで言った時、那月を貫いていた剣が消失

那月が倒れそうになった

 

「那月ちゃん!」

 

それを、明久がギリギリで抱き止めた

しかしどう見ても、それは致命傷の域だった

その時、監獄結界が揺れ始めた

もしかしたら、那月が重傷を負ったからかもしれない

 

「これは、嫌な予感がする! 雪菜ちゃん、那月ちゃんをお願い!」

 

明久はそう言うと、倒れてる優麻に駆け寄った

その直後、一際強い揺れが起きて、上から大きな瓦礫が落ちてきた

 

「やばっ!?」

 

「先輩!!」

 

と二人が声を上げた直後、視界が歪んだ

次の瞬間、明久達は監獄結界の外に居た

 

「これは……空間転移……優麻!?」

 

と明久が視線を向けると、優麻は

 

「違うよ……明久……僕だけじゃない……空隙の魔女が……力を貸してくれたんだ……」

 

と言った

どうやら、那月が力を貸したらしい

しかし、その那月の姿は無くなっていた

 

「那月ちゃん……どこに……」

 

と周囲を見回していた

その時

 

「那月には逃げられたか……」

 

と少したどたどしい言葉遣いの声が聞こえた

それを聞いた明久は、思わず

 

「誰だ!?」

 

と声を上げながら、視線を声のした方に向けた

その先に居たのは、着物を着た少女と見間違えそうな程に若い女性だった

そして、その女性の見た目は優麻に瓜二つだった

その女性を見て、優麻が

 

「お……母様……」

 

と呟いた

まだ、この事件は終わりではなかったのだ


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