ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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終局

その後明久達は、救援にやってきた防衛部隊の船に乗せられた

そしてその船には、沙矢華も居た

会った瞬間斬られそうになったが、それはラ・フォリアの取りなしで止められた

その後明久は、船内で軽く体を洗った

その後、部隊の一人からワイシャツを貰った

しかし、予備のためか少し派手な柄だった

その後明久達は、部隊に捕縛された賢生を窓越しに見た

端から見たら、かなり大人しい

部隊の人から聞いた話しでは、抵抗しなかったらしい

それを見た明久達は、意識を取り戻したらしい夏音に会いに行った

夏音は、宛がわれた部屋でベッドに横たわっていた

 

「あ、お兄さん……」

 

「いいよ、寝てて」

 

明久達を見て、夏音は一度起き上がろうとしたが、それは明久が止めた

そして、夏音が落ち着くのを待ってから

 

「夏音ちゃん、助けられて良かったよ」

 

と明久が言った

すると、夏音が

 

「お兄さん……ご迷惑をかけました」

 

と謝った

すると明久は

 

「いいよ……あれは、行き過ぎた父親の暴走だから」

 

と返答した

すると、雪菜が

 

「そうですよ、叶瀬さん……今は、体を休めてください。力が外れたとは言っても、体はダメージが残ってるんですから」

 

と言った

人造天使の力は術式によって制御されていたが、反動が無い訳ではなかった

夏音の体の内側は、天使の力によってダメージを負っていたのだ

部隊の医療官によれば、本来は激痛で立てないレベルらしい

しかし、夏音はそれを顔に出さなかった

それは、父親たる賢生を思ってだろう

 

「はい、ありがとうございました……」

 

夏音はそう言った

すると、ラ・フォリアが

 

「初めまして、叶瀬夏音さん。私の名前は、ラ・フォリア・リハバイン。北欧、アルディギア王国の第一王女です」

 

と名乗った

すると、夏音は寝た状態だが

 

「叶瀬夏音でした。ごめんなさいでした、ご迷惑を……」

 

と謝罪した

しかし、ラ・フォリアは微笑みを浮かべて

 

「いえ、構いませんよ。今回のことには、我がアルディギアの技術が悪用されてましたから」

 

と言った

賢生は昔、アルディギアの宮廷魔導技師だった

そして、人造天使はそのアルディギアの技術を使って作り出されたのだ

確かに、彼女が介入するには十分すぎる理由だろう

 

「それで、夏音。貴女に大事な話があります」

 

「大事な話……でした?」

 

ラ・フォリアの言葉を聞いて、夏音は首を傾げた

すると、ラ・フォリアは頷いてから

 

「貴女を、我がアルディギアの王室に迎え入れたいと思っています。どうですか?」

 

と問い掛けた

それに対して夏音は

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

そして、船に乗って約2時間後

明久達は、絃神島に帰った

そして港には、那月と西村が居た

そこまでは、明久の予想通りだった

だが何故かそこには、浅葱と凪沙が居た

 

「あ、浅葱に凪沙……なんで、ここに居るのかなー?」

 

と明久が問い掛けると、まず浅葱が

 

「あんた……今日は、私の美術の課題、手伝うって言ってなかった?」

 

と明久を睨んだ

それを聞いて、明久は思い出した

確かに、今日は浅葱の美術の課題を手伝う約束をしていた

それを思い出して、明久は自分の額に手を当てた

 

「しまった……」

 

そして、凪沙に視線を向けると

 

「私は、明久君の心配をしてたの! 一日経っても帰ってこないし!」

 

と言った

確かに、それは道理である

 

「あ、はい。ごめんなさい」

 

凪沙の言葉を聞いて、明久は素直に頭を下げた

その時、船の中からストレッチャーに乗せられて夏音が現れた

 

「あれ!? 夏音ちゃん!?」

 

夏音に気付いて、凪沙はそのストレッチャーに近寄った

すると、隊員が

 

「すまない、彼女は疲労が激しい。今は、病院に運ばせてくれ」

 

と凪沙を止めた

 

「あ、はい……」

 

凪沙は素直に身を引き、そのストレッチャーを進ませた

それに遅れて、最後にラ・フォリアが姿を現した

すると、凪沙が

 

「あれ!? アルディギアの王女様!?」

 

と驚いていた

確かに

まさか、こんな所で会えるとは思わないだろう

そんなラ・フォリアだが、一瞬微笑んだかと思ったら

 

「昨晩は、楽しかったですよ。明久」

 

と言って、頬にキスした

それに、明久が驚いて固まっていると

 

「明久! どういうことよ!?」

 

「明久君!?」

 

と浅葱と凪沙が詰め寄った

それに同調するように

 

「吉井明久!? やっぱり、あんたは!?」

 

と沙矢華が、顔を真っ赤にしていた

そして、明久は

 

「待って!? 僕にも何がなんだか!?」

 

と言った

だが、三人は一気に明久を追い掛け始めた

明久は、それから逃げながら

 

「ああーもう……不幸だぁぁぁぁ!!」

 

と叫んだ

 

「だから、上条さんのアイデンティティーぃぃぃぃ!?」

 

と何処かで、一人の男子学生が叫んだとか

そして翌日、空港にて

 

「しかし、残念でしたね。ラ・フォリア殿下。夏音さんが断って」

 

とスーツ姿の沙矢華が言った

そう

夏音は、ラ・フォリアの提案を断ったのだ

絃神島に居たいと

 

「いえ、これが良かったのかもしれません」

 

ラ・フォリアがそう言うと、沙矢華が不思議そうに首を傾げた

それを見て、ラ・フォリアは

 

「だって、そのほうが面白そうではないですか」

 

と笑みを浮かべたのだった

こうして、人造天使事件は幕を下ろしたのだった


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