ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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騒動

「んあ……朝か……」

 

と起きた明久は、違和感を感じながらもベッドからおりた

そして、ヨタヨタと洗面所まで行って鏡を見た

そして、違和感の原因に気付いて

 

「な、なんでさぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

と声を上げた

そして直ぐ様明久は、隣の雪菜の部屋に向かった

 

「雪菜ちゃん! 居る!?」

 

とノックもそこそこに入ると、明久の眼前には巨大なカボチャの頭が見えた

 

「も、もしかして……アスタルテちゃん?」

 

「肯定……これは気に入りました」

 

明久が驚いた表情で問い掛けると、アスタルテはカボチャに彫られた目に付けられたLEDをピカピカと光らせた

どうやら、フェスタで着ていく衣裳らしい

すると、居間に続いているドアが開いて

 

「アスタルテさん、誰か来たんですか?」

 

と雪菜が現れた

すると雪菜は、明久を見て

 

「優麻さん。魔女ですか? よく似合ってますよ」

 

と誉めた

そう

今明久の体は、優麻になっていたのだ

 

「違うよ、雪菜ちゃん! 僕は、明久だ!」

 

「…………はい?」

 

明久の言葉を聞いて、雪菜は首を傾げた

そして、数十分後

 

「……まさか、優麻さんが魔女だったなんて」

 

と雪菜は額に手を当てていた

あの後、色々と確認をして現状を把握したのだ

 

「しかし、魂を入れ替えたという訳では無さそうですね……それだったら、優麻さんの体が先輩の魂に耐えられないはずですから……」

 

と雪菜が悩んでいると、アスタルテが

 

「提案……恐らく、空間置換した可能性あり」

 

と事務的に言った

 

「それって、那月ちゃんみたいに?」

 

「肯定」

 

明久の問い掛けに、アスタルテは頷いた

そして明久は

 

「で夏音ちゃん……何してるのさ?」

 

と、髪を鋤いていた夏音に問い掛けた

すると、夏音は

 

「あ、綺麗な髪だったので……鋤いていました」

 

と梳を見せた

そして雪菜は

 

「それで先輩……凪沙ちゃんも居なかったんですね?」

 

と明久に問い掛けた

すると、明久も頷き

 

「うん。確認したけど、居なかった」

 

と答えた

そこから考えられるのは

 

「最悪」

 

「人質になってるよね……」

 

今の優麻の見た目は、明久になっている

明久の口調を真似すれば、容易く連れていけるだろう

 

「さて、行くか」

 

そう言って明久は、バットケースを背負った

それを見て、雪菜が

 

「先輩、それは?」

 

と問い掛けた

すると明久は

 

「ん、まあ……対魔女用兵装だね」

 

と言った

それを聞いた雪菜は

 

「また、どんな刀が……」

 

と呟いた

そして一行は、アパートから離れた

そこで分かったのは

 

「やっぱり、優麻の身体能力が高いなあ」

 

優麻の身体能力の高さだった

優麻の身体能力は、流石に吸血鬼モード程では無かったものの、かなり高かった

しかし、中々見つからない

その第一要因になったのは、空間魔術が原因と思わしき転移だった

アパートの玄関口から出たら、何故かモノレール駅に出た

そういったことを何回か繰り返し、一行は一度レストランで休憩していた

すると

 

「先輩、疲れてるのは分かりますが……足を開かないでください……下着が見えますから」

 

「勘弁して……少しは休ませて」

 

雪菜の小言に、明久はそう返した

やはり慣れないからか、明久は疲れた様子で座り込んでいた

すると、明久が

 

「それでアスタルテちゃん……やっぱり、那月ちゃんには連絡着かない?」

 

とアスタルテに問い掛けた

すると、カボチャ頭を取ったアスタルテが

 

「肯定……連絡着かず」

 

と言いながら、携帯を取り出した

それがどうやら、那月から渡された携帯らしい

 

「西村教官にも、連絡着かず」

 

「鉄人も? 相当だなぁ」

 

アスタルテの言葉を聞いて、明久はいよいよと頭を抱えた

その頃、ある埠頭では

 

「どうだ、康太?」

 

「……怪我人は、全員搬送した」

 

基樹の問い掛けに、影の中から出てきた康太がそう答えた

そこはつい先日、あるテロ集団との戦闘で警備隊に重傷者が多数出た現場だった

康太は残りが居ないか、確認していたのだ

 

「……それで、相手は図書館か?」

 

「ああ、双子が来たらしい……」

 

康太の問い掛けに、基樹が苦々しい表情でそう答えた

図書館というのは、魔導書の使い手達

魔女や魔法使いにより構成された、テロリスト集団だ

そして双子というのは、その中でも名の知れた危険人物達だった

確認されているのは、今から約十年程前に広大な森が一晩で消滅した

という事件があった

その時にも那月が当たったが、相手に相当な手練れが居たらしくその魔法使いは捕まえたが、双子には逃げられてしまったのだ

 

「さてと……問題は……何が目的なのか、だ」

 

「……もしや、噂の監獄島やらではないか?」

 

基樹の言葉を聞いて、康太がそう言った

監獄島というのは、絃神島に流れている噂である

夜な夜な、その監獄島が現れては凶悪犯を収容し、海の底に消えていく

という怪談めいた噂である

 

「わからんが……嫌な予感がする……」

 

と言った基樹が見ていたのは、キーストーンゲートだった


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