ストライク・ザ・ブラッド おバカな第四真祖   作:京勇樹

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捕捉

無人島に置いてかれて、数時間後

明久は岩場で座っていた

そこに、雪菜が現れて

 

「先輩、首尾はどうですか?」

 

と明久に問い掛けた

すると明久は、適度な枝と流れついていた釣り糸を使って作った釣竿を上げて

 

「まあまあ、かな? ここら辺の魚、警戒が薄いし」

 

と言って、同じく拾ったバケツを指差した

その中には、数匹の魚が泳いでいた

それを見た雪菜が

 

「最初獅子の黄金を使うと言われた時、どうしようかと思いましたよ」

 

と言った

すると明久は

 

「効率が良さそうだっからね」

 

と言った

だが、雪菜が

 

『電気ショック漁は、違法ですよ?』

 

と言われて、断念

そして、適度な釣り場を探しながら枝とバケツ。釣糸を入手して、今に至る

そして、また簡易釣竿で一匹の魚を釣り上げると

 

「それじゃあ、御飯にしようか」

 

と提案した

そして明久は、バケツを持って、一時的に寝床に選んだ場所に向かった

そこは、トーチカだった

しかも、つい最近使われた形跡があった

その証拠に、中には大量の空薬莢が落ちていて、壁には穴

弾痕が多数空いていた

それを見た二人は

 

《ここで、何らかの実戦訓練が行われていた?》

 

と予想した

その後二人は、安全確保のために周囲を散策

一先ず安全と確認した後に、食料確保に動いたのだ

そして明久は釣りに回り、雪菜が食べられる野草等を探しに回った

その結果

 

「まあ、これなら何とかなるかな?」

 

「恐らくは」

 

雪菜が見つけたのは、ヤシの実が数個とキノコ数種。一応食べられる野草数種

そして明久が、魚を数匹だった

無いよりはマシと判断し、二人は調理すると食べた

そして、寝たのだが

 

「ひぃっきし!?」

 

明久は、くしゃみして起きた

いくら屋根のある建物とはいえ、夜になると多少は冷えたようだ

念のためにと寝る前に燃やしていた焚き火も、消えていた

そして気付けば、雪菜の姿がなかった

それを確認した瞬間、一気に明久の意識は覚醒した

そして明久は、近くに置いてあったケースを開くと、中から火車切を取り出した

 

(周囲に、人の気配無し……だけど……)

 

明久はなるべく音を立てないように、ゆっくりと唯一の出入口に向かった

そして壁に背中を預けながら、ゆっくりと外を見た

 

(誰も……居ないな)

 

明久は一先ず安全と分かると、大きく呼吸して緊張感を解いた

そしてトーチカから出ると、周囲を見た

鬱蒼と生い茂る森の中、時折何らかの動物の鳴き声が聞こえる

 

「拐われたって訳じゃ、無さそうだけど……」

 

と明久は呟くと、火車切を肩に担いで歩き出した

そして、暫く歩いていると

 

「霧……か」

 

明久の周囲には、霧が立ち込めていた

 

「霧が出るってことは……確か、近くに水源が有るんだっけ?」

 

明久はそう首を傾げながら、更に歩いた

その時、パシャリという水の音を聞いて、明久はそちらの方を向いた

その先に見えたのは、長い銀髪の美少女だった

その美少女は水浴びをしているらしく、裸身だった

 

「君は……」

 

と明久が声を上げると、その美少女はゆっくりと顔を明久に向けた

その顔立ちは、夏音に非常に似ていた

だが違うと、明久は直感的に思った

その時

 

「何してるんですか、先輩」

 

と首筋に、冷たい刃が当てられた

それに思わず、明久は両手を上げて

 

「いや、雪菜ちゃんが居なくなったから、何か起きたのかと思いまして……」

 

と釈明した

すると、少しして槍が引かれて

 

「……わかりました」

 

と雪菜は言った

それを聞いて、明久は安心して振り向こうとした

その瞬間

 

「今振り向いたら、刺しますよ」

 

と雪菜が言ったので、振り向くのを止めた

そして、少ししたら

 

「い、いいですよ」

 

と聞こえたので、振り向いた

次の瞬間、明久は固まった

なぜならば、雪菜は透けているワイシャツを着ていたからだ

 

「え、えっと……」

 

と明久が狼狽していると、雪菜が顔を赤くして

 

「仕方ないじゃないですか! 汗で気持ち悪かったから洗ってたんですよ!?」

 

と言った

どうやら雪菜は、水浴びをしながら次いでに着ていた制服を洗っていたようだ

そこに明久が来てしまい、慌てて来たようだ

しかし、雪菜の制服は濡れたまま

そこで取り合えず、上を着た

ということらしい

そこで明久は、上に着ていたジャージを脱いで

 

「はい、これ着て」

 

と雪菜に渡した

受け取った雪菜は、一度槍を地面に刺して

 

「すいません、ありがとうございます」

 

と言って、ジャージを着て、ファスナーを閉めた

そして、明久に視線を向けて

 

「それで、先輩は何を見ていたんですか?」

 

と問い掛けた

すると明久は

 

「いやそれがね、さっきそこに夏音ちゃんに似た女の子が居たんだ」

 

と言いながら、先ほどまで少女が居た池を指差した

それを聞いた雪菜は、明久が指差した池を見た

だが、そこに人影は無い

 

「居ないみたいですね……」

 

「だね」

 

そう会話すると、雪菜は

 

「先輩、こっちに来てください」

 

と言いながら、その池の奥に向かった

 

「え、信じてくれるの?」

 

「先輩は、何だかんだで嘘は言いませんから」

 

明久の問い掛けに、雪菜はそう返した

そして、立て続けに

 

「それに、少し気になることがあるんです」

 

と言った

 

「気になること?」

 

と明久が問い掛けると、雪菜は頷き

 

「はい……」

 

と言った

その時だった

何処からか、低いモーター音が聞こえてきた

明久と雪菜が居たのは、ちょうど浜に差し掛かった場所だった

そこから見えたのは、高速で接近してくる大型の影だった

それを見た明久は

 

「助けが来た?」

 

と言った

だが、雪菜が

 

「いえ、それだったら船の筈です」

 

と言った

その段階になって、明久にもそれが見えた

それは、一般的にはホバークラフトと呼ばれている乗り物

正式名称は、LーCAC(エルキャック)だった

 

「まさかとは思うけど……」

 

「そのまさか、みたいです」

 

二人がそう言ったタイミングで、LーCACは接岸し、前部装甲を下ろした

そこから、重火器を持った大量の兵士が現れた


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