ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

41 / 182
怒りの宣告

吹雪が収まったのを確認して、賢生達三人は上陸した

夏音が居た場所には、まるでかつてのバベルの塔のような氷柱があった

賢生はそれを見上げると

 

「夏音……」

 

と夏音の名前を呟いた

その直後だった

氷柱の一番下の一角が、溶けたのだ

そこから現れたのは、明久達だった

 

「流石は、有名な妖刀ですね……まさか、炎も出るなんて……」

 

「呪文は、うろ覚えだったけどね」

 

ラ・フォリアの言葉に、明久はそう返した

その左手に持つのは、燃え盛る大太刀

火車宏光だった

火車宏光の分類は、斬馬刀になる

斬馬刀というのは、その名前の通り馬諸とも相手を斬るために造り出された刀である

それにより、刃の厚さ、長さ、重さのどれをとっても刀の中では最たる物として知られている

火車宏光は、その中では比較的短い部類に入る

しかし火車宏光には、その名前の由来となった火車を斬ったという伝説がある

それによるのか、火車は呪文を唱えると刀身に炎を宿すようになっていた

真っ赤な炎を

明久はそれを使い、氷を溶かしたのだ

そして明久は、火車宏光を軽く振って炎を消した

そして、賢生達を見て

 

「どうも、生きてたよ」

 

と言った

すると、賢生が

 

「眷獣の能力で、復活したのか」

 

と言った

やはり、元宮廷魔導技師なだけはあった

察しが良かった

 

「そうだね……なあ、賢生さん……あんたさ、夏音ちゃんとキチンと話したの?」

 

「……どういう意味だ?」

 

明久が問い掛けると、賢生は首を傾げた

すると明久は、氷柱の中で両膝を抱えている夏音を指差し

 

「あの子は、一生懸命今を生きてたんだ。多分、シスターにもなりたかった筈だ。あの高潔な精神は、聖女って呼ばれるのも納得だ」

 

と喋りだした

そして続けて

 

「あんたが夏音ちゃんの父親だって言うなら、ちゃんと将来のことも話し合ったの? 話し合わずに決めたならあんたは、父親失格だ!」

 

と言った

すると、ベアトリスが前に出て

 

「あんたらの子供の将来についての話しなんざ、どうだっていいんだよ」

 

と言った

そして、胸元から何らかのリモコンを取り出して

 

「こいつらであんたを殺さないと、兵器の検証にならないからさ!」

 

と言って、操作した

その直後、LーCACの方から新たに二体の仮面を被った人造天使が現れた

 

「他にも居たのか」

 

「……私が用意したのは、七体だけだ……クローンか」

 

明久が呟くように言うと、賢生がそう言った

すると、獣人化したロウが

 

「うちの会社な、経営ヤバいんだわ。ロボット開発って凄い勢いで進むのと同時に、コストが上がり、売上が落ちる。掃除ロボットを魔術を使って兵器化して売り込んでも、なかなか売れない」

 

と言った

本来ロボットには、ロボット三原則という規則があり、人間には攻撃出来ないようになっている

それを、死霊術で書き換えることにより兵器として使えるようにしたのだろう

だが、そのロボット兵士もラ・フォリア曰く、大したことはない

らしい

 

「だから、この人造天使を兵器として売り込むことで経営を建て直そうってハラさ! 特に、第四真祖を殺せたとなったら、特大の売り文句になるさ! そして、そこのメスブタ」

 

ベアトリスはそう言うと、ラ・フォリアを見た

そして、右手に持っていた槍を肩に担いで

 

「あんたには、この世の物とは思えない快楽を与えてから、丁寧に切り刻んで、大量にクローニングしてあげる。アルディギアの血族なら霊媒として優れてるし、あんたのクローンなら欲しいって金持ち連中が居るだろうからさ!」

 

と言った

その直後、ベアトリスの眼前に火車が迫った

ベアトリスはそれを間一髪で回避すると、明久に視線を向けて

 

「この、クソガキが……」

 

と明久を睨んだ

先程のは、明久が持っていた火車をまるで弾丸のような速度で投げたのだ

明久が投げた火車は、ベアトリスの背後のLーCACの装甲に突き刺さった

明久は、低い声音で

 

「もう喋るな、クソ年増……」

 

と言った

そして、ベアトリスを睨んで

 

「あんた、ラ・フォリアを何だと思ってる……いや、ラ・フォリアだけじゃない……その人造天使の素体にされた子達もだ……その子達や、ラ・フォリアは一人の人間だ……それを、切り刻むや増やすだ?」

 

と喋りだした

その身からは、怒りに触発されて凄まじい圧の魔力が放たれていた

そして

 

「もういい加減、頭に来た! 会社の経営がヤバい?

そんなの知るか! ラ・フォリアを利用する? そんなこと、させるか! 夏音ちゃんを、死なせてたまるか!!」

 

と怒鳴った

その圧に押されたのか、ベアトリスは一歩後退りした

そして明久は

 

「夏音ちゃんとラ・フォリアは、僕が助ける! こっから先は、第四真祖()戦争(ケンカ)だ!!」

 

と宣告した

すると、その隣に雪菜が寄り添い

 

「いえ、先輩……私たちの戦争(ケンカ)です!」

 

と言いながら、雪霞狼を構えた

すると、雪菜の反対側

右側に、ラ・フォリアも立った

その手には、武骨な兵器

マシンガンが握られている

そして、火蓋は切られる


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。