ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

42 / 182
処断

明久達三人は、同時に動いた

雪菜はベアトリスに

ラ・フォリアはロウに

そして明久は、夏音に

 

「はっ! あんたみたいなメスガキに、アタシが負けるとでも!?」

 

「既に、勝機は見えています」

 

ベアトリスの言葉に、雪菜は冷静にそう返した

そして、雪菜は超高速の突きを繰り出した

だがその一撃は、曲がりくねった槍によって防がれた

しかし雪菜は、冷静に

 

「やはり、意思を持つ武器(インテリジェントウェポン)ですか」

 

と言った

 

「ほう、よく分かったね。メスガキ」

 

「先程、先輩が刀を投げた時に、その槍が一瞬曲がったのが見えたので」

 

ベアトリスの言葉を聞いて、雪菜は淡々とそう言った

するとベアトリスは、槍を回して

 

「こいつの正体が分かったからって、避けられるかは別問題だろ」

 

と言った

そして、肩に担ぐと

 

「串刺しにしちまいな、蛇紅羅(ジャグラ)!」

 

と言って、槍を振り下ろした

 

「確かに、普通だったら無理でしょう……しかし」

 

雪菜はそこまで言うと、蛇紅羅を雪霞狼で防いだ

次の瞬間

 

「ですが、使い手が悪ければ、その力を発揮出来ない」

 

雪菜はあえて、雪霞狼を手放した

 

「なっ!?」

 

まさか武器を手放すとは思っていなかったらしく、ベアトリスは驚愕で目を見開いた

その隙を逃がさず、雪菜は一瞬にして懐に入ると、右手をベアトリスの腹部に当てて

 

(ゆらぎ)よ!」

 

と得意技を叩き込んだ

 

「がふっ!?」

 

その一撃を喰らい、ベアトリスは口から血を吐き出した

しかもその一撃で、ベアトリスは大きなダメージを受けた

 

「このメスガキ……何を!?」

 

ベアトリスがそう問い掛けると、雪菜は落ちていた雪霞狼を拾い上げ

 

「貴女の体内に、衝撃を通しました」

 

と答えた

吸血鬼の体は確かに、大抵の傷を即座に修復することができる

しかし、何事にも例外は存在する

吸血鬼の高速再生は、直接的なキズは即座に治す

だが、体内のダメージ

並びに、身体機能に対するダメージは治すのに時間が掛かるのだ

そして雪菜がやったのは、横隔膜に対する強烈な衝撃波である

鎧を着ていても大ダメージが通るのに、ライダースーツ一枚で防げる訳がない

ベアトリスは、震える足でなんとか距離を取ると

 

「ロウ! 腐れメスガキ一匹無力化するのに、何時まで掛かってるんだ!」

 

と声を上げた

そして返ってきたのは

 

「ちくしょう……騙されたぜ……」

 

という、ロウの言葉

そして、ロウが倒れた音だった

その音に顔を向けると、金色に輝いているラ・フォリアと同じ様に金色に輝く呪式銃だった

 

「ロウ! メスガキ一匹に勝てないのかよ!」

 

とベアトリスが苛立った声を上げると、ラ・フォリアが

 

「恥じる必要はありません。この身は、精霊なのですから」

 

と言った

それを聞いて、ベアトリスはロウが負けた原因に気がついた

 

「ヴェルンドシステムだと!? バカな! あれは、一定範囲内に精霊炉がないと使えないはず!?」

 

「ええ、ですから……私が(・・)精霊炉になった(・・・・・・)のです」

 

驚くベアトリスに、ラ・フォリアはそう返した

そして、ベアトリスは

 

「まさか……自分の中に精霊を召喚したのか!?」

 

と驚いた

そう

それこそが、アルディギア王族のみが扱える術式だった

ラ・フォリアはロウと戦いながら呪文を唱え、自分の体内に精霊を召喚

自分自身を精霊炉にして、呪式銃の銃剣をヴェルンドシステムによって聖剣クラスにまで引き上げたのだ

そうとも気付かず近づいたロウを、一撃で倒したのだ

 

「私、ラ・フォリア・リハバインの名の下に……ベアトリス・バスラー……貴女を処断します」

 

ラ・フォリアはそう言いながら、ゆっくりとした歩調でベアトリスに近付いていく

するとベアトリスは

 

「それ以上……近寄るんじゃねえ!」

 

と言って、蛇紅羅を振るった

だがその一撃を、雪菜が見逃す訳がない

雪菜は雪霞狼を振るい、蛇紅羅を弾き飛ばし、そしてベアトリスの膝裏を蹴った

それによりベアトリスは膝を突いたが、すぐに立ち上がろうとした

だがその時、既にラ・フォリアは目の前に居た

 

「貴女達に無惨に殺された騎士達と非戦闘員の無念……そして、親族の怨み……篤と知りなさい」

 

ラ・フォリアはそう言って、呪式銃を振った

その一撃は、ベアトリスの右肩から左腰まで切り裂いた

その一撃を喰らい、ベアトリスは砂浜に倒れた

それを、雪菜が見下ろしていると

 

「殺してはいません。まあ、死ぬ程痛いでしょうがね」

 

とラ・フォリアが言った

 

「いいんですか?」

 

と雪菜が問い掛けると

 

「この者達には、何をしていたのか洗いざらい吐いてもらう必要があります。処刑は、その後です」

 

とラ・フォリアは言った

そして二人は、明久の方を見た

明久は増えた二人の攻撃を避けながら、夏音に獅子の黄金と双角の深緋を繰り出していた

だがその攻撃は、夏音を通り過ぎるだけ

 

「急いで止めないと」

 

雪菜はそう言うと、ベアトリスから落ちたリモコンを拾った

そして何とか操作すると、少ししてから二体の人造天使は砂浜に膝を突いて止まった

すると明久が

 

「夏音ちゃん……今から、君を解放するよ」

 

と言って、左腕を高々と上げた

そして明久は、新たな眷獣を召喚する


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。