ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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短いです


蒼き魔女の迷宮編
始まり


絃神島も10月になり、島全体があるイベントの準備に明け暮れていた

その名も、波朧院フェスタだ

なお名前の由来は、ハロウィンである

完全に、当て字だ

なお、その波朧院フェスタは絃神島最大級のイベントだ

この時ばかりは、絃神島のあらゆる企業と学校ははっちゃける

企業の力を見せつけるためのパレードや、出店

更に、有志によるライブや何らかのパーティーも行われる

そしてそれに合わせるように、観光客が島に押し寄せる

この絃神島は、魔族特区と呼ばれていて、本土に比べて魔族の数が圧倒的に多い

それ故に、滅多なことでは観光目的の一般人や取材は入れない

しかし、波朧院フェスタではその規制が緩和されるのだ

そしてその影響は、交通に出る

その影響を、明久達はモロに受けていた

 

「ぐおっ……だ、大丈夫? 雪菜ちゃん?」

 

「な、なんとか……」

 

明久と雪菜は、すし詰め状態のモノレールに揺られていた

なお凪沙は、部活の出し物が忙しいために既に登校している

最近は元気になっているようで、明久としては非常に嬉しいところだった

その時、明久の視界にある光景が見えた

それは、反対側のドア付近

そこに、中等部の制服を着た女子がスーツを着た男に痴漢されているらしい光景だった

痴漢と分かったのは、そのスーツの男が嫌らしく笑っていたからだ

 

「あいつ!」

 

「先輩!?」

 

妹が居る明久としては、見過ごせない事態だった

だから明久は、何とか近づいていった

そして、次の駅に到着した時にその男の肩を掴もうとした

その時、開いたドアの外から伸びてきた手に明久の腕と男の腕が捕まれた

 

「おっ?」

 

と明久が不思議に思った瞬間、乗客が外に出始めたのと同時に明久の体が凄まじい力で引っ張られた

 

「なんっ!?」

 

明久は驚くが、空中で体を捻ってなんとか着地した

そして見たのは、あのスーツの男がチャイナ服を着た女性に取り押さえられていた

そしてその女性を、明久は知っていた

 

「笹崎先生!?」

 

「おー? 誰かと思ったら、吉井兄じゃんよ」

 

その女性の名前は、笹崎岬(さささきみさき)

凪沙と雪菜のクラスの担任である

すると、その笹崎の隣に先程の被害者らしい中等部女子と思っていた人物が居た

だがその人物を見て、明久は固まった

なぜならば

 

「那月ちゃん? 何してるんですか?」

 

その人物は、中等部の制服を着ているが間違いなく明久の担任

南宮那月だったからだ

すると、那月は明久を睨んで

 

「なに、最近このモノレールで痴漢にあう生徒が続出していてな。私が囮になって一網打尽にしていた所だ」

 

と告げた

それを聞いて、明久は凪沙から聞いた話を思い出した

最近、中等部女子で痴漢の被害が多発しているということを

 

「その制服は?」

 

「これか? これは、私が彩海学園の生徒だった時の物だ」

 

明久の問い掛けに、那月はそう答えた

確かに、よく見たら今のとデザインが違う部分があった

すると、複数の男達を縄で縛った笹崎が近づき

 

「南宮先輩。痴漢集団、捕縛完了しましたよっと」

 

と軽い調子で言った

笹崎岬

普段は中等部の体育教師をしているが、彼女も那月や西村と同じ降魔官である

しかも、かつての西村と同じ四仙拳の一人

仙姑(せんこ)と呼ばれているのだ

しかし普段からノリが軽く、しかも那月は身長差があることから苦手としている数少ない一人だ

 

「さて、吉井明久。そろそろ行かないと遅刻するぞ」

 

「げっ、それは不味い」

 

那月に言われて、明久は腕時計を見た

確かに、結構ギリギリの時間だった

そして明久は、投げられた時に落としたカバンを雪菜から受け取りホームから改札に向かった

この時、既に不穏の種は島に入っていた

青き魔女の血筋が


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